※本記事は、丸三証券株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月16日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
丸三証券は、有価証券を中核商品とする投資・金融サービス業を展開しています。具体的には、有価証券の売買やその取次ぎ、引受け、売出し、募集の取扱いなど、幅広い金融商品取引業を営んでいます。
同社の単体従業員数は1,130名です。
丸三証券は2025年4月1日付で丸三ファイナンス株式会社を吸収合併しており、当事業年度末時点では関係会社が存在しません。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
丸三証券は、金融サービス業としてお客様本位のサービス提供を掲げ、社員一人ひとりの専門性と倫理観を重視する企業文化を持っています。多様な人材が長期的に活躍できるよう、人材育成と働きやすい環境整備に力を入れていることが特徴です。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
平均勤続年数と平均年齢から、同社では比較的若年層からキャリアを築き、長期的に活躍する人材が多い傾向が見られます。専門性を高めながら安定して働ける環境が整備されていることがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 7,729,000円 |
| 平均勤続年数 | 12年2ヶ月 |
| 平均年齢 | 35歳6ヶ月 |
| 単体従業員数 | 1,130人 |
同社は確定給付企業年金制度及び退職一時金制度を設けています。退職一時金制度があり、給与と勤務期間に基づいて一時金が支給されます。退職給付債務は39.3億円、年金資産は23.0億円です。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社は「お客様本位の金融サービスで、確かな信頼を育み、ともに想いを実現する」という経営理念に基づき、高い専門性と倫理観を持つプロフェッショナル人材の育成を人材戦略の基本方針としています。社員一人ひとりが自ら考え、主体的に行動できる「学ぶ文化」の醸成に力を入れています。
具体的には、キャリアに応じた階層別研修や外部教育機関への派遣、経営層の育成・発掘を目的とした「丸三アカデミー」を実施しています。また、AFPやCFP®、証券アナリストなどの専門資格取得支援も積極的に行い、社員のスキルアップを後押ししています。
給与は基本給と手当で構成され、基本給は会社年齢、職務遂行能力、職務内容等によって決定されます。人材の維持・確保や市場水準を考慮して見直しが行われ、賞与は会社の業績と個人の勤務成績を勘案して年2回支給されます。社内環境整備にも注力しており、女性の活躍推進やシニア世代の継続雇用、仕事と育児の両立支援として「くるみん認定」の取得など、多様な人材が働きがいを持って活躍できる環境づくりを進めています。エンゲージメントサーベイを導入し、組織課題の可視化と改善にも取り組んでいます。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」に基づき算出されています。育児休業取得率は、配偶者の出産に伴う特別休暇を含めて算出されています。賃金の差異は、源泉徴収簿の総支給金額と各月末人員を基に集計されており、パート・有期労働者には投信債券歩合外務員が含まれます。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 3.0% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 78.2% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 69.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(うち正規雇用労働者) | 61.7% |
| 労働者の男女の賃金の差異(うちパート・有期労働者) | 101.0% |
人材育成方針
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| AFPの取得者数 | 785名 |
| テクニカルアナリストの取得者数 | 224名 |
| CFP®の取得者数 | 49名 |
| 証券アナリストの取得者数 | 28名 |
社内環境整備方針
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 新卒採用の女性比率 | 45.5% |
| 管理職候補(課長代理)の女性比率 | 16.2% |
| 有給休暇取得率 | 68.9% |
| エンゲージメントスコア | 62.4 |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
丸三証券は、有価証券を中核商品とする投資・金融サービス業を主たる事業としています。有価証券の売買やその取次ぎ、引受け、募集・売出しの取扱いなど、幅広い金融商品取引業を営んでいます。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社は、有価証券の売買や取次ぎ、引受け、募集・売出しの取扱いといった金融商品取引業を通じて収益を上げています。具体的な業務としては、株式、債券、投資信託・ファンドラップの各部門でサービスを提供しています。
株式部門では、生成AI関連企業や工場自動化・ロボット関連企業、大手重電・重工メーカー、ITサービス企業などの銘柄選別と情報提供に注力しています。新規上場を目指す企業への株式引受けも行い、株式受入手数料を収益源としています。
債券部門では、債券の募集・売出の取扱高を増加させています。一方で、個人向け社債の引受額の減少が見られ、債券受入手数料を収益源としています。
投資信託・ファンドラップ部門では、バランス型ファンドや世界の株式に投資するファンドの販売に努め、残高の増加を図っています。独自のファンドラップサービス「丸三ファンドラップサービス」の提供も開始し、売買手数料に依存しない残高連動報酬をベースとした収益構造の確立を進めています。信託報酬が主な収益源となっています。
同社の事業は投資・金融サービス業という単一セグメントに属しており、海外営業収益の合計が営業収益の10%未満であるため、海外営業収益の記載は省略されています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社の過去の業績推移を見ると、営業収益と経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は、期間によって変動が見られます。直近の前期においては、営業収益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益ともに増加傾向を示しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 営業収益 | 187億円 | 149億円 | 186億円 | 188億円 | - |
| 経常利益 | 36.5億円 | 8.5億円 | 41.9億円 | 40.5億円 | - |
| 経常利益率 | 19.5% | 5.7% | 22.5% | 21.5% | - |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 28.3億円 | 7.8億円 | 29.2億円 | 37.9億円 | - |
| 1株当たり当期純利益(円) | 42.51 | 11.86 | 44.56 | 57.38 | - |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社の従業員1人あたりの営業収益(連結)は前期に17.2百万円となっており、従業員1人あたりの経常利益(連結)は前期に3.7百万円となっています。これらの数値は、同社の生産性を示す指標となります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり営業収益(連結) | 17.2百万円 | - |
| 従業員1人あたり経常利益(連結) | 3.7百万円 | - |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
丸三証券は、本業で安定的に資金を生み出し、将来に向けた投資も行いつつ、手元資金を確保している状況です。このような財務状況は、同社の安定した経営基盤を示しています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社の自己資本比率は、プライム市場の非製造業平均と比較して高い水準にあります。一方で、ROE(自己資本利益率)はプライム市場平均を下回っています。手元資金は確保されており、事業運営に必要な流動性を維持している状況です。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 自己資本比率 | 66.6% | - |
| ROE(自己資本利益率) | 7.5% | - |
| 現金及び預金等 | - | 355億88百万円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
当事業年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、預り金の増加や税引前当期純利益の計上などにより、92.9億円の資金増加となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形及び無形固定資産の取得による支出などにより、△5.5億円の資金減少となっています。財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いや短期借入金の減少などにより、△48.9億円の資金減少となりました。
その結果、フリーキャッシュ・フローは87.4億円のプラスとなり、同社が事業活動で得た資金を投資に充てつつ、余剰資金を生み出している状況を示しています。この資金の流れは、同社の事業が安定的に運営され、将来に向けた投資も継続されていることを表しており、雇用や給与の安定性にもつながるものと考えられます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △1.6億円 | 92.9億円 |
| 投資CF | 5.1億円 | △5.5億円 |
| 財務CF | △50.5億円 | △48.9億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 3.5億円 | 87.4億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社の営業収益は株式委託手数料が占める割合が大きく、株式市場の変動により業績が影響を受ける可能性があります。このため、売買手数料依存の収益構造からの脱却を目指しています。また、同社が保有するトレーディング商品や投資有価証券には市場リスクが存在しており、急激な相場変動が純資産等に影響を与える可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社は、重要人材の流出や後継者不足、不正・ハラスメント、健康悪化等により損失を被る人的リスクを認識しています。社員の働きやすさの向上や次世代の人材発掘・育成、倫理・人権に関する研修の実施等により、リスクの低減に努めています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
丸三証券は、創業以来の「自主独立」の精神を基盤とし、お客様本位の金融サービスを通じて資本市場の発展に貢献することを目指しています。お客様一人ひとりの豊かな未来を支援するため、信頼関係の構築と満足度の向上に努める企業です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
丸三証券は、創業以来「自主独立」の精神を礎に、いずれの系列にも属さない独立系証券会社として資本市場の発展に貢献してきました。お客様本位の考え方に基づき、ニーズに合った情報とサービスの提供を通じて信頼関係を築き、満足度向上に努めています。2026年3月には、新たな経営理念として「お客様本位の金融サービスで、確かな信頼を育み、ともに想いを実現する」を策定しました。お客様へ質の高いサービスを提供し、経営の効率化と健全化による企業価値向上を通じて、全てのステークホルダーへの利益還元を充実させることを経営の基本方針としています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社は、新たな経営理念の実現に向けた行動指針として、三つの精神を掲げています。一つ目は、創業以来の基盤である「自主独立の精神」です。二つ目は、お客様への貢献を重視する「奉仕の心」。そして三つ目は、組織全体で目標達成を目指す「全員参加の経営」です。これらの行動指針のもと、お客様のライフプランや投資目的に寄り添い、資産運用を通じてお客様の資産形成に貢献することを社会的使命としています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
丸三証券は、執行役員制度を導入し、迅速な意思決定と業務執行責任の明確化を図っています。取締役会は社外取締役が過半数を占め、監査役会設置会社として監査機能の強化にも取り組んでいます。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
丸三証券の株主構成を見ると、筆頭株主は日本生命保険相互会社であり、複数の金融機関や信託銀行、公益財団法人が上位に名を連ねています。多様な機関投資家によって支えられている資本構成が特徴です。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本生命保険相互会社(常任代理人 日本マスタートラスト信託銀行) | 7.89% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 7.83% |
| 公益財団法人長尾自然環境財団 | 7.16% |
| 三菱UFJ信託銀行(常任代理人 日本マスタートラスト信託銀行) | 2.54% |
| みずほ銀行(常任代理人 日本カストディ銀行) | 1.42% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は11名(男性9名・女性2名)で構成され、女性役員比率は18.2%です。代表取締役社長は菊地稔氏が務めています。社外取締役比率は57.1%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 菊地 稔 | 代表取締役社長 | 1986年4月同社入社。人事部長、投資信託部長を経て、2013年6月執行役員投資信託部長。2017年6月代表取締役副社長、2018年6月より代表取締役社長に就任し、現職。 |
| 服部 誠 | 代表取締役専務取締役営業本部長エクイティ本部長金融コンサルタント一部長 金融コンサルタント二部長 金融コンサルタント三部長 コンサルタントサポート部長 | 1990年4月同社入社。沼田支店長、池袋支店長、エクイティ部長などを歴任。2014年6月執行役員エクイティ本部長、2020年6月より代表取締役専務取締役営業本部長兼エクイティ本部長に就任し、現職。 |
| 青木 真嗣 | 取締役内部管理統括責任者監理本部長 | 1999年4月同社入社。北九州支店長、営業本部東部地区担当などを経て、2021年8月執行役員名古屋支店長。2025年6月より取締役執行役員内部管理統括責任者兼監理本部長に就任し、現職。 |
社外取締役は、植原惠子氏(元大和証券グループ本社執行役・指名委員会委員・取締役報酬委員会委員長・執行役員報酬委員会委員)、濵田豊作氏(元住友商事専務執行役員CFO・取締役会議長・指名委員会委員長・取締役報酬委員会委員・執行役員報酬委員会委員)、齋藤和弘氏(元サントリー食品インターナショナル代表取締役社長・指名委員会委員・取締役報酬委員会委員・執行役員報酬委員会委員)、尾関春子氏(元コカ・コーラボトラーズジャパン常務執行役員法務本部長・指名委員会委員・取締役報酬委員会委員・執行役員報酬委員会委員)です。
同社は監査役会設置会社であり、社外監査役を含む4名の監査役が取締役の職務執行を監査しています。取締役7名のうち4名が社外取締役であり、経営の透明性と監視機能の強化に努めています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
丸三証券の役員報酬は、株主総会で承認された総額の範囲内で支給されています。取締役の報酬は固定報酬、業績連動報酬としての賞与、非金銭報酬としてのストックオプションで構成されています。社外取締役の報酬は固定報酬のみであり、監査役には賞与とストックオプションは支給されていません。業務執行取締役の賞与は、経常利益と当期純利益を指標として決定されます。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 4名 | 1.2億円 | 29.0百万円 |
| 監査役(社外除く) | 2名 | 14百万円 | 7.0百万円 |
| 社外役員 | 8名 | 75百万円 | 9.4百万円 |
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