アサックス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

アサックス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

アサックスは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、不動産を担保とする事業資金等の融資を行う不動産担保ローン事業を主力に、信用保証や不動産賃貸・販売事業を展開しています。業績トレンドは堅調に推移しており、直近の決算では増収増益を達成するなど、強固な収益基盤と健全な財務体質を背景に着実な成長を続けています。


※本記事は、株式会社アサックスの有価証券報告書(第57期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. アサックスってどんな会社?


不動産担保ローン事業を主力とし、信用保証や不動産賃貸事業なども展開する企業です。

(1) 会社概要


1969年7月に自営業者および個人顧客への事業資金等の貸付を目的として長野県長野市に設立されました。1983年に貸金業登録を行い、1995年には事業の効率化を図る目的で2社を吸収合併し、社名をアサックスに変更しました。2007年に東京証券取引所市場第二部に株式を上場しています。

従業員数は連結で59名、単体で57名です。筆頭株主は資産管理等を行う事業会社のフレキシブルで、第2位は創業者の草間庸文氏、第3位は事業会社の光通信です。

氏名 持株比率
フレキシブル 34.55%
草間庸文 28.50%
光通信 7.51%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は草間雄介氏が務めています。社外取締役の比率は42.9%です。

氏名 役職 主な経歴
草間庸文 代表取締役会長 1973年安田生命保険相互会社入社。山和等を経て1994年同社代表取締役社長に就任。2020年より現職。
草間雄介 代表取締役社長兼審査部長 2008年オリックス入社。2013年同社入社。常務取締役審査部長・管理部門担当等を経て2020年より現職。
池尻周平 取締役営業統括部長 2002年同社入社。銀座支店長、本社営業部長等を経て2024年より現職。
小林一成 取締役管理部門担当 2003年同社入社。銀座支店長、総務統括部長等を経て2024年より現職。


社外取締役は、成田隆一(フローク・アドバイザリー代表取締役社長)、林康司(林総合法律事務所代表弁護士)、寺本敏之(ホウライ代表取締役会長CEO)です。

2. 事業内容


同社グループは、不動産担保ローン事業を中心とした事業を展開しています。

(1) 不動産担保ローン事業


不動産を担保とする事業資金等の融資を行っています。自営業者や個人顧客を中心とした幅広い層に対し、それぞれの資金ニーズに応じた柔軟な融資サービスを提供しています。

顧客から受け取る貸付金利息を主な収益源としています。同事業はアサックスが主体となって運営を行っています。

(2) その他の事業(信用保証・不動産賃貸・不動産販売)


金融機関が行う不動産担保融資に対する信用保証事業や、収益不動産を取得して事業用・居住用不動産の賃貸・管理を行う不動産賃貸事業、債権回収を目的とした不動産の取得・販売を行う事業を展開しています。

信用保証業務の手数料や不動産賃貸収入、不動産売上高などを収益源としています。これらの事業はアサックスのほか、連結子会社のASAX America, Inc.などが運営しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


過去5年間の業績推移を見ると、売上高および経常利益ともに右肩上がりの成長を続けています。積極的な営業展開による良質な営業貸付金残高の積み上げが寄与し、安定して高い利益率を維持しています。直近の決算でも増収増益を達成し、強固な事業基盤が確認できます。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 57億円 62億円 68億円 75億円 88億円
経常利益 39億円 43億円 51億円 52億円 61億円
利益率(%) 68.4% 69.5% 75.0% 69.3% 69.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 25億円 28億円 33億円 34億円 39億円

(2) 損益計算書


営業収益と営業利益はともに前年を大きく上回り、順調な事業規模の拡大を示しています。堅実な与信管理と積極的な顧客開拓のバランスを取ることで、高い収益性を維持しながら着実に成長を遂げています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 75億円 88億円
売上総利益 - -
売上総利益率(%) - -
営業利益 52億円 58億円
営業利益率(%) 69.3% 65.9%


販売費及び一般管理費(その他の営業費用)のうち、給料及び手当が4億円(構成比22%)、広告宣伝費が3億円(同20%)を占めています。売上原価の内訳は、不動産賃貸原価が1億円(構成比53%)、不動産売上原価が1億円(同47%)となっています。

(3) セグメント収益


主力である不動産担保ローン事業は堅調な資金需要を背景に売上が拡大しています。また、不動産賃貸などその他の事業についても着実に収益を伸ばしており、同社グループの事業基盤の多様化が進んでいます。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
不動産担保ローン 73億円 84億円
不動産賃貸 2億円 3億円
連結(合計) 75億円 88億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


本業は赤字だが、将来成長のため借入で投資を継続する勝負型の傾向が見られます。なお、同社は金融関連事業を主力としているため、営業CFのマイナスは主に営業貸付金の増加(事業拡大)によるものであり、直ちに業績悪化を意味するものではありません。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF -37億円 -66億円
投資CF -17億円 -3億円
財務CF 52億円 74億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は7.5%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は40.6%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「会社創業以来の経営理念であるお客様第一主義を基本とし、常に公正・中立の立場に立ち、質の高いサービスを提供することにより豊かな社会づくりに貢献する」ことを目標としています。株主、お客様、取引先、従業員などのステークホルダーに対する社会的責任を果たしていくことを宣言しています。

(2) 企業文化


同社は「信頼経営」を根幹に据え、ステークホルダーと信頼関係を築き上げていく経営の実践を重視しています。また、社員の行動原理・原則を記した「企業行動憲章」を制定し、コンプライアンスの徹底や高い専門性と倫理観を兼ね備えた人材の育成に注力する文化が醸成されています。

(3) 経営計画・目標


同社は好況時、不況時にかかわらず、貸倒れを抑えたローコスト経営を堅持することで、着実な成長を続けていくことを基本方針としています。財務の健全性に加え、積極的な営業展開も必要不可欠と位置づけ、不動産担保ローン事業で培ったノウハウを活用した収益基盤の多様化と強化を目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


今後の注力領域として、知名度向上による企業ブランド力の強化に向けた積極的なプロモーション活動を展開します。また、調達コストと貸出利率のバランスを取りつつ、優良な顧客の開拓を積極的に行い、信用コストを抑えた良質な営業貸付金残高の積み上げを行うとともに、調達方法の多様化による財務内容の安定性向上を図ります。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社の財産は社員であり、健全な成長のためには、経営理念をよく理解しロイヤルティが高い優秀な社員の育成が必須と認識しています。キャリアに応じた階層別研修の実施等、人材育成体制を構築し、業務遂行に必要な知識や技術の習得およびコンプライアンスの徹底を図り、高い専門性と倫理観を備えた人材育成を行っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 35.9歳 12.2年 8,933,023円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性従業員比率(36.8%)、女性管理職比率(7.7%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 市場環境の変化に関するリスク


不動産担保ローン事業は不動産市況の影響を受けやすく、市況が悪化して地価が下落した場合、担保不動産の価値の目減りによって貸付債権の与信が悪化する可能性があります。同社は厳格な与信判断と途上与信管理に注力していますが、担保不足の貸付債権の増加や顧客の返済能力低下による支払遅延が発生するリスクがあります。

(2) 顧客情報の管理に関するリスク


個人情報保護法等の適用を受ける同社は、個人情報の適正な利用・管理が義務付けられています。社内管理体制の整備やシステム面でのセキュリティ強化を図り、従業員への啓蒙活動を通じて情報管理の周知徹底を行っていますが、万一情報漏洩等が発生した場合は社会的信用を失墜し、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) システムリスク及びオペレーショナルリスク


システム障害やコンピューターの不正使用等に関するセキュリティの強化に努めていますが、外部からの不正アクセスや火災、回線故障等による障害が発生し、業務に支障を来たすリスクがあります。また、役員および従業員が正確な事務処理を怠ることや事故・不正等を起こすことによる損失発生のリスクも存在します。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。