※本記事は、兵機海運株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
兵機海運は、内航海運、港湾運送、倉庫、外航海運といった多岐にわたる事業活動を展開しています。同社グループは、兵機海運と密接に関わる関連会社2社で構成されています。
単体従業員数は236名です。同社のセグメントは海運事業、港運・倉庫事業の2つです。
兵機海運は、内航海運を主力事業として国内の海上輸送業務を担っています。また、神戸・大阪・姫路港で港運事業と倉庫事業を展開しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
兵機海運は、内航・外航海運事業、港運・倉庫事業を柱とする総合物流サービスを提供し、社会インフラを支える企業です。国民生活と企業活動のライフラインを支える堅実な事業展開を通じて、顧客からの信頼を重視しています。同社は人材育成を重要な経営課題と位置づけ、従業員が安心して働ける環境整備にも力を入れています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、人材育成を重要課題とし、長期経営ビジョンにおいて「“経営参画”意識をもった“人財”による強固な組織への変革」を掲げています。従業員が安心して働ける社内環境の整備にも取り組んでおり、比較的長く勤める従業員が多い傾向が見られます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,955,796円 |
| 平均勤続年数 | 16.44年 |
| 平均年齢 | 45.43歳 |
| 単体従業員数 | 236人 |
| 連結従業員数 | - |
同社は従業員の退職給付として、確定給付型制度(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型制度(会社が拠出した資金を従業員が運用する)を設けています。これらの制度は国内の従業員に適用されます。
退職一時金制度も存在します。ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社は、総合物流サービスを通じて持続的な成長と企業価値の向上を目指しており、人材の育成・確保を極めて重要な経営課題と認識しています。長期経営ビジョン「VISION for 2035」では「経営参画意識をもった人財による強固な組織への変革」を基本方針に掲げ、中期経営計画「Road to 2027」においても人材を最重要の経営資源と位置付け、人的資本経営の実現に取り組んでいます。
従業員の給与・報酬は、各従業員に期待される役割別に資格等級を定め、能力・経験・役割目標への到達深度、業績、貢献度を総合的に勘案し、公正かつ合理的に決定することを基本方針としています。賞与は会社の業績と個人の評価を反映させ、エンゲージメント強化を図っています。また、従業員の経済的安定確保と人材定着のため、ベースアップも積極的に推進しています。
具体的な人材育成策としては、OJTによる業務修得や、階層に応じた体系的な研修を実施しています。2022年度からは外部セミナーを活用し、計画的な受講を促しています。内航船員の高齢化や担い手不足に対処するため、事業パートナーと共同で七洋船舶管理を設立し、船員の確保・育成にも取り組んでいます。従業員が安心して働ける社内環境整備のため、安全衛生会議を毎月実施しているほか、2022年10月の育児・介護休業法改正に対応し、出生時育児休業(産後パパ育休)の創設や育児休業の分割取得などを制度化し、ワークライフバランスにも配慮しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。男女賃金差異は、女性活躍推進法に基づく公表義務の対象項目として選択しておらず、公表されていません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 1.8% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
兵機海運は、内航海運や外航海運、港湾運送、倉庫といった多岐にわたる物流サービスを提供しています。国内の海上輸送を主力としつつ、輸出入貨物の取り扱いや倉庫での保管業務も展開しており、国民生活と企業活動を支える物流のライフラインを担っています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社は、主に「海運事業」と「港運・倉庫事業」の二つのセグメントで事業を展開しています。それぞれの事業が異なる特性を持ち、互いに連携しながら収益を上げています。
海運事業
この事業では、主に国内の海上輸送を行う内航海運と、国外の海上輸送を行う外航海運を手掛けています。内航海運は同社の主力事業であり、鉄鋼製品などの輸送を担っています。収益は、海上輸送業務の提供から得ています。運営は、関連会社である吉美が姫路港での荷役の一部を、七洋船舶管理が船員派遣等を行っています。直近では、鉄鋼需要の低迷やコスト増、傭船契約の解除などにより、売上高と営業利益ともに減少する傾向が見られました。
港運・倉庫事業
この事業では、神戸・大阪・姫路港で輸出入貨物の取り扱いを行う港運と、同地域で倉庫を展開する倉庫業務を行っています。収益は、港湾での荷役作業や通関業務、倉庫での保管・入出庫作業の提供から得ています。運営は、関連会社である吉美が姫路港において入出庫荷役を委託されています。直近では、輸入食品の取り扱い増加や輸出通関件数の好調、新規取引先の拡大などにより、港運事業は増収増益となりました。倉庫事業も姫路・大阪地区の堅調な推移や神戸地区の黒字回復により、増収増益となっています。
同社は、大和工業グループやJFE物流グループといった特定の顧客への販売実績が一定の割合を占める傾向にあります。また、外航事業においてはドル建て海上運賃による円安効果が収益にプラスに作用するなど、為替変動の影響を受ける側面もあります。本邦の外部顧客への売上高が全体の90%を超えており、国内市場が事業の中心となっています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 海運事業 | 83.5億円 | 76.0億円 |
| 港運・倉庫事業 | 53.8億円 | 57.9億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社の過去の業績推移を見ると、売上高は変動しながらも、経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益は安定して計上されている傾向が見られます。直近の事業年度では、売上高は前期から減少する結果となりました。経常利益と当期純利益も前期に比べて減少する傾向を示しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 161億円 | 184億円 | - | - | - |
| 経常利益 | 5.2億円 | 6.1億円 | - | - | - |
| 経常利益率 | 3.3% | 3.3% | - | - | - |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 3.6億円 | 4.4億円 | - | - | - |
| 1株当たり当期純利益(円) | 305.94 | 375.07 | - | - | - |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社は本業で安定的に資金を生み出し、事業投資も行いつつ、手元資金を確保している状況を示しています。財務基盤の安定性は、入社後の雇用や給与の安定性にも関わる重要な要素です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社の財務基盤は、自己資本比率がプライム市場の非製造業平均と比較して高い水準にあり、安定した状態を示しています。ROE(自己資本利益率)はプライム市場平均を下回っていますが、前期からは減少しています。手元資金は前期から減少しているものの、一定の厚みを維持している状況です。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 4,853百万円 | 5,653百万円 |
| 自己資本比率 | 38.7% | 43.3% |
| ROE(自己資本利益率) | 9.0% | 7.0% |
| 現金及び預金等 | 1,977百万円 | 1,702百万円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社の当期のキャッシュフローは、営業活動による資金がプラスであり、本業で安定的に資金を生み出していることを示しています。投資活動では有形固定資産の取得などに資金を使用しており、事業の維持・拡大に向けた投資が行われています。その結果、フリーキャッシュフローはプラスとなっており、本業で得た資金で投資を賄い、なお余剰資金がある状態です。
財務活動では長期借入金の返済や配当金の支払いにより資金が減少していますが、長期借入れによる収入も得ています。全体として、同社は本業で資金を稼ぎ、必要な投資を行いながら、財務の健全性を維持している状況です。これは、入社後の雇用や給与の安定性、そして将来的な成長性にもつながる財務状況であると言えます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 877百万円 | 521百万円 |
| 投資CF | △153百万円 | △229百万円 |
| 財務CF | △788百万円 | △568百万円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 724百万円 | 292百万円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社の主力事業である内航事業は、主な輸送品目である鉄鋼の需要が景気動向に左右されるため、貨物取扱量の減少が経営に影響を及ぼす可能性があります。また、燃料や原材料価格の高騰、人件費の上昇といったコスト増を適正に料金転嫁できない場合、経営に影響を及ぼすリスクがあることを示しています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社は、総合物流企業として発展していくために、顧客に対し最適な物流提案を行うことができる優秀な人材の確保・育成が課題であると認識しています。特に、船員や倉庫作業員といった現場を担う人材の確保は物流業界全体の大きな課題であり、十分な人材が確保できない場合には経営に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
兵機海運は、「総合物流業者としてその業務を通じて社会に貢献する」という経営理念のもと、顧客のニーズを先取りし、社会や環境との共存を図ることを重視しています。物流のエキスパートとして、革新的でスピーディーな経営を目指す企業文化が特徴です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
兵機海運は、「総合物流業者としてその業務を通じて社会に貢献する」という経営理念を掲げています。顧客のニーズを先取りし、生産と消費をつなぐ物流のエキスパートを目指しています。
2025年4月には、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を目指し、長期経営ビジョン「VISION for 2035 物流“ソリューション”企業として新たなステージへ ~創業100年に向けた挑戦~」を策定しました。2035年度をターゲットに、新領域事業への進出や“経営参画”意識をもった“人財”による強固な組織への変革を掲げています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
兵機海運は、「兵機コーポレートガバナンス・ガイドライン」において、“共存共栄”の精神を経営思考の基盤とし、荷主や協力業者と一体となった信頼関係を築くことを重視しています。
経営理念として「専門知識の修得に努め、常に現状の改善をめざす」「感謝と謙虚な心で業務に励み、信頼される会社を築く」「総合物流業者として社会に貢献する」の3つを掲げています。長期経営ビジョンでは、“経営参画”意識をもった“人財”による強固な組織への変革を目指しており、人的資本経営の実現に向けた取り組みを進めています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
兵機海運は、労働力不足や船員不足、作業員の高齢化を重要な経営課題と認識しています。これに対し、船員直接雇用の強化や新卒作業員の採用を進め、人材確保と技術継承に注力しています。
また、安全教育の強化による労務問題や事故リスク低減、システムを活用した業務効率化にも取り組んでいます。中期経営計画では、人的資本経営の実現、システム・データ利活用の促進、ESG経営への取り組み強化を重点テーマとして掲げています。従業員の経営参画意識向上や長期的な人材育成方針の構築も進めています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
兵機海運は、監査等委員会設置会社として、取締役会と監査等委員会が連携し、経営の透明性と効率性の向上を目指しています。社外取締役が経営監視機能を担うことで、コーポレート・ガバナンス体制の強化を図っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社の筆頭株主は大和工業で、20.40%の株式を保有する事業会社です。上位株主には、堂島汽船やふたば会といった複数の事業会社や取引先で構成される持株会が名を連ねています。特定の株主が過半数を占める状況ではなく、多様なステークホルダーによって支えられている資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 大和工業 | 20.40% |
| 堂島汽船 | 9.97% |
| ふたば会 | 5.44% |
| 有限会社山広運輸興業 | 5.09% |
| 富洋海運 | 4.85% |
なお、ふたば会は同社の取引先で構成される持株会であります。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は10名(男性10名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は大東慶治氏が務めています。社外取締役比率は20.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 大東 洋治 | 取締役会長 (代表取締役) | 1970年4月 同社入社、2004年2月 同社代表取締役社長、2024年6月 同社代表取締役会長より現職。 |
| 大東 慶治 | 取締役社長 (代表取締役) | 2002年4月 同社入社、2022年6月 同社常務取締役、2024年6月 同社代表取締役社長より現職。 |
| 内田 一彦 | 取締役 | 1988年4月 兵庫県警察警察官拝命、2020年7月 同社入社、2024年6月 同社取締役倉庫部長 港運・倉庫事業担当より現職。 |
| 松岡 和良 | 取締役 | 1980年4月 同社入社、2019年4月 同社執行役員姫路支店長、2024年6月 同社取締役姫路支店長 内航事業担当より現職。 |
| 田中 清隆 | 取締役 | 1987年4月 広島銀行入行、2019年6月 同社入社、2024年6月 同社取締役営業本部室長 外航事業担当より現職。 |
| 梅﨑 慎一 | 取締役 | 1988年4月 兵庫相互銀行(現みなと銀行)入行、2023年4月 同社執行役員財務部長、2024年6月 同社取締役財務部長 財務担当より現職。 |
| 佐藤 清 | 取締役 | 1975年4月 同社入社、2015年6月 同社常務取締役、2025年6月 同社取締役より現職。 |
社外取締役は、五島大亮氏(公認会計士・監査等委員)と濵田在人氏(税理士・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、取締役10名のうち3名が監査等委員である取締役で構成されています。このうち2名が社外取締役であり、専門的な見識を持つ外部者の視点から経営監視の実効性を高め、企業統治及び企業価値の向上に寄与しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、固定的な基本報酬、事業年度の業績に応じた賞与、そして譲渡制限付株式報酬で構成されています。これにより、株主との価値共有を促進し、企業価値の持続的な向上へのインセンティブを付与する仕組みとなっています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 9名 | 90百万円 | 10.0百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 7百万円 | 7.0百万円 |
| 社外役員 | 2名 | 5百万円 | 2.5百万円 |
なお、譲渡制限付株式報酬には、当事業年度に費用計上した額を記載しております。また、取締役(監査等委員及び社外取締役を除く)に対する非金銭報酬等の総額の内訳は、譲渡制限付株式報酬11百万円であります。
報酬等の総額が1億円以上の役員は存在しないため、個人別の開示は行われていません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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