※本記事は、株式会社島根銀行の有価証券報告書(第176期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 島根銀行ってどんな会社?
島根県と鳥取県を営業基盤とし、銀行業務を中心にリース業務などの金融サービスを展開しています。
■(1) 会社概要
1915年に松江相互貯金として設立され、1989年の普通銀行への転換に伴い島根銀行へ商号を変更しました。2011年に東京証券取引所市場第二部へ上場し、現在はスタンダード市場へ移行しています。2019年にはSBIホールディングスと資本業務提携を締結し、連携を強化しています。
同社グループの従業員数は連結316名、単体308名です。筆頭株主は事業会社のSBI地銀ホールディングスで、第2位は中国総合信用、第3位は資産管理業務を行う信託銀行です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| SBI地銀ホールディングス | 27.40% |
| 中国総合信用 | 8.57% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 7.11% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性1名の計10名で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役会長は鈴木良夫氏、代表取締役頭取は長岡一彦氏です。社外取締役比率は30.0%(10名中3名)です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 鈴木良夫 | 代表取締役会長 | 1976年同社入行。本店営業部長、出雲支店長、常務取締役、松江リース代表取締役社長などを経て、2017年より代表取締役頭取。2024年より現職。 |
| 長岡一彦 | 代表取締役頭取 | 1991年同社入行。リスク管理室長、総合企画グループ部長、取締役常務執行役員企画本部長兼管理本部長などを経て、2024年より現職。 |
| 野津一人 | 取締役常務執行役員管理本部長 | 1990年同社入行。安来支店長、本店営業部長、取締役常務執行役員営業本部長などを経て、2025年より現職。 |
社外取締役は、名越昇(元島根県信用保証協会専務理事)、浅枝芳隆(元監査法人トーマツ代表社員)、木村紀義(SBIホールディングス専務執行役員グループCTO)です。
2. 事業内容
同社グループは、「銀行業」および「リース業」などの事業を展開しています。
■銀行業
同社グループの中核事業であり、本店および支店、出張所を通じて、預金業務、貸出業務、有価証券投資業務、内国為替業務などの各種金融サービスを提供しています。また、投資専門子会社による有価証券の取得・保有・売却業務も行っています。
資金運用収益(貸出金利息や有価証券利息配当金など)や各種手数料などを収益源としています。運営は主に島根銀行が行うほか、しまぎん地域事業投資が投資関連業務を担っています。
■リース業
事業向け金融サービスの一環として、地元企業などの顧客に対し、設備や機器等のリース業務を展開しています。
顧客からのリース料を主な収益源としています。運営は連結子会社の松江リースが担っています。
■その他
個人リテール戦略の一環としてのクレジットカード業務や、まちづくり事業への投資業務などを展開しています。
クレジットカードの各種手数料などを収益源としています。運営は持分法適用関連会社のしまぎんユーシーカードや、しまぎんまちづくりファンド有限責任事業組合が担っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の経常利益は一時的に増加傾向にありましたが、直近では減益に転じています。当期利益についても同様に、直近の期間において減少する傾向を示しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 経常利益 | 2.9億円 | 4.2億円 | 5.3億円 | 8.6億円 | 4.2億円 |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 2.8億円 | 3.8億円 | 3.9億円 | 5.8億円 | 3.4億円 |
■(3) セグメント収益
銀行業およびリース業ともに、直近2期間で増収となっています。特に中核事業である銀行業の増収が、連結全体の収益増加を大きく牽引しています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 銀行業 | 80.9億円 | 97.9億円 |
| リース業 | 22.5億円 | 24.5億円 |
| その他 | 0.0億円 | 0.0億円 |
| 連結(合計) | 103.5億円 | 122.5億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社のキャッシュ・フローは、本業・投資・財務いずれもマイナスで資金繰りが危機的となる末期型のパターンです。なお、同社は金融関連事業を主力としているため、営業CFのマイナスは主に借用金の減少によるものであり、直ちに業績悪化を意味するものではありません。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 185.2億円 | -42.0億円 |
| 投資CF | -53.6億円 | -165.4億円 |
| 財務CF | -2.3億円 | -2.0億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は2.7%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は2.2%で、いずれも市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、「1.地域社会の発展に貢献し、信頼され、愛される銀行となる。」「2.常に魅力あるサービスを提供し、お客さまのニーズに積極的に応える。」「3.創造力豊かで、活力にみちた、明るい人間集団をつくる。」の3つを経営理念として掲げています。地域に根差した「リージョナルバンクしまぎん」として、地域に必要とされる銀行を目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、創業来大切にしてきたお客さまと直接顔を合わせる「Face To Face」の良さを活かした組織文化を重視しています。SBIグループとの連携によるデジタルシフトを推し進めつつ、顧客中心主義を基本とした「次世代Face To Face」を実践することで、地域社会の課題解決に取り組んでいます。
■(3) 経営計画・目標
同社は中期経営計画「ふるさと山陰活性化プロジェクト!~ローカルエンゲージメントの向上を目指します~リージョナルバンクしまぎん」を策定し、最終年度に向けて以下の数値目標を掲げています。
* コア業務純益:22億円
* 当期純利益:6億円
* 自己資本比率:7.5%程度
■(4) 成長戦略と重点施策
財務の健全化を目指すとともに、「お客さまとの共通価値の創造」を掲げ、選ばれる銀行となるための戦略を推進しています。組織の活性化と連携強化を通じて「ローカルエンゲージメント」を向上させるほか、SBIグループとの連携による有価証券ポートフォリオの再構築やリスク管理の高度化により、本業部分の収益力を高める施策に注力しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
中期経営計画において、お客さまのもとに足繁く通う「フェイス・トゥ・フェイス」の質を向上させることを目指しています。その実現に向け、従業員一人ひとりが自らの存在意義を実感し、高い満足度を得ることができる職場環境の整備を方針として掲げています。知識やスキルの習得支援、柔軟な働き方の実践などに努めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 39.0歳 | 16.0年 | 4,989,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 26.8% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 68.6% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 71.2% |
| 男女賃金差異(パート・有期) | 95.6% |
また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性役席比率の目標(30.0%)、男女の平均勤続年数の差の目標(4年)、女性職員の出産後の継続勤務率の実績(100%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) オペレーショナル・リスク
預貸金業務や仲介業務における事務事故、天災や不正アクセスによるシステム障害、法令違反などのコンプライアンス上の問題、人事運営上のトラブル、店舗等の有形資産の毀損などが生じた場合、顧客からの信頼失墜や損害賠償の発生等により、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 地域金融機関との競争に伴う業績変動リスク
同社の主たる営業基盤である島根県および鳥取県においても多数の金融機関が存在しています。他の金融機関との競争激化により優位性を確保できず、顧客ニーズに対する迅速かつ的確な対応が不十分となった場合、同社グループの財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
■(3) 自己資本比率に関するリスク
同社は国内基準に基づく自己資本比率規制が適用されており、基準以上の比率を維持する必要があります。債務者の信用力悪化による与信関係費用の増加や、有価証券の価値低下に伴う減損損失の計上などによって自己資本比率が基準を下回った場合、行政処分を受ける可能性があります。



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