ナガワ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ナガワ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所プライム市場に上場するナガワは、ユニットハウスの製造・販売・レンタルを中心に、モジュール・システム建築や建設機械のレンタルを展開しています。直近の第62期は売上高が354億円、営業利益が44億円となり、増収増益を達成。強固な事業基盤と独自のビジネスモデルで順調な成長を続けています。


※本記事は、ナガワの有価証券報告書(第62期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月15日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ナガワってどんな会社?


同社はユニットハウスの製造・販売・レンタル事業を主力とし、幅広い建設ニーズに対応する企業です。

(1) 会社概要


同社は1966年に北海道伊達市で設立され、1974年にユニットハウス(スーパーハウス)の製造・販売・レンタルを開始しました。1978年に現在のナガワに商号を変更し、2004年にはジャスダックへの上場を果たしています。近年では2022年に岡山工場を新設して生産力を拡大し、2025年にはスーパーハウスの累計生産棟数70万棟を達成するなど、業界のリーディングカンパニーとして事業を拡大しています。

現在の従業員数は単体で552名となっています。筆頭株主は創業者であり代表取締役会長を務める髙橋修氏で、第2位および第3位には機関投資家や信託銀行が名を連ねています。

氏名 持株比率
髙橋 修 12.96%
THE SFP VALUE REALIZATIONMASTER FUND LIMITED 12.32%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 9.16%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性1名の計11名で構成され、女性役員比率は9.1%です。代表取締役社長は濱野新大氏が務めています。

氏名 役職 主な経歴
髙橋 修 代表取締役会長 1985年富士通入社、1988年ナガワ入社。社長や管理本部管掌などを経て、2023年4月より現職。
濱野 新大 代表取締役社長 1995年ナガワ建販入社、2007年ナガワ入社。営業本部次長や企画室部長等を経て、2026年4月より現職。
新村 亮 専務取締役管理本部長 1998年ナガワ入社。企画室長や経理部長、代表取締役社長などを歴任し、2026年4月より現職。
菅井 賢志 常務取締役技術本部長 1987年NOK入社、1993年ナガワ入社。企画室部長やブラジル現地法人の副社長等を経て、2023年4月より現職。
溝口 真樹 常務取締役製造本部長 1996年ナガワ入社。各営業所の所長やタイ現地法人社長などを経て、2026年4月より現職。


社外取締役は、木之瀨幹夫(弁護士)、猪岡修治(元横河システム建築社長)、高橋淳子(元江東西税務署署長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ユニットハウス事業」「モジュール・システム建築事業」「建設機械レンタル事業」を展開しています。

ユニットハウス事業

ユニットハウス「スーパーハウス」の製造・販売・レンタルおよび、これらに付随する事務用機器や備品、電気製品の販売とレンタルを行っています。建設現場の仮設事務所やイベントブースなど、多様な顧客に製品を提供しています。

収益は、顧客に製品を引き渡した時点での販売代金や、レンタル期間に応じた利用料から得ています。本事業の運営は同社が主体となって行っています。

モジュール・システム建築事業

店舗、倉庫、事務所などの用途向けに、モジュール建築やシステム建築の施工と販売を行っています。工期の短縮と低コストを求める幅広い業界・業種の法人が主な顧客です。

収益は、建築工事の進行状況や物件の完成・引き渡しに応じて顧客から受け取る建築代金や販売代金で構成されています。本事業の運営は同社が主体となって行っています。

建設機械レンタル事業

土木・建設市場向けに、建設機械の販売とレンタルを行っています。北海道南部などの建設市場を中心に、一般の建設工事向けから環境対策を考慮した機械まで幅広く取り扱っています。

収益は、顧客に建設機械を販売した際の代金や、貸し出した機械のレンタル料金から得ています。本事業の運営は同社が主体となって行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は着実に拡大しており、300億円台から350億円台へと成長を遂げています。利益面でも高水準を維持しており、2026年3月期の当期利益は44億円に到達し、安定した収益力を示しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 306億円 317億円 326億円 - -
経常利益 47億円 47億円 46億円 - -
利益率(%) 15.3% 14.8% 14.3% - -
当期利益(親会社所有者帰属) 31億円 31億円 31億円 42億円 44億円

(2) 損益計算書


売上総利益と営業利益はともに増加傾向にあり、順調な事業成長が確認できます。継続的な設備投資や販売網の強化を進める中でも、利益をしっかりと確保していることが伺えます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 - -
売上総利益 138億円 141億円
売上総利益率(%) - -
営業利益 43億円 44億円
営業利益率(%) - -


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が27億円(構成比28%)、地代家賃が14億円(同15%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力であるユニットハウス事業が全体の売上の約8割を占め、安定した基盤となっています。モジュール・システム建築事業は堅調に推移し、建設機械レンタル事業も工事需要を背景に大きく売上を伸ばしています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
ユニットハウス事業 291億円 291億円
モジュール・システム建築事業 52億円 51億円
建設機械レンタル事業 10億円 12億円
連結(合計) 353億円 354億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「明るく・元気に・前向きに」という経営理念のもと、社会の繁栄とともに歩むのが企業のあるべき姿だと考えています。社会への貢献や地球環境の保全を実践するため、企業価値、環境的価値、経済的価値の3つの視点(トリプルボトムライン)から、企業の社会的責任を果たすことを目指しています。

(2) 企業文化


創業以来培ってきた誠実な経営を通し、お客様や地域社会から信頼される企業づくりを重視しています。また、ごみになる物を拒否する「Refuse」、資源の無駄を減らす「Reduce」、繰り返して使う「Reuse」などを掲げ、再利用可能な商品を中心とした循環型社会の実現に向けた環境貢献の意識が深く根付いています。

(3) 経営計画・目標


同社は今後の事業成長に向けた業績目標として、2027年3月期において以下の数値を掲げています。
* 売上高:380億円
* 営業利益:45億円
* 経常利益:51億円
* 当期純利益:33億円

(4) 成長戦略と重点施策


成長と発展を主テーマに、国内事業の強化・拡大と海外への再進出を進めます。モジュール建築展示場やサテライト展示場の増設による販売網の拡大、AIやVRツールを活用した提案力・業務効率の向上に取り組みます。また、M&Aの推進による人材確保と業容拡大を図り、低層建築市場における「軽量鉄骨ゼネコン」の確立を目指します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


事業環境の変化に柔軟に対応し、持続的成長を実現するために人的資本への投資を重要施策として推進しています。次世代経営人材の育成や専門性向上のための教育研修の充実、女性活躍を含むダイバーシティ推進に取り組むとともに、資格取得の援助制度などを設け、従業員一人ひとりが能力を最大限に発揮できる環境整備を進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 38.5歳 8.8年 6,055,269円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 0.0%
男性育児休業取得率 46.1%
男女賃金差異(全労働者) 65.1%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 65.0%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 93.1%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、資格取得の援助及び報奨金制度の利用者(43人)、ノー残業デーの拡充(週2日)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 建設需要や公共投資の変動

同社の主要顧客である建設・土木業界は、公共投資や民間設備投資の動向に大きく左右されます。そのため、公共工事の減少や建設需要の低迷など、市場環境に顕著な変化が生じた場合、製品の販売やレンタル需要が減少し、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) レンタル資産の陳腐化

事業の特性上、多額のレンタル資産を保有しています。急激な市場環境の変化や技術革新、競合他社による新製品の台頭などにより、保有するレンタル資産が陳腐化した場合、多額の減損処理や廃棄処分が必要となり、財務状態を圧迫するリスクがあります。

(3) 原材料および仕入価格の高騰

地政学リスク等に起因する鋼材や木材などの原材料価格の高騰は、ユニットハウスの製造原価を押し上げる要因となります。また、建設機械の仕入価格上昇に伴う減価償却費の増加が原価を上昇させ、同社の収益性に悪影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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