メイテックグループホールディングス転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態
※本記事は、メイテックグループホールディングスの有価証券報告書(第53期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. メイテックグループホールディングスってどんな会社?
エンジニア派遣を中心としたソリューション事業を展開し、日本のものづくりを技術力で支える企業です。
■(1) 会社概要
1974年に名古屋技術センターとして設立され、1984年にメイテックへ社名を変更しました。1998年に東京証券取引所および名古屋証券取引所の市場第一部へ上場し、2006年にはエンジニア特化型の職業紹介を行うメイテックネクストを設立しました。2023年に持株会社体制へ移行し、現在の社名に変更しています。
現在の従業員数は連結で13,190名です。大株主の状況を見ると、筆頭株主および第2位は資産管理業務を行う信託銀行で、第3位には事業会社である明治安田生命保険が名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 19.55% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 9.01% |
| 明治安田生命保険相互会社 | 6.08% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性4名、女性3名の計7名で構成され、女性役員比率は42.9%です。代表取締役社長(グループCEO)は上村正人氏が務めており、社外取締役の比率は71.4%に達しています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 上村正人 | 代表取締役社長(グループCEO) | 1990年埼玉銀行入行。2007年同社入社。2009年取締役、2019年取締役副社長などを経て2024年より現職。 |
| 鹿野輝美 | 取締役(監査等委員)常勤監査等委員会委員長 | 1996年ジャックス入社。2003年同社入社。2020年執行役員、2023年メイテック執行役員などを経て2024年より現職。 |
社外取締役は、横江公美(東洋大学国際学部教授)、町田公志(元リクルートコスモス代表取締役社長)、田上智子(シナジア代表取締役)、國部徹(國部法律事務所設立)、南波秀哉(南波秀哉公認会計士事務所設立)です。
2. 事業内容
同社グループは、「エンジニアリングソリューション事業」「エンジニア紹介事業」および「その他」事業を展開しています。
■エンジニアリングソリューション事業
製造業を中心とする顧客企業に対し、ハイエンドからミドルレンジ、シニア層に至るまでの幅広いエンジニア派遣サービスや、一般事務処理業務の受託サービスなどを提供しています。
収益源は、派遣契約に基づいて顧客から受け取る派遣料金です。運営は、メイテック、メイテックフィルダーズ、メイテックキャスト、メイテックEX、メイテックビジネスサービスが行っています。
■エンジニア紹介事業
エンジニア職に特化した人材紹介サービスを展開しており、キャリアアップを目指す技術者と、優秀な人材を求める求人企業とのマッチングを行っています。
収益源は、人材紹介契約に基づいて求人企業から受け取る紹介手数料です。運営はメイテックネクストが行っています。
■その他事業
グループ全体の経営企画や株式を保有する各事業会社の支配・管理、およびグループ運営に関連する各種業務を行っています。
収益源は、グループ各社から受け取る業務受託料や配当金などです。運営は、純粋持株会社である同社が直接担っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は右肩上がりの成長を継続しており、経常利益も連続して増益を達成しています。当期においても、主要顧客である大手製造業の技術開発投資を背景に稼働率が堅調に推移し、安定した増収増益を記録しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,071億円 | 1,191億円 | 1,270億円 | 1,331億円 | 1,377億円 |
| 経常利益 | 129億円 | 165億円 | 177億円 | 189億円 | 201億円 |
| 利益率(%) | 12.1% | 13.9% | 13.9% | 14.2% | 14.6% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 81億円 | 107億円 | 84億円 | 70億円 | 138億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の増加に伴い、売上総利益および営業利益ともに前期を上回る水準で着地しています。利益率もわずかに改善しており、効率的な事業運営を通じて安定した収益基盤を維持していることが分かります。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 1,331億円 | 1,377億円 |
| 売上総利益 | 359億円 | 363億円 |
| 売上総利益率(%) | 27.0% | 26.4% |
| 営業利益 | 188億円 | 199億円 |
| 営業利益率(%) | 14.2% | 14.5% |
販売費及び一般管理費のうち、報酬、給与及び賞与が53.6億円(構成比32.7%)、業務委託費が33.2億円(同20.3%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力のエンジニアリングソリューション事業は、堅調な稼働率を維持して増収を牽引しました。一方、エンジニア紹介事業は紹介決定数の減少などの影響により、わずかに減収となっています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| エンジニアリングソリューション事業 | 1,316億円 | 1,364億円 |
| エンジニア紹介事業 | 15億円 | 13億円 |
| 連結(合計) | 1,331億円 | 1,377億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業活動で得た資金と資産売却などによる収入を用いて、配当金の支払いなど財務活動における支出を賄っており、手元資金の適正化や株主還元を進める改善型のキャッシュ・フロー状況です。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 134億円 | 153億円 |
| 投資CF | -10億円 | 0.1億円 |
| 財務CF | -122億円 | -154億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は30.9%で市場平均を上回っており、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も54.3%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
経営理念として「共生と繁栄」を掲げています。事業を通じて人・技術・情報の経営資源を社会的に共有し、エンジニア、社員、顧客、株主、社会と共に生き、共に繁栄していくことを目指しています。また、コーポレート・スローガンには「人と技術で次代を拓く」を定めています。
■(2) 企業文化
「自立と支え合い」という企業文化を大切にしています。エンジニア同士が互いに認め合い支え合う「メイテックのDNA」を育みながら、プロフェッショナルなエンジニア集団としてサービスの品質維持と向上を図り、社員一人ひとりが生涯を通じて成長し続けることを重視しています。
■(3) 経営計画・目標
現在推進中の「中期計画2028」において、グループ全体の価値を持続的に向上させることを目指しています。定量的な目標として、2028年度にROE(自己資本利益率)30%を掲げています。また、自己資本の充実と資金残高の確保を前提に、総配分性向は100%以内を原則とする利益配分方針を定めています。
■(4) 成長戦略と重点施策
顧客企業の技術革新が加速する中、お客様とエンジニアの双方に対する価値提供をさらに強化します。具体的には、稼働人員の増加や稼働率維持につなげる営業システムの変革、採用市場の変化に迅速に対応するブランド確立と採用強化、そしてエンジニア社員の市場価値を高めるキャリアサポートの拡充に注力します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「生涯プロエンジニア」という働き方の確立を通じ、日本にプロフェッショナルな労働市場を創出することを方針としています。年齢や性別を問わず成長意欲の高い人材を採用し、良質な業務機会と場を提供し続けるとともに、取り組みのプロセスと成果を適切に評価して処遇に反映させています。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 6.3% |
| 男性育児休業取得率 | 82.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 76.2% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 76.2% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | - |
※非正規雇用の男女賃金差異については、有報に該当するデータが記載されていません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、育児休業後の復帰率(93.5%)、有給休暇取得率(84.1%)、女性正社員の退職率(13.8%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 多数のエンジニアの常時雇用
同社グループは多数のエンジニアを正社員として常時雇用しているため、経済情勢の悪化等で主要顧客である製造業の需要が減少し、稼働率や派遣単価が低下した場合には、原価率が上昇し業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 人材の確保
ものづくりの核心を担うエンジニアの量的確保は事業収益に直結します。採用競争の激化や企業ブランドの低下などにより、優秀な人材の継続的な採用や確保が困難となった場合、今後の事業拡大や財務状況に影響を与える恐れがあります。
■(3) 顧客情報の管理
多数のエンジニアが顧客企業の設計・開発など機密性の高い業務に直接従事しているため、万が一情報漏洩事故等が発生した場合には、顧客からの重大な信用失墜を招き、業績や企業価値を著しく損なうリスクがあります。



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