【平均年収555万円】遠州トラック 転職ガイド:知っておきたい給与と業績(2026年3月期)

【平均年収555万円】遠州トラック 転職ガイド:知っておきたい給与と業績(2026年3月期)

遠州トラックは、一般貨物自動車運送事業、貨物運送取扱事業、倉庫事業、不動産事業などを同社グループ各社とともに展開する総合物流企業です。千名を超える従業員を擁し、直近の期は増収減益となりました。


目次

※本記事は、遠州トラック株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月17日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。

1. 企業概要:どんな会社?


遠州トラックは、一般貨物自動車運送事業、貨物運送取扱事業、倉庫事業、不動産事業などを手掛ける総合物流事業を同社グループ各社とともに展開しています。親会社である住友倉庫を含め、遠州トラックと3社の子会社で構成されています。

単体従業員数は1,122名、連結従業員数は1,378名です。セグメントは物流事業、その他の2つです。

主な国内グループ会社は、貨物運送、土地建物の賃貸・売買等、太陽光発電による、売電などです。

2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?


遠州トラックは、物流インフラの提供を使命とし、従業員の「幸せ」を第一義に考えた経営を掲げています。従業員が働きがいを感じ、安全・安心に働ける環境づくりに注力しており、長期的なキャリア形成を支援する方針が見られます。

■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢


同社では、従業員が仕事に対する誇りを持ち、いきいきと働ける環境を重視しています。平均勤続年数や平均年齢からは、一定の経験を積んだ従業員が長く在籍する傾向がうかがえます。

項目 数値
平均年間給与 5,550,124円
平均勤続年数 9.0年
平均年齢 44歳4ヶ月
単体従業員数 1,122人
連結従業員数 1,378人
単体のグループ内比率 81.4%


同社および連結子会社は、従業員の退職給付に備えるため、確定給付型の退職一時金制度と、確定拠出型の確定拠出年金制度を設けています。確定給付型制度は給与や勤続年数に応じて給付額が決まる制度、確定拠出型制度は会社が拠出した資金を従業員が運用する制度です。

退職一時金制度はありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。なお、確定給付制度における退職給付債務は7.1億円となっています。

■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方


遠州トラックは、事業の価値を創出する最大の源泉を「人(従業員)」と捉え、人的資本への投資を経営の重要課題と位置付けています。中期経営計画の達成に向けた根幹として人材戦略を掲げ、持続的な成長を目指しています。

報酬制度においては、市場水準や物価動向、地域性を踏まえた適正な水準を確保しつつ、職務・スキル・成果に応じた公正な処遇を行っています。特に「安全・品質・コンプライアンス」を重視する価値観を処遇に反映させています。基本給および諸手当は、等級・職責・スキルに応じた賃金テーブルを運用し、物流事業特有の安全リスクや就労実態を踏まえた手当を適切に設計しています。賞与は、会社業績や部門・個人の成果に加え、安全・品質・顧客満足といった非財務指標の達成度を反映させ、中長期の企業価値向上への貢献を評価する方針です。

人材育成では、従業員のスキルアップとキャリア形成を支援するため、階層別研修や新任管理職研修、所課長クラスを対象とする管理職研修を体系的に実施しています。現業職に対しては、安全意識の向上を最優先課題とし、定期的な安全研修やコンテストを通じて安全運転技術の維持・向上を図っています。従業員の活躍推進として、女性の活躍を重要な経営課題と捉え、職場環境の改善や柔軟な働き方の導入により、現業職への採用・定着を促進しています。また、定年後再雇用期間満了後の雇用における年齢上限を撤廃し、性別や年齢に関わらず長期的なキャリア形成が可能な環境整備を進めています。

■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標


有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。

法定開示


連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。

指標 数値
管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 2.7%
男性労働者の育児休業取得率 127.0%
労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) 66.2%
労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) 77.2%
労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) 69.8%

任意開示指標


同社が設定している人材戦略骨子に基づく指標と目標、実績は以下の通りです。

従業員エンゲージメントの向上

指標 目標(2026年3月期) 実績(2026年3月期)
エンゲージメントに関わるサーベイの結果が5段階評価で3以上である従業員の割合 85%以上 87.2%

教育体系・育成計画の再整備

指標 目標(2026年3月期) 実績(2026年3月期)
教育体系の再構築を引続き行い、研修受講総時間の増加率 5%~10%増加 33.2%増加

健康経営の推進

指標 目標(2026年3月期) 実績(2026年3月期)
定期健康診断の総合判定における有所見率の減少率 2027年3月期までに2025年3月期比5%以上減少 0.6%増加

有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。

3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?


遠州トラックは、総合物流事業を主軸に展開する企業グループです。輸送や倉庫といった物流サービスを通じて、顧客の多様なニーズに応えるビジネスモデルを構築しています。

■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか


同社グループは、遠州トラックと3つの子会社、そして親会社である株式会社住友倉庫によって構成され、総合物流事業を営んでいます。一般貨物自動車運送事業、貨物運送取扱事業、倉庫事業、不動産事業などを展開し、これらの事業が収益の柱となっています。

インターネット通販向けの輸送業務は伸び悩んだ時期もありましたが、一般貨物の取り扱い拡大や輸送用機器向け部品の増加に努めています。特定の顧客からの営業収益が一定の割合を占める傾向が見られます。

物流事業

この事業は、一般貨物自動車運送事業、貨物運送取扱事業、倉庫事業を主な内容としています。収益は、運送収入と倉庫収入から得ています。

その他の事業セグメント

この事業は、不動産事業等を含んでいます。収益は、不動産事業等から得ています。

セグメント 営業収益(2025年3月期) 営業収益(2026年3月期)
物流事業 485億円 498億円
その他の事業セグメント 1.5億円 1.7億円

■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移


同社グループの営業収益は、過去5年間で増加傾向にあります。一方で、経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益は、増減を繰り返しながら推移しています。直近の期では、営業収益は増加しましたが、経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益は減少となりました。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
営業収益 428億円 448億円 469億円 486億円 499億円
経常利益 33.0億円 32.4億円 26.8億円 33.1億円 31.1億円
経常利益率 7.7% 7.2% 5.7% 6.8% 6.2%
親会社株主に帰属する当期純利益 23.4億円 22.8億円 20.4億円 23.9億円 22.6億円
1株当たり当期純利益(円) 313.95 306.08 274.00 319.96 302.14

■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る


同社グループの従業員1人あたり営業収益(連結)は、前期から増加しています。これは、従業員一人ひとりの収益貢献度が高まっていることを示しています。

一方で、従業員1人あたり営業利益(連結)は、前期から減少しています。これは、収益が増加する一方で、コスト増加などの要因により利益率がわずかに低下したことを示唆しています。

指標 2025年3月期 2026年3月期
従業員1人あたり営業収益(連結) 35.7百万円 36.2百万円
従業員1人あたり営業利益(連結) 2.4百万円 2.3百万円

業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。

4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?


遠州トラックは、堅実な財務基盤を維持し、事業活動を通じて安定した資金を生み出しています。本業で得た資金を投資に回しつつ、余剰資金も確保している状況です。

■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み


遠州トラックの財務基盤は、自己資本比率が非製造業のプライム市場平均を大きく上回る水準で推移しており、強固な安定性を示しています。ROE(自己資本利益率)はプライム市場平均と同程度の水準です。手元資金である現金及び預金も潤沢に確保されており、事業運営における安定性がうかがえます。これらの財務状況は、従業員の雇用や給与の安定性にも寄与する要素と考えられます。

指標 2025年3月期(前期) 2026年3月期(当期)
純資産 232億円 247億円
自己資本比率 57.9% 62.2%
ROE(自己資本利益率) 10.7% 9.4%
現金及び預金 74.0億円 55.3億円

■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ


遠州トラックのキャッシュフローを見ると、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローはプラスとなりました。これは税金等調整前当期純利益や減価償却費の増加が主な要因です。しかし、法人税等の支払額や未払消費税等の減少により、前期と比較して減少しています。

投資活動によるキャッシュフローは、有形固定資産や無形固定資産の取得による支出が増加したため、マイナスとなりました。これは将来に向けた積極的な設備投資が行われていることを示しています。財務活動によるキャッシュフローは、長期借入金の返済や配当金の支払いが主な要因で、マイナスとなっています。

これらの結果、自由に使える資金を示すフリーキャッシュフローはプラスを確保しています。本業で安定的に資金を生み出し、成長のための投資も行いつつ、資金の余剰を維持している状況です。この資金の流れは、同社グループの事業が安定しており、将来の成長に向けた基盤が整っていることを示しており、雇用や給与の安定性にもつながると考えられます。

項目 2025年3月期(前期) 2026年3月期(当期)
営業CF 48.3億円 27.5億円
投資CF △7.3億円 △25.2億円
財務CF △24.5億円 △21.0億円
フリーCF(営業CF+投資CF) 41.0億円 2.3億円

■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント

① 継続企業の前提に関するリスク

継続企業の前提に関する特記事項はありません。

② 事業構造・収益性に関するリスク

同社グループは、インターネット通販に関連する特定の取引先への取引集中によるリスクを認識しています。主要な取引先との契約内容が変更または解消された場合、業績に影響が出る可能性があります。

また、原油価格等の高騰による燃料費の変動リスクも挙げられています。軽油価格の上昇が運送原価を増加させ、その費用を運賃に転嫁できない場合に業績が影響を受ける可能性があります。

③ 人材・組織に関するリスク

同社グループは、貨物運送事業を営む上で多くの車両を使用しており、重大な事故発生のリスクを認識しています。万一、重大な交通事故等が発生した場合、社会的信用を失い、業績に影響が出る可能性があります。

④ 雇用安定性・リストラ

解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。

財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。

5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?


遠州トラックは、ミッション、ビジョン、バリューからなる経営理念を掲げ、従業員の幸せを第一に考えた経営を推進しています。お客様への価値提供と地球環境への貢献も重視し、持続可能な社会の実現を目指しています。

■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか


遠州トラックは、ミッション(使命)、ビジョン(経営目標)、バリュー(従業員行動指針)から構成される経営理念を定めています。ミッションとして、人的資本である従業員の「幸せ」を第一義に考えた経営を行い、お客様起点で物流サービスを提供し、地球環境にやさしい物流の実現を通じて社会的課題の解決に貢献することを掲げています。

ビジョンでは、従業員のエンゲージメント向上、関東・関西間の物流サービス拡充による事業領域拡大、DX推進による物流サービスのイノベーション挑戦、そして社会的課題の解決への貢献を目指しています。同社グループは、これらの理念に沿って会社経営を進めていく方針です。

■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー


遠州トラックでは、バリュー(従業員行動指針)として、ミッションとビジョンの実現を目指す行動を共有しています。具体的には、安全を最優先に考え、お客様起点で物流サービスの品質向上に努めることを重視しています。

また、従業員一人ひとりが「我が事」としてプロフェッショナルに仕事に取り組み、生産性を高めることを求めています。判断・行動の基準として「正直、誠実、高潔」であることを掲げ、多様な価値観を認め、人財として成長し続けるカルチャーを大切にしています。

■(3) 経営課題と今後の重点テーマ


遠州トラックは、中期経営計画の実現に向け、複数の経営課題に取り組んでいます。労働力不足への対応として、労働力確保に向けた賃上げを積極的に行い、物流サービスの安定供給に努める方針です。

また、人的資本価値を高めるための投資として、従業員の健康保持・増進に取り組む健康経営を推進しています。従業員の処遇や職場環境の改善も積極的に行い、コーポレート・ガバナンスの強化を進めることを重点テーマとしています。地球にやさしい物流の実現に向けた取り組みも継続しています。

会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。

6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?


遠州トラックは、監査役設置会社として企業統治体制を構築しています。経営の意思決定の迅速化と責任の明確化を図るため、執行役員制度を導入しています。

■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か


遠州トラックの株主構成を見ると、筆頭株主は事業会社である住友倉庫です。同社は発行済株式の過半数を保有しており、経営に強い影響力を持つことがうかがえます。また、取締役会長の澤田邦彦氏や遠州トラック従業員持株会も上位株主として名を連ねています。

株主名 持株比率
住友倉庫 60.58%
澤田邦彦 2.94%
遠州トラック従業員持株会 2.39%
商工組合中央金庫 2.27%
有限会社スリーナイン 1.76%

■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか


同社の役員は9名(男性8名・女性1名)で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は金原秀樹氏が務めています。社外取締役比率は40.0%です。

氏名 役職 主な経歴
金原 秀樹 取締役社長 (代表取締役) 社長執行役員 営業本部長 1991年12月同社入社、2015年6月同社取締役兼常務執行役員営業本部長兼営業戦略室長、2023年6月同社代表取締役社長兼社長執行役員営業本部長より現職。
澤田 邦彦 取締役会長 (代表取締役) 1981年3月同社入社、2001年6月同社代表取締役社長、2023年6月同社代表取締役会長より現職。
久保田 健 取締役 常務執行役員 管理本部長 兼経営企画部長 1985年4月住友倉庫入社、2015年6月同社常務執行役員管理本部長兼経営企画部長、2020年6月同社取締役兼常務執行役員管理本部長兼経営企画部長より現職。


社外取締役は、斉藤薫氏(遠州鉄道相談役)、山本正幸氏(まどか法律事務所代表弁護士)です。

同社は監査役設置会社であり、監査役制度を採用しています。提出日現在、社外役員4名全員が独立役員に選任されており、多様な知見に基づきコーポレート・ガバナンス体制の監視・監督を担っています。

■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計


同社の役員報酬は、社外取締役を除く取締役に対しては固定報酬、業績連動報酬、株式報酬で構成されています。社外取締役には固定報酬のみが支給される仕組みです。各個人の報酬総額に対する支給割合は、固定報酬が約8割、業績連動報酬と株式報酬がそれぞれ約1割を目安としています。

区分 人数 総額 1人あたり平均
取締役(社外除く) 3名 83百万円 27.7百万円
監査役(社外除く) 3名 14百万円 4.7百万円
社外役員 4名 21百万円 5.2百万円


役員報酬の総額は1.18億円であり、対象となる役員の合計は10名です。なお、取締役(社外取締役を除く)に対する非金銭報酬等の総額の内訳は、固定報酬2百万円です。

※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。

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この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。