※本記事は、ジャフコ グループ株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月17日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
ジャフコ グループは、ファンドの運用を通じてベンチャー投資とバイアウト投資を行う企業です。機関投資家や事業会社から資金を募集し、有望企業への新規投資と経営関与を通じて企業価値向上を目指しています。
単体従業員数は133名です。セグメントはファンド運用事業の1つです。
ジャフコ グループはファンド運用事業の単一セグメントで、国内ファンドのみを運用しています。
2025年4月に国内投資への集中方針を決定し、海外子会社の譲渡を完了しました。これにより、ジャフコ グループが運用するファンドは国内ファンドのみとなり、2026年3月期第3四半期より非連結決算へ移行しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
同社はベンチャーキャピタル事業を展開しており、専門性の高い人材が活躍する環境です。個々の成果が重視される報酬制度が特徴であり、長期的なキャリア形成も視野に入れた働き方が期待されます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の平均勤続年数が比較的長く、安定してキャリアを築いている傾向が見られます。平均年齢も中堅層が中心となっており、経験豊富な人材が組織を支えていることがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 13,656,206円 |
| 平均勤続年数 | 13年8ヶ月 |
| 平均年齢 | 43歳3ヶ月 |
| 単体従業員数 | 133人 |
同社は、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の両方の退職給付制度を採用しています。同社は確定給付型の退職一時金制度と確定拠出年金制度を採用しています。退職一時金制度があります。ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社の成長はベンチャーキャピタリストをはじめとする「個」に大きく依存するため、優秀な「個」の採用・育成が事業上の大きな課題です。企業価値を持続的に向上させるためには、人材の強化が不可欠であり、「強い個の育成」と「強固な組織基盤の構築」の2点が必要とされています。人的資本は競争力の源泉であり、経営上の最重要課題として認識されています。
報酬構成は基本給、賞与、キャリーの3種類に大別されます。基本給はグレードに従い支給され、役割・能力発揮度、バリュー体現度を総合的に勘案し、人材会議と取締役会で決定されます。賞与は1年間の成果に基づく賞与ランクに従い支給され、全グレード共通の指標で全社業績に基づく係数を掛けて決定されます。キャリーはファンドごとのパフォーマンス目標達成時に支給され、高い成果を上げた「個」に報いつつ、全社員にも配分することで組織基盤構築を狙っています。
「強い個の育成」と「強固な組織基盤の構築」の両立に向け、組織人事部を新設し、中長期の企業戦略に基づく要員計画の見直しや、エンゲージメントサーベイに基づく課題分析・施策設計に取り組んでいます。また、人権方針の策定やハラスメント防止研修の継続実施も行っています。投資部門では新卒採用に加え、多様な経験・スキル・ポテンシャルを持つキャピタリスト人材を継続的に採用し、独自の育成モデルにより良質な投資を実現する強い「個」を育成しています。
キャピタリストだけでなく、投資先支援、ファンド運用、コーポレート分野など各領域のプロフェッショナル人材の採用・定着・育成にも注力しています。人事制度、評価・処遇の仕組みを重視し、組織としてのナレッジ蓄積・共有や経営の効率化等の仕組み作りも進めています。社員のモチベーションを高め、心身ともに健康的に働き続けられ、ライフステージの変化にも対応できる働く環境づくりも重点事項です。パーパス・ミッション・バリュー・アイデンティティに表現されるカルチャーの醸成・浸透も、多様な人材が一丸となって高いパフォーマンスを発揮するために不可欠とされています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体のデータであり、基準日は2026年3月31日です。男女賃金差異は、女性活躍推進法に基づく公表義務の対象項目として選択しておらず、公表されていません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 11.4% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 25.0% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
ジャフコ グループは、ファンドの運用を通じてベンチャー投資とバイアウト投資を行う企業です。有望な未上場企業等への投資を行い、事業の成長と企業価値の向上を目指しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社の事業は、ファンドの運用を通じたベンチャー投資とバイアウト投資が中心です。ファンドの運用資金は機関投資家や事業会社から募集し、10年間の運用期間と2年間の延長期間を設定しています。常に有望企業を開拓し、新規投資を積み上げて良質なポートフォリオを構築しています。
投資後は経営に関与し、起業家とともに事業の成長と企業価値の向上を図ります。そして、新規上場(IPO)やM&A等によるEXIT(売却)を目指しています。同社の主な収益源は、ファンドからの管理報酬および成功報酬と、ファンドへの直接出資に対するキャピタルゲインです。
同社はファンド運用事業の単一セグメントで構成されています。2025年4月に決定した国内投資への集中方針に基づき、当事業年度において海外子会社の譲渡を完了し、現在は国内ファンドのみを運用しています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社の過去4期間の業績を見ると、売上高は変動が見られます。経常利益も同様に変動しており、特に2023年3月期には経常損失を計上しました。親会社株主に帰属する当期純利益も変動しており、2023年3月期は大幅な増加を示しましたが、その後は減少傾向にあります。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 277億円 | 141億円 | 244億円 | 297億円 | - |
| 経常利益 | 184億円 | △30.5億円 | 88.2億円 | 132億円 | - |
| 経常利益率 | 66.3% | △21.7% | 36.1% | 44.5% | - |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 151億円 | 406億円 | 74.9億円 | 95.8億円 | - |
| 1株当たり当期純利益(円) | 192.50 | 586.92 | 137.64 | 175.59 | - |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社の従業員1人あたりの売上高(連結)は、前期において182.1百万円となっています。また、従業員1人あたりの経常利益(連結)は、前期において81.0百万円でした。これらの数値は、同社の事業規模と従業員数に対する収益性および生産性の一つの目安となります。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 182.1百万円 | - |
| 従業員1人あたり経常利益(連結) | 81.0百万円 | - |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
財務の安定性の観点から、同社の現在地を示します。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社の自己資本比率はプライム市場の平均と比較して高い水準にあります。一方、ROE(自己資本利益率)はプライム市場の平均を下回っています。これらの指標は、同社の財務基盤の健全性や資本効率の状況を示しています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 自己資本比率 | 83.0% | - |
| ROE(自己資本利益率) | 6.9% | - |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
前期の営業活動によるキャッシュ・フローはプラスであり、本業で資金を生み出している状況を示しています。投資活動によるキャッシュ・フローもプラスであり、財務活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなっています。これにより、前期のフリーキャッシュ・フローはプラスでした。
当事業年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、主に営業投資有価証券の売却収入によるキャッシュインフローとなりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、主に投資有価証券の売却収入によるキャッシュインフローとなっています。財務活動によるキャッシュ・フローは、主に配当金の支払いや自己株式の取得に伴う支出によるキャッシュアウトフローとなりました。これらの資金の流れは、同社の事業活動と投資戦略、株主還元の方針を反映しており、入社後の雇用や給与の安定性を判断する上で重要な要素となります。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 104.4億円 | - |
| 投資CF | 1.3億円 | - |
| 財務CF | △54.5億円 | - |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 105.8億円 | - |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社はファンドの管理運営と未上場株式投資に経営資源を集中しており、業界が政治・経済・社会情勢の変化や株式市場・IPO市場の影響を強く受けるリスクがあります。また、有望な未上場企業への投資案件獲得競争が激化しており、投資機会を逸した場合や望む条件ではない場合に、十分なキャピタルゲインをあげられない可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社の将来の成長と成功は、有能なベンチャーキャピタリスト等の人材に大きく依存しています。採用における競争環境の激化等により有能な人材を確保できない場合や、確保・育成・定着のための費用が増加する可能性がリスクとして挙げられています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
ジャフコ グループは、挑戦への投資を通じて成長の循環を生み出すことをパーパスに掲げ、起業家とともに未来を切り開くことをミッションとしています。単なる投資家ではなく、「CO-FOUNDER」として事業の構想段階から経営に関与し、企業価値向上を目指す企業風土があります。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
ジャフコ グループは、「挑戦への投資で、成長への循環をつくりだす」ことをパーパス(存在意義)として掲げています。同社のミッション(使命)は、「新事業の創造にコミットし、ともに未来を切り開く」ことです。長年にわたる投資経験を通じて、企業・起業家の新たな挑戦に投資を続け、持続可能な社会の実現に貢献することを目指しています。
2025年4月には国内投資に集中することを決定し、ベンチャー投資とバイアウト投資の強みを融合することで、企業価値向上を実現していく方針です。単なる投資家ではなく、「CO-FOUNDER(共同創業者)」として事業の構想段階から経営に関与し、起業家とともに事業の成長にコミットする姿勢を示しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
ジャフコ グループでは、以下の4つのバリュー(行動指針)を全社員の共通認識としています。「当事者たる覚悟でやり抜く」「より早く、より深く、より高みへ」「多様な強みで共創を」「開拓者たれ、真摯であれ」です。これらは、主体的な行動、常に高みを目指す姿勢、多様な強みを活かした共創、そして開拓者としての挑戦を重視するものです。
同社は2018年からパートナーシップモデルを導入し、トップキャピタリストがファンド運用責任を負うフラットな組織体制を構築しています。パートナーと従業員が同社とともに出資し、ファンドパフォーマンスと個人の貢献に連動した成果報酬を享受する仕組みを取り入れています。これらの取り組みを通じて、組織力の強化とカルチャーの醸成・浸透を図り、持続的な企業価値向上を目指しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
ジャフコ グループは、対処すべき課題の一つとして「多様な人材の採用と育成」を挙げています。これに対応するため、同社は組織基盤の強化を推進しており、独自の採用・育成モデルでキャピタリストの育成に注力しています。また、投資プロセスを支える組織体制を強化し、個人に過度に依存しない投資運用力の持続的な向上を目指しています。
サステナビリティの観点では、人材育成と組織基盤を重視する人材戦略を進め、「強い個の育成」と「組織基盤の発展」を両立させる施策を実施しています。さらに、2025年5月には「人権方針」を制定し、ハラスメント防止に関する方針の策定や内部通報制度の拡充を通じて、人権尊重と健全な職場環境の実現にも取り組んでいます。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
同社は監査等委員会設置会社であり、取締役会と監査等委員会が重要な業務執行の決定および取締役の業務執行の監査・監督を行っています。独立社外取締役は客観的・中立的な立場から経営の監督を担っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社の筆頭株主は日本マスタートラスト信託銀行(信託口)であり、複数の機関投資家が上位に名を連ねる資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 11.97% |
| STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 505018 | 5.27% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 4.88% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は8名(男性5名・女性3名)で構成され、女性役員比率は37.5%です。代表取締役社長は三好啓介氏が務めています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 三好 啓介 | 取締役社長 代表取締役 投資担当、パートナー | 1993年4月同社入社。2015年6月同社取締役投資担当。2022年4月同社取締役社長(代表取締役)投資担当、パートナーより現職。 |
| 豊貴 伸一 | 取締役会長 | 1985年4月同社入社。2003年6月同社取締役。2010年1月同社取締役社長(代表取締役)。2022年4月同社取締役会長より現職。 |
社外取締役は、田村茂氏(元メディサイエンスプラニング代表取締役社長・常勤監査等委員)、梶原慶枝氏(元シーシーエス執行役員・監査等委員)、村岡香奈子氏(弁護士・監査等委員)、土井俊範氏(元財務省財務総合政策研究所所長・監査等委員)、榎本英二氏(リープ経営コンサルティング代表取締役・監査等委員)、林敬子氏(公認会計士・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、取締役会および監査等委員会が重要な業務執行の決定と取締役の業務執行の監査・監督を行っています。独立社外取締役は客観的・中立的な立場から経営の監督を担い、原則として取締役の過半数を独立社外取締役とすることでガバナンスの実効性を高める方針です。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社では、取締役(監査等委員である取締役を除く。)の報酬は基本報酬と臨時報酬で構成され、基本報酬の一部は業績連動、臨時報酬はファンドパフォーマンスも勘案して決定されます。中長期的な企業価値向上を目的として、譲渡制限付株式報酬も支給されます。一方、監査等委員である取締役の報酬は業績連動部分のない基本報酬のみとし、経営に対する独立性を担保する報酬体系となっています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 2名 | 2.2億円 | 1.10億円 |
| 社外役員 | 5名 | 70百万円 | 14.0百万円 |
個人別報酬が開示されている役員は、豊貴伸一氏(1.08億円)、三好啓介氏(1.14億円)です。
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