九州リースサービス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

九州リースサービス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

スタンダード市場などに上場する九州リースサービスは、機械設備等のリース・割賦事業を中心に、金銭貸付等のファイナンス、不動産賃貸・販売、環境ソリューション事業などを展開しています。直近の業績では、売上高は前年を下回ったものの、収益性重視の資産入替等により増益となり、過去最高の経常利益を記録しています。


※本記事は、株式会社九州リースサービスの有価証券報告書(第52期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 九州リースサービスってどんな会社?


同社は九州を地盤とし、リース・割賦から不動産、環境ソリューションまで幅広い金融サービスを提供する企業です。

(1) 会社概要


同社は1974年に福岡相互銀行と日本リースの提携によりユニオンリースとして設立されました。1980年に現在の九州リースサービスへ商号変更し、1988年に福岡証券取引所へ上場、2016年に東京証券取引所に上場しました。近年は、西日本フィナンシャルホールディングスと資本・業務提携を結び連携を強化しています。

同社グループの従業員数は連結で189名、単体で126名です。筆頭株主は資本・業務提携先である西日本フィナンシャルホールディングスで、第2位に不動産事業を展開する福岡地所、第3位に信託業務を行う日本カストディ銀行が名を連ねています。

氏名 持株比率
西日本フィナンシャルホールディングス 29.94%
福岡地所 15.00%
日本カストディ銀行(信託E口) 4.80%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性2名の計11名で構成され、女性役員比率は18.2%です。代表取締役社長は礒山誠二氏が務めており、社外取締役の比率は27.2%です。

氏名 役職 主な経歴
礒山誠二 代表取締役社長 西日本シティ銀行取締役副頭取、福岡商工会議所会頭等を経て2018年同社代表取締役会長。2019年より現職。
檜垣亮介 取締役専務執行役員人事部・審査部・法務管理部・監査部・投資戦略部担当 1984年同社入社。常務取締役業務本部長兼審査管理本部長等を経て2025年より現職。
石原隆 取締役常務執行役員グループ戦略部・リレーション営業部・財務部・事務部担当 西日本シティ銀行常務執行役員等を経て2020年同社入社。取締役常務執行役員グループ戦略部長等を経て2025年より現職。
黒瀬健男 取締役常務執行役員営業統括部・リース営業部・自動車営業部・IT企画部・総務部担当、営業店統括 1986年同社入社。取締役常務執行役員営業第一本部長兼リース営業部長等を経て2025年より現職。
野中康平 取締役常務執行役員総合企画部・ファイナンス営業部・経理部担当 1990年同社入社。取締役上席執行役員営業第二本部長等を経て2025年より現職。


社外取締役は、矢崎精二(元ロイヤルホールディングス専務取締役)、加藤暁子(日本の次世代リーダー養成塾専務理事兼事務局長)、土井良由美子(土良井由美子公認会計士事務所代表)です。

2. 事業内容


同社グループは、「リース・割賦」「ファイナンス」「不動産」「フィービジネス」「環境ソリューション」および「その他」事業を展開しています。

リース・割賦

同社グループの主力であるリース・割賦事業では、情報・事務用機器や産業・土木・建設機械などの各種設備機器のリースおよび割賦販売を行っています。顧客は主に地場企業などの一般法人です。
収益源は、顧客からのリース料や割賦金の受け取りです。事業の運営は主に九州リースサービスおよび子会社のケイ・エル・アイが行っています。

ファイナンス

ファイナンス事業では、金銭の貸付や債権の買取、信用保証などの金融サービスを提供しています。地域の事業会社向けの中長期与信を中心として顧客の資金ニーズに対応しています。
収益源は、貸付利息や保証料などの各種手数料収入です。事業の運営は主に九州リースサービスおよびケイエルエス信用保証が行っています。

不動産

不動産事業では、オフィスビルや商業施設などの不動産の賃貸、開発・販売、および匿名組合等に対する出資を行っています。安定的な賃料収入の確保と、資産入替による売却益の獲得を目指しています。
収益源はテナントからの賃貸収入や不動産の販売代金などです。運営は九州リースサービス、ケイ・エル・アイ、西日本不動産開発などが共同で行っています。

フィービジネス

フィービジネス事業では、生命保険の募集、自動車リースの紹介、損害保険代理業などを展開し、企業の多様な課題解決に向けたサービスを提供しています。
収益源は、提携する保険会社やリース会社などからの紹介手数料や代理店手数料です。事業の運営は主に九州リースサービスおよびケイ・エル・アイが行っています。

環境ソリューション

環境ソリューション事業では、太陽光発電などの売電事業やLEDレンタル事業などを展開し、再生可能エネルギーの普及や環境分野の課題解決に貢献しています。
収益源は、発電した電力の売電収入や設備レンタル料などです。運営は主にケイ・エル・アイや合同会社相生メガソーラーパークなどの子会社が行っています。

その他

その他事業として、物品販売などの付随する業務を行っています。運営は主にケイ・エル・アイが担当しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の売上高は300億円台で推移していますが、経常利益は着実に拡大傾向にあり、当期は60億円に到達しました。収益性を重視した資産入替などの効果により、利益率は順調な上昇基調を描いています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 296億円 368億円 335億円 393億円 358億円
経常利益 33億円 54億円 46億円 56億円 60億円
利益率(%) 11.2% 14.7% 13.7% 14.2% 16.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 20億円 54億円 11億円 15億円 17億円

(2) 損益計算書


売上高は前年から減少したものの、売上総利益および営業利益は増加しており、利益率も大きく改善しています。付加価値の高いソリューション提案や優良な営業資産の積み上げが利益の押し上げに寄与しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 393億円 358億円
売上総利益 90億円 95億円
売上総利益率(%) 22.9% 26.5%
営業利益 57億円 61億円
営業利益率(%) 14.5% 17.0%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が10億円(構成比30%)、賞与が4億円(同11%)を占めています。また、売上原価のうちリース原価が183億円(同70%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力のリース・割賦事業や不動産事業の売上高は前期の大型反動などにより減少しましたが、ファイナンス事業が順調に伸びて全体を牽引しています。多くのセグメントで利益率が向上しており、全体の増益に貢献しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
リース・割賦 239億円 218億円 17億円 19億円 8.9%
ファイナンス 21億円 26億円 13億円 16億円 59.5%
不動産 117億円 96億円 29億円 28億円 29.5%
フィービジネス 5億円 5億円 2億円 3億円 51.2%
環境ソリューション 12億円 12億円 2億円 3億円 20.9%
その他 0.2億円 0.3億円 -0.5億円 -0.3億円 -
連結(合計) 393億円 358億円 57億円 61億円 17.0%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


本業は赤字だが、将来成長のため借入で投資を継続する勝負型のキャッシュ・フローとなっています。なお、同社は金融・証券関連事業を主力としているため、営業CFのマイナスは主に営業貸付金の増加(事業拡大)によるものであり、直ちに業績悪化を意味するものではありません。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF -33億円 -78億円
投資CF -0.7億円 -29億円
財務CF 31億円 121億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.9%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は20.6%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「共存共栄」として、企業経営に必要な付加価値の高いサービスを提供していくことにより、お客さまと共に発展・成長することを目指しています。また「地域貢献」として、地域に根差した総合金融サービス企業として地域経済の発展に貢献していくことを企業理念に掲げています。

(2) 企業文化


同社では、従業員一人ひとりが急速に変化するビジネス環境に迅速に対応できるよう、自律的な人材の育成や多様な人材が活躍できる組織づくりを重視しています。また、法令の遵守に基づく企業倫理の重要性を全従業員が認識し、透明性や健全性を確保するコンプライアンス意識の高い文化が根付いています。

(3) 経営計画・目標


同社は中期経営計画「共創2027 ~つながるチカラで未来を創造する~」(計画期間:2024年4月~2027年3月)において、以下の財務KPIを掲げています。足元の進捗を踏まえ、これを上回る計画値を設定しさらなる成長を目指しています。

・当期純利益:40億円
・ROA:1.75%超
・ROE:8.00%超

(4) 成長戦略と重点施策


「確かな収益基盤の確立」「新たな領域の創造」「経営基盤強化」の3つを基本戦略として推進しています。従来からの強みである「お取引先・地域との密着力」と「多様で幅広な総合金融サービス」に加え、専門ノウハウを有する戦略的パートナーとの連携を相乗させ、同社独自のビジネスを展開し企業価値向上に注力しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、人材を最も重要な経営資源の一つと位置づけ、付加価値の高い多様なソリューションを提供する総合金融サービス企業として成長するため、自律的な人材育成に取組んでいます。実践的なスキルを習得する研修の拡充や、年齢・性別にかかわらず意欲を持った人材が活躍できる環境整備を進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 42.4歳 14.0年 7,140,964円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 10.7%
男性育児休業取得率 75.0%
男女賃金差異(全労働者) 64.3%
男女賃金差異(正規) 62.5%
男女賃金差異(非正規) 61.8%


※男性労働者の育児休業取得率に関して、2026年3月31日時点での未取得者1名は2026年5月に取得していることから、提出日現在の取得率は100%です。また、男女賃金差異は男女で等級ごとの人数分布に差があるため生じています。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 景気変動によるリスク

同社グループが行うリース・割賦販売取引は設備投資動向と相関があるため、国内外の景気低迷が長期化し、設備投資額が大幅に減少した場合は、同社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(2) 信用リスク

リース・割賦販売や営業貸付は中長期与信となるため、取引先の経営破綻による契約解除や担保物件の時価下落が生じた場合、貸倒引当金の積み増し等により業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 市場金利変動リスク

リース料等は固定金額である一方、資金調達は金融機関からの借入が主体であり変動金利の影響を受けます。そのため、市場金利が上昇した場合には資金調達コストが増加し、業績に悪影響を与える可能性があります。

(4) 販売用不動産及び賃貸不動産の価格変動リスク

将来の売却益獲得や長期安定収入を目的として不動産を保有しています。景気低迷による相場下落や稼働率の低下が生じた場合、売却損や減損損失が発生する可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。