AMGホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

AMGホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード・名証メイン上場。VTホールディングスを親会社に持ち、東海圏を中心に分譲マンション「More Grace」や注文住宅、戸建分譲を展開しています。第40期の連結業績は、売上高が前期比4.6%増と伸長した一方、建築資材高騰等の影響で経常利益は15.8%減の増収減益となりました。


※本記事は、株式会社AMGホールディングス の有価証券報告書(第40期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. AMGホールディングスってどんな会社?


VTホールディングスグループの中核として、マンション分譲、注文建築、戸建分譲などを展開する総合不動産企業です。

(1) 会社概要


1986年に愛知県岡崎市で不動産売買・仲介を目的に設立され、2001年に名証、2002年に東証二部(現スタンダード)へ上場しました。2014年にVTホールディングスグループ入りし、2021年には純粋持株会社体制へ移行して現商号に変更しました。近年はM&Aにより建設会社や戸建分譲会社を相次いで子会社化し、事業規模を拡大させています。

連結従業員数は279名、単体従業員数は1名です。筆頭株主は親会社であり自動車販売などを手掛ける事業会社のVTホールディングスで、第2位はネット証券大手のSBIネオトレード証券、第3位は地元金融機関のいちい信用金庫です。安定した資本基盤のもとで事業を展開しています。

氏名 持株比率
VTホールディングス 43.44%
SBIネオトレード証券 3.09%
いちい信用金庫 2.85%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性1名、計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長は長谷川克彦氏です。社外取締役比率は28.6%です。

氏名 役職 主な経歴
長谷川克彦 代表取締役社長 J-netレンタリース取締役管理部長、トラスト代表取締役社長等を経て2017年6月より現職。
伊藤誠英 取締役会長 VTホールディングス専務取締役、アーキッシュギャラリー代表取締役社長等を経て2021年4月より現職。
大西昌也 常務取締役 アーキッシュギャラリー常務取締役等を経て2021年4月より現職。
大脇貴志 取締役管理部長 アーキッシュギャラリー取締役管理部長等を経て2021年4月より現職。
吉村裕彦 取締役(常勤監査等委員) セントラルパーク専務取締役、VTホールディングス入社を経て2023年6月より現職。


社外取締役は、岡田千絵(弁護士)、小出修平(公認会計士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「分譲マンション事業」「注文建築事業」「戸建分譲事業」「不動産管理事業」「賃貸事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 分譲マンション事業

ファミリー向け新築分譲マンションの企画・開発、販売を行っています。名古屋市、一宮市、岐阜市を中心に「More Grace(モアグレース)」ブランドで展開し、快適な設計と安全な施工、魅力的な価格をコンセプトとしています。

収益は、一般顧客へのマンション販売代金から得ています。運営は主に株式会社エムジーホームが行っています。

(2) 注文建築事業

商業施設、分譲マンション、賃貸マンション、注文住宅等の設計・施工を請け負っています。東京、名古屋、大阪の都市圏近郊エリアを中心に、デザイン性と機能性を兼ね備えた建築物を手掛けています。

収益は、顧客(法人・個人)からの工事請負代金から得ています。運営は、株式会社アーキッシュギャラリーおよび岐阜県・愛知県を地盤とする株式会社髙垣組が行っています。

(3) 戸建分譲事業

戸建分譲住宅の企画・設計・施工・販売を行っています。川崎・横浜エリアでは「ブランピュール」ブランド等、熊本・福岡・三重エリアでは「トレステージ」ブランド等を展開しています。

収益は、一般顧客への戸建住宅販売代金から得ています。運営は、首都圏エリアを株式会社TAKI HOUSEが、九州・東海エリアを株式会社川﨑ハウジングが行っています。

(4) 不動産管理事業

同グループで分譲したマンションおよび戸建住宅等の管理・保守点検、大規模修繕工事のコンサルタントを行っています。分譲から保守・管理まで一貫したサービスを提供しています。

収益は、管理組合や住宅購入者からの管理委託費や修繕工事費等から得ています。運営は、マンション管理をエムジー総合サービス株式会社が、戸建保守を株式会社ハウメンテが行っています。

(5) 賃貸事業

同グループ各社が保有する不動産を法人や個人に対して賃貸しています。

収益は、賃借人からの賃料収入から得ています。運営はグループ各社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高はM&Aなどの効果もあり、5期間を通して増加傾向にあり、直近では300億円を突破しました。一方、利益面では経常利益が14億円前後で推移しており、売上の拡大に比べて利益率が低下傾向にあります。当期純利益は第38期に大きく跳ね上がりましたが、直近2期は安定的な水準に戻っています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 131億円 164億円 228億円 291億円 304億円
経常利益 10億円 14億円 14億円 17億円 14億円
利益率(%) 7.5% 8.6% 6.1% 5.9% 4.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 18億円 9億円 29億円 11億円 10億円

(2) 損益計算書


直近2期間の比較では、売上高が増加したものの、売上原価率の上昇により売上総利益は微減となりました。販管費も増加したため、営業利益、営業利益率ともに低下しています。建築資材や労務費の高騰等のコストアップ要因が利益を圧迫している構造が見て取れます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 291億円 304億円
売上総利益 47億円 45億円
売上総利益率(%) 16.0% 14.8%
営業利益 18億円 16億円
営業利益率(%) 6.2% 5.1%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が11億円(構成比38%)、その他が4億円(同15%)、広告宣伝費が3億円(同11%)を占めています。売上原価は売上原価合計の100%を占めています。

(3) セグメント収益


全セグメントで売上高が増加または横ばいとなりましたが、利益面では明暗が分かれました。注文建築事業は大幅な増益を達成した一方、分譲マンション事業は利益が大きく減少しました。戸建分譲事業も売上は微増ながら減益となり、コスト上昇分の価格転嫁の難しさが影響しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
分譲マンション事業 64億円 67億円 5億円 3億円 4.5%
注文建築事業 93億円 102億円 5億円 6億円 5.8%
戸建分譲事業 126億円 127億円 12億円 11億円 8.5%
不動産管理事業 6億円 7億円 1億円 1億円 19.5%
賃貸事業 1億円 1億円 1億円 1億円 68.2%
連結(合計) 291億円 304億円 18億円 16億円 5.1%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

AMGホールディングスは、プロジェクト資金の短期借入や長期借入を活用し、短期借入金の返済を財務活動の中心としています。営業活動では、物件完成引渡による棚卸資産の減少や売上債権の回収が資金獲得に貢献しました。投資活動では、有形固定資産の取得による支出がありました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF -30億円 43億円
投資CF 0.6億円 -0.3億円
財務CF 23億円 -42億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同グループは、建設・不動産業を中心とした事業を通じて、グループ各社、提携・協力会社、従業員、関係者等のステークホルダーと「協働共生」の関係を構築し、相互に利益を享受し成長することを目指しています。

(2) 企業文化


安定的な利益追求による従業員の生活向上や、法令遵守への細心の注意を払う文化があります。事業拡大においては堅実を基本とし、倫理性に裏付けされた数値に基づく計画策定を重視しています。また、不測の事態においても取引先に誠実に対応し、環境配慮や公正な経営を通じて持続可能な社会の実現を目指す姿勢を大切にしています。

(3) 経営計画・目標


利益成長と安定的事業展開のため、自己資本拡充による財務基盤強化を目指しています。経営上の目標達成状況を判断する客観的な指標として、営業利益および自己資本比率を重視しています。また、将来的に注文建築事業の売上高および利益の比率をグループ全体の50%まで引き上げることを目標としています。

(4) 成長戦略と重点施策


用地取得ルートの拡大や他社との協働開発等を通じて、早期売却可能なプロジェクト用地の仕入・開発・販売を強化します。また、設計・施工の内製化や外国籍社員の活用による原価低減と建設従事者の確保、働き方改革による技術者の確保に努めます。さらに、M&Aや事業提携によるグループ拡大も積極的に図る方針です。

* 自己資本比率:30%以上を維持

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人材を最も重要な経営資源と位置づけ、性別・国籍を問わず多様な人材を採用し、個々の価値観を尊重した育成を行っています。自律的な学び合いやキャリア形成、資格取得等を後押しするマネジメント施策を拡充し、次世代を担う人材を育成します。また、雇用や昇進等の機会を公平に提供し、ハラスメントのない安全で健康的な職場環境の整備に努めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 28.0歳 0.0年 5,949,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、平均勤続年数(10.2年)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 法的規制について

国土利用計画法、宅地建物取引業法、建設業法等の様々な法的規制を受けて事業を行っています。法令の改廃や新たな規制の新設、あるいは法令違反による許認可の取消・業務停止処分等が発生した場合、グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 経営成績の変動要因について

景気動向、金利、住宅税制等の変化による需要変動や、資材・土地価格の変動によるコスト上昇の影響を受けます。販売競争激化による価格低下や在庫増加、棚卸資産の簿価切下げ等が発生した場合、グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 有利子負債への依存について

用地仕入等の資金調達を主に金融機関からの借入に依存しています。金融情勢の変化により資金調達に支障が生じたり、市場金利の上昇により調達コストが増加した場合、グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 人材の確保・育成について

専門性の高い知識と経験を有する人材が事業基盤となっています。必要な人材の確保・育成ができない場合、成長力が鈍化し、グループの経営成績および今後の事業運営に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。