※本記事は、株式会社進学会ホールディングス の有価証券報告書(第50期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 進学会ホールディングスってどんな会社?
学習塾「北大学力増進会」を母体とし、北海道を拠点に教育、スポーツ、不動産、資金運用事業を展開する持株会社です。
■(1) 会社概要
1976年に株式会社北大学力増進会として設立され、1987年にはスポーツクラブZipを開設しました。1988年に店頭市場へ株式を公開し、2017年に持株会社体制へ移行して現商号に変更しました。2024年4月には不動産売買を行う子会社として株式会社ホクシンビル開発を設立するなど、事業の多角化を進めています。
同社グループの従業員数は連結113名、単体4名です。筆頭株主は創業家資産管理会社の有限会社平井興産、第2位は創業者の平井睦雄氏であり、創業家が主要株主となっています。第3位には資本業務提携先である株式会社学研ホールディングスが名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 有限会社平井興産 | 36.10% |
| 平井 睦雄 | 13.20% |
| 株式会社学研ホールディングス | 10.46% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役は平井 将浩氏が務めています。社外取締役比率は28.6%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 平井 将浩 | 代表取締役 | 2009年4月進学会入社。常務取締役IT担当、専務取締役、管理本部長等を経て2022年6月代表取締役CFOに就任。2023年6月より現職。 |
| 松井 信幸 | 取締役 | 2002年4月進学会入社。郡山本部長、西日本エリア代表、個別指導本部長、監査等委員等を経て、2025年6月より現職。 |
| 柴野 広太郎 | 取締役 | 2002年4月進学会入社。岡崎本部長、北東北エリア代表、管理部長、教務運営本部部長等を経て、2025年6月より現職。 |
| 竹山 正輝 | 取締役 | 2004年4月進学会入社。富山本部長、管理部経営管理系課長代理、同部長等を経て2024年6月より現職。 |
社外取締役は、熱海寿(株式会社コンサドーレ経営管理部長)、日向豊(ハローワーク札幌東就職支援ナビゲーター)です。
2. 事業内容
同社グループは、「教育関連事業」「スポーツ事業」「不動産事業」「資金運用事業」および「その他」事業を展開しています。
■教育関連事業
学習塾の経営および教育ソフトの販売を行っています。主な顧客は小学生から高校生までの児童・生徒です。「北大学力増進会」等のブランドで集団指導や個別指導を展開しています。
収益は主に生徒からの授業料や講習会費、教材費等から得ています。運営は主に株式会社進学会および株式会社浜進学会が行っており、教育ソフトの販売は株式会社ホクシンエンタープライズに委託しています。
■スポーツ事業
スポーツクラブの経営を行っています。地域住民を対象に、安全で快適な施設での健康増進サービスを提供しています。
収益は会員からの会費や利用料等から得ています。運営は株式会社進学会が行っています。
■不動産事業
同社が所有するマンションの賃貸、管理、および不動産の売買を行っています。
収益は賃貸収入や不動産売買による収益から得ています。賃貸マンションの管理および学習塾教室の管理・清掃は株式会社ノースパレスに委託しており、不動産売買事業は株式会社ホクシンビル開発が行っています。
■資金運用事業
資金運用を行っています。
収益は有価証券の運用による収益から得ています。運営は株式会社SG総研が行っています。
■その他
学習塾で使用する教材の印刷発注、備品・消耗品の仕入販売を行っています。
収益はグループ会社等への販売から得ています。運営は株式会社ホクシンエンタープライズが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近の業績を見ると、売上高は変動が大きいものの、2025年3月期は前期比で増加に転じました。利益面では経常損失、当期純損失が続いていますが、2025年3月期は赤字幅が縮小しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 138.5億円 | 66.7億円 | 47.2億円 | 62.5億円 |
| 経常利益 | -95.5億円 | -14.8億円 | -13.6億円 | -4.8億円 |
| 利益率(%) | -69.0% | -22.2% | -28.8% | -7.7% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -57.9億円 | -18.1億円 | -13.9億円 | -5.8億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は増加し、売上総利益も黒字転換しました。営業損失は継続しているものの、赤字幅は大幅に縮小しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 47.2億円 | 62.5億円 |
| 売上総利益 | -6.5億円 | 1.7億円 |
| 売上総利益率(%) | -13.8% | 2.8% |
| 営業利益 | -13.8億円 | -4.4億円 |
| 営業利益率(%) | -29.2% | -7.0% |
販売費及び一般管理費のうち、広告宣伝費が2.1億円(構成比34%)、給与手当が1.0億円(同17%)を占めています。
■(3) セグメント収益
資金運用事業の売上が大幅に増加し、全体の増収を牽引しました。教育関連事業は減収減益となり、赤字が拡大しました。不動産事業は増収増益となり、利益貢献しています。スポーツ事業は微減収で赤字が継続しています。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 教育関連事業 | 14.9億円 | 11.7億円 | -1.8億円 | -2.3億円 | -19.4% |
| スポーツ事業 | 3.6億円 | 3.4億円 | -0.2億円 | -0.3億円 | -8.3% |
| 不動産事業 | 5.5億円 | 7.8億円 | 2.6億円 | 3.5億円 | 45.2% |
| 資金運用事業 | 19.2億円 | 35.4億円 | -11.1億円 | -2.2億円 | -6.2% |
| その他 | 4.1億円 | 4.2億円 | 0.9億円 | 0.9億円 | 20.4% |
| 調整額 | -4.2億円 | -4.0億円 | -4.1億円 | -4.1億円 | - |
| 連結(合計) | 47.2億円 | 62.5億円 | -13.8億円 | -4.4億円 | -7.0% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は金融・証券関連事業を主力としているため、営業CFのマイナスは主に有価証券の増加(事業拡大)によるものであり、直ちに業績悪化を意味するものではありません。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -11.7億円 | 12.3億円 |
| 投資CF | 0.4億円 | 0.1億円 |
| 財務CF | 4.7億円 | 4.2億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-5.9%で市場平均を下回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は39.4%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「未来への創造、可能性への挑戦」をスローガンに、最新の情報と充実したサービスの提供を通じて、豊かな社会の実現に貢献することを使命としています。教育部門では的確な受験情報や質の高い授業内容の提供、スポーツ部門では安全快適な施設での健康増進を促進し、顧客からの信頼獲得を目指しています。
■(2) 企業文化
組織面では、企業の成長の源となる人材の育成と組織体制の強化に取り組んでいます。また、「新規エリアの開拓」「新規メニューの開発」等による市場開拓のほか、「講師指導力のレベルアップ」「教材の質の向上」を推進し、全社員で力を合わせて顧客満足度の更なる向上を目指す姿勢を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
目標とする経営指標については、創業以来の高収益体質を維持すべく、以下の数値を掲げています。
* 売上高経常利益率:通期で15%以上の確保
■(4) 成長戦略と重点施策
教育関連部門では、高校受験指導を柱としつつ、大学受験(現役高校生)部門および中学受験部門への対象年齢層拡大を図ります。また、中期的な目標として採算の効率化を目指し、新規地域への進出や不採算地区からの撤退を含む教室のスクラップ&ビルドを積極的に推進します。スポーツ部門では、会員ニーズや競合状況を注視し、サービスの質を向上させます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、「未来への創造、可能性への挑戦」をスローガンに、会員の可能性を広げるとともに、自身も無限の可能性に挑戦する会社づくりを推進しています。人材育成および社内環境整備に関しては、働きやすい環境づくりの重要性を認識し、変形労働時間制の併用など職務内容に応じた環境整備や、女性管理職の登用を進める方針です。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 57.9歳 | 33.9年 | 5,738,000円 |
※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | - |
| 男性労働者の育児休業取得率 | - |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 56.1% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用) | 61.2% |
| 労働者の男女の賃金の差異(非正規雇用) | 97.9% |
※同社は公表義務の対象ではないため、上表は連結子会社である株式会社進学会の数値を記載しています。女性管理職比率および男性育児休業取得率については、集計対象となる従業員がいないため「-」としています。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 事業内容の特色と市場リスク
同社グループの売上高に占める資金運用関連事業の比率が高く、業績が株式市場の影響を受けやすい構造にあります。子会社の株式会社SG総研において有価証券売買を行っており、株式市場の低迷や株価急落時には評価損・売却損が発生し、財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 業績の四半期変動
教育関連部門は講習会や新学期に生徒募集を重点的に行うため、受講生は期末にかけて増加し、第2四半期以降の売上高が多くなる傾向があります。一方、経費は年間を通じて変動が少ないため、下期以降の収益性が高くなる季節変動性があります。
■(3) 少子化と個人消費の影響
学習塾業界は少子化による児童・生徒数の減少が懸念材料です。出生数の急速な減少や、個人消費の低迷による教育関連支出の減少が生じた場合、同社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。



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