光世証券 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

光世証券 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

光世証券は、東京証券取引所スタンダード市場に上場する独立系の証券会社です。投資・金融サービス業を中核とし、コンサルティングやトレーディング、システム提供を展開しています。直近の業績トレンドは、委託手数料やトレーディング収益の増加により大幅な増収増益を達成し、黒字転換を果たしているのが特徴です。


※本記事は、光世証券株式会社の有価証券報告書(第66期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月22日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。

1. 光世証券ってどんな会社?


光世証券は、有価証券の売買や引受けなどを中核とする投資・金融サービスを展開する独立系証券会社です。

(1) 会社概要


1961年に創業者が大阪市で証券業を目的として設立。1968年に大蔵大臣から証券免許を受け、1988年に大阪証券取引所市場第二部に上場しました。1991年に東京証券取引所市場第一部へ上場し、2014年には大阪取引所デリバティブ商品のインターネット取引や証券基幹系システムの提供事業を開始しています。

従業員数は単体37名です。筆頭株主は巽也蔵で、第2位は巽事務所です。第3位には哲学の道文庫が名を連ねています。

氏名 持株比率
巽也蔵 20.07%
巽事務所 12.34%
哲学の道文庫 9.65%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性0名の計6名で構成され、女性役員比率は0.0%です。

氏名 役職 主な経歴
巽大介 取締役社長(代表取締役) 1997年入社。1998年取締役就任。2000年より現職。
石川卓也 取締役システムソリューショングループ兼ネット事業統括兼管理部門管掌 1985年入社。2011年執行役員。2016年常務執行役員。2019年取締役就任。2023年より現職。
森正行 取締役監査等委員 1993年入社。2012年監査役。2019年執行役員。2020年より現職。


社外取締役は、山本將晴(山本会計事務所所長)、岸本達司(新世綜合法律事務所代表パートナー)、村形聡(税理士法人ゼニックス・コンサルティングCEO)です。

2. 事業内容


同社は、「投資・金融サービス業」の単一セグメントで事業を展開しています。

(1) コンサルティング部門


同部門では、投資家一人ひとりの資産運用ニーズを聞き取り、適切な商品や的確な投資情報を提供するオーダーメイド型のサポートを行っています。個別株オプションなどデリバティブを組み合わせた資産運用の提案や健全な金融商品の提示など、細やかな資産運用コンサルティングを提供しています。

収益源は、株式や債券などの委託手数料や募集・売出しの取扱手数料です。運営は光世証券が行っています。

(2) トレーディング部門


同部門では、自己の計算による株式やデリバティブの取引を行い、市場への流動性の提供と収益獲得を目指しています。顧客の資産運用やリスクヘッジのニーズに応えられるよう取引手法の拡充を図りながら、リスク管理を徹底した上で積極的なトレーディング活動を行っています。

収益源は、株券等および債券等の売買によるトレーディング損益です。運営は光世証券が行っています。

(3) システム部門


同部門では、証券会社向けにクラウド環境で自社システムのサービス提供を行っています。株式や投資信託だけでなく、コモディティを含む豊富なデリバティブ商品を取り扱えるシステム環境を整備し、デリバティブ取引の大衆化と金融市場の発展への貢献を目指しています。

収益源は、システム提供等のその他の受入手数料などです。運営は光世証券が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高(営業収益)は市場環境の影響を受けて大きく変動しています。利益面では赤字の期間が複数ありましたが、直近の2026年3月期は委託手数料とトレーディング収益の増加により大幅な増収となり、経常利益および当期利益ともに黒字転換を達成しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
営業収益 4億円 4億円 15億円 6億円 11億円
経常利益 -2億円 -4億円 4億円 -5億円 3億円
利益率(%) - - 29.4% - 22.8%
当期利益(親会社所有者帰属) -2億円 -4億円 4億円 -5億円 2億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益構成を見ると、当期は委託手数料やトレーディング損益が増加したことで、営業収益が大幅に拡大しています。一方で販売費及び一般管理費は前期からわずかに減少し、コスト削減が進んだことで営業利益が黒字に転換しました。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 6億円 11億円
売上総利益 5億円 11億円
売上総利益率(%) 97.0% 95.0%
営業利益 -5億円 0.5億円
営業利益率(%) - 4.0%


販売費及び一般管理費のうち、人件費が5億円(構成比45%)、不動産関係費が2億円(同18%)を占めています。金融費用(売上原価に相当)は0.6億円となっています。

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のキャッシュ・フローは事業検討型の傾向を示しています。本業が低迷し、事業の見直しが迫られる状況です。なお、同社は金融・証券関連事業を主力としているため、営業CFのマイナスは主に預託金の増加(事業拡大)によるものであり、直ちに業績悪化を意味するものではありません。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF -17億円 -2億円
投資CF -5億円 0.3億円
財務CF -2億円 -0.5億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は1.3%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は72.8%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「お客様に満足いただける金融サービス」を提供するとともに、金融市場の担い手として市場に貢献できる証券会社であることを目指しています。また、これらを以て企業価値の最大化に努めることを基本方針としています。投資家の最適な選択を支援することが証券会社の本来の使命だとの考えから、適切な商品や的確な投資情報を提供する「オーダーメイド型」サポートを心掛けています。

(2) 企業文化


創業以来一貫して堅持してきた自主独立路線と開かれた社風の中で、社員一人ひとりの創造性を高めて企業価値最大化に努めていくことが、企業としての社会的責任でもあると考えています。幅広い知識を習得した人材の育成やコンプライアンス機能の強化に努め、旧弊に留まることなく常により良きものを求める「進取の精神」を育むことを重視しています。

(3) 経営計画・目標


コンサルティング部門とトレーディング部門双方のバランスのとれた事業拡充、コスト構造の見直しなどを通じて企業体質強化を行っています。これらの施策を通して、財務健全性の指標である「自己資本規制比率」にも留意するとともに、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


お客様が抱える資産形成に関する課題解決のために誠実に耳を傾け、専門知識と経験を生かした最適な金融サービスを提供する真のプロフェッショナルなウェルスマネジメントを進めます。また、コロナ禍を契機とした社会変化に合わせ、DXやWebを活用した新たな対面サービスの構築に取り組んでおり、デリバティブ取引の大衆化を目指しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


組織のダイバーシティを高めることを経営の重要課題としています。多様な人材を活かし、個々の能力が最大限発揮できる機会を提供することで組織にイノベーションや価値創造をもたらします。職業能力の向上だけでなく「進取の精神」を育むことに重点を置いた人材育成を方針とし、在宅勤務や柔軟な働き方の推進など、多様な人材が活躍できる環境を整備しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 44.5歳 23.6年 7,990,000円


※平均年間給与は賞与および基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は公表義務の対象ではないため、有報には本稿の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 金融商品取引業の収益変動リスク


同社の主たる収益は委託手数料とトレーディング収益で構成されています。証券市場の売買代金や経済環境の変化によって委託手数料が変動するほか、金融商品の相場水準やボラティリティの予期せぬ変動によってトレーディングで損失を被るリスクがあります。

(2) 取引先の貸倒れリスク


信用取引、先物取引、オプション取引などにおいて、取引先の信用不安や株価の急落、債務不履行が発生するリスクがあります。これにより、追加的な損失や引当の計上が必要となった場合、同社の業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3) オペレーショナル・リスク


業務処理上の不正確なプロセスや事故、コンプライアンス上の不適切な役職員の行動、災害の発生などにより問題が生じるリスクです。これにより同社に対する賠償請求や信用の低下が生じた場合、業績や財務状況に悪影響を与える可能性があります。

(4) IT・システム障害リスク


同社の業務はITシステムへの依存度が高く、日々膨大な取引データが処理されています。ハード・ソフトの不具合や回線障害、サイバー攻撃などにより委託注文や自己取引が適切に処理されず、収益計上に不備が生じた場合、事業運営に重大な影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。