※本記事は、鈴与シンワート株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
鈴与シンワートは、情報サービス事業と物流事業を展開する企業です。同社グループは、システム開発からクラウドサービス、人事ITコンサルティングまで幅広い情報サービスを提供しています。
単体従業員数は723名、連結従業員数は918名です。セグメントは情報サービス事業、物流事業、全社(共通)の3つです。
主な国内グループ会社は、鈴与(物流事業)、インタークエスト(情報サービス事業)などです。
同社は、当連結会計年度において、連結子会社であるインタークエストのプロダクト販売に関する事業承継を実施しました。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
鈴与シンワートは、情報サービス事業と物流事業を主軸とする企業です。専門性の高いIT分野と、社会インフラを支える物流分野の両方で事業を展開しており、社員の専門性や安定した働き方が重視される環境であると考えられます。
同社グループは、持続可能な社会の実現に貢献するため、事業活動を通して様々な社会課題に取り組むサステナブル経営を推進しています。人的資本への投資も積極的に行い、社員一人ひとりの成長と能力発揮を企業価値向上に直結するものと捉えています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、平均年齢が40代前半、平均勤続年数が10年を超えており、一定の経験を積んだ社員が長く活躍している傾向が見られます。これは、社員が長期的なキャリアを築きやすい環境であることを示唆しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 7,251,000円 |
| 平均勤続年数 | 10.6年 |
| 平均年齢 | 41.6歳 |
| 単体従業員数 | 723人 |
| 連結従業員数 | 918人 |
| 単体のグループ内比率 | 78.8% |
同社及び連結子会社は確定給付型の制度として、退職一時金制度を設けています。退職給付債務は17.8億円となっています。ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、事業環境の変化に適応し持続的な成長を実現するため、事業戦略の見直しに合わせて、組織運営体制、人事制度及び教育研修プログラムの整備・強化を進めています。経営ビジョン「徹底した現場力の向上による収益構造の改革」の実現を支える「人財力の強化」の観点から、専門性の向上、リスキリング及びキャリア開発に対する人的資本投資を推進しています。
従業員の給与その他の給付については、職務・役割、成果、市場水準及び採用競争力等を総合的に勘案し、従業員のモチベーションの維持・向上及び人財の確保に資する適切な水準となるよう設定しています。
人財育成方針として「多彩で卓越した専門性を有し、自律して協働できる人財を育てる」を掲げ、社内環境整備方針として「従業員一人ひとりが心身ともに健康で活き活きとビジネスの現場で活躍し成長を実感できる環境づくり」を定めています。これらの基本方針のもと、「人的資本投資・開発(教育、リスキル、キャリア開発)」「人権の尊重とダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)」「健康経営」を具体的な取組テーマとして推進しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。男女賃金差異は、職位、職種、勤続年数等の構成差の影響を受けるため、同一の職務・等級における処遇差を直接示すものではありません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 9.6% |
| 男性育児休業等取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 82.4% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 81.8% |
| 男女賃金差異(有期雇用労働者) | 88.9% |
Ⅰ.人的資本投資・開発(教育、リスキル、キャリア開発)
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 新卒採用数(2025年度実績) | 43人 |
| 3年以内離職率(2025年度実績) | 0.0% |
| 品質教育受講対象者数(2025年度) | 290人 |
| 品質教育受講者数(2025年度) | 260人 |
| 品質教育受講率(2025年度) | 89.7% |
| 会社必須資格取得者数(2025年度) | 42人 |
| 会社推奨資格等取得者数(2025年度) | 69人 |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
鈴与シンワートグループは、情報サービス事業と物流事業を二つの柱として事業を展開しています。お客様のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進を支援するITサービスと、社会のインフラを支える物流サービスを提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、情報サービス事業を主力とし、システム開発からクラウドサービス、コンサルティングまで幅広いITソリューションを提供しています。また、物流事業では、倉庫、港運、陸運といった多様なサービスを通じて、顧客のサプライチェーンを支えています。情報サービス事業が同社グループ全体の売上構成比の大部分を占める状況です。
情報サービス事業
システム開発のほか、HCM(Human Capital Management)サービス、クラウドサービス、コンサルティングサービスを提供しています。好調なIT投資を背景に、パッケージソリューションサービスの大型案件やクラウドサービスが収益拡大に貢献しています。
収益は、システム開発や各種ソリューションの提供から得ています。運営は、株式会社インタークエストがWebソリューションを、ビジネス・デザイン・コンサルティング株式会社が人事ITコンサルティングサービスをそれぞれ担当しています。
物流事業
倉庫事業、港運事業、陸運事業を展開しています。既存顧客の取扱量増加や新規取引の獲得が寄与し、堅調に推移しています。燃油価格の高止まりやドライバーの時間外規制強化といった課題に対応しつつ、収益性の改善に取り組んでいます。
収益は、倉庫保管料、港湾での荷役作業、陸上輸送サービスなどから得ています。運営は、連結子会社である鈴与シンワ物流株式会社が中心となって行っています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 情報サービス事業 | 157億円 | 171億円 |
| 物流事業 | 33.9億円 | 35.5億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は、過去5期にわたり継続して増加傾向にあります。経常利益も同様に順調な成長を示しており、収益性の改善が進んでいることがうかがえます。親会社株主に帰属する当期純利益は、直近の期でわずかに減少となりましたが、全体としては堅調な推移となっています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 145億円 | 155億円 | 172億円 | 191億円 | 207億円 |
| 経常利益 | 4.0億円 | 5.5億円 | 10.7億円 | 14.4億円 | 18.1億円 |
| 経常利益率 | 2.8% | 3.6% | 6.2% | 7.5% | 8.8% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 2.8億円 | 3.8億円 | 7.7億円 | 11.1億円 | 10.8億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 93.61 | 129.71 | 265.20 | 391.92 | 379.61 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高(連結)は前期から増加しています。また、従業員1人あたり営業利益(連結)も前期から増加する傾向を示しています。
これらの指標は、同社グループが事業規模を拡大しつつ、従業員一人ひとりの生産性も向上していることを示しています。効率的な事業運営と従業員の貢献が、同社グループの収益体質を強化している状況です。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 21.7百万円 | 22.5百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 1.6百万円 | 1.9百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
鈴与シンワートの財務状況は、事業の安定性と将来への投資姿勢を理解する上で重要な情報です。同社グループは本業で着実に資金を生み出しつつ、成長に向けた投資を積極的に行っている段階にあることがうかがえます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
鈴与シンワートの財務基盤を見ると、自己資本比率は40.5%となっており、プライム市場の非製造業平均(24.2%)と比較して高い水準を示しています。ROE(自己資本利益率)は21.6%で、プライム市場平均(9.4%)を上回る水準です。手元資金である現金及び預金は10.3億円であり、これらの指標から、同社グループの財務は安定している状況がうかがえます。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 45.1億円 | 54.9億円 |
| 自己資本比率 | 37.1% | 40.5% |
| ROE(自己資本利益率) | 27.3% | 21.6% |
| 現金及び預金 | 19.9億円 | 10.3億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
鈴与シンワートのキャッシュフローを見ると、営業活動によるキャッシュフローは7.1億円のプラスとなりました。これは主に税金等調整前当期純利益や減価償却費によるものでしたが、売上債権の増加額や法人税等の支払額が影響しています。投資活動によるキャッシュフローは、有形固定資産の取得による支出や短期貸付金の純増額により、△11.8億円のマイナスとなっています。
財務活動によるキャッシュフローは、短期借入金の純増額があったものの、長期借入金の返済や配当金の支払額により、△4.9億円のマイナスとなりました。その結果、フリーキャッシュフローはマイナスとなっており、本業で得た資金を上回る投資を行っている成長投資フェーズにあることがうかがえます。これは将来の事業拡大に向けた積極的な姿勢を示しており、中長期的な雇用安定性や給与水準の維持・向上につながる可能性があります。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 17.6億円 | 7.1億円 |
| 投資CF | △1.7億円 | △11.8億円 |
| 財務CF | △9.9億円 | △4.9億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 15.9億円 | △4.7億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの情報サービス事業は、景気動向や顧客企業のシステム開発状況、競合企業の動向に影響を受ける可能性があります。また、物流事業も景気動向や消費動向、顧客企業の経営判断や物流合理化等の影響を受けることがリスクとして挙げられています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、事業拡大や技術革新に対応できる人財を継続的に確保し育成することが重要な課題と認識しています。人財の採用から育成までの活動が計画通りに進まない場合、同社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
鈴与シンワートは、情報サービスと物流の二つの事業を柱とし、社会貢献と持続的成長を目指す企業グループです。鈴与グループの経営理念である「共生(ともいき)」の精神を基盤に、事業活動を通じて社会課題解決に取り組んでいます。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、社会貢献できる企業グループであり続けることを目標としています。企業価値を高め、持続的な成長を実現すべく、情報サービス事業と物流事業において、事業拡大と収益力強化を進めています。鈴与グループ共通の経営理念である「共生(ともいき)」の精神に則り、事業活動を通して様々な社会課題に取り組むサステナブル経営を推進しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、経営理念である「共生」の実践がサステナビリティ経営の推進に繋がると認識しています。「社会との共生」「お客様・取引先との共生」「社員同士、グループ各社の共生」を重視する企業風土です。人財育成方針として「多彩で卓越した専門性を有し、自律して協働できる人財を育てる」ことを掲げています。また、社内環境整備方針では「従業員一人ひとりが心身ともに健康で活き活きとビジネスの現場で活躍し成長を実感できる環境づくり」を定めています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、情報サービス事業において生成AIをはじめとする技術革新への対応を課題としています。品質・生産性の向上と提案力強化、付加価値型への転換、お客様の課題解決に価値を提供するビジネスへの転換に努めています。物流事業では、燃料価格の高止まりや人件費上昇、ドライバーの労働時間規制強化といった厳しい状況が継続すると認識しています。現場改善活動や業務効率化、DX活用による生産性向上、人的資本への投資を通じた人財の定着・育成を進めています。お客様のDX推進支援を通じて社会課題の解決に貢献し、持続可能な社会の実現に寄与することを目指しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
同社は監査等委員会設置会社であり、取締役会の監督機能強化を図っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社は、鈴与システムテクノロジー、鈴与興産、鈴与ホールディングスといった鈴与グループの関連会社が上位株主として名を連ねています。これらの関連会社が主要な株主として同社を支える資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 鈴与システムテクノロジー | 12.06% |
| 鈴与興産 | 11.38% |
| 鈴与ホールディングス | 9.52% |
| 三井住友信託銀行 | 4.49% |
| みずほ銀行 | 4.34% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は9名(男性9名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長執行役員は德田康行氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 德田 康行 | 代表取締役社長執行役員 | 1979年4月日本開発銀行(現 株式会社日本政策投資銀行)入行、2009年5月鈴与ホールディングス株式会社企画チーム部長、2019年6月鈴与システムテクノロジー株式会社取締役、2023年6月同社代表取締役社長執行役員より現職。 |
| 平野 文康 | 取締役副社長執行役員事業部門統括兼CIO兼CISO兼CQO | 1982年4月日本電気株式会社入社、2014年4月NECソリューションイノベータ株式会社執行役員常務、2016年6月同社専務取締役、2023年6月同社取締役副社長執行役員事業部門統括兼CIO兼CISO兼CQOより現職。 |
| 道田 隆典 | 取締役西日本地区担当 | 1980年4月五洋電気株式会社入社、1999年10月同社入社、2012年6月同社取締役第二システムインテグレーション事業部長、2024年4月同社取締役西日本地区担当より現職。 |
| 大川 正 | 取締役執行役員管理本部長 | 1993年4月鈴与商事株式会社入社、2010年5月鈴与システムテクノロジー株式会社入社、2020年6月同社取締役シェアードサービスカンパニー長兼総務人事部長、2026年4月同社取締役執行役員管理本部長より現職。 |
| 大石 素久 | 取締役 | 1987年4月鈴与株式会社入社、2015年9月東海埠頭株式会社常務取締役、2022年6月鈴与シンワ物流株式会社代表取締役社長、2022年6月同社取締役より現職。 |
社外取締役は、吉田芳之氏(元日本郵船取締役専務経営委員)、河合健一氏(元静岡コンピュータサービス代表取締役社長)、杉田光秀氏(元静岡銀行専務執行役員首都圏カンパニー長)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、取締役会の監督機能強化を図っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社は、取締役会において、取締役(監査等委員である取締役を除く。)の個人別の報酬等の内容に係る決定方針を決議しています。取締役会は、独立社外取締役で構成する指名・報酬諮問会議が協議のうえ決定する答申を踏まえて審議し、個人別の報酬額の最終決定を代表取締役に一任することを決定しています。また、個人別の報酬額の算定では、継続的な企業価値向上を念頭に同社取締役が担うべき機能・役割に応じた水準になるよう別に定める「役員標準報酬基準」に従うこととしています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 4名 | 81百万円 | 20.2百万円 |
| 社外役員 | 3名 | 15百万円 | 5.0百万円 |
同社の役員報酬は、報酬等の総額が96百万円、対象となる役員の員数は7名です。
連結報酬等の総額が1億円以上の役員は存在しないため、個人別の報酬開示はありません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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