**※本記事は、東海リース株式会社の有価証券報告書(第58期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。**
1. 東海リースってどんな会社?
同社は仮設建物やユニットハウスのリース事業を展開し、資源の再利用を通じた循環型ビジネスを推進する企業です。
■(1) 会社概要
同社は1968年に大阪市で仮設建物のリース専門事業を開始しました。1986年に大阪証券取引所市場第二部へ上場し、1988年には中国で合弁会社を設立するなど、海外展開にも早期から取り組んできました。2013年には中国の廊坊市に子会社を設立し、生産・供給体制の強化を進めています。
同社グループは連結従業員数590名、単体従業員数431名の体制で事業を運営しています。筆頭株主は創業者で代表取締役社長の塚本博亮氏であり、第2位は資産管理等を行うオーガスト・エイトとなっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 塚本博亮 | 7.27% |
| オーガスト・エイト | 6.10% |
| 塚本四女子 | 3.65% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性10名、女性0名の計10名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は塚本博亮氏が務めています。社外取締役は2名選任されています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 塚本博亮 | 代表取締役社長 | 1985年10月三菱総合研究所入社。1994年4月同社入社。2014年6月より現職。2022年6月生産配送本部長。2022年9月東海ハウス取締役。 |
| 安田金四郎 | 常務取締役営業販売本部長 | 1983年4月同社入社。1995年10月千葉支店長。2015年4月第四営業販売部長。2019年6月より現職。 |
| 筌場順司 | 取締役第一生産配送部長 | 1996年4月同社入社。2009年4月枚方配送センター工場長。2014年4月生産配送本部業務管理部長。2017年4月より現職。2022年10月第二生産配送部長。 |
| 大西泰史 | 取締役管理本部長 | 1988年4月同社入社。2013年4月総務部長。2015年6月取締役総務部長。2023年12月より現職。 |
| 酒井岳宏 | 取締役第五営業販売部長 | 1987年10月同社入社。2010年4月第五営業販売部長。2011年4月第一営業販売部長。2019年6月より現職。 |
| 西江計二 | 取締役第一営業販売部長 | 1985年4月同社入社。1997年6月高松支店長。2006年4月東京第二支店長。2013年4月第一営業販売部長。2019年6月より現職。 |
| 福本篤士 | 取締役生産配送本部業務管理部長 | 1994年4月同社入社。2012年4月生産配送本部業務管理部次長。2017年4月生産配送本部業務管理部長。2019年6月より現職。2022年9月東海ハウス代表取締役。 |
| 此下純央 | 取締役監査等委員(常勤) | 1978年2月同社入社。1993年4月名古屋支店長。2005年4月官公庁需用販売部長。2021年4月退職。2023年6月より現職。 |
社外取締役は、松井巧(元大阪国税局調査第一部調査開発課開発課長)、杉谷浩哉(元葛城税務署長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「仮設建物リース業」の単一セグメントで事業を展開しています。
■(1) 仮設建物リースおよび販売
主に東海ハウスより完成された仮設建物部材を仕入れ、建設業界や官公庁などの各ユーザーへ提供しています。オペレーティングリース会社として、商品の賃貸だけでなく、製造、運送、工事、補修も含めたトータルサービスを展開しているのが特徴です。
収益は顧客からのリース料や建上工事費などを得ています。運営は同社が主体となって行い、リース用部材の製造や仕入れは子会社の東海ハウスなどが担っています。
■(2) 什器備品リースおよび販売
仮設建物等に付随する什器備品類の提供を行っています。主たる商品である仮設建物やユニットハウスのリースに付随して発生するサービスであり、顧客の利便性向上に寄与しています。
収益は顧客からのリース料や販売代金などを得ています。子会社の日本キャビネットが同社へリースや販売を行い、それを同社が各ユーザーへ提供する体制で運営しています。
■(3) ユニットハウスリースおよび販売
主に東海ハウスから仕入れたユニットハウスの提供を行っています。また、仮設建物等に付随するトイレ棟や風呂などの衛生用移動建物のリースおよび販売も展開しています。
収益は顧客からのリース料や販売代金などを得ています。運営は同社が行い、部材は東海ハウスのほか、外部の他業者からも仕入れて各ユーザーへ提供しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績は、売上高が堅調に推移し増収を続けています。一方、利益面では資材価格や人件費の高騰、外注工事費の上昇などが影響し、経常利益は増減を繰り返しながら直近期は減益となりました。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 164億円 | 157億円 | 172億円 | 184億円 | 189億円 |
| 経常利益 | 5.9億円 | 3.4億円 | 10.6億円 | 15.3億円 | 10.7億円 |
| 利益率(%) | 3.6% | 2.2% | 6.2% | 8.3% | 5.7% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 2.7億円 | 0.6億円 | 5.7億円 | 9.6億円 | 7.4億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間では、民間需要案件の取り込みにより売上高は増加したものの、人件費等を含む売上原価率の上昇により売上総利益は減少しました。加えて、販売費及び一般管理費の増加により営業利益も減益となっています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 184億円 | 189億円 |
| 売上総利益 | 39.5億円 | 37.4億円 |
| 売上総利益率(%) | 21.5% | 19.9% |
| 営業利益 | 15.1億円 | 12.0億円 |
| 営業利益率(%) | 8.2% | 6.4% |
販売費及び一般管理費のうち、給料が9.0億円(構成比35%)、賞与引当金繰入額が2.1億円(同8%)、地代家賃が1.6億円(同6%)を占めています。
■(3) セグメント収益
同社は単一セグメントであるため、事業全体の収益状況を示します。民間需要案件の増加により売上高は前年を上回りましたが、官公庁需要案件の計画未達や人件費等のコスト上昇が影響し、全体として減益の傾向となっています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 仮設建物リース業 | 184億円 | 189億円 |
| 連結(合計) | 184億円 | 189億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業活動で得た資金と借入による調達資金を合わせて、リース用資産などの取得に向けた積極的な投資を行っている積極型のキャッシュ・フロー状況です。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 10.3億円 | 6.7億円 |
| 投資CF | -18.2億円 | -21.6億円 |
| 財務CF | 9.6億円 | 25.7億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は4.2%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は44.4%で、いずれも市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、「社会と我が社の企業と我が社の社員とが永遠の平和と幸福をかちとる企業」となることを企業理念として掲げています。オペレーティング・リースシステムを通じて、環境保護と経済成長が両立する社会の形成に貢献することを使命として事業活動に取り組んでいます。
■(2) 企業文化
物の命を大切にする再生オペレーティング・リースシステムを推進し、廃棄物の減量化と省資源化に取り組む環境方針を重視しています。また、使用後の建物部材を回収・再利用する循環型ビジネスモデルを通じて、事業そのものが環境負荷低減に貢献する行動様式が根付いています。
■(3) 経営計画・目標
原価や物価上昇などのコスト増加要因に対して、コスト削減や運営の効率化を進めることで、安定した収益基盤の構築を目指しています。具体的な数値目標として以下を掲げています。
* 営業利益率:5%
* 自己資本利益率(ROE):5%
■(4) 成長戦略と重点施策
運営の効率化による人手不足への対応や外注工事のリース商品化による利益確保を図る方針です。リース用資産の在庫状況、納期、採算を一体で重視した受注活動を展開し、利益を捻出できる筋肉質な組織の構築を進めます。また、安全衛生管理や市場ニーズへの対応による顧客満足度の向上に注力します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
少子高齢化に伴う労働力の減少を見据え、既存従業員の育成、DX推進による業務効率化、および人材の多様性確保を経営の重要課題と位置付けています。柔軟で多様な働き方に対応できる人事制度の運用や、リスキリングの促進を通じた従業員のエンゲージメント向上に努めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 43.3歳 | 14.8年 | 6,540,859円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 0.0% |
| 男性育児休業取得率 | 55.6% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 76.4% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 69.4% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 101.3% |
また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、Scope1(7,119t)、Scope2(977t)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 工場・配送センターの罹災リスク
全国にリース用資産を保管する工場や配送センターを配置しており、1拠点が機能不全になっても他拠点でカバーする体制をとっています。しかし、復旧が長期化した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 物流に関するリスク
自然災害等により道路が寸断された場合でも、全国の拠点が連携してリース用資産を供給します。しかしながら、道路の復旧が長期化した場合には、物流の停滞により業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 情報・セキュリティに関するリスク
機密情報の紛失や改ざんを防ぐため、適切なセキュリティ対策を実施しています。しかし、コンピューターウイルスの感染や不正アクセスにより情報システムが停止した場合、事業活動に甚大な支障をきたす可能性があります。
■(4) 原料調達・原料高騰のリスク
仮設建物やユニットハウスの主原料である鉄骨、鋼板、ウレタン等の入手が困難になったり価格が高騰したりした場合、その状態が長期化すると、調達コストの増加により業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。



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