※本記事は、AMGホールディングス株式会社の有価証券報告書(第41期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. AMGホールディングスってどんな会社?
同社グループは、東海・都市圏を中心に建設事業や不動産開発・管理を手掛ける総合不動産企業です。
■(1) 会社概要
1986年7月にエム・ジーとして設立され、不動産の売買および仲介事業を開始しました。1993年5月に分譲マンション第1号を販売し、2001年7月に名古屋証券取引所へ上場しました。2014年8月にVTホールディングスグループに参入するとともに、アーキッシュギャラリーを連結子会社化しました。2021年4月に純粋持株会社体制へ移行し、現在の商号に変更しています。
同社グループの従業員数は連結で293名、単体で4名となっています。筆頭株主は親会社であるVTホールディングスで、第2位と第3位には金融商品取引業者や金融機関が名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| VTホールディングス | 43.44% |
| SBIネオトレード証券 | 4.67% |
| いちい信用金庫 | 2.86% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長は長谷川克彦氏が務めています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 長谷川克彦 | 代表取締役社長 | J-netレンタリース入社。トラスト代表取締役社長等を経て、2017年6月より現職。 |
| 伊藤誠英 | 取締役会長 | VTホールディングス専務取締役、アーキッシュギャラリー代表取締役社長等を経て、2021年4月より現職。 |
| 大西昌也 | 常務取締役 | アーキッシュギャラリー入社。同社常務取締役等を経て、2021年4月より現職。 |
| 大脇貴志 | 取締役管理部長 | アーキッシュギャラリー入社。同社取締役管理部長等を経て、2021年4月より現職。 |
| 吉村裕彦 | 取締役(常勤監査等委員) | セントラルパーク入社。VTホールディングス入社等を経て、2023年6月より現職。 |
社外取締役は、岡田千絵(弁護士)、小出修平(公認会計士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「建設事業」「不動産開発事業」「不動産管理事業」の報告セグメントを展開しています。
■(1) 建設事業
商業施設や医療施設のほか、テナント・オフィスビル、分譲・賃貸マンション等の設計・施工および土木工事を請け負っています。主な顧客は法人や第一次取得者層です。
顧客からの工事請負代金を主な収益源としています。事業の運営は主にアーキッシュギャラリーや髙垣組が担当しており、都市圏近郊エリアや東海エリアを中心に事業を展開しています。
■(2) 不動産開発事業
ファミリー向けの新築分譲マンションや新築戸建分譲住宅の企画、開発を行っています。主なターゲット層は、初めて住宅を購入する第一次取得者層となっています。
住宅購入者からの販売代金を収益源としています。分譲マンションはエムジーホームが、戸建住宅はTAKI HOUSEや川﨑ハウジングなどの各子会社が地域に密着して運営しています。
■(3) 不動産管理事業
同社グループ内で分譲したマンションや戸建住宅、およびその他の不動産に対する管理、保守点検、大規模修繕工事のコンサルタントなどを一貫して行っています。
居住者や管理組合から受け取る管理委託料や修繕工事費が主な収益源です。運営はマンション管理をエムジー総合サービスが、戸建住宅の保守点検をハウメンテが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間において、売上高は着実な増加基調を辿り、約2倍の規模に拡大しています。利益面でも上下の波はあるものの安定した水準を確保しており、中長期的に増収を維持しながら事業基盤の拡充を進めていることがうかがえます。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 164億円 | 228億円 | 291億円 | 304億円 | 314億円 |
| 経常利益 | 14億円 | 14億円 | 17億円 | 14億円 | 18億円 |
| 利益率(%) | 8.6% | 6.1% | 5.9% | 4.7% | 5.8% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 0.4億円 | 3億円 | 4億円 | 6億円 | 4億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の拡大に伴い、売上総利益および営業利益も順調に増加しています。売上総利益率および営業利益率もともに前期を上回っており、収益性の改善が進んでいることが確認できます。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 304億円 | 314億円 |
| 売上総利益 | 45億円 | 51億円 |
| 売上総利益率(%) | 14.8% | 16.2% |
| 営業利益 | 16億円 | 19億円 |
| 営業利益率(%) | 5.1% | 6.2% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が12億円(構成比39%)、広告宣伝費が4億円(同13%)を占めています。
■(3) セグメント収益
各セグメントともに売上・利益を伸ばしており、中でも売上の過半を占める不動産開発事業が業績拡大を大きく牽引しています。また、不動産管理事業は規模こそ小さいものの、利益率が20%を超え高収益体質に貢献しています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益(2026年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 建設事業 | 102億円 | 102億円 | 6億円 | 7億円 | 7.2% |
| 不動産開発事業 | 194億円 | 203億円 | 14億円 | 17億円 | 8.2% |
| 不動産管理事業 | 8億円 | 9億円 | 2億円 | 2億円 | 24.1% |
| 連結(合計) | 304億円 | 314億円 | 16億円 | 19億円 | 6.2% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
本業で資金流出となっていますが、借入等で資金を調達し将来成長のための投資を継続する勝負型の状況です。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 43億円 | -4億円 |
| 投資CF | -0.3億円 | -1億円 |
| 財務CF | -42億円 | 9億円 |
企業の収益力を測るROEは10.1%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は37.5%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、取引先や従業員をはじめとするステークホルダーと協働共生の関係を構築し、相互に利益を享受して成長することを目指しています。また、経済発展と環境保全が両立する持続可能な社会の実現に向け、中長期的な企業価値の向上に挑戦し続けることを経営方針として掲げています。
■(2) 企業文化
年齢、性別、国籍、文化等の多様なバックグラウンドを持つ従業員が集い、お互いの個性を尊重し合う文化を大切にしています。能力を最大限に発揮できる公平な労働環境の提供に努め、ハラスメントのない安全で健康に配慮した職場の実現に取り組む行動指針を持っています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、利益成長の実現と安定的な事業展開を行うため、自己資本の拡充による財務基盤の強化を目指しています。客観的な指標として営業利益および自己資本比率を重視しており、具体的な数値目標として以下を設定しています。
- 建設事業の売上高及び利益比率をグループ全体の50%へ引き上げ
- 自己資本比率30%以上の維持
■(4) 成長戦略と重点施策
旺盛な建設需要を捉えるため、労働環境の改善と若年層社員の育成により建設技術者を確保し、既存の建設事業の売上拡大を図るとともに、M&Aを通じて事業規模の拡大を推進します。不動産開発においては、プロジェクト用地仕入の強化や工事の一部内製化等を通じた原価低減に取り組んでいます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
事業を牽引する次世代人材の育成に注力し、自律的な学び合いや資格取得、スキルアップを後押しするマネジメント施策を拡充しています。中間層や若年層社員が長く働けるよう働き方改革を推進し、労働環境の改善を積極的に行うことで、人材の定着と組織力の強化を図っています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 45.0歳 | 0.0年 | 4,696,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は関連法令による公表義務の対象ではないため、有報には女性管理職比率、男性育児休業取得率、男女賃金差異に関する記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 法的規制の変更
建設業や宅地建物取引業等に関する法令の改廃や新たな法的規制が設けられた場合、同社グループの事業展開や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、万が一法令違反が発生し、許認可の取消しや業務停止処分等を受けた場合にも重大な影響が生じるリスクがあります。
■(2) 不動産市況と建築費用の変動
購入者の需要は景気動向や金利、住宅税制等の影響を受けやすく、経営成績の変動要因となります。また、土地や建築資材価格の上昇、あるいは販売競争の激化による価格低下が生じた場合、利益率の悪化や棚卸資産の価値減少に伴う損失が発生する可能性があります。
■(3) 専門人材の育成と確保
建設・不動産事業は、高い専門知識と豊富な経験を持つ人材に依存しています。労働環境の改善や資格取得支援に努めていますが、経験と実績を積んだ社員の確保や次世代の技術系社員の育成が十分に進まない場合、事業の成長力が鈍化するリスクがあります。
■(4) 金融環境と資金調達
用地仕入などの事業資金を複数の金融機関からの借入に依存しています。今後の金融情勢の変化や市場金利の変動によって資金調達に支障が生じた場合、または調達コストが大幅に上昇した場合、同社グループの財務状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。



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