セントラル総合開発 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

セントラル総合開発 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

スタンダード市場に上場する同社は、新築分譲マンション「クレア」シリーズの販売を行う不動産販売事業と、オフィスビル等の賃貸・管理を行う不動産賃貸・管理事業を展開しています。当期の業績は、マンション販売戸数の減少や販売経費の増加等により、売上高は前期比3.3%減、経常利益は43.6%減の減収減益となりました。


※本記事は、セントラル総合開発株式会社 の有価証券報告書(第66期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. セントラル総合開発ってどんな会社?


分譲マンション「クレア」シリーズを全国展開するデベロッパーです。地域密着の商品企画に強みを持ちます。

(1) 会社概要


同社は1959年に泰生開発として設立され、1994年にデベロッパーとして不動産販売事業を開始しました。2006年に東京証券取引所市場第二部に上場し、2010年にはビル・マンション管理事業を連結子会社のセントラルライフへ承継しました。2021年には九電工と資本業務提携契約を締結し、連携を強化しています。

2025年3月31日現在、グループの従業員数は連結184名、単体95名です。筆頭株主は資本業務提携先である設備工事会社の九電工(30.30%)で、第2位は個人の田中哲氏(10.92%)、第3位は個人の三好俊男氏(4.05%)と続きます。

氏名 持株比率
九電工 30.30%
田中 哲 10.92%
三好 俊男 4.05%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性1名、計10名で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役社長は田中洋一氏が務めています。社外取締役比率は20.0%です。

氏名 役職 主な経歴
田中 洋一 代表取締役社長 三井不動産を経て、2007年同社入社。常務取締役、代表取締役専務などを歴任し、2013年6月より現職。
実 淵 栄 治 専務取締役財務・保険担当 みずほコーポレート銀行(現みずほ銀行)営業事務部長を経て、2013年同社入社。常務取締役を経て、2015年6月より現職。
田中 光太郎 専務取締役不動産事業本部長兼開発事業部長 1996年同社入社。不動産事業本部開発事業部長、東京支社長、常務取締役などを歴任。2024年3月より現職。
秋 草 威 之 常務取締役経理本部長兼経理部長兼総務・IR担当 1997年同社入社。経理部部長、執行役員経理本部長などを経て、2019年6月より現職。
野 口 知 直 常務取締役社長室長兼人事・不動産運営・事務管理担当 横浜銀行を経て、2006年同社入社。執行役員財務部長、東京支社副支社長などを歴任。2023年10月より現職。


社外取締役は、鳥山亜弓(弁護士・公認会計士)、五十里秀一朗(税理士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「不動産販売事業」「不動産賃貸・管理事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 不動産販売事業


主にファミリータイプやコンパクトタイプの自社ブランド『クレア』シリーズマンションの分譲事業を全国で展開しています。立地条件やライフスタイルの変化に応じた企画を行い、地域社会に調和した住空間を提供しています。入居後も定期点検や長期修繕計画による資産価値維持などのアフターサービスを行っています。

収益は、主に一般顧客への分譲マンションの販売代金から得ています。運営は主にセントラル総合開発が行っています。用地仕入れから企画、販売、アフターサービスまで一貫した体制を構築し、地域ごとのニーズに対応した商品提供を行っています。

(2) 不動産賃貸・管理事業


オフィスビルや賃貸コンパクトマンション「クレアグレイス」の賃貸事業、およびビル・マンションの管理事業を行っています。賃貸マンション事業では、地方中核都市の利便性の高い場所での開発を進めています。管理事業では、設備の点検や修繕計画の提案などを行っています。

収益は、賃貸物件のテナントや入居者からの賃料収入、およびビル・マンションの管理組合やオーナーからの管理委託手数料から得ています。運営は、賃貸事業を主にセントラル総合開発が、管理事業を連結子会社のセントラルライフが行っています。

(3) その他


主にマンション購入者を対象とした保険代理事業を行っています。不動産販売事業の付帯サービスとして、災害時に備えた保険商品の提供などを行い、顧客の安心・安全な生活をサポートしています。

収益は、保険会社からの代理店手数料から得ています。運営は主にセントラル総合開発が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は300億円前後で推移しています。第65期までは増益傾向にありましたが、当期(第66期)は減益となりました。利益率は2.5%から4.2%の間で変動しており、当期は低下しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 260億円 293億円 304億円 319億円 309億円
経常利益 9億円 9億円 13億円 14億円 8億円
利益率(%) 3.3% 3.2% 4.1% 4.2% 2.5%
当期利益(親会社所有者帰属) 6億円 6億円 8億円 9億円 5億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で減少しました。売上総利益も減少し、売上総利益率は低下しています。営業利益は前期より減少し、営業利益率も下がっています。全体として収益性が低下した決算となりました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 319億円 309億円
売上総利益 61億円 58億円
売上総利益率(%) 19.1% 18.7%
営業利益 17億円 12億円
営業利益率(%) 5.3% 4.0%


販売費及び一般管理費のうち、広告宣伝費が11億円(構成比23%)、給与手当が8億円(同18%)、販売手数料が8億円(同18%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力の不動産販売事業は、マンション販売戸数の減少等により減収減益となりました。一方、不動産賃貸・管理事業は増収となりましたが、利益は微減となりました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
不動産販売事業 280億円 269億円 23億円 19億円 6.9%
不動産賃貸・管理事業 38億円 39億円 5億円 5億円 13.1%
その他 0.5億円 0.4億円 0.3億円 0.2億円 44.3%
調整額 -0.1億円 -0.1億円 -11億円 -11億円 -
連結(合計) 319億円 309億円 17億円 12億円 4.0%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF -68億円 -76億円
投資CF -12億円 -10億円
財務CF 70億円 81億円


※なお、同社は在庫を多く抱える事業を主力としているため、営業CFのマイナスは棚卸資産(商品・販売用不動産等)の増加(事業拡大)に起因している可能性があり、必ずしも業績悪化を意味するものではありません。

企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は4.9%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は22.6%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、「少数精鋭のプロ集団たれ」という経営理念のもと、マンションを「究極のワンオフ商品」と捉えています。一人ひとりの顧客に「安心・安全・快適」な生活を提供することを基本とし、業績の向上に努めています。

(2) 企業文化


画一的な商品の供給ではなく、地域ごと物件ごとに一つ一つ手づくりでお客様に選ばれる商品の企画を心掛ける文化があります。また、少数精鋭での運営を行い、適材適所での人材配置を基本方針としています。

(3) 経営計画・目標


「グループ中期経営計画(2025~2027年度)」の達成に向けて邁進しています。また、長期的な視点では、2030年度末に進出都市数100都市程度、2030年度の分譲マンション供給戸数単年1,000戸、賃貸マンション供給戸数累計700戸を目標として掲げています。

(4) 成長戦略と重点施策


新築分譲マンション事業では、建設会社との連携による原価抑制と適正価格設定、地方中核都市での展開推進、ライフスタイルの多様化に対応したコンパクトマンションの開発などに注力しています。また、賃貸マンション事業やSDGsへの取り組みを強化し、安定収益源の拡充と持続可能な社会の実現を目指しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人材を最も重要な経営資源と認識し、「少数精鋭のプロ集団たれ」という理念のもと、適性や経験に応じたジョブローテーションを通じて多様な人材の成長を促しています。多様性の確保が成長につながると考え、性別や国籍等による制限なく管理職への登用を進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 45.0歳 14.4年 7,495,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は常時雇用する労働者が300人以下であり公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 不動産販売事業について


分譲マンションの施工を委託する建設会社の信用不安や倒産等により、工期の遅延や瑕疵の補修責任が履行されない場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、引渡時期の変更、土地の土壌汚染等の瑕疵発見、近隣住民の反対運動などもリスク要因となります。

(2) 有利子負債への依存度について


用地取得や資産購入の資金を主に金融機関からの借入で調達しているため、有利子負債への依存度が高くなっています。金利の大幅な変動や借入条件の制限への抵触等により資金調達が困難になった場合、業績や財政状態に影響が生じる可能性があります。

(3) 景気動向・金利動向について


事業は景気や金利、不動産市況の影響を受けやすく、景気悪化や金利上昇により住宅購入意欲が低下した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 主要事業の免許について


不動産販売事業は宅地建物取引業法に基づく免許を要します。現在、免許取消事由は発生していませんが、将来何らかの理由で免許取消となった場合、事業継続が困難となり、業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。