グローム・ホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

グローム・ホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

同社は東京証券取引所グロース市場に上場しており、医療機関への経営指導や支援を行う医療関連事業を主力としています。直近の業績は、売上高が20億円を超え前期比で大幅な増収となりました。損益面では経常損失が縮小し、最終損益は黒字に転換するなど、業績の改善傾向が見られます。


※本記事は、グローム・ホールディングス株式会社 の有価証券報告書(第33期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. グローム・ホールディングスってどんな会社?


同社グループは、医療機関に対する経営指導や運営支援を行う医療関連事業を中核とし、不動産賃貸も一部手がける企業です。

(1) 会社概要


同社は1987年に設立され、2005年に大阪証券取引所ヘラクレス(現・東証グロース)に上場しました。2016年に持株会社体制へ移行し、LCホールディングスへ商号変更した後、2018年には不動産関連事業から医療関連事業への転換を本格化させました。2019年に現在のグローム・ホールディングスへ商号変更し、医療機関とのアライアンス拡大を進めています。

2025年3月末時点で、連結従業員数は99名、単体では19名体制です。筆頭株主は投資会社と思われるHK BEIDA JADE BIRD INVESTMENTS LIMITEDで、第2位は金融機関の日本証券金融、第3位は個人株主となっています。

氏名 持株比率
HK BEIDA JADE BIRD INVESTMENTS LIMITED 22.54%
日本証券金融 13.23%
金子 修 10.70%

(2) 経営陣


同社の役員は男性5名、女性2名の計7名で構成され、女性役員比率は28.6%です。代表取締役社長は菅原 正純氏が務めています。社外取締役比率は28.6%です。

氏名 役職 主な経歴
菅原 正純 代表取締役社長 サン・ジャパン入社後、CareOnline取締役等を経て、2021年同社グループ参画。グローム・マネジメント取締役等を歴任し、2023年より現職。
折橋 秀三 代表取締役会長 三菱銀行にて支店長等を歴任後、イーピーエス(現EPSホールディングス)取締役副社長等を務める。2024年同社取締役(監査等委員)を経て、2025年より現職。
陳 德 彪 代表取締役 中国中糧集団等を経て、中国食品有限公司財務部総経理などを歴任。イクヨ取締役等を経て、2024年同社社外取締役就任。2025年より現職。
何 清 常務取締役 北京中之旅商務会議服務CFO等を経て、金山エネルギーグループ執行董事。2021年同社社外取締役就任。グローム・ワークサポート社長等を兼務し、2025年より現職。
張 力耘 取締役(監査等委員) 中国税関計算センター等でシステム開発に従事。DivineSoft代表取締役等を務め、fantasista取締役等を経て2023年同社社外取締役。2025年より現職。


社外取締役は、堂野 達之(弁護士・堂野法律事務所所長)、真鍋 恵美子(公認会計士・税理士法人すばる会計代表社員)です。

2. 事業内容


同社グループは、「医療関連事業」および「不動産関連事業」を展開しています。

(1) 医療関連事業


アライアンス先医療機関に対して、経営・管理・運営の指導をはじめ、医療機器や薬剤の購入支援、IT化支援、人事労務研修など、多岐にわたるサービスを提供しています。また、ホスピス住宅の運営や医療機器等の販売、海外在住患者へのサービス提供なども行っています。

主な収益源は、アライアンス先医療機関から受領する業務委託報酬等です。運営は主に、連結子会社であるグローム・マネジメント、グローム・ワークサポート、グローム・インターナショナル、福山医療器が行っています。

(2) 不動産関連事業


北海道釧路市および留萌市に所在する商業施設の賃貸事業を行っています。ただし、本事業については既に大幅に縮小しており、今後完全に撤退する方針を掲げています。

収益源は、保有する商業施設からの賃貸収入です。運営は主に同社グループにおいて行われていますが、事業規模は縮小傾向にあります。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は変動がありつつも、直近では回復傾向にあります。利益面では、2022年3月期に黒字を計上しましたが、その後赤字となり、直近の2025年3月期で当期純利益が黒字転換しました。利益率は変動が大きく、安定的な収益基盤の構築が課題といえます。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 39.0億円 24.7億円 18.0億円 12.4億円 20.4億円
経常利益 0.5億円 3.5億円 2.7億円 -1.9億円 -0.5億円
利益率(%) 1.2% 14.0% 14.9% -15.5% -2.6%
当期利益(親会社所有者帰属) 11.4億円 -1.3億円 -1.9億円 0.5億円 1.5億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益構成を比較すると、売上高の大幅な増加に伴い売上総利益も増加しています。営業損失は継続していますが、損失幅は縮小しました。売上原価率の上昇が見られるものの、増収効果により全体の収益性は改善傾向にあります。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 12.4億円 20.4億円
売上総利益 8.6億円 9.7億円
売上総利益率(%) 69.7% 47.6%
営業利益 -1.4億円 -0.5億円
営業利益率(%) -11.6% -2.3%


販売費及び一般管理費のうち、給料が3.6億円(構成比36%)、その他が2.1億円(同21%)を占めています。売上原価は10.7億円で、売上高に対する構成比は52%となっています。

(3) セグメント収益


医療関連事業は大幅な増収となり、利益も増加して全社業績を牽引しました。アライアンス先医療機関の拡大が寄与しています。不動産関連事業は横ばいで推移していますが、一定の利益を確保しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
医療関連 11.0億円 19.0億円 1.7億円 2.9億円 15.0%
不動産関連 1.4億円 1.4億円 0.5億円 0.6億円 40.3%
調整額 - - -3.7億円 -3.9億円 -
連結(合計) 12.4億円 20.4億円 -1.4億円 -0.5億円 -2.3%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


なお、同社の営業CFのマイナスは主に営業貸付金の増加によるものであり、直ちに業績悪化を意味するものではありません。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF -1.9億円 -2.6億円
投資CF 0.4億円 -3.7億円
財務CF -0.5億円 0.4億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は0.9%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は88.9%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「Our Purpose and Mission」として、経営指導等により医療機関の持続性を確かなものとし、患者の幸せに貢献すること、全役職員が誇りを持って働ける職場環境を提供すること、そして成果を市場を通して社会に還元することを掲げています。

(2) 企業文化


同社は「グローム役職員の行動準則」として、「遵法」「人」「利益」「株主」の4つの指針を定めています。全ての行動で遵法を最優先とし、プロフェッショナルとしての自覚を持ち他者を尊重すること、その上で利益を追求し社会還元すること、そして株主への情報開示と透明性の確保を重視する文化があります。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標として、アライアンス先医療機関の施設数およびその保有病床数を掲げています。これらを着実に拡大させることで、スケールメリットを活かしたサービス提供と収益の増大を目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、新規アライアンス先の戦略的な獲得と既存事業の収益性向上を両輪として事業基盤の強化を図ります。また、新たな周辺ビジネスの開拓や既存提携先との連携強化に取り組み、医療関連事業の収益性を向上させる方針です。不動産関連事業については売却を検討し、完全撤退を目指します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は「One Team」の意識のもと、多様な属性・キャリア背景を持つ優秀な人材の確保を目指しています。定年退職者の再雇用やリファラル採用、海外人材の積極採用を進めるとともに、在宅勤務やスーパーフレックス制度を導入し、個々の状況に応じて全職員が活躍できる環境整備に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 48.2歳 3.2年 6,832,219円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 33.0%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) -
男女賃金差異(正規雇用) -
男女賃金差異(非正規) -


※提出会社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」の規定による公表義務の対象ではないため、労働者の男女の賃金の差異については記載を省略しています。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 感染に関するリスク


感染症が発生した場合、役職員の出勤停止等により業務に支障が出たり、アライアンス先医療機関の診療体制に悪影響を及ぼし、経営状況が悪化する可能性があります。これにより、同社グループの業務委託報酬等が減少し、業績が不安定になる恐れがあります。

(2) 医療関連事業への集中


不動産事業を縮小し医療関連事業へ集中していますが、医療事業の拡大が順調に進まない場合、経営成績が不安定になる可能性があります。事業拡大のための組織見直しや人材補強を行っていますが、損益分岐点を超えるまでに時間を要するリスクがあります。

(3) 医療行政・制度変更


医療費抑制策や診療報酬改定など、医療行政の方針変更によりアライアンス先医療機関の経営が悪化する可能性があります。これにより同社グループの売上が低下する恐れがあるため、医療行政のモニタリングや対応策の指導を行っています。

(4) 情報漏洩・システムリスク


重要な秘密情報や個人情報を保有しているため、情報漏洩が発生した場合は多額のコスト負担や信用の低下を招き、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。社内規程の整備や教育、セキュリティ強化に取り組んでいます。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。