※本記事は、株式会社大運 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
大運は、港湾運送事業、自動車運送事業、倉庫業、通関業、損害保険代理業などを手掛ける企業です。貨物の船積みから陸揚げ、通関手続き、倉庫保管、陸上輸送まで一貫した物流サービスを提供しています。
同社の単体従業員数は97名です。セグメントは港湾運送事業、自動車運送事業、その他の3つです。
大運は、港湾運送事業法に基づく一般港湾荷役事業や港湾荷役事業、通関業、倉庫業、一般区域貨物自動車運送事業、長距離貨物輸送業務、国際海上コンテナ貨物の内陸輸送業務、損害保険代理業を展開しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
大運は物流事業を基盤とし、港湾運送や国際物流といった専門性の高い分野で事業を展開しています。同社は人材を最も重要な経営資源と位置づけ、多様な人材の確保と育成、働きやすい環境整備に注力しています。専門性と現場力を重視する環境で、長期的なキャリア形成を目指せる働き方が期待できるでしょう。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
大運では、従業員の平均年齢が高く、平均勤続年数も長めであることから、長期にわたって安定して働くことができる環境がうかがえます。専門性の高い物流事業において、経験豊富な人材が長く活躍している傾向が見られます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,113,000円 |
| 平均勤続年数 | 22.6年 |
| 平均年齢 | 50.0歳 |
| 単体従業員数 | 97人 |
| 連結従業員数 | - |
大運は、従業員の退職給付制度として確定給付型制度(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)を採用しています。この制度は国内の従業員を対象としています。退職一時金制度もあり、その一部は同社が加入する中小企業退職金共済制度から支給されます。ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
大運は、物流事業の持続的成長を支える最も重要な経営資源を「人」と位置づけ、人的資本への戦略的投資を継続しています。港湾運送や国際物流といった専門性の高い領域において、現場力・専門性・安全品質を担う人材の確保と育成を重視しています。
人材戦略の基本方針として、性別・国籍・キャリア背景を問わない多様な価値観を持つ人材の採用を推進しています。特に国際物流の拡大に対応するため、語学力や海外業務経験を持つ人材、他業種での経験を持つ中途採用者を積極的に登用しています。
人材育成では、物流現場の高度化と安全品質の向上に向けた教育研修や資格取得支援を強化し、将来の事業を担う管理職候補の計画的育成にも注力しています。働きやすい環境整備として、育児・介護休業制度や短時間勤務制度を設け、復職時には原則として休業前の職務に復帰できる体制を整えています。また、就業時間管理の徹底や業務効率化を通じて、従業員のエンゲージメント向上にも取り組んでいます。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データは本記事では取得できていません。
多様性・登用
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職数 | 4名 |
| 中途採用者の管理職比率 | 50.0% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
大運は、港湾運送事業を主軸に、自動車運送事業やその他の事業を展開している会社です。国際一貫輸送の受注獲得に注力し、国内外の物流を支えるサービスを提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社は、港湾運送事業を主要な収益源としており、これに自動車運送事業やその他の事業を組み合わせています。国際物流における顧客の多様なニーズに応えるため、新規顧客の獲得と既存顧客との取引深化に取り組んでいます。特に港湾運送事業が同社の事業全体の大部分を占めており、収益がこのセグメントに集中している構造です。また、円安の影響を受けながらも輸入貨物の受注が堅調に推移するなど、為替変動が事業に影響を与える可能性があります。
港湾運送事業
同社の主要セグメントであり、主要取引先の受注が堅調に推移しています。この結果、当期は前期から増収増益となりました。収益は、港湾における運送サービスから得ています。
自動車運送事業
当セグメントは、収益的に厳しい状況が続いています。当期は前期から減収となり、燃料費等のコスト高騰の影響によりセグメント損失を計上しました。収益は、自動車による運送サービスから得ています。
その他
当セグメントは、当期において前期とほぼ同水準で推移し、増収増益となりました。収益は、その他の事業活動から得ています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 港湾運送事業 | 84.7億円 | 90.4億円 |
| 自動車運送事業 | 2.0億円 | 1.6億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社の当期における経営成績は、営業収入、営業利益、経常利益、当期純利益の全てにおいて前期から増加しました。特に営業利益は前期から大幅に増加しており、収益性が改善している傾向が見られます。
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社の財務状況は、本業で安定した資金を生み出し、投資活動も行いながら、手元に余剰資金を確保している状態を示しています。これにより、事業の継続性と成長に向けた基盤が整っていることがうかがえます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社の財務基盤は、自己資本比率が高水準で推移しており、安定した経営状況を示しています。本業で得た利益を効率的に活用し、手元資金も確保していることから、事業の継続性や将来の成長に向けた投資余力があると考えられます。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 自己資本比率 | 63.8% | 66.3% |
| ROE(自己資本利益率) | 7.8% | 8.2% |
| 現金及び預金等 | 13.2億円 | 15.0億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社のキャッシュフローは、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローが前期から増加し、当期は5.4億円のプラスとなっています。これは、税引前当期純利益の計上や仕入債務の増加などが主な要因です。投資活動によるキャッシュフローは、投資有価証券の取得などにより△1.6億円のマイナスとなりました。財務活動によるキャッシュフローは、長期借入金の返済や配当金の支払いなどにより△2.0億円となっています。
これらの結果、自由に使える資金を示すフリーキャッシュフローは、前期から増加し、当期は3.8億円のプラスとなりました。本業で安定的に資金を生み出し、投資も行いつつ、手元に余剰資金を確保している状況は、同社の事業の安定性と成長に向けた健全な財務運営を示しています。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 2.2億円 | 5.4億円 |
| 投資CF | △1.1億円 | △1.6億円 |
| 財務CF | △5.7億円 | △2.0億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 1.1億円 | 3.8億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社は、長年の慣例として荷主の海上運賃や関税などを一時的に立替払いしており、営業未収入金とともに多額の立替金が計上される傾向にあります。そのため、営業未収入金が回収不能となった場合、立替金も回収不能となり、経営成績及び財政状態に影響を与えるリスクがあります。
また、同社が展開する総合物流事業は、経済動向、天災、テロや戦争、疾病の発生・蔓延といった外部経営環境の変化により、輸送需要が大きく減少する可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
人材・組織に関するリスクの記載はありません。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
大運は、港湾運送事業を基盤に国際複合一貫輸送を展開する物流企業です。顧客ニーズに応え、「創造するロジスティクス」を追求することで社会に貢献することを目指しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社の経営理念は「常に豊かな総合物流の未来を拓く」です。今日まで培った経験と実績を基盤とし、顧客のニーズに迅速に応えながら「創造するロジスティクス」を追求しています。
これにより社会に貢献できる企業を目指しており、事業の発展と経営の安定を通じて、株主や協力会社など信頼を寄せる人々の期待に応えることを方針としています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社は、安全第一、コンプライアンスの徹底、地球環境に配慮したグリーン経営を経営姿勢としています。持続可能性の観点から企業価値向上を目指し、サステナビリティ推進体制を強化しています。
多様な価値観を持つ人材を集めるため、性別や国籍に捉われない採用活動や中途採用を積極的に行っています。働きやすい職場環境の整備にも努め、育児介護休業や短時間勤務制度の取得を容易にするなど、ライフワークバランス推進に取り組んでいます。
また、国土交通省港湾局の「みなとSDGsパートナー」に登録され、港湾の持続可能な発展にも貢献する企業風土です。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社は、多様化する市場の変化に対応できる企業体質を確立するため、新たな輸送方法の研究・開発とそれを担う人材の育成を目指しています。特に営業力の強化として、営業担当者の質的向上と営業人員の増加、営業推進体制の再構築を重点項目としています。
また、経営姿勢として安全第一、コンプライアンスの徹底、地球環境に配慮したグリーン経営をより充実させることを課題としています。経営資源を有効活用しながら収益機会を創造し、財務体質の改善と経営の効率化、安定化を目指しています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
大運は、上場企業としての社会的使命と責任を果たすため、コーポレート・ガバナンスの充実を重要な経営課題と位置付けています。取締役会と監査等委員会の機能強化を図り、経営の透明性を高める体制を構築しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社の株主構成は、協力会社や従業員による持株会が上位を占めている点が特徴です。これは、同社の事業活動を支える協力会社や従業員との連携を重視し、安定的な経営基盤を築いていることを示しています。特定の事業会社や機関投資家が突出して高い比率を占める形ではありません。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 大運協力会社持株会 | 18.23% |
| 大運従業員持株会 | 9.21% |
| W | 3.85% |
| 佐伯高史 | 2.90% |
| 前田慶和 | 2.74% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は8名(男性8名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は岩崎雅信氏が務めています。社外取締役比率は37.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 岩崎雅信 | 代表取締役社長 | 1989年3月関西商運株式会社入社。2007年4月同社移籍入社、管理部総務課課長。2017年6月取締役管理本部長就任。2018年6月代表取締役社長就任より現職。 |
| 福永芳郎 | 常務取締役港運本部長 | 1993年11月同社入社。2007年10月国内部部長。2017年7月執行役員。2018年6月取締役営業業務本部長就任。2023年4月常務取締役港運本部長就任より現職。 |
| 上岡紀哉 | 取締役第一営業本部長 | 2002年4月同社入社。2008年2月国際物流部青島事務所長課長。2019年10月営業本部営業部長。2021年3月営業本部執行役員。2023年6月取締役第一営業本部長就任より現職。 |
| 川原弘真 | 取締役第二営業本部長 | 1996年12月関西商運株式会社入社。2007年4月同社入社。2017年4月営業本部部長。2021年3月営業本部執行役員。2023年6月取締役第二営業本部長就任より現職。 |
社外取締役は、中井保弘氏(中井保弘税理士事務所所長)、面屋晋氏(フジコーポレーション取締役)、岡部一男氏(元大阪海運貨物取扱業会専務理事)です。
同社は監査等委員会設置会社へ移行しており、取締役会は社外取締役1名を含む5名、監査等委員は社外取締役2名を含む3名で構成されています。社外取締役は、取締役会での意思決定への参画と監視・監督機能、および独立した立場からの監査を担っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、企業価値向上への貢献を原則とし、経営環境や従業員の処遇との整合性を考慮して水準が定められています。報酬額は株主総会の決議に基づき、取締役会で定められた規則に従って算定され、代表取締役が個別の報酬額を決定しています。報酬の種類は固定報酬のみで構成されています。
なお、当期支給額には、使用人兼務取締役の使用人分の給与は含まれていません。
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