ナガワ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ナガワ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場のナガワは、ユニットハウスの製造・販売・レンタルやモジュール建築、建設機械レンタル事業を展開しています。2025年3月期は、展示場の出店拡大や大型物件の受注が寄与し、売上高は353億円で前期比8.3%増、営業利益は43億円で同0.9%増と、増収増益を達成しました。


※本記事は、株式会社ナガワ の有価証券報告書(第61期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月16日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ナガワってどんな会社?


ユニットハウス「スーパーハウス」の製造・販売・レンタルを主力とし、モジュール建築や建機レンタルも展開する企業です。

(1) 会社概要


1966年に北海道伊達市で長和石油として設立され、1974年にユニットハウス(スーパーハウス)事業を開始しました。1988年にナガワ建販を設立し、その後の合併を経て現在の体制となりました。2004年にJASDAQへ上場し、2022年の市場区分見直しにより東証プライム市場へ移行しました。近年では2022年に岡山工場を新設し、2024年には結城工場を建て替えるなど、生産体制の強化を進めています。

同社(単体)の従業員数は537名です。筆頭株主は同社代表取締役会長の髙橋修氏で、第2位は資産運用や管理を行うTHE SFP VALUE REALIZATIONMASTER FUND LIMITED、第3位は資産管理業務を行う日本マスタートラスト信託銀行です。

氏名 持株比率
髙橋 修 12.86%
THE SFP VALUE REALIZATIONMASTER FUND LIMITED 11.37%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 9.34%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性1名の計11名で構成され、女性役員比率は9.1%です。代表取締役社長は新村亮氏が務めています。社外取締役比率は45.5%です。

氏名 役職 主な経歴
新村 亮 代表取締役社長 1998年同社入社。企画室長、海外事業推進室長、管理本部長などを経て、2023年4月より代表取締役社長。
髙橋 修 代表取締役会長 1988年同社入社。企画室長、第一営業本部長を経て、2008年代表取締役社長に就任。2023年4月より現職。
濱野 新大 常務取締役営業本部長 2007年同社入社。名古屋営業所長、札幌営業所長、企画室部長などを経て、2023年4月より現職。
菅井 賢志 常務取締役技術本部長 1993年同社入社。埼玉営業所長、企画室部長、経理部長などを経て、2023年4月より現職。
溝口 真樹 取締役製造本部長 1996年同社入社。名古屋営業所長、タイ現地法人社長、執行役員製造本部長などを経て、2023年6月より現職。


社外取締役は、木之瀨幹夫(弁護士)、猪岡修治(元横河システム建築社長)、高橋淳子(税理士・元税務署長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ユニットハウス事業」「モジュール・システム建築事業」「建設機械レンタル事業」の3つの報告セグメントで事業を展開しています。

(1) ユニットハウス事業


主力製品であるユニットハウス「スーパーハウス」の製造・販売・レンタルを行っています。また、ユニットハウスに付帯する事務用機械器具、備品、電気製品などの販売・レンタルも手掛けており、建設現場の事務所や仮設店舗、倉庫など幅広い用途で利用されています。

収益は、顧客である建設会社や一般企業等からの製品販売代金およびレンタル料によって構成されています。本事業の運営は主にナガワが行っています。

(2) モジュール・システム建築事業


短工期・低コスト・高品質を特徴とするモジュール建築およびシステム建築の施工・販売を行っています。倉庫、工場、店舗、事務所などの恒久的な建築物として、顧客の多様なニーズに対応した建築ソリューションを提供しています。

収益は、顧客からの工事請負代金および製品販売代金となります。本事業の運営は主にナガワが行っています。

(3) 建設機械レンタル事業


建設現場で使用される様々な建設機械の販売およびレンタルを行っています。北海道南部建設市場などを中心に展開しており、工事に必要な機材を幅広く取り揃えています。

収益は、顧客からの建設機械の販売代金およびレンタル料によって構成されています。本事業の運営は主にナガワが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2021年3月期から2024年3月期にかけて、売上高は着実に増加傾向にあります。利益面では、経常利益率が14%〜15%台と高い水準を維持しており、安定した収益力を示しています。2025年3月期は連結財務諸表を作成していないため一部数値の比較ができませんが、当期純利益は増加しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上収益(または売上高) 294億円 306億円 317億円 326億円 -
税引前利益 / 経常利益 / 営業利益 45億円 47億円 47億円 46億円 -
利益率(%) 15.4% 15.3% 14.8% 14.3% -
当期利益(親会社所有者帰属) 30億円 31億円 31億円 31億円 42億円

(2) 損益計算書


売上原価率は約6割で推移しており、売上総利益率は約4割を確保しています。営業利益率は13%前後となっており、販管費の増加が見られるものの、依然として高い収益性を維持しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 326億円 -
売上総利益 132億円 138億円
売上総利益率(%) 40.4% -
営業利益 43億円 43億円
営業利益率(%) 13.1% -


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が26億円(構成比27%)、地代家賃が14億円(同15%)を占めています。

(3) セグメント収益


ユニットハウス事業が全売上の大半を占める主力事業であり、順調に規模を拡大しています。モジュール・システム建築事業も成長しており、第2の柱として確立されつつあります。建設機械レンタル事業は一定の規模を維持しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
ユニットハウス事業 - 291億円
モジュール・システム建築事業 - 52億円
建設機械レンタル事業 - 10億円
その他 - 353億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「社会の繁栄とともに歩むのが、企業のあるべき姿」と考え、企業活動を通じて社会のどの分野で役に立てるか、地球環境保全にどう貢献できるかを重視しています。これを実践するため、「企業価値」「環境的価値」「経済的価値」の3つの視点から成る「トリプルボトムライン」を常に意識し、企業の社会的責任を果たすことを方針としています。

(2) 企業文化


同社は「成長・発展」を主テーマとし、自らを変革し大きく飛躍することを目指しています。また、コーポレートガバナンスやコンプライアンス遵守、リスクマネジメントに誠実に取り組み、経営の透明性と健全性を高めることを重視しています。変化する環境下において、人材育成や資格取得支援を通じてプロ集団を形成する風土があります。

(3) 経営計画・目標


同社は、2026年3月期の通期業績見通しとして以下の目標数値を掲げています。

* 売上高:380億円
* 営業利益:55億円

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、国内事業の強化・拡大と海外への再進出を進めるとともに、経営効率化により国際競争力の向上を図っています。ユニットハウス事業では展示場出店の強化や中古販売の促進、イベント関連受注に取り組みます。モジュール・システム建築事業では、アライアンス強化や設計・施工体制の充実、3D見積りシステム等の活用による提案力強化を推進しています。

また、低層建築市場における「軽量鉄骨ゼネコン」の確立を目指し、以下の施策に注力しています。

* モジュール建築展示場、サテライト展示場の増設による販売網拡大
* 3D見積りシステムやVRツールを活用した提案力強化とWEB受注拡大
* M&A推進による人材確保と業容拡大
* 積極的な貸与資産への投資と資格取得による人材育成

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は人材戦略を重要課題の一つと位置づけ、「人材戦略」「社内環境の整備」を推進しています。具体的には、外国人やシルバー人材など多様な人材の確保に加え、従業員のキャリア構築を支援するための資格取得援助や報奨金制度を導入しています。また、従業員が持てる力を十分に発揮できるよう、職場環境の整備にも取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 37.5歳 8.2年 6,007,437円


※平均年間給与は基準外賃金及び賞与を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 0.0%
男性育児休業取得率 71.4%
男女賃金差異(全労働者) 65.8%
男女賃金差異(正規雇用) 65.4%
男女賃金差異(非正規雇用) 64.4%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 建設・土木業界の動向


主要顧客である建設・土木業界は、公共投資や民間設備投資の影響を強く受けます。そのため、公共投資の減少や建設需要の減退など、市場環境が大きく変化した場合には、同社の経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) レンタル資産の陳腐化リスク


ユニットハウス事業および建設機械レンタル事業において多額のレンタル資産を保有しています。急激な市場環境の変化や技術革新、競合他社の新製品台頭などにより、保有するレンタル資産が陳腐化し、減損処理や廃棄処分が必要となった場合、経営成績に影響を与える可能性があります。

(3) 原材料価格等の変動リスク


ユニットハウス製造に必要な鋼材・木材価格の高騰や、建設機械の仕入価格上昇は、製造原価の上昇や減価償却費の増加につながります。これらのコスト増を製品価格やレンタル価格に十分に転嫁できない場合、同社の利益を圧迫し、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。