※本記事は、株式会社高知銀行 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
高知銀行は、銀行業務を中心に、リース業務、クレジットカード業務などの金融サービス、および地域商社業務を展開しています。同社グループは地域に密着した営業活動を行っています。
単体従業員数は690名、連結従業員数は724名です。セグメントは銀行業、リース業、クレジットカード業の3つです。
主な国内グループ会社は、高銀ビジネス(銀行業)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
高知銀行は、地域に根差した金融機関として、従業員の長期的なキャリア形成と働きがいを重視している傾向が見られます。人材育成や多様な働き方を支援する制度を導入し、従業員が安心して働き続けられる環境づくりに取り組んでいます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、従業員の定着を重視し、長期的なキャリア形成を支援する環境を整えていることがうかがえます。平均勤続年数や平均年齢から、安定して働き続ける従業員が多い傾向にあると言えるでしょう。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,769,000円 |
| 平均勤続年数 | 16.4年 |
| 平均年齢 | 40.0歳 |
| 単体従業員数 | 690人 |
| 連結従業員数 | 724人 |
| 単体のグループ内比率 | 95.3% |
高知銀行では、確定給付型と確定拠出型の退職給付制度を採用しています。確定給付型は給与や勤続年数に応じて給付額が決まる制度、確定拠出型は会社が拠出した資金を従業員が運用する制度です。
退職一時金制度もありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。当連結会計年度末の退職給付債務は22.5億円、年金資産は32.4億円となっています。また、確定拠出制度への要拠出額は1.3億円です。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、「人財は重要な経営資源であり、育成していくべき財産である」という人的資本経営の考え方に基づき、地域社会や産業の持続的な発展に貢献することを目指しています。この方針のもと、従業員一人ひとりの成長と働きがいを重視した人材戦略を推進しています。
2025年4月からは新たな人事制度を導入しており、役割および成果に基づく公正な評価と適切な処遇を柱としています。組織のフラット化を進め、すべての職員の成長機会を拡大するとともに、さまざまな専門スキルを持つ人財が活躍する環境を整えるため、従来の年功序列的な運用を改め、役割・職務を重視した組織へとシフトしています。
給与は、職能給および職務給(一定職位以上)と諸手当で構成され、専門知見手当も支給されます。支給額は、期待役割・期待能力・期待スキル・知識等に基づいて設定された等級と職位、および個人評価により決定されます。賞与は、決算および収益見通しを勘案して総支給額が決定され、MBO評価(成果・業績)、行動評価(プロセス)、能力開発の3点を主軸とした目標達成度によって個人配分が行われます。
人材育成においては、従来の研修体系の充実に加え、eラーニングコンテンツの拡充や外部資格取得の奨励・サポート体制を整え、職員の自律的な成長を促しています。また、副業制度を導入し、社外の知見やスキルを業務に還元することで組織の活性化とイノベーション創出につなげています。人事・対話制度では、年次や経験にとらわれない若手の抜擢や、上司とキャリア形成について対話する「1on1ミーティング」を年4回実施し、個々の成長を組織全体でサポートする体制を構築しています。多様な働き方と健康経営の推進にも力を入れており、エルダー制度やキャリアリターン制度、健康経営宣言の制定を通じて、健康でいきいきと働ける環境づくりに取り組んでいます。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 29.6% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 70.4% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 74.4% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) | 82.1% |
女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画
計画期間は2025年4月1日から2028年3月31日まで、実績は2026年3月31日現在のものです。
| 指標 | 数値目標 | 実績 |
|---|---|---|
| 課長級以上の女性比率 | 35%以上 | 29.6% |
| 男性の育児休業等の取得率 | 100%以上 | 100.0% |
| 有給休暇取得率 | 80%以上 | 78.0% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
高知銀行グループは、銀行業務を中核に、リース業務やクレジットカード業務などの金融サービス、さらには地域商社業務を展開しています。地域に密着した金融サービスを提供し、多様な事業を通じて収益を上げています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、銀行業、リース業、クレジットカード業の3つの報告セグメントを中心に事業を展開しています。これらの事業は、それぞれ異なる収益源を持ちながら、地域経済の活性化に貢献しています。国内の外部顧客からの経常収益が連結経常収益の90%を超えており、事業活動は主に日本国内に集中しています。特定の顧客への収益集中は見られません。
銀行業
高知銀行は、預金業務、貸出業務、有価証券投資業務、為替業務などを通じて、地域に密着した金融サービスを提供しています。収益は、株式等売却益や貸出金利息の増加などを主因としています。運営は、高知銀行のほか、連結子会社の高銀ビジネスが店舗警備等業務や現金整理・物品販売等、こうぎん地域協働投資事業有限責任組合が投資業務を行っています。
リース業
連結子会社のオーシャンリースがリース業務などを手掛けています。収益は、割賦収入の増加などを主因としています。
クレジットカード業
連結子会社の高知カードがクレジットカード業務や信用保証業務を行っています。収益は、手数料収入の増加などを主因としています。
| セグメント | それぞれ経常収益(2025年3月期) | それぞれ経常収益(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 銀行業 | 178億円 | 217億円 |
| リース業 | 53.6億円 | 62.5億円 |
| クレジットカード業 | 3.7億円 | 3.9億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの直近5期間の業績を見ると、連結経常収益は増加傾向にあります。連結経常利益は変動が見られますが、当連結会計年度は前期から増加しました。一方で、親会社株主に帰属する当期純利益は減少傾向を示しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 経常収益 | 221億円 | 231億円 | 230億円 | 235億円 | 284億円 |
| 経常利益 | 23.1億円 | 25.5億円 | 19.5億円 | 12.2億円 | 13.8億円 |
| 経常利益率 | 10.5% | 11.1% | 8.5% | 5.2% | 4.9% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 16.1億円 | 16.0億円 | 12.5億円 | 8.6億円 | 6.0億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 140.17 | 139.29 | 111.96 | 73.43 | 47.20 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり経常収益は、前期と比較して増加しています。また、従業員1人あたり経常利益も前期から増加する結果となりました。これらの指標の増加は、同社グループの生産性が向上している傾向を示しています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり経常収益(連結) | 32.6百万円 | 39.2百万円 |
| 従業員1人あたり経常利益(連結) | 1.7百万円 | 1.9百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、安定した財務基盤を維持しながら事業活動を行っています。資金の出入りも健全な状態を示しています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率やROE(自己資本利益率)の推移からその安定性を確認できます。手元資金の状況は、不況時における耐性を示す指標となります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 542億円 | 495億円 |
| 自己資本比率 | 4.4% | 4.0% |
| ROE(自己資本利益率) | 1.6% | 1.2% |
| 現金預け金 | 958億円 | 987億円 |
なお、銀行は預金が主な負債のため、一般的な計算式による自己資本比率は構造上低くなります。規制上は国内基準4%以上・国際統一基準8%以上が求められます。
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローは、事業活動、投資活動、財務活動における資金の動きを示しています。当連結会計年度は、営業活動による資金の流入があり、投資活動による資金の流出を上回るフリーキャッシュフローを確保しています。
営業活動によるキャッシュフローは、借用金の増加等により229億円となりました。投資活動によるキャッシュフローは、有価証券の運用等により△189.1億円となっています。財務活動によるキャッシュフローは、自己株式の取得等により△342百万円となりました。これらの資金の動きは、同社グループが安定した資金繰りを維持し、事業の継続性や将来への投資余力を有していることを示しています。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 259億円 | 229億円 |
| 投資CF | 62.8億円 | △189.1億円 |
| 財務CF | △413百万円 | △342百万円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 321億円 | 39.9億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、営業の主要な基盤を高知県に置いています。高知県の経済状況が悪化した場合、同社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、収益拡大を図るためのビジネス戦略が想定した結果を得られないリスクも認識しています。中小企業向け貸出や個人向け貸出の増大、投資信託等の販売強化など、多様な戦略を実施しています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、人的リスクの発生を未然に防止する取り組みを行っています。職員等に対する面談の実施や勤務時間、休暇取得状況の確認を通じて、人事管理上のリスク管理に努めています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
高知銀行は、「熱意」「調和」「誠実」という経営理念のもと、地域社会の持続的な発展に貢献することを目指しています。地域と共に「みらい」を創造し、お客さまに「わくわく」を提供することを重視する企業です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
高知銀行は、「熱意」「調和」「誠実」を経営理念としています。
同社グループは、2024年度から2029年度を計画期間とする中期経営計画『地域とこうぎんの「みらい」』を推進しています。
この計画では、高知銀行を地域の「わくわく(=価値)」が集まる新世代ターミナルと見立て、地域の持続的な発展を目指しています。
具体的には、地域の事業者さまの「人・事業・財」の調和と、地域で暮らす人々のウェルビーイングの向上に貢献することを目指しています。
お客さま向けのサービスやコンサルティングを磨き上げ、「わくわく」を提供するための情報活用を充実させていく方針です。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
高知銀行は、「熱意」「調和」「誠実」の経営理念に基づき、地域社会や産業の持続的な発展に貢献する活動を重視しています。
同社グループは、お客さまや地域の課題解決、産業の活性化のためにコンサルティング機能を発揮することを掲げています。
また、環境問題への対応や防災への取り組みをサポートし、人権を尊重し多様なステークホルダーと協働することを通じて社会的な課題の解決に貢献する方針です。
人的資本経営の考え方として、「人財は重要な経営資源であり、育成していくべき財産である」と認識しています。
多様な視点を持つ人財の確保に努め、属性による区別なく、経営理念に適う人物像やスキルを重視した登用を行っています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
高知銀行グループは、人口減少や少子高齢化、エネルギー価格の上昇、グローバルな不確実性の高まりといった地域を取り巻く経営環境の変化を認識しています。
これらの環境変化に対し、経済動向を的確に把握し、地域経済および顧客への影響を踏まえた機動的な対応を図ることを課題としています。
コンサルティング機能の強化による非金利収益の拡充、営業プロセスの見直しやDX・本部集中化による効率化を推進しています。
組織体制としては、法人・個人それぞれの営業体制の再構築を進め、リスク統括機能の強化に取り組んでいます。
経営の透明性および監督機能の向上による経営基盤の安定化に努めています。
付加価値の高い金融サービスの提供を通じて地域社会の持続的発展に貢献していく方針です。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
高知銀行は、取締役会を経営の最高意思決定機関および監督機関としています。経営会議、リスク管理委員会、コンプライアンス委員会などを通じて、経営や業務執行の重要事項について判断を行っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
高知銀行の筆頭株主は技研ホールディングスです。同社は事業会社であり、高知銀行の資本構成において重要な位置を占めています。また、高知銀行持株会も上位株主として名を連ねています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 技研ホールディングス | 14.90% |
| 高知銀行持株会 | 4.05% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 2.49% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は11名(男性9名・女性2名)で構成され、女性役員比率は18.2%です。代表取締役頭取営業本部長は河合祐子氏が務めています。社外取締役比率は25.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 河合 祐子 | 取締役頭取 代表取締役 営業本部長 | 1987年4月 ケミカル銀行/JPモルガン銀行グループ入社、2003年3月 日本銀行入行、2014年9月 日本銀行高知支店長、2021年3月 Japan Digital Design代表取締役CEO、2023年7月 同社取締役副頭取、2025年6月より現職。 |
| 海治 勝彦 | 取締役会長 代表取締役 | 1984年4月 同社入行、2014年6月 同社取締役経営統括部長兼コンプライアンス統括部長、2017年4月 同社常務取締役、2021年6月 同社取締役頭取、2025年6月より現職。 |
| 吉村 卓浩 | 常務取締役 | 1988年4月 同社入行、2017年4月 同社経営統括部長、2019年4月 同社執行役員経営統括部長、2022年6月 同社常務取締役営業本部長兼営業企画部長、2024年4月より現職。 |
| 深見 英治 | 常務取締役 | 1988年4月 同社入行、2016年6月 同社人事部長、2019年4月 同社執行役員人事部長、2023年6月 同社常務取締役本店営業部長、2024年4月より現職。 |
| 寺川 智文 | 常務取締役 | 1990年4月 同社入行、2020年4月 同社経営統括部長、2021年6月 同社執行役員経営統括部長、2025年6月より現職。 |
社外取締役は、石田惠美氏(BACeLL法律会計事務所代表・東洋証券社外取締役)、衛藤公洋氏(アフラック生命保険シニアアドバイザー)、松尾晋次氏(高知県公安委員長)です。
同社は監査役会設置会社であり、取締役会による業務執行の監督機能の充実を図っています。社外取締役は、それぞれの専門的知見や経験に基づき、経営への助言や提言を行うことで、取締役会の監督機能の強化に貢献しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
高知銀行の取締役の報酬は、役位に応じた基本報酬と、中長期的な企業価値向上を目的とした業績連動型株式報酬で構成されています。社外取締役および監査役の報酬は、中立性と独立性の観点から基本報酬のみとなっています。業績連動型株式報酬はポイント制を採用しており、役位別ポイントと業績連動ポイントで構成され、業績指標として当期純利益が採用されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 7名 | 1.1億円 | 15.3百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 13百万円 | 13.0百万円 |
| 社外役員 | 8名 | 33百万円 | 4.1百万円 |
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