ミロク情報サービス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ミロク情報サービス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ミロク情報サービスは東京証券取引所プライム市場に上場し、会計事務所や中堅・中小企業向けに業務用ソフトウェアの開発・販売や関連サービスを提供しています。2026年3月期は、主力ERP製品のサブスクリプション型への移行が好調で、売上高489億円(前期比6.0%増)、当期純利益54億円(同23.4%増)と増収増益を達成しました。


※本記事は、ミロク情報サービスの有価証券報告書(第49期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ミロク情報サービスってどんな会社?


会計事務所と中堅・中小企業向けに業務用ソフトウェアと関連サービスを提供するシステムベンダーです。

(1) 会社概要


同社は1977年にミロク計算センターとして設立され、同年にミロク情報サービスへ商号変更しました。1992年の店頭売買銘柄登録を経て、1997年に東証第二部、2012年に東証第一部へと上場を果たしました。近年は2020年のトライベックの子会社化などM&Aも推進し、2025年にはシンガポールのSynergix Technologies Pte Ltd.を子会社化してグローバル展開を加速しています。

現在の従業員数は連結で2,342名、単体で1,854名体制となっています。筆頭株主は是枝周樹社長が取締役を務めるHNホールディングスで、第2位も関連会社のエヌケーホールディングス、第3位は資産管理業務を行う信託銀行となっています。

氏名 持株比率
HNホールディングス 21.70%
エヌケーホールディングス 12.30%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 7.70%

(2) 経営陣


同社の役員は男性13名、女性1名の計14名で構成され、女性役員比率は7.1%です。代表取締役社長 取締役会議長 最高経営責任者 最高執行責任者は是枝周樹氏が務めています。社外取締役の比率は約28.6%です。

氏名 役職 主な経歴
是枝周樹 代表取締役社長 取締役会議長 最高経営責任者 最高執行責任者 エヌ・ケー企画取締役等を経て、1994年同社取締役就任。エヌ・テー・シー代表取締役等を経て、2024年より現職。
是枝伸彦 取締役会長 1977年同社設立とともに取締役就任。1980年代表取締役社長、2015年代表取締役会長を経て、2024年より現職。
鈴木正徳 取締役副会長 コンプライアンス推進担当 内部統制室長 1978年通商産業省入省。中小企業庁長官、日揮顧問・取締役等を歴任。2021年同社取締役を経て、2024年より現職。
石川哲士 取締役常務執行役員 営業本部長 製品開発・サポート本部担当 1991年同社入社。営業本部の中部・首都圏等の各種統括部長を歴任。2023年取締役常務執行役員を経て、2026年より現職。
佐藤順一 取締役常務執行役員 経営管理本部長 最高財務責任者 最高情報責任者 1989年同社入社。経営管理本部経理・財務部長、人事総務部長等を歴任。2024年常務執行役員経営管理本部長を経て、2025年より現職。
大久保利治 取締役 税経システム研究所所長代行 BPR推進室担当 1981年同社入社。開発本部開発統括部長、ソリューション事業本部長等を歴任。2024年BPR推進室長を経て、2026年より現職。
寺沢慶志 取締役 税経システム研究所副所長 1992年同社入社。経営管理本部長、社長室長等を経て、2018年より取締役。2023年常務取締役を経て、2024年より現職。


社外取締役は、五味廣文(元金融庁長官)、北畑隆生(元経済産業事務次官)、石山卓磨(会計専門職大学院大原大学院大学学長)、山内暁(早稲田大学商学部教授)です。

2. 事業内容


同社グループは、単一セグメント「ソフトウェア関連事業」を展開しています。

(1) 会計事務所とその顧問先企業マーケット


会計事務所向けに財務・会計システムを提供し、税務・会計処理の効率化や経営革新を支援しています。全国33拠点による地域密着型のサポート体制や、24時間対応のコールセンターを完備し、顧問先である中小企業向けのシステムとも連携させています。

収益は、業務用ソフトウェアの販売や導入支援のほか、総合保守サービス(TVS)などの月額・年額のソフト使用料から得ています。運営はミロク情報サービスが中心となって行っています。

(2) 中堅・中小企業マーケット


中堅・中小企業に対して、財務・会計システムをコアとするERP(統合業務)システムを活用したソリューションを提供しています。経営資源の全体最適化や迅速な意思決定を支援し、DXコンサルティングからネットワーク構築、アフターサービスまでワンストップで展開しています。

収益は、ERPシステムの導入費用に加え、主力製品のクラウド化・サブスクリプション化に伴う継続的なソフト使用料やソフトウェア運用支援サービスから得ています。運営は同社や子会社のBizMagicなどが担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間で売上高は着実に成長し、2026年3月期には約489億円に達しました。利益面も好調に推移しており、主力ERP製品のクラウド化およびサブスクリプション型ビジネスモデルへの転換が進んだことで、経常利益は安定して増加傾向にあります。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 366億円 415億円 440億円 462億円 489億円
経常利益 48億円 58億円 63億円 64億円 69億円
利益率(%) 13.0% 14.1% 14.3% 13.8% 14.0%
当期利益(親会社所有者帰属) 45億円 38億円 42億円 44億円 54億円

(2) 損益計算書


売上高の拡大に伴い売上総利益も増加し、直近2期間で粗利率は約60%の高い水準を維持しています。先行投資として人材採用やベースアップ等によりコストが増加したものの、増収効果により営業利益も堅調に伸びています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 462億円 489億円
売上総利益 279億円 297億円
売上総利益率(%) 60.4% 60.6%
営業利益 63億円 67億円
営業利益率(%) 13.6% 13.6%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が94億円(構成比41%)、販売促進費が17億円(同7%)を占めています。売上原価の主な構成要素に関する詳細な割合は公開されていませんが、仕入原価や開発に伴う減価償却費などが含まれます。

(3) セグメント収益


同社はソフトウェア関連事業の単一セグメントであるため、品目別の売上状況を分析します。サブスクリプション型での提供へと移行したことによりソフト使用料収入が大きく伸長し、ストック型の安定的なサービス収入の増加が全体の売上成長を牽引しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
システム導入契約 240億円 242億円
サービス収入 185億円 212億円
その他 37億円 35億円
連結(合計) 462億円 489億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFがプラス、投資CFおよび財務CFがマイナスとなっており、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業のパターンを示しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 64億円 65億円
投資CF -44億円 -56億円
財務CF -45億円 -26億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は17.3%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も68.0%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「会計事務所とともに中小企業の発展に貢献する」ことを使命としています。最適な経営システムや経営ノウハウを提供することで、中小企業の経営革新を推進し、職業会計人の社会的地位向上と中堅・中小企業の繁栄に寄与し、日本経済の発展に貢献することを基本方針として掲げています。

(2) 企業文化


同社は「社会的人格の錬成」を企業理念の一つに掲げています。社員一人ひとりが相互互恵・相互扶助の精神やコンプライアンスを学び、人間力を磨くことを重視しています。多様なスキルや価値観を持つ人材がお互いを認め合い、能力を最大限発揮できる組織風土の醸成に努めています。

(3) 経営計画・目標


「中期経営計画Vision2028」において、ビジネスモデル変革と新たな価値創造へのチャレンジを掲げ、継続的な企業価値向上を目指しています。2028年度の経営目標として以下の数値を設定しています。

* 売上高:600億円
* 経常利益:120億円
* ROE:18%超

(4) 成長戦略と重点施策


ERP製品の機能強化やSaaS型ビジネスの創出、統合型DXプラットフォーム戦略を進め、クラウド・サブスク型ビジネスモデルへの転換を図ります。また、グループシナジーを活かしたコンサルティングの強化やM&Aを推進するとともに、多様な人材への投資や社内システムの刷新により経営基盤を強化します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人材力と組織力を最大化する人的資本経営を推進し、「人材の確保と育成、成長機会の創出」および「ダイバーシティと働き方改革の推進」を柱としています。多様な人材を積極採用し、階層別研修などの教育を通じてプロフェッショナル人材を育成するとともに、柔軟な働き方を支援する環境整備を行っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 38.3歳 11.3年 6,924,864円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 14.2%
男性育児休業取得率 56.7%
男女賃金差異(全労働者) 81.7%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 84.6%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 53.9%


また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性採用比率(35%)、エンゲージメントスコア(3.6P)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 会計事務所市場の縮小と競争激化


会計事務所の統廃合や高齢化に伴う事業承継問題により、対象市場が縮小するリスクがあります。また、ITの進展やAI技術の高度化、ビジネスモデルの変革などにより、ソフトウェア業界での競争環境が一段と激化した場合、同社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

(2) ソフトウェア品質と知的財産権のリスク


提供する製品・サービスにシステム不具合が発生した場合や、技術革新・法制度改正への対応が遅れた場合、あるいは第三者の知的財産権を侵害した場合には、顧客からの損害賠償請求や企業としての信用失墜につながり、財政状態に悪影響を及ぼす恐れがあります。

(3) 情報セキュリティとシステム障害のリスク


顧客の重要な情報資産を預かるシステム構築を行っているため、サイバー攻撃やコンピュータウイルスへの感染、自然災害などによって情報漏洩が発生した場合、損害賠償やIT企業としての信頼性の低下に直結し、事業運営に重大な支障をきたす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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