小林洋行 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

小林洋行 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード上場の小林洋行は、投資・金融サービス業を中核に、不動産、スポーツ施設、生活・環境事業などを多角的に展開する企業グループです。2025年3月期は、全セグメントで増収または横ばいを維持し売上高は増加しましたが、営業費用の増加等により経常利益、当期純利益は減益となりました。


※本記事は、株式会社小林洋行 の有価証券報告書(第78期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 小林洋行ってどんな会社?


投資・金融サービス業を主軸に、不動産やゴルフ場運営なども展開する多角化企業です。

(1) 会社概要


1949年に設立され、商品先物取引業で基盤を築きました。その後、金融商品取引業(くりっく365)へ参入し、現在は不動産、ゴルフ場運営、生活・環境事業など多角化を進めています。2000年に東証二部上場、2001年に一部指定を経て、2022年の市場区分見直しによりスタンダード市場へ移行しました。

グループ全体の従業員数は144名、提出会社(単体)は3名です。筆頭株主は創業家資産管理会社の東京洋行で、第2位は資産管理業務を行うりそな銀行、第3位は証券業を営む共和証券となっています。

氏名 持株比率
東京洋行 24.96%
りそな銀行 4.82%
共和証券 4.08%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性0名、計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は細金成光氏が務めています。社外取締役比率は42.9%です。

氏名 役職 主な経歴
細金 成光 取締役社長代表取締役 1991年入社。国際・情報本部長、金融事業本部長等を歴任し、2008年より現職。小林洋行コミュニケーションズ社長等を兼務。
渡辺 宏 常務取締役 1984年入社。経理部長、業務部長を経て、2024年より現職。三新電業社監査役等を兼務。
瀧澤 克行 取締役経営企画室長 1982年入社。CX事業本部長、事業部長等を経て、2018年より現職。小林洋行コミュニケーションズ取締役等を兼務。
細金 英光 取締役 2003年フジトミ(現フジトミ証券)入社。同社社長を経て、2022年より現職。フジトミ社長を兼務。


社外取締役は、加藤周二(元通商産業省大臣官房付)、西田章(西田法律事務所弁護士)、前田哲哉(元りそな銀行常務執行役員)です。

2. 事業内容


同社グループは、「投資・金融サービス業」「生活・環境事業」「スポーツ施設提供業」「不動産業」「インターネット広告業」の5つの報告セグメントを展開しています。

**(1) 投資・金融サービス業**
金融商品取引所における為替証拠金取引(くりっく365)、株価指数証拠金取引(くりっく株365)および商品先物取引の受託業務を提供しています。また、金地金の販売も行っています。
収益は主に顧客からの委託取引に伴う受取手数料です。運営は主に子会社のフジトミ証券が行っています。

**(2) 生活・環境事業**
生命保険・損害保険の募集業務、広告用電設資材の卸売、LED照明等の販売事業を行っています。
収益は保険会社からの代理店手数料や、顧客への商品販売代金です。運営は主にフジトミ証券、フジトミ(2025年4月より承継)、三新電業社が行っています。

**(3) スポーツ施設提供業**
千葉県においてゴルフ場施設(ゴールデンクロスカントリークラブ)の運営を行っています。
収益はゴルフ場利用者からのプレー代や施設利用料等です。運営は子会社の日本ゴルフ倶楽部が行っています。

**(4) 不動産業**
ビジネスホテルやワンルームマンション等の賃貸、および不動産の売買・仲介を行っています。
収益は賃借人からの賃料収入や、不動産売却益、仲介手数料等です。運営は同社およびフジトミ証券が行っています。

**(5) インターネット広告業**
SEO対策、Webサイト制作、コンサルティング業務などを提供しています。
収益は顧客からのサービス提供対価(制作費、コンサルティング料等)です。運営は子会社の小林洋行コミュニケーションズが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高(営業収益)は増加傾向にあり、事業規模は拡大しています。一方、利益面では2021年3月期から2022年3月期にかけて赤字でしたが、2023年3月期以降は黒字化しています。2025年3月期は増収ながらも減益となりました。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
営業収益 34.5億円 36.0億円 41.1億円 45億円 47億円
経常利益 △1.3億円 △0.9億円 2.4億円 3.7億円 2.6億円
利益率(%) -3.9% -2.6% 5.8% 8.1% 5.5%
当期利益(親会社所有者帰属) △1.2億円 △0.9億円 2.0億円 3.7億円 2.4億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益構成を見ると、売上高(営業収益)は約45億円から約47億円へと増加しました。しかし、営業費用の増加により、営業利益および営業利益率は低下しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 45億円 47億円
売上総利益 31億円 32億円
売上総利益率(%) 68.5% 68.0%
営業利益 3.1億円 1.8億円
営業利益率(%) 6.8% 3.9%


営業費用(販売費及び一般管理費含む)のうち、人件費が18億円(構成比61%)、その他経費が5.6億円(同19%)を占めています。売上原価は売上原価合計に対し100%として計上されています。

(3) セグメント収益


2025年3月期は、主力である投資・金融サービス業が増収ながらも減益となりました。不動産業やインターネット広告業は堅調に推移しましたが、全社費用の調整額の影響もあり、連結全体では増収減益となりました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
投資・金融サービス業 20億円 20億円 2.9億円 2.3億円 11.2%
生活・環境事業 9.3億円 10億円 0.6億円 0.3億円 3.1%
スポーツ施設提供業 4.7億円 4.9億円 0.4億円 0.4億円 7.5%
不動産業 7.5億円 7.8億円 2.5億円 2.5億円 32.4%
インターネット広告業 3.6億円 3.5億円 0.5億円 0.3億円 7.6%
その他 - - - - -
調整額 -0.8億円 -0.9億円 -3.8億円 -4.0億円 -
連結(合計) 45億円 47億円 3.1億円 1.8億円 3.9%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

小林洋行は、営業活動により資金を創出し、投資活動で事業基盤を強化し、財務活動で資金調達や株主還元を行っています。
営業活動によるキャッシュ・フローは、主に税金等調整前当期純利益により増加しました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、主に有形固定資産の取得により支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、主に配当金の支払いにより支出となりました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 2.4億円 4.4億円
投資CF -3.4億円 -3.3億円
財務CF 0.4億円 -0.9億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「お客様第一」「誠実な経営」「豊かな社会の実現に寄与」を経営理念としています。お客様の視線に立った行動、遵法精神と倫理観に基づく公正・公平な経営、そして投資・金融サービスや営業活動を通じて豊かな社会の実現に貢献することを使命としています。

(2) 企業文化


社会の責任ある一員として、順法精神と倫理観を大切にする文化があります。また、人と人とのつながりを重視し、全てのステークホルダーの期待に応える誠実な姿勢を基本としています。気候変動や人権尊重などのサステナビリティ課題にも積極的・能動的に取り組む方針を示しています。

(3) 経営計画・目標


主力の投資・金融サービス業が市況変動の影響を大きく受けるため、客観的な数値目標の設定は困難としていますが、安定的な収益源の確保と継続的な営業利益の拡大を最優先事項として掲げています。

(4) 成長戦略と重点施策


不採算事業からの早期撤退と、事業再編やM&Aによる機動的な組織再編を進め、安定収益源の確保を目指しています。

* 投資・金融サービス業:即戦力採用による営業力強化、Webマーケティング活用、「シストレセレクト365」の販促。
* 生活・環境事業:LED照明の提案営業推進(水銀条約対応)、保険周辺知識の強化。
* 不動産業:賃貸物件の長寿命化と、販売・運用事業の両輪推進。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


金融リテラシー向上のためFP資格取得を推奨するなど、専門性を高める人材育成を行っています。また、従業員が働きがいを持ち、安心して長く働ける環境整備に努め、リモートワーク対応としてのコミュニケーションツールのデジタル化などを推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 43.8歳 21.0年 5,756,922円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 市況による影響


グループの営業総利益の多くを占める商品先物取引や金融商品取引(くりっく365等)の手数料収入は、国内外の金融市場や経済情勢の影響を強く受けます。市場の売買高が低迷した場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 法的規制等の変更


主事業である商品先物取引や金融商品取引は、関連法令や自主規制ルールの適用を受けています。法令違反による行政処分や、規制強化に伴う対応コストの増加が発生した場合、事業運営や業績に影響を与える可能性があります。

(3) コンピュータシステムの障害


オンライントレーディングシステム等のコンピュータシステムに依存して業務を行っています。自然災害や不正アクセス、機器の誤作動等によりシステム障害が発生した場合、業務停止や信用失墜を招き、業績に重大な影響を与える可能性があります。

(4) 個人情報の管理


多数の顧客個人情報を扱っており、その管理には万全を期しています。しかし、外部からの不正アクセス等により情報漏洩が発生した場合、損害賠償責任や社会的信用の失墜により、業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。