ハマキョウレックス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ハマキョウレックス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム市場に上場する物流企業。物流センター事業(3PL)と貨物自動車運送事業を両輪とし、効率的な物流サービスを展開しています。第54期は3PL事業の新規受託や子会社の業績寄与により、売上高1467億円、経常利益143億円と増収増益を達成しました。


※本記事は、株式会社ハマキョウレックス の有価証券報告書(第54期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月18日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ハマキョウレックスってどんな会社?


物流センター事業(3PL)と貨物自動車運送事業を主力とし、効率化と品質を追求する提案型物流企業です。

(1) 会社概要


1971年に浜松協同運送として設立され、一般区域貨物自動車運送事業を開始しました。1990年に倉庫業へ進出し、1992年に現社名へ変更。その後、1997年に店頭登録、2003年に東証一部(現プライム)へ上場を果たしました。M&Aにも積極的で、2004年には近物レックスを子会社化するなど事業基盤を拡大しています。

現在の従業員数は連結5,813名、単体883名です。筆頭株主は信託銀行で、第2位は創業家一族の資産管理会社、第3位も信託銀行となっています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 13.49%
エムエフカンパニー 12.49%
日本カストディ銀行(信託口) 7.48%

(2) 経営陣


同社の役員は男性11名、女性1名、計12名で構成され、女性役員比率は8.3%です。代表取締役社長は大須賀 秀徳氏です。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
大須賀 秀徳 代表取締役社長 1992年入社。営業畑を歩み、副社長、管理本部長を経て2010年より現職。近物レックス会長も兼務。
大須賀 正孝 代表取締役会長 1971年浜松協同運送(現同社)社長就任。浜協サービス社長等を歴任し、2007年より現職。
奥津 靖雄 専務取締役執行役員統括本部長 1999年入社。中部支社長、統括副本部長等を経て2022年専務取締役就任。2023年より現職。
山岡 毅 専務取締役執行役員開発本部長 2004年入社。営業開発部長、開発統括部長等を経て2022年より現職。
那須田 貴市 取締役執行役員関西支社長 1999年入社。関西営業部長等を経て2019年より現職。スーパーレックス取締役も兼務。


社外取締役は、大津 善敬(元静岡銀行常務執行役員)、森 猛(元浜松商工会議所専務理事)、片田 須美子(片田会計事務所代表)、影山 剛士(元静岡県湖西市長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「物流センター事業」「貨物自動車運送事業」を展開しています。

(1) 物流センター事業


国内において物流センターを運営し、入出荷・流通加工作業等の荷役業務、在庫保管業務、配送業務、物流システムの構築など、顧客(荷主)の要望に合わせた包括的な物流サービス(3PL)を提供しています。

収益は、荷主企業から受け取る業務委託料や保管料、作業料などで構成されています。運営は、主にハマキョウレックス、スーパーレックス、ロジ・レックス等のグループ各社が行っています。

(2) 貨物自動車運送事業


国内に有するネットワークを活用し、特別積み合わせ貨物運送や一般貨物運送などの輸送サービスを提供しています。

収益は、顧客から受け取る運賃収入が中心です。運営は、主に近物レックス、高塚運送、松本運送等のグループ各社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は一貫して増加傾向にあり、事業規模の拡大が続いています。利益面でも、経常利益および当期純利益ともに増加基調を維持しており、収益性を確保しながら成長しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 1,189億円 1,251億円 1,319億円 1,406億円 1,467億円
経常利益 109億円 120億円 123億円 131億円 143億円
利益率(%) 9.2% 9.6% 9.3% 9.3% 9.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 64億円 71億円 74億円 83億円 89億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い、売上総利益も増加しています。売上総利益率は前年と同水準を維持しており、安定した収益構造が見て取れます。営業利益も増加しており、コストコントロールを行いながら事業拡大を進めています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 1,406億円 1,467億円
売上総利益 174億円 182億円
売上総利益率(%) 12.4% 12.4%
営業利益 126億円 132億円
営業利益率(%) 8.9% 9.0%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が12億円(構成比23%)、役員報酬が9億円(同18%)を占めています。売上原価は1,284億円で、売上高に対する構成比は88%となっています。

(3) セグメント収益


物流センター事業は、新規センターの稼働や子会社の業績寄与により増収増益となりました。貨物自動車運送事業は、子会社の孫会社取得等により増収となった一方、外注費等のコスト増加により減益となりました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
物流センター事業 899億円 946億円 106億円 117億円 12.4%
貨物自動車運送事業 507億円 521億円 19億円 15億円 2.8%
連結(合計) 1,406億円 1,467億円 126億円 132億円 9.0%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業活動によるキャッシュ・フローはプラス、投資活動によるキャッシュ・フローはマイナス、財務活動によるキャッシュ・フローはマイナスであり、本業で稼いだ資金を投資や借入返済に充てる健全型のキャッシュ・フローとなっています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 159億円 141億円
投資CF -83億円 -111億円
財務CF -65億円 -56億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は10.3%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は56.2%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「心」を経営の基本理念とし、「人と接するときは、心を込めて」「仕事をするときは、初心を忘れず前向きに」などを基本テーマとしています。物流の役割を信頼された重要な存在と捉え、効率的な事業展開と質の高い成長を図り、3PL物流における質的内容の日本一を目指しています。

(2) 企業文化


「日々収支」「全員参加」「コミュニケーション」の3つのキーワードを重要視し、これらを徹底することで更なる高みを目指す文化があります。現場からの声を積極的に取り入れ、グループ全体の知恵を結集して迅速な対応や物流品質の向上を図る姿勢を重視しています。

(3) 経営計画・目標


株主持分単位当たりの成長性と収益体質の強化を重視し、継続的に自己資本当期純利益率(ROE)10%以上を達成することを目指しています。具体的な数値目標として以下を掲げています。

* EPS(1株当たり当期純利益):126.43円(2026年3月期計画)
* 営業収益経常利益率:9.8%(2026年3月期計画)

(4) 成長戦略と重点施策


物流センター(3PL)事業を成長ドライバーとし、新センター建設やDX推進、EC物流の拡大を進めます。また、近物レックスのターミナルを物流センター化するなどグループ間シナジーを強化し、M&Aも継続します。環境負荷軽減やドライバー確保のための労働環境改善にも取り組みます。

* 3PL新規受託件数年間目標:15社
* ROE目標:10%以上継続

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


OJTを中心とした人材育成に加え、グループ全体を対象とする社内研修「大須賀塾」の継続やセンター長試験の充実により、次代を担う人材の確保と育成に努めています。また、中途採用の積極設定やドライバーの確保、人材派遣の自社雇用化を促進し、生産性の高い体制構築を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 43.5歳 10.1年 4,817,014円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 4.3%
男性育児休業取得率 22.2%
男女賃金差異(全労働者) 55.8%
男女賃金差異(正規) 78.8%
男女賃金差異(非正規) 83.0%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性労働者の雇用率(69.10%)、女性従業員の勤続年数(正社員7年、パート従業員5年)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 1年更新の物流契約による影響


物流契約の多くは1年更新となっており、契約解消リスクが存在します。これによる業績への影響を軽減するため、一取引先の売上割合を全体の10%以内に分散する方針をとっていますが、契約更新時の状況によっては業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 特有の法的規制違反による影響


過積載等の違反により、貨物自動車運送事業法に基づく車両停止や事業停止等の行政処分を受ける可能性があります。事業停止等の処分を受けた場合、業績に大きな影響が出るリスクがあります。安全衛生委員会等を通じて指導を徹底し、管理に努めています。

(3) 災害等による影響


物流センター等の拠点が東海地区を中心に点在しており、大規模地震等の災害が発生した場合、施設の被災や交通網の混乱により業績に影響が出る可能性があります。防災訓練や耐震対策、緊急連絡網の整備等の予防策を講じています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。