両毛システムズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

両毛システムズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所スタンダード市場に上場する情報処理サービス企業です。公共事業および社会・産業事業を展開し、自治体や民間企業向けにシステム開発やアウトソーシング等を提供しています。2025年3月期は、主力事業が堅調に推移し、売上高は前期比23.8%増、親会社株主に帰属する当期純利益は66.1%増と大幅な増収増益を達成しました。


#記事タイトル:両毛システムズ転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

※本記事は、株式会社両毛システムズ の有価証券報告書(第56期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 両毛システムズってどんな会社?


独立系システムインテグレーターとして、自治体や民間企業向けにシステム開発から運用・保守までを一貫して提供する企業です。

(1) 会社概要


同社は1970年に株式会社両毛電子計算センターとして設立され、1982年に現在の商号へ変更しました。1990年に日本証券業協会へ店頭登録を行い、2010年には大阪証券取引所JASDAQ市場へ上場しました。その後、市場統合を経て2022年の東京証券取引所の市場区分見直しに伴い、スタンダード市場へ移行しています。

連結従業員数は1,031名(単体738名)です。筆頭株主は自動車部品メーカーの株式会社ミツバで、発行済株式の51.30%を保有する親会社です。第2位は資産管理業務を行う株式会社日本カストディ銀行(信託口)、第3位は個人株主となっています。

氏名 持株比率
株式会社ミツバ 51.30%
株式会社横浜銀行(常任代理人 株式会社日本カストディ銀行) 4.95%
ヨシダ トモヒロ 3.00%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は北澤 直来氏が務めています。監査等委員である社外取締役は3名で、取締役会における社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
北 澤 直 来 取締役社長(代表取締役)社長執行役員 1982年同社入社。執行役員、取締役常務執行役員、代表取締役専務執行役員を経て2019年6月より現職。
山 崎 信 宏 取締役専務執行役員管理統括本部長 1985年同社入社。執行役員、取締役常務執行役員を経て2020年4月より現職。
藤 野 修 二 取締役専務執行役員事業統括本部長事業本部長 1986年同社入社。執行役員、取締役常務執行役員を経て2020年4月より現職。
大 澤   実 取締役専務執行役員データセンタービジネス統括本部長 1989年同社入社。執行役員、常務執行役員を経て2025年4月より現職。
上 山 和 則 取締役常務執行役員 1987年同社入社。執行役員、取締役執行役員を経て2020年4月より現職。
福 田 哲 夫 取締役(監査等委員) 1984年同社入社。執行役員を経て2020年6月より現職。


社外取締役は、星野 陽司(星野物産株式会社代表取締役社長)、小島 昇(公認会計士・税理士)、竹原 朋子(弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「公共事業」および「社会・産業事業」事業を展開しています。

公共事業


地方公共団体、警察、消防、水道、学校・図書館等の公共市場を対象に、システム開発、パッケージ販売、クラウドサービス、アウトソーシングサービス等を提供しています。特に自治体向け基幹業務システムの統一・標準化対応に注力しています。

収益は、顧客である官公庁や自治体等からのシステム開発委託料、製品・機器販売代金、サービス利用料等から得ています。運営は主に同社が行っていますが、株式会社両毛ビジネスサポートなどの連結子会社も一部業務に関わっています。

社会・産業事業


エネルギー(ガス・水道)、製造、流通、医療、農業等の民間市場を対象に、業種特化型のソリューションサービスや、販売管理・生産管理などの基幹業務システムを提供しています。車載系組込ソフトウェア開発支援なども行っています。

収益は、民間企業等の顧客からのシステム開発委託料、ソフトウェア使用料、保守運用費等から得ています。運営は同社が中心となり、リョウモウ・ベトナム・ソリューションズ・カンパニー・リミテッド等の子会社が開発支援を行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は着実な増加傾向にあります。特に当期は売上高が225億円に達し、過去最高を更新しました。経常利益も順調に伸長しており、利益率は9%~10%台で推移しています。当期純利益においても、特別利益の計上などもあり、前期から大きく増加しました。全体として、増収増益基調を維持しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 166億円 155億円 172億円 182億円 225億円
経常利益 14億円 14億円 18億円 19億円 21億円
利益率(%) 8.2% 9.0% 10.3% 10.2% 9.5%
当期利益(親会社所有者帰属) 7億円 10億円 10億円 9億円 16億円

(2) 損益計算書


当期は前期に対し、売上高が増加し、売上総利益も増加しましたが、売上総利益率は若干低下しました。営業利益は増益となり、営業利益率も改善傾向にあります。販管費の増加を売上総利益の増加で吸収し、本業の収益力を高めています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 182億円 225億円
売上総利益 50億円 54億円
売上総利益率(%) 27.3% 23.8%
営業利益 19億円 22億円
営業利益率(%) 10.2% 9.7%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が9億円(構成比29.8%)、賞与が2億円(同7.0%)を占めています。売上原価においては、機器及び材料費が47億円(売上原価に対し27.3%)、外注加工費が41億円(同23.9%)、労務費が53億円(同30.7%)となっています。

(3) セグメント収益


公共事業セグメントは、自治体システムの標準化対応や大型リプレース案件が寄与し、大幅な増収増益となりました。社会・産業事業セグメントも、ITエンジニアリングサービスやガス事業者向けシステムの販売が堅調で増収となりましたが、利益面では横ばいとなりました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
公共事業 90億円 125億円 17億円 21億円 16.8%
社会・産業事業 92億円 100億円 21億円 21億円 20.8%
調整額 - - △19億円 △20億円 -
連結(合計) 182億円 225億円 19億円 22億円 9.7%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のキャッシュ・フローの状況は、本業で稼いだ資金で投資を行い、借入金の返済も進めている「健全型」と言えます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 7億円 22億円
投資CF △34億円 △8億円
財務CF 17億円 △8億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は12.1%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は55.1%で市場平均(スタンダード市場非製造業平均48.5%)を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「わくわく感を大切にするRS」を経営理念として掲げています。これは、進化・発展を追求する組織を支援し、相互理解と信頼にもとづく調和のとれた社会を実現するとともに、様々な情報のやり取りに関するあらゆるしくみによって、より良いリレーションを創造することを目指すものです。

(2) 企業文化


同社は行動理念として「お客さまの笑顔を創造しよう」「今日とは違う明日を創造しよう」「新たな期待を創造しよう」の3つを掲げています。また、将来のありたい姿として「RSビジョン」を掲げ、「真の情報サービス企業」となることを目指しています。

(3) 経営計画・目標


同社はビジョン実現に向けた10次中期経営計画(2023~2027年度)を策定しています。「グループの総合力を高め、社会課題の解決に取り組み、お客さまと共に成長する」ことを経営方針とし、連結営業利益額を経営の最重要指標と定めています。

(4) 成長戦略と重点施策


中期経営計画に基づき、「強化・拡大」「変革・成長」「構造改革」の3つを重点施策として推進しています。具体的には、既存ソリューションの強化、データ活用による新価値創造、公共ビジネスモデルの変革、人的資本の強化などに取り組んでいます。また、データセンタービジネスの強化やセキュリティソリューションの充実、研究機能の充実による技術革新への対応も進めています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、高度な技術者の確保・育成を最重要課題と位置づけ、スキルに応じた教育や実践経験を通じて能力開発を支援しています。また、ダイバーシティ推進により、働きやすい職場環境を整備し、社員一人ひとりが能力を最大限発揮できる組織づくりを目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 41.7歳 16.4年 6,281,934円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 6.8%
男性育児休業取得率 90.0%
男女賃金差異(全労働者) 77.4%
男女賃金差異(正規雇用) 81.6%
男女賃金差異(非正規雇用) 64.6%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、正規社員における女性社員比率(25.3%)、年次有給休暇の取得日数(15.9日)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) プロジェクト管理に関するリスク


ソフトウェア開発において、品質・コスト・納期の厳守は最重要ですが、システムの高度化・大型化に伴いプロジェクト管理の難易度が高まっています。想定外の事態により開発遅延や中断が発生し、採算が悪化することで、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 製品やサービスの欠陥や瑕疵に関するリスク


同社は品質管理の強化に努めていますが、予期せぬ不具合が発生する可能性は排除できません。製品補修や顧客への補償、機会損失等が発生した場合、社会的信用の低下や多額の費用負担により、業績に影響を与える可能性があります。

(3) 人材の確保・育成に関するリスク


専門的な知識やスキルを持つ人材の確保・定着は事業継続に不可欠です。しかし、IT人材の不足や競争激化により、優秀な人材の離職や採用難が生じた場合、事業運営に支障をきたし、成長戦略の実行に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 情報セキュリティに関するリスク


サイバー攻撃等の脅威に対し、ISMS等の認証取得や管理体制の強化を行っていますが、情報漏えいや改ざんが発生するリスクは残ります。万が一インシデントが発生した場合、信用の失墜や損害賠償等の対応費用により、業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。