東海リース 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東海リース 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード市場に上場する、仮設建物やユニットハウスのリースおよび販売を行う企業です。主力事業である仮設建物リース業において、官公庁需用案件の受注単価上昇などが寄与し、売上高は184億円で増収、経常利益は15億円、当期純利益は11億円となり、増収増益を達成しています。


※本記事は、東海リース株式会社 の有価証券報告書(第57期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 東海リースってどんな会社?


仮設建物やユニットハウス、それに付随する什器備品のリース・販売を全国展開するオペレーティングリース会社です。

(1) 会社概要


1968年に設立され、仮設建物のリース専門事業を開始しました。1986年に大阪証券取引所市場第二部へ上場、1990年には東京証券取引所市場第二部に上場を果たしています。2013年の現物市場統合を経て、2022年の市場区分見直しに伴い、現在は東京証券取引所スタンダード市場に上場しています。

同社グループは連結子会社4社で構成され、従業員数は連結で582名、単体で433名です。筆頭株主は代表取締役社長の塚本博亮氏で、第2位は資産管理会社と思われる株式会社オーガスト・エイト、第3位は個人株主の塚本四女子氏となっています。創業家出身者が主要株主として名を連ねているのが特徴です。

氏名 持株比率
塚本 博亮 7.17%
オーガスト・エイト 6.11%
塚本 四女子 3.66%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性0名の計10名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は塚本博亮氏が務めています。社外取締役比率は20.0%です。

氏名 役職 主な経歴
塚本 博亮 代表取締役社長 1985年三菱総合研究所入社。1994年同社入社。取締役総務部長、代表取締役副社長などを経て2014年より現職。
安田 金四郎 常務取締役営業販売本部長 1983年同社入社。千葉支店長、第四営業販売部長、営業販売本部長などを経て2019年より現職。
筌場 順司 取締役第一生産配送部長 1996年同社入社。枚方配送センター工場長、生産配送本部業務管理部長を経て2017年より現職。
大西 泰史 取締役管理本部長 1988年同社入社。総務部長を経て2023年より現職。
酒井 岳宏 取締役第五営業販売部長 1987年同社入社。第一営業販売部長、第三営業販売部長などを経て2019年より現職。
西江 計二 取締役第一営業販売部長 1985年同社入社。高松支店長、東京第二支店長、第二営業販売部長などを経て2019年より現職。
福本 篤士 取締役生産配送本部業務管理部長 1994年同社入社。生産配送本部業務管理部次長などを経て2019年より現職。
此下 純央 取締役監査等委員(常勤) 1978年同社入社。名古屋支店長、官公庁需用販売部長、大分営業所長を経て2023年より現職。


社外取締役は、松井巧(元大阪国税局調査第一部調査開発課開発課長)、杉谷浩哉(元葛城税務署長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「仮設建物リース業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 仮設建物リースおよび販売


建設現場やイベント会場などで使用される仮設建物を、ユーザーに対してリースまたは販売しています。連結子会社である東海ハウスなどが製造した部材を同社が仕入れ、提供を行っています。

収益は、ユーザーからのリース料や販売代金によって得ています。運営は主に東海リースが行っており、製造部門として連結子会社の東海ハウスや、中国の現地法人が連携して事業を展開しています。

(2) 什器備品リースおよび販売


仮設建物等で使用される机、椅子、ロッカーなどの什器備品類を、ユーザーに対してリースまたは販売しています。

収益は、什器備品のリース料や販売代金から得ています。運営は、連結子会社である日本キャビネットが同社へリースおよび販売を行い、同社がエンドユーザーへ提供する形態をとっています。

(3) ユニットハウスリースおよび販売


工場で製造された箱型の建物であるユニットハウスを、ユーザーへリースまたは販売しています。また、トイレ棟やフロなどの衛生用移動建物も取り扱っています。

収益は、ユニットハウス等のリース料や販売代金から得ています。ユニットハウスは主に連結子会社の東海ハウスより仕入れを行っていますが、衛生用移動建物については主に他業者から仕入れを行い、同社がユーザーへ提供しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は増加傾向にあり、直近では184億円に達しています。利益面でも、経常利益、当期純利益ともに大きく伸長しており、利益率も向上しています。特に直近の当期純利益は前期比で大幅な増益となっており、好調な業績推移を示しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 151億円 164億円 157億円 172億円 184億円
経常利益 6.2億円 5.9億円 3.4億円 10.6億円 15.3億円
利益率(%) 4.1% 3.6% 2.2% 6.2% 8.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 3.1億円 2.7億円 0.6億円 5.7億円 9.6億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い、売上総利益も増加しています。売上総利益率は21.5%まで上昇し、収益性が向上していることがわかります。営業利益も大幅に増加しており、営業利益率は8.2%となっています。コストコントロールと売上拡大が両立し、利益体質が強化されています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 172億円 184億円
売上総利益 33億円 40億円
売上総利益率(%) 19.2% 21.5%
営業利益 10億円 15億円
営業利益率(%) 5.8% 8.2%


販売費及び一般管理費のうち、給料が9億円(構成比35.2%)、賞与引当金繰入額が2億円(同8.7%)を占めています。

(3) セグメント収益


同社は仮設建物リース業の単一セグメントですが、売上高は前期比で増加しています。官公庁需用案件の受注単価アップなどが主な増収要因となっており、事業規模の拡大が続いています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
仮設建物リース業 172億円 184億円
連結(合計) 172億円 184億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

東海リースは、オペレーティングリース会社として、営業用資産であるリース用資産の取得を投資活動と位置づけています。

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の計上等により資金が増加したものの、売上債権の増加により減少しました。投資活動によるキャッシュ・フローは、主にリース用資産の取得による支出でした。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金による収入等により増加しました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 12億円 10億円
投資CF -36億円 -18億円
財務CF 16億円 10億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、オペレーティング・リースシステムを通じて、環境保護と経済成長が両立する社会の形成に貢献していくことを目指しています。同時に、社会・企業・従業員の平和と発展のため、事業活動に精励することを基本方針としています。

(2) 企業文化


物の命を大切にする「再生オペレーティング・リースシステム」を推進し、廃棄物の減量化と省資源化に取り組む環境方針を掲げています。また、社会貢献と環境保護という使命を持ち、行動指針を全役員・従業員で共有し、コンプライアンスの徹底やリスク管理を行う姿勢を重視しています。

(3) 経営計画・目標


原価や物価上昇などのコスト増加要因に対し、コスト削減や運営の効率化を進めることで、経営指標として以下の数値を目標として掲げています。

* 営業利益率:5%
* 自己資本利益率:5%

(4) 成長戦略と重点施策


中長期的には、運営の効率化による人手不足への対応や、外注工事のリース商品化による利益確保を図る戦略です。直近では、外注工事費や運賃の上昇、人件費の増加を見込み、以下の課題に優先的に取り組みます。

* リース用資産の在庫状況および納期、採算を一体で重視した受注活動
* 運営や業務の効率化により利益を捻出できる筋肉質な組織の構築
* 安全衛生管理や商品などの市場ニーズへの対応による得意先満足度の向上

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


将来にわたる成長のために、少子高齢化による労働力減少に対応できる人材確保と多様性の確保が必要と考えています。特に女性の育成を重視しており、2023年12月に人事制度を刷新し、働き方にとらわれない職場環境の整備を進めています。今後は職制転換制度の充実などを通じ、女性管理職の登用実現を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 42.6歳 14.4年 6,536,015円


※平均年間給与は、総合職における給与であり、賞与および基準外賃金を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
管理職に占める女性労働者の割合 0.0%
男性労働者の育児休業取得率 20.0%
労働者の男女の賃金の差異(全労働者) 75.1%
労働者の男女の賃金の差異(正規雇用) 69.6%
労働者の男女の賃金の差異(非正規) 85.0%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 工場・配送センターの罹災に関するリスク


同社グループは全国13カ所に工場・配送センターを配置しています。特定の拠点が罹災しても他拠点がカバーする体制をとっていますが、復旧が長期化した場合、リース用資産の供給に支障が生じ、経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 労働災害に関するリスク


仮設建物の取り扱いは建築工事を伴うため、労働災害が発生する可能性があります。安全管理部を中心に指導を行っていますが、万が一不測の事態が発生した場合、顧客からの信頼低下を招き、経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。

(3) 原料調達・原料高騰のリスク


リース商品である仮設建物やユニットハウスの主原料(鉄骨、鋼板、ウレタン等)の入手困難や価格高騰が発生した場合、在庫があるため直ちに影響が出るわけではありませんが、状態が長期化すれば経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 物流に関するリスク


全国13カ所の拠点から商品を供給していますが、自然災害等により道路網が寸断された場合、他の拠点でカバーするものの、道路復旧が長期化すればリース用資産の供給が滞り、経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。