メイテックグループホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

メイテックグループホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

同社は東京証券取引所プライム市場に上場しており、エンジニアリングソリューション事業(派遣)およびエンジニア紹介事業を展開しています。2025年3月期の連結業績は、売上高1331億円(前期比4.8%増)、経常利益189億円(同7.0%増)、当期純利益127億円(同3.2%増)と増収増益を達成しました。


※本記事は、株式会社メイテックグループホールディングス の有価証券報告書(第52期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月18日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. メイテックグループホールディングスってどんな会社?


メイテックグループホールディングスは、製造業の設計・開発現場へ技術者を派遣するエンジニアリングソリューション事業を主力とする企業グループです。

(1) 会社概要


1974年に名古屋技術センターとして設立され、1984年にメイテックへ商号変更しました。1998年には東京証券取引所市場第一部へ指定され、業界のリーディングカンパニーとしての地位を確立しています。2023年10月には持株会社体制へ移行し、現在の商号に変更しました。長年にわたりエンジニア派遣事業を展開し、プロフェッショナルなエンジニア集団として成長を続けています。

2025年3月31日現在の連結従業員数は13,319名です(単体は持株会社のため0名)。筆頭株主は信託業務を行う日本マスタートラスト信託銀行(信託口)で、第2位は日本カストディ銀行(信託口)、第3位は明治安田生命保険となっています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 17.08%
株式会社日本カストディ銀行(信託口) 7.62%
明治安田生命保険相互会社 6.08%

(2) 経営陣


同社の役員は男性5名、女性2名の計7名で構成され、女性役員比率は28.6%です。代表取締役社長(グループCEO)は上村正人氏が務めています。社外取締役比率は71.4%です。

氏名 役職 主な経歴
上村 正人 代表取締役社長(グループCEO) 埼玉銀行(現埼玉りそな銀行)入行後、りそなホールディングス財務部等を経て2007年に同社入社。経営情報部長、執行役員、取締役副社長等を歴任し、2024年4月より現職。
鹿野 輝美 取締役(監査等委員)常勤監査等委員会委員長 ジャックス入社後、法律事務所勤務を経て2003年に同社入社。経営管理部長、執行役員を務め、メイテック執行役員を経て2024年6月より現職。


社外取締役は、山口陽(元大京取締役兼代表執行役社長)、横江公美(東洋大学国際学部教授)、植松正年(元埼玉りそな銀行内部監査部長)、國部徹(國部法律事務所弁護士)、山口光信(山口公認会計士事務所所長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「エンジニアリングソリューション事業」、「エンジニア紹介事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) エンジニアリングソリューション事業


ハイエンドのエンジニア派遣を行うメイテック、ミドルレンジのメイテックフィルダーズ、シニアエンジニア派遣のメイテックEXなどが、製造業を中心とした顧客へ技術サービスを提供しています。

収益は主に、顧客企業からの派遣契約に基づく対価(派遣料金)からなります。運営は主にメイテック、メイテックフィルダーズ、メイテックキャスト、メイテックEX、メイテックビジネスサービスが行っています。

(2) エンジニア紹介事業


エンジニアに特化した職業紹介事業を行っており、製造業等の技術職を求める企業とエンジニアのマッチングを支援しています。

収益は主に、求人企業への人材紹介が成立した際に受け取る紹介手数料からなります。運営はメイテックネクストが行っています。

(3) その他事業


グループ運営に関する事業を行っています。

収益は主に、グループ会社からの経営指導料や配当金などからなります。運営はメイテックグループホールディングスが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2021年3月期から2025年3月期までの5期間において、売上高は966億円から1331億円へと着実に増加傾向にあります。経常利益も103億円から189億円へと拡大しており、利益率も10%台後半から14%台へと向上しています。当期純利益についても増加基調を維持しており、持続的な成長を実現しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 966億円 1071億円 1191億円 1270億円 1331億円
経常利益 103億円 129億円 165億円 177億円 189億円
利益率(%) 10.7% 12.1% 13.9% 13.9% 14.2%
当期利益(親会社所有者帰属) 68億円 81億円 107億円 84億円 70億円

(2) 損益計算書


前期から当期にかけて、売上高は1270億円から1331億円へ増加し、売上総利益も342億円から359億円へ増加しました。売上総利益率は約27%の水準を維持しています。営業利益も177億円から188億円へと増加しており、本業の収益性が堅調に推移していることがわかります。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 1270億円 1331億円
売上総利益 342億円 359億円
売上総利益率(%) 27.0% 27.0%
営業利益 177億円 188億円
営業利益率(%) 13.9% 14.2%


販売費及び一般管理費のうち、報酬、給与及び賞与が59億円(構成比34%)、業務委託費が31億円(同18%)を占めています。売上原価については、大部分がエンジニア社員の労務費等で構成されています。

(3) セグメント収益


エンジニアリングソリューション事業は、エンジニア社員数の増加と高稼働率の維持により増収となりました。エンジニア紹介事業も紹介決定数の増加等により増収を達成しています。その他事業(グループ運営)は、持株会社体制への移行に伴うグループ会社からの収益計上等により大幅な増収となっています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
エンジニアリングソリューション事業 1256億円 1316億円
エンジニア紹介事業 14億円 15億円
その他 1270億円 1331億円
連結(合計) 1270億円 1331億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は、営業活動で得た資金を借入返済や株主還元に充てつつ、投資は手元資金の範囲内で実施しており、財務体質が健全な「健全型」と言えます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 147億円 134億円
投資CF -11億円 -10億円
財務CF -119億円 -122億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は26.4%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は52.1%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは「共生と繁栄」を経営理念として掲げています。これは、社員、顧客、株主、社会との共存共栄を目指す姿勢を表しています。また、コーポレート・スローガンとして「人と技術で次代を拓く」を掲げ、全社員がつながりあい、エンジニア価値を起点として5つの価値(エンジニア価値、社員価値、顧客価値、株主価値、社会価値)を持続的に向上させることを目指すべき姿としています。

(2) 企業文化


同社グループの中核会社であるメイテックにおいては、「自立と支え合い」という文化を大切にしています。これは、プロフェッショナルとして自立した個々の社員が、互いに認め合い支え合う関係性を築くことを意味します。この「メイテックのDNA」とも言える文化を磨き続けることで、エンジニアという仲間同士が切磋琢磨し、共に成長していく風土を醸成しています。

(3) 経営計画・目標


同社は中期経営計画「M2CX(MEITEC 2 Core Transformation)」を策定し、2023年度から3カ年での実行計画を推進しています。定量的な目標として、最終年度である2025年度において以下の数値を掲げています。

* ROE(自己資本利益率):30%

(4) 成長戦略と重点施策


同社は「MEITEC 2 Core Transformation(M2CX)」において、「2つのThe Coreを変革する」をテーマに掲げています。顧客とエンジニアという2つのサービス提供先に対し、多彩なサービスバリエーションを掛け合わせて付加価値を追求するとともに、採用においては品質を堅持しつつ「数の力量」を積極的に増強する方針です。また、経営幹部の後継者育成や、受注営業・採用・キャリアサポートの統合管理による業務変革を重点課題としています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社グループは、「生涯プロエンジニア」という働き方の確立を通じ、「プロフェッショナルな労働市場」を創出することを目指しています。技術職(エンジニア社員)に対しては、「技術力×人間力=総合力」と定義し、年齢や性別を問わず、成長意欲の高い人材を採用しています。また、多彩なキャリアアップの機会と場を提供し、自立したプロフェッショナルとして成長し続けるための支援を行っています。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 8.4%
男性育児休業取得率 77.0%
男女賃金差異(全労働者) 76.9%
男女賃金差異(正規) 76.9%
男女賃金差異(非正規) -


※男女賃金差異(非正規)について:該当者がいない、または公表義務の対象外等の理由により記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 社会的な信用等の確立


企業活動においてコンプライアンスや社会的倫理の遵守は不可欠ですが、これらに反する行為により社会的信用を失墜させた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。特に労働者派遣事業においては、業界全体への誤った認識や信用の失墜が波及するリスクもあり、同社は「優良派遣事業者」の認定を受けるなど、信頼性の維持に努めています。

(2) 多数のエンジニアの常時雇用


同社グループは多数のエンジニアを正社員として常時雇用しています。景気変動や主要顧客である製造業の情勢変化により、稼働率や稼働時間が低下した場合、固定費負担(待機コスト等)が増加し、業績や財務状況に悪影響を与える可能性があります。また、エンジニアの育成不足により顧客の要求品質に応えられない場合も同様のリスクとなります。

(3) 人材の確保


「人と技術」を中核とする同社にとって、優秀なエンジニアの確保は事業成長の要です。しかし、採用競争の激化や企業ブランドの毀損などにより、必要な人材を十分に確保できない場合、事業拡大や収益性に影響を及ぼす可能性があります。同社は新卒・中途採用の両面で積極的な採用活動を展開し、リスク低減を図っています。

(4) 顧客情報の管理


エンジニアは顧客企業の機密性の高い設計・開発業務に従事しており、多くの機密情報に接しています。万が一、これら情報の漏洩事故等が発生した場合、顧客からの信頼喪失や損害賠償請求などにより、同社グループの業績や財務状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。同社は情報セキュリティ規範の制定や教育を通じて管理体制を強化しています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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