※本記事は、センコン物流株式会社の有価証券報告書(第67期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. センコン物流ってどんな会社?
運送、倉庫、乗用車販売などを手がける東北基盤の総合物流企業です。
■(1) 会社概要
同社は1959年に運送事業を目的として設立され、1964年に倉庫事業を開始しました。1978年には自動車販売会社(現ホンダカーズ埼玉西)を設立して事業領域を拡大しています。1996年には日本証券業協会に株式を店頭登録し、現在はスタンダード市場に上場しています。2007年にはロジスティード、2019年には富士ロジテックホールディングスと資本・業務提携を結び、ネットワークを強化しています。
現在の従業員数はグループ全体で473名、単体で275名です。筆頭株主は事業提携先であるロジスティードであり、第3位にも富士ロジテックホールディングスが名を連ねています。また、第2位には花澤隆太氏が名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| ロジスティード | 10.12% |
| 花澤隆太 | 9.43% |
| 富士ロジテックホールディングス | 9.15% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性10名、女性0名の計10名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役会長兼CEOは久保田晴夫、代表取締役社長社長執行役員は久保田賢二が務めています。社外取締役比率は30.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 久保田晴夫 | 代表取締役会長兼CEO | 山叶証券(現みずほ証券)を経て、1993年同社顧問。2017年より現職。 |
| 久保田賢二 | 代表取締役社長社長執行役員 | 和光証券(現みずほ証券)を経て、1999年同社入社。2017年より現職。 |
| 柴崎敏明 | 専務取締役管理本部長兼内部監査室長 | 1981年同社入社。総務部長、法務部長などを歴任し、2024年より現職。 |
| 吉川淳也 | 取締役専務執行役員営業統括本部長兼米穀事業部長兼AEO管理室長 | 2012年同社入社。山陰センコン物流代表取締役社長を経て、2026年より現職。 |
| 花澤聡一郎 | 取締役専務執行役員経営戦略室長兼本社事業部長 | 2001年同社入社。第三営業部長、OS事業部長などを経て、2026年より現職。 |
| 久保田秀揮 | 取締役グループ会社担当 | 2002年ホンダベルノ埼玉南入社。ホンダカーズ埼玉西の要職を経て、2021年より現職。 |
| 團雅義 | 取締役山形事業部管掌 | 丸紅などで海外拠点の要職を歴任後、2023年同社社外取締役。2026年より現職。 |
社外取締役は、小柏薫(税理士)、佐藤裕一(弁護士)、川田増三(公認会計士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「運送事業」「倉庫事業」「乗用車販売事業」「再生可能エネルギー事業」および「その他の事業」を展開しています。
■運送事業
顧客の国内貨物および輸出入貨物の国内輸送サービスを提供しています。化学製品や農業機械などの幅広い貨物を取り扱い、効率的な運行と安全管理に努めています。
顧客からの運送料等を収益源としています。運営は同社および山陰センコン物流が行っています。
■倉庫事業
顧客から預かった貨物の保管をはじめ、保税蔵置、通関業務、荷造梱包、解装などの諸作業を提供しています。さらに物流業務の一括受託サービスも展開しています。
顧客からの保管料や作業手数料等を収益源としています。運営は同社および山陰センコン物流が行っています。
■乗用車販売事業
ホンダ車の新車仕入・販売・修理等のサービスを提供するとともに、中古自動車の仕入・販売事業を展開しています。
顧客からの車両代金や車検・点検修理等のサービス料金を収益源としています。運営はホンダカーズ埼玉西およびセンコンエンタープライズが行っています。
■再生可能エネルギー事業
太陽光発電施設および風力発電施設を利用した環境配慮型のエネルギー事業を展開しています。
電力会社への売電収入を主な収益源としています。運営はセンコンエンタープライズが行っています。
■その他の事業
不動産の売買・賃貸などの不動産事業、地域に密着した葬祭事業、および公共事業等向けの採石事業を提供しています。
不動産の販売・賃貸収入、葬祭サービス料、製品(砕石)の販売代金などを収益源としています。運営はセンコンエンタープライズおよびセンコン・マテリアルが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は順調な増加傾向にあり、直近では199億円を記録しています。一方、利益面は変動が見られ、当期は各段階の利益において減少する結果となりました。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 営業収益 | 167億円 | 162億円 | 175億円 | 188億円 | 199億円 |
| 経常利益 | 8億円 | 8億円 | 6億円 | 9億円 | 6億円 |
| 利益率(%) | 4.9% | 4.9% | 3.4% | 5.0% | 2.8% |
| 当期純利益(親会社株主帰属) | 5億円 | 5億円 | 4億円 | 5億円 | 2億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は増加していますが、新拠点の開設費用や人件費などの増加により、売上総利益および営業利益は前年を下回る結果となりました。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業収益 | 188億円 | 199億円 |
| 営業総利益 | 36億円 | 35億円 |
| 営業総利益率(%) | 19.0% | 17.5% |
| 営業利益 | 8億円 | 6億円 |
| 営業利益率(%) | 4.3% | 2.9% |
販売費及び一般管理費のうち、給与・手当が9億円(構成比31%)、減価償却費が3億円(同9%)、役員報酬が2億円(同7%)を占めています。
■(3) セグメント収益
運送事業における貨物輸送量の増加や、乗用車販売事業での高価格帯車両の販売好調が増収を牽引しました。一方で、その他の事業においては棚卸資産評価損の計上等により損失が拡大しています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益(2026年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 運送事業 | 48億円 | 52億円 | 2億円 | 3億円 | 5.2% |
| 倉庫事業 | 41億円 | 41億円 | 8億円 | 8億円 | 19.0% |
| 乗用車販売事業 | 95億円 | 101億円 | 4億円 | 4億円 | 3.7% |
| 再生可能エネルギー事業 | 2億円 | 2億円 | 1億円 | 1億円 | 24.5% |
| その他の事業 | 2億円 | 2億円 | -1億円 | -3億円 | -123.1% |
| 連結(合計) | 188億円 | 199億円 | 8億円 | 6億円 | 2.9% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である「健全型」のキャッシュ・フロー状況となっています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 15億円 | 4億円 |
| 投資CF | -4億円 | -3億円 |
| 財務CF | -3億円 | -5億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は2.8%で市場平均を下回っており、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も32.5%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「物流は社会を支える重要な軸」として捉え、時々刻々と変化する物流ニーズに柔軟に対応し、社会の繁栄に寄与することを会社経営の基本方針として掲げています。この理念のもと、東北経済圏を中心とした総合物流企業としてサービスの充実に努めています。
■(2) 企業文化
環境問題が深刻化するなか、環境保全活動への取り組みを企業の社会的使命として強く認識しています。事業活動のなかに環境保全への配慮を積極的に組み入れ、単なる営利性の追求にとどまらず、事業成長と環境配慮の両立を目指す文化を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
経営効率の改善を常に意識し、営業収益および経常利益の拡大を図ることを基本としています。グループの目標とする経営指標としてROE(自己資本利益率)を掲げています。
- ROE(自己資本利益率):10%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
物流の基軸となる設備と情報通信技術を駆使したネットワークを充実させ、顧客ニーズの多様化・高度化・国際化に対応できる新たなサービスの開発に注力します。国内では3PL(企業物流の包括的受託)事業基盤の強化、国際では商物一体物流サービスのモデル構築を進めます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
ES(従業員満足度)経営を人的資本戦略の中核に据え、多様な人材の視点や価値観を取り入れながら労働環境の改善や整備を図っています。労働時間の適正化や柔軟な勤務形態の推進により、従業員のパフォーマンス発揮と定着率の向上を目指し、企業価値向上に結びつけます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 45.0歳 | 13.8年 | 4,495,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 7.5% |
| 男性育児休業取得率 | 0.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 75.7% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 76.6% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 71.2% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 燃料費の上昇
主要事業である運送事業において、効率的な運行やエコドライブの推進に努めていますが、世界の原油情勢の動向や為替の変動によって燃料費が大幅に上昇した場合、事業運営コストが増加し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 重大事故の発生
「安全は全てにおいて優先される」との理念のもと、事故撲滅活動に取り組んでいますが、万が一重大な事故が発生した場合、顧客からの信頼や社会的信用の毀損、行政処分による事業活動の停止を招き、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 情報の漏洩
顧客の機密情報や個人情報を取り扱うため、情報セキュリティ管理体制の維持・向上に努めています。しかし、外部からの不正侵入やウイルス感染等によりシステムの停止やデータ消失、情報漏洩が生じた場合、社会的信用が毀損し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 人材の確保
持続的な成長を実現するため、多様な人材の確保や育成、労働環境の整備等に努めています。しかし、採用計画に基づく人材の確保ができなかった場合や、従業員の流出が続いた場合には、事業拡大の制約要因となり、業績に影響を及ぼす可能性があります。



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