MIRARTHホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

MIRARTHホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所プライム市場に上場するMIRARTHホールディングスは、新築分譲マンション事業を中核とする不動産事業や、太陽光発電等を手掛けるエネルギー事業を展開しています。直近の業績は、不動産販売の好調により増収を達成し、営業利益も堅調な増益となるなど、安定した成長推移を見せています。


※本記事は、MIRARTHホールディングス株式会社の有価証券報告書(第54期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. MIRARTHホールディングスってどんな会社?


同社は新築分譲マンション等の不動産事業とエネルギー事業を中核とし、多角的な事業展開を進める企業です。

(1) 会社概要


1972年に宝工務店として設立し、1994年に自社分譲マンションの販売を開始しました。2000年にタカラレーベンへ商号変更、2004年に東京証券取引所市場第一部へ上場しました。2013年にはエネルギー事業を開始し、2022年に持株会社体制へ移行して現在のMIRARTHホールディングスへ商号変更しました。

従業員数は連結で1,475名、単体で33名です。筆頭株主は村山財産管理で、第2位は資産管理業務を行う信託銀行です。

氏名 持株比率
村山財産管理 18.85%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 10.48%
村山企画 1.32%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性3名の計10名で構成され、女性役員比率は30.0%です。代表取締役兼グループCEO兼社長執行役員は島田和一氏が務めており、取締役における社外取締役の割合は40.0%となっています。

氏名 役職 主な経歴
島田和一 代表取締役兼 グループCEO兼 社長執行役員 1987年同社入社。開発本部長や副社長COO、CFO等を経て、2014年代表取締役社長兼CEOに就任。持株会社体制移行に伴い、2022年より現職。
中村大助 取締役兼 グループCFO兼 グループCSO兼 専務執行役員兼 サステナビリティ推進室長 1991年三井住友銀行入行。同行常務執行役員等を経て、2024年同社取締役兼グループCFOに就任。2026年より現職。
秋澤昭一 取締役(不動産セグメント管掌)兼 副社長執行役員 1988年藤和不動産入社。スター・マイカ代表取締役等を経て、2019年同社取締役就任。タカラレーベン代表取締役兼社長執行役員等を歴任し、2026年より現職。


社外取締役は、山岸直人(元北海道警察本部長)、内田要(元国土交通省土地・建設産業局長)、金丸祐子(元森・濱田松本法律事務所パートナー弁護士)、小野保子(元三井住友銀行国際法人営業部副部長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「不動産事業」「エネルギー事業」「アセットマネジメント事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 不動産事業


新築分譲マンション事業として「LEBEN」「NEBEL」シリーズ等の企画開発及び販売を行っています。また、流動化事業としてレジデンスやオフィスビル等の企画開発、新築戸建分譲、リニューアル再販、不動産賃貸・管理等、総合的な不動産サービスを一般消費者や事業会社等に提供しています。

マンション等の販売代金、不動産の売却益、賃貸・管理による継続的な手数料収入等を主な収益源としています。事業運営は主にタカラレーベン、レーベンコミュニティ、レーベンホームビルド等の子会社各社が行っています。

(2) エネルギー事業


太陽光発電を中心とした再生可能エネルギー発電施設を全国で開発・運営しています。太陽光のほか、陸上風力・バイオマス等の多様な発電源による発電事業や、PPA(電力販売契約)モデルの推進、系統用蓄電所の開発等に取り組んでいます。

発電施設から生み出される電力を電力会社等に販売する売電収入を主な収益源としています。事業の運営は主にMIRARTHエナジーソリューションズ等の子会社が担っています。

(3) アセットマネジメント事業


REITや私募ファンド、再生可能エネルギーファンドなど、多様なアセットの運用を受託しています。不動産や再生可能エネルギー発電施設に関するアセットマネジメント業務を投資家向けに提供しています。

ファンド等の運用受託に伴う継続的な運用報酬(フィービジネス)を主な収益源としています。運営はMIRARTHアセットマネジメントやMIRARTH不動産投資顧問が担当しています。

(4) その他事業


中核セグメント以外の多角的な事業として、ホテル運営、建設工事の請負事業等に取り組んでいます。

ホテルの宿泊・サービス収入や、建設工事の請負代金等を収益源としています。建設事業はレーベンホームビルドが、ホテル事業は同社グループ各社が運営しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績は、売上高が1,500億円台から2,100億円台へと順調に拡大しています。経常利益も100億円前後で推移しており、不動産市況の好調やエネルギー事業の安定収益が寄与し、堅調な利益水準を維持しています。当期利益については、固定資産の減損等の影響で変動が見られます。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 1,627億円 1,535億円 1,852億円 1,965億円 2,144億円
経常利益 103億円 50億円 130億円 124億円 142億円
利益率(%) 6.3% 3.3% 7.0% 6.3% 6.6%
当期利益(親会社所有者帰属) 51億円 37億円 62億円 53億円 29億円

(2) 損益計算書


直近2期の損益を比較すると、主力事業の好調により売上高が約9%増加し、増収効果により売上総利益も拡大しています。また、積極的な投資を行いつつも効率的なコストコントロールが機能し、営業利益率は7%台から8%台へと上昇し、収益性の改善が進んでいます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 1,965億円 2,144億円
売上総利益 423億円 457億円
売上総利益率(%) 21.5% 21.3%
営業利益 144億円 176億円
営業利益率(%) 7.3% 8.2%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が54億円(構成比19%)、広告宣伝費が45億円(同16%)を占めています。売上原価の内訳については、不動産事業原価等が大部分を占めています。

(3) セグメント収益


主力である不動産事業は、新築分譲マンションの販売増や収益不動産の売却により増収増益を牽引しています。エネルギー事業も稼働済み発電施設の売電収入が寄与し、着実な増益を達成しました。その他事業も建設事業等の好調により黒字転換を果たしています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
不動産事業 1,785億円 1,924億円 131億円 156億円 8.1%
エネルギー事業 99億円 115億円 11億円 16億円 14.1%
アセットマネジメント事業 12億円 12億円 3億円 2億円 19.7%
その他 69億円 92億円 -1億円 2億円 2.5%
連結(合計) 1,965億円 2,144億円 144億円 176億円 8.2%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業活動でキャッシュを創出しつつ、借入等の資金調達によって事業用資産や発電施設への積極的な投資を継続している成長局面(積極型)にあります。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 79億円 56億円
投資CF -248億円 -319億円
財務CF 220億円 372億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.7%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も20.0%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「サステナブルな環境をデザインする力で、人と地球の未来を幸せにする。」を存在意義(Our Purpose)として掲げています。不動産事業やエネルギー事業を通じて、社会課題の解決とSDGs達成に貢献し、さまざまなステークホルダーや社会からの信頼を得て、持続的な発展を目指しています。

(2) 企業文化


同社は価値観(Our Values)として、「情熱・感動」「持続可能」「価値創出」「多様性・共創」「誠実・信頼」の5つを重視しています。環境創造に情熱を注ぎ、スピード感を持って新しい価値を創出するとともに、一人ひとりのアイデアを大切にし、地域社会との共創を進める文化を大切にしています。

(3) 経営計画・目標


2030年に向けた長期ビジョン「地域社会のタカラであれ。」のもと、持続的な利益成長と資本効率の向上を推進しています。具体的な経営指標として、以下の目標を設定しています。

* 自己資本比率:23%以上(2028年3月期末)
* LTV:65%未満
* D/Eレシオ:3.0倍未満
* ROE:9%以上

(4) 成長戦略と重点施策


「攻守のバランスを重視した成長投資実行期」として、事業ポートフォリオの再構築と成長事業への積極投資を進めています。不動産事業では新築戸建分譲やリニューアル再販事業を成長ドライバーと位置づけ、エネルギー事業ではPPAモデルの推進や系統用蓄電所の開発など、新たなビジネスモデルによる収益基盤の多様化を図っています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


事業領域の拡大に伴い、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)を推進し、優秀な人材の確保に努めています。階層別研修の拡充や、パーパス・バリューズに基づく適正な評価・報酬制度の運用により強固な組織体制を構築するほか、リモートワーク環境の整備等による働き方改革を進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 39.1歳 2.6年 8,311,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 12.9%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 76.3%
男女賃金差異(正規雇用) 76.5%
男女賃金差異(非正規雇用) 125.1%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、有給休暇取得率(74.7%)、ストレスチェック受診率(96.5%)、女性採用比率(42%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 不動産市場の動向


同社の収益の多くを占める不動産関連事業において、金利上昇による借入コストの増加や、保有不動産の時価下落、建築コストの高止まりによる利益の圧迫がリスクとなります。これに対し、同社は顧客ニーズを迅速に商品へ反映させる製販一体の強みを活かし、多様な商品展開で影響の軽減を図っています。

(2) 金融市場の変化


事業運営のために金融機関から有利子負債による資金調達を行っているため、政策金利の利上げによる借入コストの急増や、金融機関の融資厳格化が資金繰りを圧迫する可能性があります。対策として、借入依存度の抑制やサステナブルファイナンスの活用など、調達手法の多様化で財務基盤を強化しています。

(3) 再生可能エネルギー市場の変化


エネルギー事業において、FIT制度からFIP制度への移行、電力市場価格の変動、出力制御の増加やコスト高騰が事業計画の見直しや減損損失を招くリスクがあります。同社は既存資産の稼働状況をモニタリングし、低利回り案件の売却や蓄電池等の新規資産への入れ替えを進めてポートフォリオの最適化を図っています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。