※本記事は、株式会社センコン物流 の有価証券報告書(第66期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. センコン物流ってどんな会社?
運送や倉庫などの物流事業を核に、ホンダ車のディーラー事業なども手掛ける東北拠点の総合物流企業です。
■(1) 会社概要
1959年に株式会社仙台梱包運搬社として設立され、運送事業を開始しました。1964年に倉庫事業へ進出し、1996年に現社名へ変更するとともに株式を店頭登録しました。2007年には株式会社日立物流(現ロジスティード株式会社)と資本・業務提携を行い、2021年には認定通関業者(AEO)の認定を受けるなど、物流品質とネットワークの強化を続けています。
現在の連結従業員数は449名(単体270名)です。筆頭株主は資本・業務提携先であるロジスティードで、第2位および第3位は個人株主となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| ロジスティード | 10.06% |
| 久保田純子 | 9.90% |
| 花澤隆太 | 9.37% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性10名、女性0名の計10名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長 社長執行役員は久保田賢二氏です。社外取締役比率は40.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 久保田晴夫 | 代表取締役会長兼CEO | 1960年山叶証券(現みずほ証券)入社。1993年同社顧問、1997年社長を経て、1999年より会長兼社長兼CEO。2017年より現職。 |
| 久保田賢二 | 代表取締役社長社長執行役員 | 1997年和光証券(現みずほ証券)入社。1999年同社入社。経営企画室長、取締役副社長等を経て2017年より現職。 |
| 柴崎敏明 | 専務取締役管理本部長兼内部監査室長 | 1981年同社入社。総務部長、取締役執行役員法務部長、常務取締役管理本部長等を経て2024年より現職。 |
| 吉川淳也 | 取締役専務執行役員GL事業部管掌OS(製造/MF)・山形事業部管掌営業統括部長兼AEO管理室長 | 2012年同社入社。営業本部長、山陰センコン物流社長等を歴任。2025年より現職。 |
| 花澤聡一郎 | 取締役執行役員OS(医薬/ME)事業部管掌経営戦略室長兼米穀管理部長兼本社事業部長 | 2001年同社入社。執行役員OS事業部長、経営戦略室長等を経て2025年より現職。 |
| 久保田秀揮 | 取締役グループ事業統括室担当 | 2002年ホンダベルノ埼玉南(現ホンダカーズ埼玉西)入社。同社取締役総務部長等を経て2024年より現職。 |
| 團雅義 | 取締役 | 1989年丸紅入社。同社丸紅マレーシア会社社長、ARCA常務取締役等を経て2024年より現職。 |
社外取締役は、小柏薫(税理士)、佐藤裕一(弁護士)、川田増三(公認会計士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「運送事業」「倉庫事業」「乗用車販売事業」「再生可能エネルギー事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) 運送事業
顧客の国内貨物および輸出入貨物の国内輸送を行っています。精密機械や化学製品などの輸送を手掛けています。
運送サービスの対価として顧客から運送料を受け取ります。運営は主にセンコン物流および山陰センコン物流が行っています。
■(2) 倉庫事業
顧客から預かった貨物の保管、輸出入貨物の保税蔵置、通関手続き、荷造梱包などの物流一括受託サービスを提供しています。
保管料や荷役料、通関手数料などを顧客から受け取ります。運営は主にセンコン物流および山陰センコン物流が行っています。
■(3) 乗用車販売事業
本田技研工業製車両の新車・中古車の仕入・販売および修理サービスを行っています。
車両販売代金や車検・点検修理などのサービス料を顧客から受け取ります。運営は主に株式会社ホンダカーズ埼玉西および株式会社センコンエンタープライズが行っています。
■(4) 再生可能エネルギー事業
太陽光発電施設および風力発電施設を利用した売電事業を行っています。
発電した電力を電力会社へ販売し、売電収入を得ています。運営は株式会社センコンエンタープライズが行っています。
■(5) その他
不動産の売買・賃貸、リース事業、葬祭事業、採石事業などを行っています。
不動産販売・賃貸料、リース料、葬祭サービス料、砕石販売代金などを収益としています。運営は株式会社センコンエンタープライズおよび株式会社センコン・マテリアルが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上収益は直近5期間で緩やかな増加傾向にあります。特に当期は過去最高の188億円に達しました。利益面では、経常利益が前期の落ち込みから回復し、当期利益も増益となっています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上収益(または売上高) | 161億円 | 167億円 | 162億円 | 175億円 | 188億円 |
| 経常利益 | 6億円 | 8億円 | 8億円 | 6億円 | 9億円 |
| 利益率(%) | 3.9% | 4.9% | 4.9% | 3.4% | 5.0% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 4億円 | 5億円 | 5億円 | 4億円 | 5億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の増加に伴い、売上総利益および営業利益が増加しています。営業利益率は前期の3.2%から4.3%へと改善しており、本業の収益性が向上しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 175億円 | 188億円 |
| 売上総利益 | 31億円 | 36億円 |
| 売上総利益率(%) | 17.6% | 19.0% |
| 営業利益 | 6億円 | 8億円 |
| 営業利益率(%) | 3.2% | 4.3% |
販売費及び一般管理費のうち、給与・手当が8.5億円(構成比30.5%)、減価償却費が2.3億円(同8.2%)を占めています。
■(3) セグメント収益
各セグメントにおいて、運送、倉庫、乗用車販売の主要3事業がいずれも増収となりました。特に乗用車販売事業は10億円以上の増収となっています。一方、再生可能エネルギー事業とその他の事業は減収となりました。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) |
|---|---|---|
| 運送事業 | 46億円 | 48億円 |
| 倉庫事業 | 38億円 | 41億円 |
| 乗用車販売事業 | 84億円 | 95億円 |
| 再生可能エネルギー事業 | 2億円 | 2億円 |
| その他の事業 | 4億円 | 2億円 |
| 連結(合計) | 175億円 | 188億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は、営業活動で稼いだ利益によって借入金の返済を進めつつ、投資活動も手元資金の範囲内でコントロールしている「健全型」のキャッシュ・フロー状態にあります。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 6億円 | 15億円 |
| 投資CF | -6億円 | -4億円 |
| 財務CF | -4億円 | -3億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.9%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は31.3%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「物流は社会を支える重要な軸」として捉え、時々刻々と変化する物流ニーズに対応し、社会の繁栄に寄与することを会社経営の基本方針としています。東北経済圏に主要拠点を持つ総合物流企業として、国内外の物流サービスの充実に努めることを目指しています。
■(2) 企業文化
同社は「安全は全てにおいて優先される」という理念を掲げ、コンプライアンスや事故撲滅活動に取り組んでいます。また、顧客ニーズに対応したソリューション型の営業活動(CS活動)と、従業員満足度(ES)経営を意識した労働環境の改善の両立を重視する文化があります。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、目標とする経営指標としてROE(自己資本利益率)を掲げており、その実現のために経営効率の改善を意識した経営を進めています。
* ROE:10%以上
■(4) 中期経営戦略
物流の基軸となる設備と情報通信技術を駆使したネットワークを充実させ、顧客ニーズの多様化・高度化に対応できる新たなサービスの開発に注力する方針です。
* 国内物流:3PL(企業物流の包括的受託)事業基盤の強化、アウトソーシング、フォワーディング等の案件獲得。
* 国際物流:陸・海・空の複合一貫輸送システムの展開、国内メーカーの海外進出サポート。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
持続的な成長と企業価値向上のため、女性、外国人、中途採用者など多様な人材を積極的に取り入れる方針です。ES(従業員満足度)経営を高め、所定外労働時間の削減や有給休暇の取得促進などのワークライフバランスの実現に向けた取り組みを推進し、従業員が活躍できる企業風土と社内環境の整備を目指しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 45.4歳 | 13.8年 | 4,480,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 6.8% |
| 男性育児休業取得率 | 0.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 74.0% |
| 男女賃金差異(正規) | 73.7% |
| 男女賃金差異(非正規) | 73.1% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 法的規制等について
貨物自動車運送事業や倉庫業、自動車販売事業など、各種関連法令の規制を受けて事業を行っています。法規制の改正や新たな規制の制定により追加費用が発生する可能性があります。また、法令違反等により事業活動が制限された場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 燃料費の上昇について
主要事業である運送事業において、効率的な運行やエコドライブの推進に努めていますが、世界の原油情勢や為替変動により燃料費が大幅に上昇した場合、コスト増となり、グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 災害等の発生について
地震や台風などの大規模な自然災害が発生した場合、車両や倉庫などの設備被害に加え、輸送経路の遮断や電力供給停止によるインフラ機能の低下が想定されます。これにより事業活動が中断または停滞し、業績に影響を与える可能性があります。
■(4) 重大事故の発生について
安全最優先の理念のもと事故撲滅活動に取り組んでいますが、万が一重大な事故が発生した場合、社会的信用の失墜とともに、車両の使用停止や事業所の営業停止などの行政処分を受ける可能性があります。これらはグループの経営成績に悪影響を及ぼすリスクがあります。



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