※本記事は、株式会社九州リースサービスの有価証券報告書(第51期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 九州リースサービスってどんな会社?
九州を主要地盤とし、リース・ファイナンス・不動産等の総合金融サービスを展開する企業です。
■(1) 会社概要
1974年、株式会社西日本シティ銀行(当時:福岡相互銀行)の関連地場リース会社として設立されました。1988年に福岡証券取引所に上場し、2016年に東京証券取引所市場第二部へ上場しました。2022年の市場区分見直しに伴い、現在はスタンダード市場へ移行しています。2023年には西日本不動産開発を完全子会社化しました。
連結従業員数は186名、単体従業員数は126名です。筆頭株主は事業会社(親会社・提携先)である株式会社西日本フィナンシャルホールディングス、第2位は同じく事業会社である福岡地所株式会社です。第3位は資産管理業務を行う信託銀行です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 西日本フィナンシャルホールディングス | 29.94% |
| 福岡地所 | 15.00% |
| 日本カストディ銀行(信託E口) | 4.95% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性10名、女性1名の計11名で構成され、女性役員比率は9.1%です。代表取締役社長は礒山 誠二氏です。社外取締役比率は27.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 礒山 誠二 | 代表取締役社長 | 1975年西日本相互銀行入行。西日本シティ銀行副頭取、福岡商工会議所会頭等を経て2019年6月より現職。 |
| 檜垣 亮介 | 取締役専務執行役員 | 1984年入社。業務本部長、審査管理本部長等を歴任。2024年4月より現職。 |
| 石原 隆 | 取締役常務執行役員 | 1982年西日本相互銀行入行。西日本シティ銀行常務執行役員等を経て2025年4月より現職。 |
| 黒瀬 健男 | 取締役常務執行役員 | 1986年入社。営業本部長、審査管理本部長等を歴任。2024年4月より現職。 |
| 野中 康平 | 取締役常務執行役員 | 1990年入社。営業第二本部長、関連事業部長等を歴任。2024年6月より現職。 |
| 眞鍋 博俊 | 取締役 | 1974年住友商事入社。博運社代表取締役社長を経て2015年6月より現職。 |
| 矢崎 精二 | 取締役 | 1974年ロイヤル(現ロイヤルホールディングス)入社。同社専務取締役を経て2018年6月より現職。 |
| 加藤 暁子 | 取締役 | 1982年毎日新聞社入社。公益財団法人AFS日本協会理事長等を経て2023年6月より現職。 |
社外取締役は、眞鍋 博俊(博運社代表取締役会長)、矢崎 精二(元ロイヤルホールディングス専務取締役)、加藤 暁子(公益財団法人AFS日本協会理事長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「リース・割賦」「ファイナンス」「不動産」「フィービジネス」「環境ソリューション」および「その他」事業を展開しています。
■(1) リース・割賦
情報・事務用機器、産業・土木・建設機械、商業設備、医療機器などの機械設備等のリースおよび割賦販売を行っています。また、航空機リースなども取り扱っています。
収益は、顧客からのリース料および割賦販売代金等から得ています。運営は、九州リースサービスおよび連結子会社のケイ・エル・アイが行っています。
■(2) ファイナンス
法人顧客に対する事業資金の貸付、手形割引、債権の買取(ファクタリング)および信用保証業務を行っています。
収益は、貸付金利息、買取手数料、保証料等から得ています。運営は、九州リースサービスおよび連結子会社のケイエルエス信用保証等が行っています。
■(3) 不動産
商業施設やオフィスビル、賃貸マンション等の不動産賃貸事業、および販売用不動産の開発・販売を行っています。また、匿名組合等に対する出資も行っています。
収益は、賃貸料収入および不動産販売収益等から得ています。運営は、九州リースサービス、ケイ・エル・アイ、西日本不動産開発、KL合人社などが行っています。
■(4) フィービジネス
生命保険の募集、自動車リースの紹介、損害保険代理業などを行っています。
収益は、保険会社や提携リース会社からの手数料収入から得ています。運営は、九州リースサービスおよびケイ・エル・アイが行っています。
■(5) 環境ソリューション
太陽光発電による売電事業およびLED照明のレンタル事業を展開しています。
収益は、電力会社への売電収入およびLEDレンタル料から得ています。運営は、ケイ・エル・アイおよび合同会社相生メガソーラーパークが行っています。
■(6) その他
物品販売等の事業を行っています。
収益は、物品の販売代金等から得ています。運営は、ケイ・エル・アイが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は順調に拡大傾向にあり、直近では過去最高水準となっています。利益面でも、経常利益、当期純利益ともに増加傾向にあり、高い収益性を維持しています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 283億円 | 296億円 | 368億円 | 335億円 | 393億円 |
| 経常利益 | 37億円 | 33億円 | 54億円 | 46億円 | 56億円 |
| 利益率(%) | 13.2% | 11.2% | 14.7% | 13.7% | 14.2% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 17億円 | 20億円 | 54億円 | 11億円 | 15億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の増加に伴い、売上総利益も順調に伸長しています。営業利益率も改善傾向にあり、効率的な事業運営が行われていることがうかがえます。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 335億円 | 393億円 |
| 売上総利益 | 80億円 | 90億円 |
| 売上総利益率(%) | 23.9% | 22.8% |
| 営業利益 | 46億円 | 57億円 |
| 営業利益率(%) | 13.8% | 14.4% |
販売費及び一般管理費のうち、その他経費が11億円(構成比33%)、給料及び手当が10億円(同29%)を占めています。売上原価では、リース原価が207億円(構成比68%)と大半を占めています。
■(3) セグメント収益
主力であるリース・割賦事業が堅調に推移し、不動産事業も増収増益となりました。全セグメントにおいて黒字を確保しており、バランスの取れた収益構造となっています。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| リース・割賦 | 202億円 | 239億円 | 15億円 | 17億円 | 7.1% |
| ファイナンス | 18億円 | 21億円 | 11億円 | 13億円 | 59.8% |
| 不動産 | 99億円 | 117億円 | 25億円 | 29億円 | 25.3% |
| フィービジネス | 4億円 | 5億円 | 2億円 | 2億円 | 50.6% |
| 環境ソリューション | 11億円 | 12億円 | 1億円 | 2億円 | 17.2% |
| その他 | 0.3億円 | 0.2億円 | -0.2億円 | -0.5億円 | -187.5% |
| 調整額 | - | - | -7億円 | -7億円 | - |
| 連結(合計) | 335億円 | 393億円 | 46億円 | 57億円 | 14.4% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
九州リースサービスは、社債の発行による資金調達を積極的に行い、財務基盤を強化しています。
営業活動では、割賦債権やリース投資資産の増加により資金流出がありましたが、販売用不動産の減少や仕入債務の増加で一部相殺されました。
投資活動では、無形固定資産や社用資産の取得支出がありましたが、投資有価証券の売却・償還収入でカバーされました。
財務活動では、社債発行による多額の資金流入があり、借入金の返済や配当金の支払いを行いました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -149億円 | -33億円 |
| 投資CF | -9億円 | -0.7億円 |
| 財務CF | 147億円 | 31億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「共存共栄」と「地域貢献」を企業理念として掲げています。企業経営に必要な付加価値の高いサービスを提供することで顧客と共に発展・成長を目指すとともに、地域に根差した総合金融サービス企業として地域経済の発展に貢献することを目指しています。
■(2) 企業文化
同社グループは、創業以来50年の営業で培った顧客基盤を強みとし、地域に根ざした活動を重視しています。お取引先企業や地域に寄り添い、経営課題や社会情勢の変化に対応する「伴走型企業集団」となることを2030年までのビジョンの一つとして掲げています。
■(3) 経営計画・目標
中期経営計画「共創2027 ~つながるチカラで未来を創造する~」(2024年4月~2027年3月)において、以下の目標を掲げています。
* 当期純利益:40億円
* ROA(総資産利益率):1.75%超
* ROE(自己資本利益率):8.00%超
■(4) 成長戦略と重点施策
中期経営計画「共創2027」では、「確かな収益基盤の確立」「新たな領域の創造」「経営基盤の強化」を基本方針としています。既存の強みである顧客密着力や多様なサービスに加え、専門ノウハウを持つパートナーとの連携を強化し、独自のビジネスを展開することで持続的成長を目指します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人材を最も重要な経営資源の一つと位置づけ、付加価値の高いソリューションを提供できる人材の育成を目指しています。社内外の研修拡充により複数スキルを持つ人材を育成するとともに、女性や中途採用者の管理職登用、新卒採用時の男女同数採用などを目標としています。多様な人材が活躍できる職場環境の構築にも注力しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 42.6歳 | 14.8年 | 6,742,172円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 11.5% |
| 男性育児休業取得率 | 80.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 62.2% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 60.7% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 64.6% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、一人当たりの研修費用(115,300円)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 景気変動によるリスク
リース・割賦販売取引は企業の設備投資動向の影響を受けやすいため、国内外の景気低迷によりリース設備投資額が大幅に減少した場合、グループの経営成績に影響を与える可能性があります。これに対し、景気動向やお取引先の業況を注視し、リース・ファイナンス・不動産を中心に適切な資産の入替えを行い、リスク低減を図っています。
■(2) 信用リスク
リース・割賦販売取引や営業貸付取引はお取引先への中長期与信となるため、お取引先の経営破綻等による契約解除や貸倒れが発生した場合、経営成績に影響を与える可能性があります。取引開始時の厳格な審査や、開始後の定期的な業況チェック、担保不動産の評価見直し等により、信用リスクの軽減と管理に取り組んでいます。
■(3) 市場金利変動リスク
リース料や割賦金は固定金額である一方、資金調達は変動金利の借入が含まれるため、市場金利の上昇が経営成績に影響を与える可能性があります。これに対し、ALM(資産・負債の総合管理)の視点から資産と負債を一元管理し、固定金利・変動金利の調達比率のコントロールや、運用面での適用金利引上げ等によりリスク低減に努めています。
■(4) 不動産価格変動リスク
販売用不動産や賃貸不動産を保有しており、不動産相場の下落による売却損や評価損、減損損失が発生した場合、経営成績に影響を与える可能性があります。経済動向や不動産市況を注視し、資産の入れ替えを促進することでリスク軽減を図っています。



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