ハマキョウレックス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ハマキョウレックス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ハマキョウレックスは東京証券取引所プライム市場に上場し、物流センター運営をコアとする3PL物流と貨物自動車運送事業を主力として展開しています。最新の業績では、物流センター運営の充実や新規センターの稼働、M&Aの効果などにより売上高・各段階利益ともに増加し、力強い増収増益の推移を見せています。


※本記事は、株式会社ハマキョウレックスの有価証券報告書(第55期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月16日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ハマキョウレックスってどんな会社?


物流センター事業と貨物自動車運送事業を軸に、全国規模で3PL物流サービスを展開する企業です。

(1) 会社概要


1971年2月に一般区域貨物自動車運送事業を開始しました。1992年に現社名へ変更し、2001年に東京証券取引所市場第二部へ上場、2003年に同第一部銘柄に指定されています。その後もスーパーレックスや近物レックスなどを連結子会社化し、近年はM&Aを継続して拠点網とサービスを拡大しています。

従業員数は連結で6,010名、単体で880名です。筆頭株主は創業者の大須賀正孝氏やその親族が株式を保有する資産管理会社のエムエフカンパニーで、第2位は信託業務を行う日本マスタートラスト信託銀行となっています。

氏名 持株比率
エムエフカンパニー 12.48%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 12.11%
BBH FOR FIDELITY LOW-PRICED STOCK FUND 6.37%

(2) 経営陣


同社の役員は男性11名、女性1名の計12名で構成され、女性役員比率は8.3%です。代表取締役社長は大須賀秀徳が務めています。社外取締役は4名です。

氏名 役職 主な経歴
大須賀正孝 代表取締役会長 1971年浜松協同運送(現ハマキョウレックス)代表取締役社長。全日本トラック協会副会長などを経て、2007年より現職。
大須賀秀徳 代表取締役社長 1992年同社入社。取締役中部営業部長、近物レックス取締役会長などを経て、2010年1月代表取締役社長。静岡県トラック協会副会長などを経て現職。
奥津靖雄 専務取締役執行役員統括本部長 1999年同社入社。執行役員中部支社長、常務取締役統括副本部長などを経て、2023年4月より現職。
山岡毅 専務取締役執行役員開発本部長 2004年同社入社。営業開発部長、取締役執行役員新規営業統括部長などを経て、2022年6月より現職。
那須田貴市 取締役執行役員 1999年同社入社。執行役員関西営業部長、取締役執行役員関西支社長などを経て、2025年6月より現職。


社外取締役は、大津善敬(元静岡銀行常務執行役員)、森猛(元浜松商工会議所専務理事)、片田須美子(元税理士法人トーマツ)、影山剛士(元静岡県湖西市長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「物流センター事業」および「貨物自動車運送事業」を展開しています。

(1) 物流センター事業


国内において物流センターを運営し、入出荷・流通加工作業等の荷役業務や在庫保管業務、配送業務、物流システムの構築など、顧客の要望に合わせた包括的な3PL物流サービスを提供しています。

顧客との契約に基づき、作業実施数やサービス提供の経過期間に応じて収益を認識しています。事業の運営はハマキョウレックスのほか、スーパーレックスやロジ・レックスなどの連結子会社が行っています。

(2) 貨物自動車運送事業


国内において充実したネットワークを有し、特別積み合わせ貨物運送や一般貨物運送などの貨物輸送サービスを提供しています。グループ内のシナジーを活かし、効率的な輸送網の構築を図っています。

貨物発送から輸送完了まで一定期間にわたり提供されるサービスについて、距離や期間に応じた進捗に基づいて運賃等の収益を得ています。運営は主に近物レックスなどの連結子会社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績は、売上高と各段階の利益において一貫して右肩上がりの成長を続けています。物流センターの新規稼働やM&Aによる事業規模の拡大、運賃値上げ交渉による効果などが業績を力強く牽引し、利益率も着実に向上する傾向を見せています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 1,251億円 1,319億円 1,406億円 1,467億円 1,555億円
経常利益 120億円 123億円 131億円 143億円 161億円
利益率(%) 9.6% 9.3% 9.3% 9.7% 10.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 71億円 74億円 83億円 89億円 107億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益構成を見ると、増収に加えて売上総利益率および営業利益率がいずれも改善しています。継続的な日々収支の改善や新規受託センターの早期安定稼働などが寄与し、収益体質の強化が進んでいることが分かります。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 1,467億円 1,555億円
売上総利益 182億円 199億円
売上総利益率(%) 12.4% 12.8%
営業利益 132億円 148億円
営業利益率(%) 9.0% 9.5%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が12億円(構成比24%)、役員報酬が9億円(同18%)を占めています。

(3) セグメント収益


物流センター事業は新規センターの受託やM&Aの効果により増収増益を牽引しています。また、貨物自動車運送事業についても、運賃値上げ交渉の効果や貸切便収入の増加により、着実な増収増益を達成しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
物流センター事業 946億円 1,009億円 117億円 131億円 12.9%
貨物自動車運送事業 521億円 546億円 15億円 17億円 3.1%
調整額 -24億円 -28億円 0.2億円 -0.2億円 -
連結(合計) 1,467億円 1,555億円 132億円 148億円 9.5%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のキャッシュ・フローは、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う健全型です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 141億円 200億円
投資CF -111億円 -106億円
財務CF -56億円 -62億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は11.4%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は56.8%であり、いずれも市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、「心」を経営の基本理念に掲げています。「人と接するときは、心を込めて」「仕事をするときは、初心を忘れず前向きに」「物を扱うときは、心を込めて丁寧に」「物を運ぶときは、心を込めて安全に」「如何なるときにも感謝の心を大切に」という5つのテーマを基盤とし、信頼に応える経営を目指しています。

(2) 企業文化


物流の役割を「駅伝でいえば最終ランナー」と位置づけ、地味ながらも信頼される存在として社会的責任を果たすことを重んじています。「お客様第一、品質第一」を基本とし、短期的な収益にとらわれない長期的な視点に立った経営により、3PL物流において質的内容の日本一を目指す姿勢を大切にしています。

(3) 経営計画・目標


株主持分単位当たりの成長性と収益体質の強化を重視し、1株当たり当期純利益(EPS)および営業収益経常利益率を経営指標として定めています。また、自己資本当期純利益率(ROE)10%以上を継続的に達成することを目標としています。

* 営業収益経常利益率(2027年3月期計画):10.4%
* 1株当たり当期純利益(2027年3月期計画):145.91円

(4) 成長戦略と重点施策


物流センター(3PL)事業を成長ドライバーとした拡大戦略を推進し、新規顧客の獲得やM&Aを継続的に行います。また、「日々収支」「全員参加」「コミュニケーション」の3つのキーワードを徹底し、DX推進による物流ロボットの導入やグループ会社間のシナジー強化を通じて、生産性向上と収益体質の強化を図ります。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人材が最大の財産であるとの認識のもと、和とコミュニケーションを重視した全員参加による経営を推進しています。職務や役割に応じた教育・研修の充実を図るとともに、性別や年齢、国籍を問わない多様な人材の採用・登用を通じてダイバーシティを推進し、働きやすく活力ある職場環境の整備に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 44.2歳 11.0年 4,928,410円

※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 4.2%
男性育児休業取得率 38.5%
男女賃金差異(全労働者) 56.9%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 76.5%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 86.0%


また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性労働者の雇用率(68.7%)、女性正社員の勤続年数(7年)、女性パート従業員の勤続年数(5年)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 1年更新の物流契約による影響


多くの物流契約が1年更新となっており、契約解消のリスクが毎年生じます。同社は一取引先の営業収益を全体の10%以内に分散させることで影響を最小限に抑えるとともに、信頼される物流体制の維持・向上に努めています。

(2) 法的規制違反による事業停止リスク


過積載などの違反による累積件数が増加した場合、貨物自動車運送事業法に基づく車両停止や事業停止処分を受けるリスクがあります。これを防ぐため、毎月安全衛生委員会を開催し、コンプライアンスの指導徹底を図っています。

(3) 大規模災害等による物流網の寸断


物流センターや営業拠点は東海地区を中心に展開しているため、南海トラフ地震などの大規模災害が発生した場合、施設の被災や交通網の混乱により業績に大きな影響が及ぶ可能性があります。防災訓練や設備耐震化などの予防策を講じています。

(4) 原油価格・為替変動によるコスト増加


事業の特性上、営業用車両の燃料として大量の軽油を使用するため、原油価格や為替レートの変動による燃料費高騰のリスクがあります。コスト増加分を運賃に転嫁できない場合、収益を圧迫する要因となります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。