※本記事は、KYCOMホールディングス株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月26日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
KYCOMホールディングスは持株会社であり、単体従業員数は6名、グループ連結従業員数は899名です。
同社グループは、情報処理事業を主軸に、不動産事業、レンタカー事業、無線ソリューション事業を展開しています。子会社11社、関連会社2社で構成されており、多角的な事業運営を行っています。
主な国内グループ会社は、(連結子会社)共同コンピュータ(ソフトウエア開発・不動産事業)、共栄データセンター、共栄システムズ、九州共栄システムズ(ソフトウエア開発)、サムソン総合ファイナンスなどです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
KYCOMホールディングスは、ITサービスを通じて社会貢献を目指し、人材を最も重要な経営資源と位置づけています。従業員の成長と活躍を重視し、多様な働き方に対応した環境整備や育成制度に力を入れていることが特徴です。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、平均年齢が57.3歳、平均勤続年数が5.58年という構成です。持株会社として、特定の役割を担う少数精鋭の人材が在籍している傾向が見られます。
なお、同社は持株会社であり、傘下の関係会社は以下のデータと同水準とは限りません。各社の求人情報や口コミサイト等を別途参照してください。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 4,420,000円 |
| 平均勤続年数 | 5.58年 |
| 平均年齢 | 57.3歳 |
| 単体従業員数 | 6人 |
| 連結従業員数 | 899人 |
| 単体のグループ内比率 | 0.7% |
同社グループは、退職給付制度として確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の両方を採用しています。これらの制度は国内グループ会社に適用されています。
退職一時金制度も存在しますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、持続的な成長の源泉を「人材」と位置づけ、社員一人ひとりが成長し活躍できる組織を目指しています。多様な人材の獲得と能力を最大限に発揮できる環境づくりに注力し、教育機会の増加や資格取得支援、柔軟な働き方の実現を通じて社員の満足度と意欲向上を図っています。
報酬制度は、基本給、職能給、職制手当で構成され、個人の成長と役割に応じた適切な処遇を行う方針です。ベースアップや賞与は、会社業績や物価、労働市場動向を総合的に考慮して決定されます。
人材育成と社内環境整備においては、人的資本への積極的な投資として、従業員の採用や技術教育投資を進めています。「総務人事委員会」では多様な就業形態への対応や職場環境の見直し、安全衛生の確認を行い、「リクルート委員会」では新人研修、2年目研修、管理職研修といった育成制度を推進しています。従業員アンケートを通じて、育成方法や環境整備、従業員の希望が経営に反映されているかを確認し、従業員と共に成長する取り組みを進めています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。男性労働者の育児休業取得率については、計算の対象となる事例が発生していません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 3.3% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 55.5% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 42.1% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 87.4% |
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。
▼ ㈱共栄システムズ
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 4.3% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
▼ 共同コンピュータ㈱東京
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 7.4% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
▼ 共同コンピュータ㈱福井
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 7.1% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
グループ全体(連結)
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合(実績) | 9.2% |
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合(目標 2029年3月期) | 12%以上 |
| 連結従業員数(当連結会計年度) | 899人 |
| 連結従業員数(前連結会計年度) | 843人 |
| 連結従業員数(2期前) | 803人 |
| 連結従業員数(3期前) | 767人 |
| 連結従業員数(4期前) | 705人 |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
KYCOMホールディングスは、持株会社としてグループ全体の経営戦略を立案し、各事業を担う子会社がサービスを展開しています。情報処理事業を主軸に、不動産事業、レンタカー事業、無線ソリューション事業といった多角的なビジネスを展開している点が特徴です。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、情報処理事業、不動産事業、レンタカー事業、無線ソリューション事業の4つの報告セグメントで構成されています。各事業会社がそれぞれのサービスについて戦略を立て、事業活動を進めています。国内の外部顧客への売上高が連結売上高の90%を超えており、国内市場が中心です。
情報処理事業
同社グループの主力事業であり、ソフトウエア開発、コンピュータ関連サービス、データエントリー業務などを手掛けています。DX/AI関連、経営資源を一元管理するERP構築事業、ローコード・ノーコード開発、AIシステム開発などが収益源となっています。前期と比較して売上高は増加しましたが、オフィススペースの拡張や新技術教育、従業員の待遇改善による人件費等のコスト増により、営業利益は減少傾向にあります。特定の顧客への売上集中が見られ、株式会社日立システムズ、株式会社日立製作所、株式会社日立システムズエンジニアリングサービスが主要な顧客となっています。
不動産事業
太陽光発電所の運営や賃貸用物件の取得・賃貸などを行っています。前期は太陽光発電所の盗難被害からの復旧などもあり、売上高、営業利益ともに増加しました。
レンタカー事業
レンタカーサービスの提供を行っています。北陸新幹線の敦賀延伸による客足の伸びが一巡したことや、カーシェアリングとの競合により、売上高は増加したものの、営業利益は損失に転じました。
無線ソリューション事業
無線通信技術を活用したソリューションを提供しています。業務の効率化に努めた結果、売上高は微増となり、前期の営業損失から営業利益は黒字に転換しました。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 情報処理事業 | 61.0億円 | 65.2億円 |
| 無線ソリューション事業 | 3.5億円 | 3.5億円 |
| 不動産事業 | 1.5億円 | 1.8億円 |
| レンタカー事業 | 1.6億円 | 1.7億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期間の業績を見ると、売上高、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は継続して増加傾向にあります。特に親会社株主に帰属する当期純利益は、当連結会計年度において前年同期比で大きく増加しました。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 51.8億円 | 57.0億円 | 60.9億円 | 67.7億円 | 72.2億円 |
| 経常利益 | 4.7億円 | 5.4億円 | 5.8億円 | 6.4億円 | 6.7億円 |
| 経常利益率 | 9.0% | 9.4% | 9.4% | 9.4% | 9.3% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 3.4億円 | 3.6億円 | 4.2億円 | 4.7億円 | 5.3億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 66.23 | 70.95 | 82.56 | 92.28 | 104.90 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は、前期から横ばいとなっています。また、従業員1人あたりの営業利益も前期から横ばいで推移しており、組織全体の生産性は安定している状況です。これらの指標は、同社グループの収益体質や組織効率性を示すものとして注目されます。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 8.0百万円 | 8.0百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 0.7百万円 | 0.7百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
KYCOMホールディングスグループの財務状況は、自己資本比率や手元資金の厚みから安定した基盤を築いていることが示されています。本業で着実に資金を稼ぎ、将来に向けた投資も行いながら、財務の健全性を保っている状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率はプライム市場の非製造業平均と比較して高い水準にあり、財務基盤が安定していることを示しています。ROE(自己資本利益率)もプライム市場平均を上回っており、効率的な経営が行われている傾向です。手元資金も十分に確保されており、事業運営における安定性がうかがえます。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 44.9億円 | 53.2億円 |
| 自己資本比率 | 56.4% | 59.9% |
| ROE(自己資本利益率) | 10.9% | 10.9% |
| 現金及び預金 | 21.6億円 | 23.2億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの営業活動によるキャッシュフローは増加しており、本業で安定して資金を生み出している状況です。主な増加要因は税金等調整前当期純利益と減価償却費であり、売上債権の増加や法人税等の支払額が減少要因となっています。投資活動によるキャッシュフローは、有形固定資産の取得や投資有価証券の取得による支出が、投資有価証券の売却収入を上回ったため、資金が減少しています。
財務活動によるキャッシュフローは、短期借入金の返済や長期借入金の返済、配当金の支払いが、短期借入れや長期借入れによる収入を上回ったため、資金が減少しています。営業活動で得た資金が投資活動による支出を上回っており、フリーキャッシュフローはプラスで推移しています。これは、本業で稼いだ資金を投資に充てつつも、手元に余剰資金を残せている優良な状態を示しており、今後の事業展開や雇用・給与の安定性につながる基盤があると言えます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 5.2億円 | 6.0億円 |
| 投資CF | △2.3億円 | △3.0億円 |
| 財務CF | △2.8億円 | △1.6億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 2.9億円 | 3.0億円 |
※フリーCF(フリーキャッシュ・フロー)とは、会社が事業活動と投資活動を通じて自由に使える余剰資金のこと。
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは純粋持株会社であり、業績は子会社の業績と密接に連動するというリスクがあります。また、情報サービス業界は競争が激しく、製品やサービスの価格下落が業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
人材確保と育成が計画どおりに進まなかった場合、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
KYCOMホールディングスは、1968年の設立以来、情報産業の発展とともに事業を拡大してきた企業です。お客様のITニーズに「真面目にコツコツと実績を積み重ねて継続的な信頼を得ていく」ことを経営理念の根幹に据え、社会貢献と持続的な成長を目指しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
KYCOMホールディングスグループは、1968年に地域企業によるコンピュータの共同利用を目的として設立されました。情報産業の発展とともに業容を拡大し、現在は「収益拡大と経費節減」「企業リスクの管理」「新規分野への挑戦」の三つを経営の基本方針としています。
同社グループは、株主、顧客、取引先、地域社会、従業員に利益を還元することを重視しています。収益拡大とコスト管理を徹底し、遵法精神を貫き、常に業務リスクを回避するよう努めています。さらに、ステークホルダーへの貢献を増大させるため、新規分野への挑戦を経営理念としています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
KYCOMホールディングスグループは、お客様のITニーズに対し「真面目にコツコツと実績を積み重ねて継続的な信頼を得ていく」ことを経営理念の根幹に据えています。遵法精神を貫き、業務に潜むリスクを回避する姿勢を大切にしています。
また、従業員の健康や労働環境への配慮を行いながら、顧客に価値あるシステムを提供することで社会課題解決に貢献することを目指しています。人材を最も重要な経営資本と認識し、積極的な採用や技術的な教育投資を通じて、従業員と共に成長できる企業風土を推進しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
KYCOMホールディングスグループは、IT人材の需給逼迫を大きな課題と認識し、要員確保に注力しています。人材を最も重要な経営資本と位置づけ、技術者の付加価値向上と適切な賃上げの実施に努めています。
また、ニアショア市場やDX、生成AIなどの関連技術に対応するため、組織体制の構築や技術教育機会の拡大といった社員への投資を強化しています。具体的には、若年技術者の資格取得推進や経験豊富な技術者への新しい技術習得機会の増加、通年での中途採用、積極的な新卒採用を実施しています。従業員満足度や定着率の向上を目指し、成長を実感できる人事制度や研修制度の充実、福利厚生の強化も推進しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
KYCOMホールディングスは純粋持株会社であり、監査役会設置会社を採用しています。取締役会は経営方針等の重要事項を意思決定し、各取締役の職務執行を監督しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
KYCOMホールディングスの株主構成を見ると、創業家や関連会社が上位に名を連ね、経営に一定の影響力を持っていることがうかがえます。また、機関投資家も主要株主として名を連ねています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 吉村 昭一 | 19.27% |
| アルディート・アセット・マネジメント | 13.99% |
| カズオ ヨシムラ | 8.21% |
| KYCOMグループ社員持株会 | 7.24% |
| 小林 勇雄 | 4.87% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は10名(男性10名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長執行役員最高執行責任者最高財務責任者は吉村仁博氏が務めています。社外取締役比率は28.6%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 吉村 仁博 | 代表取締役 社長執行役員 最高執行責任者 最高財務責任者 | 2004年4月株式会社共栄システムズ入社、2025年6月同社代表取締役社長執行役員COO最高財務責任者より現職。 |
| 吉村 昭一 | 代表取締役 最高経営責任者 | 1971年5月株式会社福井共同電子計算センター(現・KYCOMホールディングス)常務取締役、2011年4月同社代表取締役最高経営責任者グループCEOより現職。 |
| 辰巳 保彦 | 取締役 経営指導部長 | 1975年4月株式会社日立製作所入社、2011年6月同社取締役より現職。 |
| 笹岡 晴雄 | 取締役 情報システム統制部長 | 1988年6月共同コンピュータ株式会社(現・KYCOMホールディングス)入社、2015年6月同社取締役より現職。 |
| 山本 義幸 | 取締役 | 1974年4月株式会社日立製作所入社、2025年6月同社取締役より現職。 |
社外取締役は、松木武氏(元日立システムズエンジニアリングアンドソリューション専務取締役)、松永敏明氏(株式会社インフォネクスト代表取締役)です。
KYCOMホールディングスは監査役会設置会社を採用しており、3名の社外監査役が取締役の業務執行を監査する体制を構築しています。社外監査役は取締役会に出席し、専門的な立場から意見を述べることで経営監視機能を果たしています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
KYCOMホールディングスの役員報酬は、経営指導や経営統制を基本とする持株会社であることから、基本報酬のみで構成されています。個々の取締役の報酬は、各職責を踏まえた適正な水準とすることを基本方針としています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 3名 | 44百万円 | 14.8百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 11百万円 | 2.7百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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