グローム・ホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

グローム・ホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

グローム・ホールディングスは、東京証券取引所グロース市場に上場し、医療関連事業を主力とする企業です。アライアンス先医療機関へ経営指導などのサービスを重層的に提供しています。直近の業績トレンドとしては、新規アライアンス先の獲得に苦戦したことなどから、減収となり経常損失が拡大する結果となっています。


※本記事は、グローム・ホールディングス株式会社の有価証券報告書(第34期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. グローム・ホールディングスってどんな会社?


同社は、医療機関向けの経営コンサルティングや業務支援などの医療関連事業を展開する企業です。

(1) 会社概要


1987年に設立され、2005年に現在の東京証券取引所グロース市場に上場しました。かつては不動産事業を主力としていましたが、2018年より医療関連事業への本格的な転換に着手しました。2016年に持株会社体制へ移行し、2019年に現在のグローム・ホールディングスへ商号を変更しています。

従業員数は連結で73名、単体で17名です。筆頭株主は事業会社のHK BEIDA JADE BIRD INVESTMENTS LIMITEDで、第2位は個人投資家の金子修氏、第3位はDMM.com証券となっています。

氏名 持株比率
HK BEIDA JADE BIRD INVESTMENTS LIMITED(常任代理人 森川 和) 22.54%
金子 修 10.70%
DMM.com証券 4.78%

(2) 経営陣


同社の役員は男性5名、女性2名の計7名で構成され、女性役員比率は28.5%です。代表取締役社長を菅原正純氏、代表取締役会長を折橋秀三氏、代表取締役を陳德彪氏が務めています。社外取締役比率は28.6%です。

氏名 役職 主な経歴
菅原正純 代表取締役社長 サン・ジャパン、ケアダイナミックス取締役などを経て、2021年グローム・マネジメント入社。2023年6月より現職。
折橋秀三 代表取締役会長 1981年三菱銀行入行。EPSホールディングス執行役員副社長などを経て、2024年6月同社取締役。2025年6月より現職。
陳德彪 代表取締役 中国中糧集団入社後、中国食品財務部総経理などを歴任。2024年6月同社社外取締役を経て、2025年6月より現職。
何清 常務取締役 北京中之旅商務会議服務最高財務責任者などを歴任。2021年6月同社社外取締役を経て、2026年4月より現職。
張力耘 取締役監査等委員 中国税関計算センターでシステム開発に従事。DivineSoft代表取締役などを経て、2025年6月より現職。


社外取締役は、堂野達之氏(堂野法律事務所所長)、真鍋恵美子氏(公認会計士真鍋恵美子事務所所長)です。

2. 事業内容


同社グループは、医療関連事業および不動産関連事業を展開しています。

(1) 医療関連事業


アライアンス先医療機関に対し、経営・管理・運営の指導、医療機器等の購入支援、IT化支援などのサービスを重層的に提供しています。また、ホスピス住宅の運営や医療機器等の販売、海外在住患者に対する国内医療機関やオンライン診療の紹介なども行っています。

アライアンス先医療機関から受領する業務委託報酬等が主な収益源です。運営は主にグローム・マネジメントが経営指導等を、グローム・ワークサポートが人事・労務支援を、福山医療器が医療機器等の販売を、グローム・インターナショナルが海外在住患者向けのサービス提供を行っています。

(2) 不動産関連事業


北海道釧路市および留萌市に所在する商業施設の賃貸事業を行っています。同社グループは不動産関連事業を大幅に縮小し医療関連事業へ集中してきましたが、今後は獲得した代理店サービスの拡充として不動産売買や仲介の再開も計画しています。

保有する不動産物件をテナント等に賃貸することで得られる賃貸収入が主な収益源です。事業の運営は同社およびグループ会社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上推移は2024年3月期に減少したのち2025年3月期に回復しましたが、直近の2026年3月期は微減となっています。利益面では、2024年3月期以降は経常赤字が続いており、2026年3月期は新規アライアンス先の獲得苦戦などから赤字幅が拡大する厳しい状況となっています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 25億円 18億円 12億円 20億円 20億円
経常利益 3億円 3億円 -2億円 -0.5億円 -4億円
利益率(%) 14.0% 14.9% -15.5% -2.6% -17.9%
当期利益(親会社所有者帰属) -1億円 -2億円 0.5億円 1億円 -3億円

(2) 損益計算書


売上高は前年と同水準で推移していますが、売上総利益率は低下しています。一方で、販売費及び一般管理費を抑制したことにより、営業赤字の幅はわずかに縮小する結果となりました。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 20億円 20億円
売上総利益 10億円 9億円
売上総利益率(%) 47.6% 44.1%
営業利益 -0.5億円 -0.4億円
営業利益率(%) -2.3% -1.8%


販売費及び一般管理費のうち、給料が4億円(構成比39%)、その他が2億円(同18%)、役員報酬が1億円(同12%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力の医療関連事業は、アライアンス先施設の減少などによりわずかに減収となりましたが、利益面では増益を確保しています。不動産関連事業についても減収減益となりましたが、高い利益率を維持しています。全社費用等の調整額が大きいため、連結では営業赤字となっています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
医療関連事業 19億円 19億円 3億円 3億円 17.1%
不動産関連事業 1億円 1億円 0.6億円 0.5億円 36.6%
連結(合計) 20億円 20億円 -0.5億円 -0.4億円 -1.8%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


本業が低迷し、事業の見直しが迫られる状況

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF -3億円 -2億円
投資CF -4億円 6億円
財務CF 0.4億円 -0.3億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は当期純損失のためマイナスとなり市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は90.3%で市場平均を大きく上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「我々の経営指導等により医療機関の持続性を確かなものとし、これにより患者様の幸せに貢献する」「グループの全役職員が誇りを持って働ける職場環境を提供する」「成果を市場を通して社会に還元する」という「Our Purpose and Mission」を掲げています。企業活動とステークホルダーとの関係の調和を図り、社会的使命を果たすことを目指しています。

(2) 企業文化


「グローム役職員の行動準則」として、「遵法・人・利益・株主」の各項目に対する基本的な行動基準を定めています。医療法の根幹である非営利性の確認など「遵法」を全てに優先させ、多様な価値観を尊重してプロフェッショナルとして行動することを重視しています。また、利益を上げて市場に還元することで社会の善に貢献するという価値観を共有しています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、アライアンス先医療機関の施設数およびその保有病床数を経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標として設定しています。スケールメリットを活かしながらサービスの提供を拡大し、持続可能な医療機関として地域医療を支えるとともに、その対価である業務委託報酬等を増大させることを目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


医療関連事業を成長の中核に据えつつ、社会インフラを支える系統用蓄電所事業、およびAI・デジタルを新たな成長の柱と位置づけ、三本柱から成る事業ポートフォリオの構築を進めています。また、グループ会社とのシナジーによる医療機器・材料の安定供給とコスト削減、海外人材の病院紹介支援など慢性的な人材不足に直面する医療機関へのサポート強化を重点施策として推進しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「個々の特性や能力に依存するだけでなく、チームとして強い会社を作る」という方針に基づき、人材の多様性を確保しながら永続的に事業を展開することを目指しています。定年退職者の再雇用制度やリファラル採用の導入、適正な評価と職務に応じた人員配置を進め、グローバルな視点を持つ組織づくりに向けて海外人材の積極的な採用にも取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 48.6歳 4.4年 6,794,307円

※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 12.5%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) 41.4%
男女賃金差異(正規雇用) 34.7%
男女賃金差異(非正規) -

※同社は提出会社において、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」の規定による公表義務の対象ではないものの、労働者の男女の賃金の差異については任意で記載を行っています。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 医療関連事業への集中に関するリスク


同社グループは不動産関連事業を縮小し、医療関連事業への集中を進めています。同事業の利益率は高いものの、売上が損益分岐点を上回るには相応の時間がかかる可能性があります。同事業を順調に拡大できない場合、業績が不安定になり財務体質が弱体化するリスクがあります。

(2) 医療行政と法改正の動向


少子高齢化や地方人口の減少に伴い、医療行政により医療費抑制策が強化される可能性があります。診療報酬の引き下げや入院治療の短縮化等が進められた場合、アライアンス先医療機関の経営状況が悪化し、同社グループが受領する業務委託報酬等が低下するリスクがあります。

(3) アライアンス先医療機関の労働環境の変化


地域的な医師の偏在等による医師不足や、働き方改革の進展に伴う医療従事者の勤務体制改善の要求により、医療機関の人件費が上昇する可能性があります。アライアンス先医療機関がこれらの変化に対応できず経営が悪化した場合、同社グループの業績に悪影響を及ぼすリスクがあります。

(4) 系統用蓄電所事業・暗号資産投資の展開


新規事業である系統用蓄電所事業において、電力市場価格の変動や売却先との価格条件によって業績が不安定になる可能性があります。また、余資運用の一環として行う暗号資産投資では、価格変動リスクや流動性リスク、セキュリティリスクが存在しています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。