【平均年収1285万円】飯野海運 転職ガイド:知っておきたい給与と業績(2026年3月期)

【平均年収1285万円】飯野海運 転職ガイド:知っておきたい給与と業績(2026年3月期)

飯野海運は、外航海運業、内航・近海海運業、不動産業の3事業をグループ各社とともに展開しています。連結従業員数は688名で、直近の業績は売上高、利益ともに前期から減少となりました。


目次

※本記事は、飯野海運株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。

1. 企業概要:どんな会社?


飯野海運グループは、外航海運業、内航・近海海運業、不動産業の3事業を展開しています。船舶の運航や貸渡、ビルの賃貸・管理などをグループ各社とともに手掛けています。

単体従業員数は209名、連結従業員数は688名です。セグメントは外航海運業、内航・近海海運業、不動産業の3つです。

主な国内グループ会社は、イイノガストランスポート(内航・近海海運業)、イイノエンタープライズ(外航海運業)、イイノ・メディアプロ(不動産業)などです。

2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?


飯野海運は、海運業と不動産業を営む企業として、専門性と安定性を兼ね備えた働き方が特徴です。グローバルな事業展開と国内の不動産事業を通じて、多様なキャリアパスが期待できる環境と言えます。

■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢


飯野海運では、従業員の平均勤続年数が比較的長く、安定してキャリアを築ける傾向が見られます。平均年齢も30代後半であり、経験豊富な人材が活躍していることがうかがえます。

項目 数値
平均年間給与 12,850,000円
平均勤続年数 13.2年
平均年齢 38.6歳
単体従業員数 209人
連結従業員数 688人
単体のグループ内比率 30.4%


飯野海運及び連結子会社は、従業員の退職給付に充てるため、確定給付型の制度として退職一時金制度を設けています(確定給付型=給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)。退職一時金制度はありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。

なお、確定給付制度における退職給付債務は34.8億円、年金資産は33.2億円となっています。

■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方


飯野海運グループは、事業環境の変化に対応し、中長期的な企業価値向上を目指す上で、人材及び組織の力を不可欠なものと位置づけています。人的資本を重要な経営資源とし、事業戦略と連動した人材戦略を推進しています。

人材戦略は、「経営戦略に基づく組織最適化・人員配置」、「抜本的な人事制度改革・社員の個の活性化によるエンゲージメント向上」、「業務効率化による生産性向上」並びに「DE&I推進による多様な価値創造人材の創出」を軸に設計されています。従業員の給与や賞与は、経営戦略の実現に資する人材の確保・定着、社員の能力発揮・成長を通じた企業価値向上の観点から決定されます。外部労働市場の動向や社内の処遇水準、業績及び財務状況等を踏まえ、職務・役割及び期待される貢献を基本とした処遇が公正性・透明性を確保しつつ運用されています。

人材育成においては、画一的・年次中心の成長モデルから転換し、事業戦略と連動した「経験」を重視した育成が行われています。成長・収益分野や新たな事業課題への挑戦機会を通じて俯瞰力及び実行力を養い、個々の適性や志向に応じた専門性の深化を図ることで、多様な強みを持つ人材の育成を目指しています。社内環境整備では、在宅勤務制度や時差出勤制度の活用、育児休業取得促進を契機とした業務の属人化解消やプロセス見直しを進め、チームで業務を遂行する体制を構築しています。

■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標


有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。

法定開示


提出会社単体の法定開示データです。連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。管理職に占める女性労働者の割合は出向者を出向元の労働者として集計されており、男性育児休業取得率は小数点第1位以下を切り捨てて算出されています。男女の賃金差異は、当社から他社への出向者を含まず算出されています。パート・有期労働者の男女賃金差異は該当者がいないため記載されていません。

指標 数値
管理職に占める女性労働者の割合 4.9%
労働者の育児休業取得率(男性) 100.0%
労働者の男女の賃金差異(全労働者) 59.9%
労働者の男女の賃金差異(うち正規雇用労働者) 59.9%

有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。

3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?


飯野海運は、海運業と不動産業を主軸に事業を展開する企業グループです。グローバルな海上輸送と国内・海外の不動産賃貸・管理を通じて収益を上げています。

■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか


同社グループは、外航海運業、内航・近海海運業、不動産業の3つの事業セグメントを展開しています。外航海運業が最も大きな収益を占め、次いで不動産業、内航・近海海運業が続きます。地域別に見ると、海外での売上高が全体の半分以上を占める事業構造となっています。

外航海運業

全世界にわたる水域で、原油、石油化学製品、液化石油ガス(LPG)、エタン、発電用石炭、肥料、木材チップなどの海上輸送を行っています。船舶の運航、貸渡、用船、管理、海運仲立業、代理店業も手掛けています。収益は、主に顧客との契約から生じるものです。運営は、AZALEA TRANSPORT S.A.、イイノマリンサービス、イイノエンタープライズなどが行っています。前期と比較して、売上高は減少しています。

内航・近海海運業

国内や近海を中心とした水域で、液化天然ガス(LNG)、液化石油ガス(LPG)、石油化学ガス、アンモニアなどの海上輸送を行っています。船舶の運航、貸渡及び管理も手掛けています。収益は、主に顧客との契約から生じるものです。運営は、イイノガストランスポートが行っています。前期と比較して、売上高は減少しています。

不動産業

国内外の賃貸オフィスビルの所有、運営、管理、メンテナンス、そしてフォトスタジオを中心とした不動産関連事業を行っています。収益は、主にリース取引から得ています。運営は、イイノ・ビルテック、イイノ・メディアプロ、IKK HOLDING LTDなどが行っています。前期と比較して、売上高は増加しています。

セグメント 売上高(2025年3月期) 売上高(2026年3月期)
外航海運業 1,175億円 1,025億円
不動産業 130億円 141億円
内航・近海海運業 113億円 108億円

■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移


同社グループの直近5期間の業績を見ると、売上高は変動しながらも、前期と比較して減少しています。経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益も、前期から減少する結果となりました。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 1,041億円 1,413億円 1,380億円 1,419億円 1,273億円
経常利益 94.3億円 209億円 218億円 174億円 169億円
経常利益率 9.1% 14.8% 15.8% 12.2% 13.3%
親会社株主に帰属する当期純利益 125億円 234億円 197億円 184億円 154億円
1株当たり当期純利益(円) 118.39 220.96 186.61 173.60 145.47

■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る


同社グループの従業員1人あたり売上高(連結)は、前期と比較して減少しています。また、従業員1人あたり営業利益(連結)も前期から減少する傾向が見られます。

指標 2025年3月期 2026年3月期
従業員1人あたり売上高(連結) 203.2百万円 185.0百万円
従業員1人あたり営業利益(連結) 24.5百万円 19.5百万円

業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。

4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?


飯野海運は、本業で得た資金を将来の成長に向けた投資に積極的に充当している状況です。これにより、事業拡大を図りながら、財務の健全性を維持しています。

■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み


同社グループの財務基盤は、自己資本比率が前期からやや減少したものの、非製造業のプライム市場平均を上回る水準を維持しています。ROE(自己資本利益率)もプライム市場平均を上回っており、効率的な経営を示しています。手元資金である現金及び預金も増加しており、事業運営における安定性がうかがえます。これらの財務状況は、同社グループが安定した事業基盤の上で雇用や給与の維持に取り組んでいることを示しています。

指標 2025年3月期(前期) 2026年3月期(当期)
純資産 1,456億円 1,583億円
自己資本比率 47.5% 45.6%
ROE(自己資本利益率) 13.2% 10.1%
現金及び預金 116億円 141億円

■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ


同社グループの当期の営業活動によるキャッシュフローは、税金等調整前当期純利益と減価償却費を主な要因として、前期から減少したもののプラスを維持しています。本業で安定した資金を生み出している状況です。投資活動によるキャッシュフローは、船舶への設備投資を中心とした固定資産の取得による支出が主な要因となり、前期よりもマイナス幅が拡大しています。これは将来の成長に向けた積極的な投資が行われていることを示しています。

財務活動によるキャッシュフローは、長期借入れによる収入が返済を上回ったことにより、前期のマイナスからプラスに転換しました。その結果、フリーキャッシュフローはマイナスとなっており、本業で得た資金を上回る規模で成長投資を行っている状況です。この資金の流れは、同社グループが事業拡大と将来の収益性向上に注力していることを示しており、長期的な視点での雇用安定性や成長性が期待されます。

項目 2025年3月期(前期) 2026年3月期(当期)
営業CF 307億円 299億円
投資CF △308億円 △421億円
財務CF △83.3億円 143億円
フリーCF(営業CF+投資CF) △57百万円 △122.6億円

■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント

① 継続企業の前提に関するリスク

継続企業の前提に関する特記事項はありません。

② 事業構造・収益性に関するリスク

同社グループは、海運市況や不動産市況の一時的な変動に左右されないよう中長期契約を主体としていますが、市況の変動により運賃収入や賃貸料収入が大きく変動する可能性があります。また、海運業においては外貨建収入が多く、為替レートの変動が損益に影響を与える状況にあります。

③ 人材・組織に関するリスク

人材・組織に関するリスクの記載はありません。

④ 雇用安定性・リストラ

解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。

財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。

5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?


飯野海運は、安全を最優先に、人々の想いを繋ぎ、より豊かな未来を築くことを企業理念としています。持続的な成長と社会への貢献を目指し、海運業と不動産業を核に事業を展開しています。

■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか


同社グループは「安全の確保を最優先に、人々の想いを繋ぎ、より豊かな未来を築きます」という企業理念を掲げています。社業の基盤である安全を最優先とし、ステークホルダーや社会との対話を通じて多様な価値を提供することを経営方針としています。

その実行にあたっては、社会的要請へ適応し、環境に配慮した行動をとることを重視しています。同社グループは、全世界にわたる外航海運業、国内・近海を中心とした内航・近海海運業、そして東京都心とロンドン中心部における不動産業の三つを核となる事業として推進しています。

また、2026年4月から開始する新中期経営計画「Transformation for a Sustainable Future」では、「変革」をテーマに掲げています。Sustainable Futureの実現に向けて、資本効率と成長投資を両立させ、さらに進化していくことを目指しています。

■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー


同社グループは、2024年3月28日にサステナビリティ基本方針を策定し、9つの項目を重視しています。具体的には、「安全の重視」「人権の尊重」「環境の保護」「社会への貢献」「コンプライアンスの徹底」「取引先の尊重」「ダイバーシティの推進」「情報開示とコミュニケーション」「教育・訓練」を掲げています。

人的資本経営においては、「価値創造人材」を「全体最適を見据えた俯瞰力」「多様な専門性」「価値創造を前に進める実行力」を備えた人材と定義しています。人材の多様性を価値創造の源泉と位置づけ、性別や年齢、経験、バックグラウンドにとらわれない人材の活躍を推進しています。

キャリア人材の活用や部門横断的な人材交流を通じて、多様な視点や知見を取り入れ、意思決定の質と価値創造力の向上につなげていく方針です。

■(3) 経営課題と今後の重点テーマ


同社グループを取り巻く事業環境は、中東地域を中心とした地政学的な緊張により、エネルギー供給や物流への影響が顕在化するなど、不確実性が高まっています。また、資本市場からは、収益の安定性と資本効率のさらなる向上を両立する経営への期待が高まっています。

こうした状況を踏まえ、短期的な課題対応に加え、構造変化や将来環境を長期的な視点で捉えた成長戦略の重要性が増大しています。新中期経営計画では、事業戦略、財務資本戦略、脱炭素化戦略の三つを重点戦略として、諸施策を実行していく方針です。

人的資本に関するリスクとしては、人材の確保・定着の不足、エンゲージメントや生産性の低下、専門性・経験の偏在による付加価値創出力の低下などが挙げられています。同社グループは、これらの課題を価値創造の機会として活用していくことを目指しています。

会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。

6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?


飯野海運は監査役会設置会社であり、取締役会と監査役会が業務執行の監督および監査を担っています。取締役会は社外取締役を含む構成で、経営の健全性、透明性、効率性の確保に努めています。

■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か


飯野海運の株主構成を見ると、筆頭株主は信託銀行の信託口であり、機関投資家が上位を占めていることが特徴です。また、同社の取引先持株会や事業会社も上位株主として名を連ねており、幅広いステークホルダーに支えられている資本構成となっています。

株主名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 8.83%
飯野海運取引先持株会 6.03%
東京海上日動火災保険 3.98%

■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか


飯野海運の役員は12名(男性10名・女性2名)で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長社長執行役員は大谷祐介氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
大谷 祐介 代表取締役社長 社長執行役員 1991年4月同社入社。2014年6月同社ドバイ駐在員事務所代表。2018年6月同社執行役員経営企画部長委嘱。2023年4月同社代表取締役社長社長執行役員より現職。
鮒子田 修 取締役 常務執行役員 1991年4月同社入社。2013年1月IINO SINGAPORE PTE. LTD.出向。2019年6月同社経理部長。2024年6月同社取締役常務執行役員より現職。
藤村 誠一 取締役 執行役員 1988年6月同社入社。2003年7月Fairfield Chemical Carriers Inc.出向。2018年6月同社執行役員ケミカル船第二部長委嘱。2025年6月同社取締役執行役員兼IINO LINES(U.S.A.)INC Presidentより現職。
保木 裕二 取締役 執行役員 1993年4月同社入社。2006年7月IINO SINGAPORE PTE. LTD.出向。2019年6月同社経営監査室長。2025年6月同社取締役執行役員事業戦略部長委嘱兼DX推進部長委嘱より現職。


社外取締役は、三好真理氏(元特命全権大使)、野々村智範氏(元エスオーシー物流代表取締役社長)、髙橋静代氏(ベビーカレンダー社外取締役・シーイーシー社外取締役)、姫野毅氏(元旭化成メディカル代表取締役社長)です。

同社は監査役会設置会社であり、取締役会は社外取締役4名を含む8名で構成されています。社外取締役は中立的な立場から、取締役の職務執行に対する監視機能を果たしています。

■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計


飯野海運の役員報酬は、業務執行取締役と社外取締役で異なる体系を採用しています。業務執行取締役には、職位に応じた固定報酬とCDPスコアに連動する業績連動月例報酬、連結当期純利益等を指標とした賞与、そして株式購入報酬が支給されます。一方、社外取締役には固定報酬のみが支払われる仕組みです。

区分 人数 総額 1人あたり平均
取締役 8名 2.2億円 27.2百万円
うち社外取締役 4名 40百万円 10.0百万円
社外監査役 2名 19百万円 9.5百万円
社外役員 6名 59百万円 9.8百万円


なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。

※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。

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この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。