※本記事は、セントラル総合開発の有価証券報告書(第67期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. セントラル総合開発ってどんな会社?
同社は分譲マンションの開発・販売を主力としながら、不動産の賃貸や総合的な管理事業も手掛けています。
■(1) 会社概要
1959年に土木事業を主業務として設立され、1994年よりデベロッパーとしての不動産販売事業を開始しました。1998年に分譲マンション「クレア」シリーズの商標を登録し、2006年に株式上場を果たしました。2021年にはクラフティアと資本業務提携を締結し、事業基盤の強化を図っています。
現在の同社グループは、連結従業員数176名、単体従業員数93名で事業を展開しています。筆頭株主は資本業務提携先である事業会社のクラフティアで、第2位および第3位には創業家とみられる個人株主が名を連ねており、安定した経営基盤を維持しています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| クラフティア | 30.30% |
| 田中美津子 | 4.90% |
| 田中洋一 | 3.20% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性10名、女性2名の計12名で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長は田中洋一氏が務めています。社外取締役比率は25.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 田中洋一 | 代表取締役社長 | 2007年三井不動産退職後、同社入社。常務取締役社長室長兼人事部長等を経て2013年より現職。 |
| 紺野拓史 | 専務取締役財務・保険担当 | みずほ銀行を経て2025年同社入社。執行役員財務部長を経て2025年より現職。 |
| 田中光太郎 | 専務取締役不動産事業本部長 | 明豊エンタープライズを経て1996年同社入社。東京支社長、常務取締役等を経て2025年より現職。 |
| 野口知直 | 専務取締役経営企画部長兼不動産運営・事務管理担当 | 横浜銀行を経て2006年同社入社。財務部長、常務取締役等を経て2025年より現職。 |
| 秋草威之 | 常務取締役経理本部長兼経理部長兼IR担当 | 1997年同社入社。経理部部長、執行役員経理本部長等を経て2025年より現職。 |
| 野田英俊 | 取締役人事部長兼総務担当 | 2002年同社入社。九州支店次長兼総務部長、人事部長等を経て2025年より現職。 |
社外取締役は、鳥山亜弓(公認会計士および弁護士)、五十里秀一朗(元東京国税局・税理士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「不動産販売事業」「不動産賃貸・管理事業」および「その他」事業を展開しています。
■不動産販売事業
ファミリータイプやコンパクトタイプの自社ブランド「クレア」シリーズなどの新築分譲マンションを全国で企画・販売しています。立地条件やライフスタイルの変化に伴う顧客ニーズを反映した快適な生活空間の提供と、入居後の総合的な管理・アフターサービスの充実を図っています。
収益は、マンション購入者からの分譲販売代金によって構成されています。事業の企画および販売の運営主体は同社が担っています。
■不動産賃貸・管理事業
首都圏や地方中核都市の利便性の高い場所において、オフィスビルや賃貸コンパクトマンション「クレアグレイス」などの不動産賃貸を行っています。また、自社保有ビルや分譲マンションの設備、警備、清掃などの総合的な管理・メンテナンス業務を提供しています。
収益は、入居テナントからの賃貸料や、マンション管理組合などからの管理委託手数料から得ています。運営は同社および連結子会社のセントラルライフが分担して行っています。
■その他
同社の主力事業であるマンション分譲事業に関連し、マンション購入者などを対象とした保険商品の販売や提案サービスを提供しています。
収益は、保険会社からの代理店手数料収入などによって構成されています。本事業の運営主体は同社が担っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の連結業績は、売上高が293億円から385億円へと着実に拡大しています。一方で、経常利益は2024年3月期まで13億円前後で安定して推移していましたが、直近2期間は建築費の高騰や販売費の増加などが影響し、当期は3億円に減少するなど、売上拡大と利益確保のバランスに変化が見られます。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 293億円 | 304億円 | 319億円 | 309億円 | 385億円 |
| 経常利益 | 9億円 | 13億円 | 14億円 | 8億円 | 3億円 |
| 利益率(%) | 3.2% | 4.1% | 4.2% | 2.5% | 0.8% |
| 当期純利益 | 6億円 | 8億円 | 9億円 | 5億円 | 1億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の損益構成を見ると、売上高が約24%増収となり売上総利益も増加しましたが、売上総利益率は18.7%から16.0%へ低下しています。さらに販売費及び一般管理費が膨らんだため、営業利益は12億円から9億円に減少し、営業利益率は4.0%から2.3%へと低下する結果となりました。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 309億円 | 385億円 |
| 売上総利益 | 58億円 | 62億円 |
| 売上総利益率(%) | 18.7% | 16.0% |
| 営業利益 | 12億円 | 9億円 |
| 営業利益率(%) | 4.0% | 2.3% |
販売費及び一般管理費のうち、広告宣伝費が15億円(構成比28%)、販売手数料が10億円(同19%)、給与手当が8億円(同15%)を占めています。売上原価の多くは不動産販売事業における建物関係費および用地費で構成されており、仕入・建設コストの動向が原価率に影響を与えています。
■(3) セグメント収益
主力の不動産販売事業は、マンション販売価格の上昇や引渡戸数の増加により大幅な増収となりましたが、広告宣伝費等の経費増で減益となりました。不動産賃貸・管理事業は、高水準の稼働率維持と新規点検業務の受注などにより、増収増益と安定した業績に寄与しています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益(2026年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 不動産販売事業 | 269億円 | 343億円 | 19億円 | 16億円 | 4.6% |
| 不動産賃貸・管理事業 | 39億円 | 41億円 | 5億円 | 6億円 | 13.9% |
| その他 | 0.4億円 | 0.4億円 | 0.2億円 | 0.1億円 | 25.9% |
| 連結(合計) | 309億円 | 385億円 | 12億円 | 9億円 | 2.3% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFはプラス、投資CFはマイナス、財務CFはプラスの積極型です。営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う状態です。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -76億円 | 2億円 |
| 投資CF | -10億円 | -5億円 |
| 財務CF | 81億円 | 5億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は1.4%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も22.3%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「企業は人なり、組織は人なり・・・社会に貢献する少数精鋭のプロ集団たれ」を経営理念に掲げています。不動産開発事業を通じて日本各地の住まいと暮らしを支え、「人にやさしい生活環境、安心で安全な住み良い環境」を創出し、地域社会に貢献することを企業としての存在意義としています。
■(2) 企業文化
常に顧客目線で企画を行う「OWNERS FIRST(オーナーズ・ファースト)」の精神を大切にする文化があります。画一的ではない手づくりの価値観を重視し、世代や地域特性を考慮した間取りの提案から、細部にこだわり抜いた設備仕様の採用まで、一人ひとりに寄り添ったものづくりを追求しています。
■(3) 経営計画・目標
長期経営計画(PLAN2030)において、事業成長を見据えた以下の数値目標を掲げています。
* 2030年度末の進出都市数:合計100都市程度
* 2030年度の分譲マンション供給戸数:単年1,000戸
* 2030年度末の賃貸マンション供給戸数:累計700戸
■(4) 成長戦略と重点施策
新築分譲マンション事業では、建設会社との連携による原価抑制と適正な価格設定を図るとともに、地方中核都市への進出を推進して新たな需要の掘り起こしに注力しています。また、賃貸マンションの開発による安定収益源の拡充や、環境に配慮したZEH対応マンションの供給を通じて、持続可能な成長を目指しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「企業は人なり、組織は人なり」の理念のもと、人材を最も重要な経営資源と位置づけています。本人の適性や経験、キャリア意向に応じたジョブローテーションを実施し、多様な人材が成長できる職場環境づくりと人事制度の運用を推進するとともに、マネジメント力強化に向けた長期的視点での育成に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 45.3歳 | 14.3年 | 7,436,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 不動産販売事業における景気・金利動向の影響
同社の事業は景気動向や金利動向の影響を受けやすく、景気見通しの悪化や大幅な金利上昇によって顧客の住宅購入意欲が低下した場合、販売計画の遅延や業績の悪化につながるリスクがあります。
■(2) 分譲マンションの施工委託先の信用不安
分譲マンションの設計・施工は専任業者へ委託しているため、外注先の信用不安や倒産等が生じた場合、工期遅延や瑕疵補修の負担が発生し、事業計画の遂行や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 有利子負債への高い依存と資金調達リスク
分譲マンション用地や賃貸用資産の取得資金を主に金融機関からの借入によって調達しているため、有利子負債への依存度が高い財務体質となっています。金利水準の急激な上昇や資金調達環境の悪化が起きた場合、業績に影響するリスクがあります。
■(4) マンション開発時の近隣トラブルや法的規制
マンション建設に伴う日照問題や騒音などで近隣住民との反対運動が発生した場合、計画変更や工期遅延による追加費用が生じる恐れがあります。また、建築基準法などの法的規制の変更も事業運営に影響を与えるリスクとなります。



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