日本ロジテム 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

日本ロジテム 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード上場の総合物流企業。貨物運送、センター事業、アセット事業を柱とし、日清製粉グループとの関係が深いです。2025年3月期は、新規顧客獲得や料金改定効果により増収。営業利益・経常利益は増益となりましたが、減損損失の計上により当期純利益は減益となりました。


※本記事は、日本ロジテム株式会社 の有価証券報告書(第109期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 日本ロジテムってどんな会社?


総合物流企業として貨物運送、センター運営、倉庫・不動産賃貸を展開。アジア、特にベトナムでの事業展開も特徴です。

(1) 会社概要


1944年に大崎運送として設立され、貨物運送事業を開始しました。1989年に現社名の日本ロジテムへ商号変更し、1994年にはベトナムへ進出するなど海外展開を本格化させました。1994年に株式を店頭登録し、2013年に東証JASDAQ(スタンダード)へ上場市場を変更しました。

従業員数は連結3,719名、単体891名です。大株主構成は、筆頭株主が主要取引先でもある日清製粉です。第2位・3位は創業家に関連する資産管理団体および企業となっており、事業会社と創業家が主要株主となっています。

氏名 持株比率
日清製粉 20.76%
一般社団法人富士桜の会 17.96%
有限会社ジェイエフ企画 12.11%

(2) 経営陣


同社の役員は男性13名、女性1名の計14名で構成され、女性役員比率は7.0%です。代表取締役社長は中西弘毅氏です。社外取締役比率は約7.1%です。

氏名 役職 主な経歴
中西 弘毅 代表取締役社長 1982年入社。取締役総務部長、専務取締役管理本部長などを経て、1999年より現職。
中西 伸次郎 代表取締役副社長副社長執行役員 2012年入社。取締役上席執行役員営業本部副本部長、常務取締役管理本部長などを経て、2024年より現職。
飯 野  毅 常務取締役常務執行役員(品質管理本部長) 日清製粉営業本部第一営業部部長、フレッシュ・フード・サービス代表取締役社長などを経て、2019年より現職。
佐々木 利 昌 常務取締役常務執行役員(営業本部長) 1988年入社。執行役員営業本部長、取締役上席執行役員営業本部長などを経て、2024年より現職。
上 田  毅 取締役上席執行役員(CSR本部長) 1984年入社。執行役員総務部長、上席執行役員管理部長などを経て、2024年より現職。
萩 尾  太 取締役上席執行役員(総合企画本部長兼管理本部副本部長) 商工組合中央金庫常務執行役員を経て2023年入社。上席執行役員総合企画本部副本部長を経て、2024年より現職。
都 築 守 美 取締役上席執行役員(国際本部長兼国際事業部長) 1994年入社。執行役員、上席執行役員を経て、2024年より現職。
廣 田 康 夫 取締役上席執行役員(営業本部副本部長) 1984年入社。執行役員第三営業部長、上席執行役員営業本部副本部長を経て、2024年より現職。
小山内 雅 紀 取締役上席執行役員(管理本部長) 2007年入社。執行役員、上席執行役員営業本部副本部長を経て、2024年より現職。


社外取締役は、横山敏明(日清製粉常務取締役業務本部長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「貨物自動車運送事業」、「センター事業」、「アセット事業」および「その他」事業を展開しています。

貨物自動車運送事業

顧客の委託を受けて、自社および協力会社のトラック等を使用した貨物の運送サービスを提供しています。国内だけでなく、ベトナムなどの海外でも事業を展開しています。

収益は、顧客からの運送サービス対価によって構成されています。運営は主に日本ロジテム、阪神ロジテム、ロジテムトランスポート、および海外のロジテムベトナムコーポレーションなどが行っています。

センター事業

顧客から寄託された貨物の倉庫における入出庫等の荷役業務を行っています。また、自社や顧客の倉庫・配送センター内で、組立・梱包等の流通加工や、受注代行・在庫管理等の事務代行サービスも提供しています。

収益は、荷役料、流通加工料、事務代行手数料などから得ています。運営は主に日本ロジテム、阪神ロジテム、および海外の千日股份有限公司、ロジテムベトナムコーポレーションなどが行っています。

アセット事業

顧客から寄託された貨物を倉庫で保管する業務に加え、倉庫や配送センターなどの不動産賃貸借を行っています。物流不動産の有効活用を通じて収益を上げています。

収益は、貨物の保管料および不動産の賃貸料から構成されています。運営は主に日本ロジテム、阪神ロジテム、ロジテムインターナショナル、および海外の千日股份有限公司、ロジテムベトナムコーポレーションなどが行っています。

その他事業

上記3事業に付随する引越移転事業、施工関連事業、輸出入貨物取扱、通関、港湾運送、労働者派遣などの事業を展開しています。また、海外では旅客自動車運送事業や物品販売なども行っています。

収益は、各サービスの提供対価や商品販売代金などから得ています。運営は主に日本ロジテム、ロジテムエージェンシー、ロジテムエンジニアリング、および海外の千日股份有限公司、ロジテムベトナムノースサービスなどが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上収益(営業収益)は安定的に増加傾向にあり、直近の2025年3月期には660億円に達しています。経常利益も10億円前後で推移していましたが、直近では12億円近くまで増加しました。一方、当期利益については変動が見られ、2023年3月期に一時減少した後、回復傾向にありますが、直近は減損損失の影響等によりやや減少しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
営業収益 540億円 581億円 625億円 630億円 660億円
経常利益 8.7億円 10.5億円 9.9億円 10.0億円 11.6億円
利益率(%) 1.6% 1.8% 1.6% 1.6% 1.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 4.5億円 6.3億円 5.2億円 5.0億円 4.6億円

(2) 損益計算書


直近2期間の業績を見ると、売上高(営業収益)が増加するとともに、売上総利益および営業利益も増加しており、本業の収益性が向上しています。営業利益率は1.6%から1.9%へと改善しました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 630億円 660億円
売上総利益 42億円 48億円
売上総利益率(%) 6.7% 7.3%
営業利益 10.2億円 12.3億円
営業利益率(%) 1.6% 1.9%


販売費及び一般管理費のうち、人件費が21億円(構成比57%)、支払手数料が5億円(同14%)を占めています。売上原価は612億円で、売上高に対する構成比は93%となっています。

(3) セグメント収益


貨物自動車運送事業は新規顧客獲得や料金改定により増収増益となりました。センター事業は業務効率化等により大幅な増益を達成しました。一方、アセット事業は既存倉庫の稼働率低下により減益となりました。その他事業は減収減益でした。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
貨物自動車運送事業 249億円 260億円 19億円 20億円 7.5%
センター事業 143億円 157億円 3.0億円 9.6億円 6.1%
アセット事業 170億円 175億円 10.5億円 9.0億円 5.1%
その他事業 68億円 68億円 10.2億円 10.0億円 14.7%
連結(合計) 630億円 660億円 10.2億円 12.3億円 1.9%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は3.0%で市場平均を下回っており、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は31.8%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「物流の未来を見つめ、物流に関わるすべての事業の創造に挑戦します」「お客様の期待に応えて信頼を築き、豊かな社会の創造に貢献します」「社員の創意を活かし、仕事の喜びと心豊かな生活の創造を目指します」を基本理念としています。この理念に基づき、品質の高い物流サービスの提供を通じて企業価値を高め、社会の発展に貢献することを目指しています。

(2) 企業文化


同社グループは、「New Challenge」を基本方針として掲げ、常に改善意識を持って新たな挑戦を行う文化を重視しています。また、現場力の強化や安全・品質の追求を通じて信頼を築くことや、多様な人財が活躍できる組織づくり、コンプライアンスの徹底にも力を入れています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、2023年度を初年度とする中期経営計画「中期経営計画2025」を推進しており、最終年度となる2025年度の数値目標として以下を掲げています。

* 営業収益:710億円
* 営業利益:18億円
* 売上高営業利益率:2.5%

(4) 成長戦略と重点施策


「中期経営計画2025」において、「収益力の向上」「強固な物流サービスの構築」「サステナビリティの推進」「人財力の強化」「グループ経営基盤の強化」を重点施策としています。国内では拠点網の最適化や物流DXによる効率化、海外ではベトナムを中核としたインドシナ半島地域での事業拡大に注力する方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「人財価値の向上」をマテリアリティの一つとし、「人財力の強化」を重点施策に掲げています。リーダー人財やプロフェッショナル人財の育成、多様な人財が活躍できる組織・人事制度の構築、エンゲージメントの向上に取り組み、心理的安全性の確保やハラスメント防止を含む働きやすい職場環境の整備を推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 42.8歳 14.3年 5,184,611円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 -%
男性育児休業取得率 38.9%
男女賃金差異(全労働者) 63.0%
男女賃金差異(正規) 75.2%
男女賃金差異(非正規) 91.6%


※女性管理職比率については、有価証券報告書に記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、採用人数に占める女性社員の割合(13.1%)、新卒採用における女性比率(21.7%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 特定得意先との営業契約

同社グループには、営業収益の10%を超える大口得意先グループが存在し、契約は1年ごとの自動延長となっています。強固な信頼関係の構築に努めていますが、予期せぬ事象等により契約解消となった場合、業績等に多大な影響を与える可能性があります。

(2) 人財の確保・育成および労務費

ドライバーや商品管理士など多様な人財を必要とする労働集約型産業において、人手不足が深刻化しています。人財確保や定着率向上に取り組んでいますが、これらが不十分な場合、適正なサービス提供が困難になる恐れがあります。また、労働需給の逼迫等による労務費の上昇は、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 外部委託

貨物自動車運送事業やセンター事業において、運送や倉庫内作業の一部を外部の協力会社等に委託しています。需給状況や季節変動により委託費が上昇した場合、コスト増となり、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) カントリーリスク

日本以外にベトナム、タイ、ラオス、ミャンマー、カンボジアなど海外でも事業を展開しています。これらの地域における政情不安、治安悪化、経済環境の急激な変化などが発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。