ミロク情報サービス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ミロク情報サービス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所プライム市場に上場する同社は、会計事務所および中堅・中小企業向けの業務用アプリケーションソフトの開発・販売を行うソフトウェア関連事業を展開しています。2025年3月期の業績は、サブスクリプション型モデルへの移行が進み、売上高462億円(前期比5.0%増)、経常利益64億円(同1.3%増)と増収増益でした。


※本記事は、株式会社ミロク情報サービスの有価証券報告書(第48期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ミロク情報サービスってどんな会社?


同社は、全国の会計事務所とその顧問先企業向けに、財務・会計システムや経営情報サービスを提供する独立系IT企業です。

(1) 会社概要


同社は1977年11月、会計事務所向けの計算サービス提供を目的に設立されました。その後、財務専用機の販売へ転換し、1992年に店頭登録、1997年に東京証券取引所市場第二部へ上場しました。2012年には同市場第一部へ指定替えとなり、2022年の市場区分見直しに伴いプライム市場へ移行しています。近年ではFinTechやDX分野への進出を進めています。

2025年3月31日現在、同社グループの従業員数は連結2,242名、単体1,794名です。筆頭株主は株式会社エヌケーホールディングスで、第2位は資産管理業務を行う信託銀行です。同社は会計事務所業界に強固な基盤を持ち、全国32カ所の拠点を活かしたダイレクトセールスとサポート体制を構築しています。

氏名 持株比率
エヌケーホールディングス 34.00%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 8.52%
日本カストディ銀行(信託口) 4.52%

(2) 経営陣


同社の役員は男性13名、女性1名の計14名で構成され、女性役員比率は7.1%です。代表取締役社長は是枝周樹氏が務めており、社外取締役比率は28.6%です。

氏名 役職 主な経歴
是枝 周 樹 代表取締役社長取締役会議長最高経営責任者最高執行責任者 1991年エヌ・ケー企画取締役。1994年同社取締役、常務、専務を経て2005年代表取締役社長。2024年6月より代表取締役社長取締役会議長最高経営責任者最高執行責任者。
鈴木 正 徳 取締役副会長コンプライアンス推進担当内部統制室長 1978年通商産業省入省。中小企業庁長官等を経て2021年同社取締役。2024年4月より取締役副会長コンプライアンス推進担当内部統制室長。
石川 哲 士 取締役常務執行役員営業本部長 1991年同社入社。営業本部各支社長、首都圏統括部長等を歴任し、2020年常務執行役員。2023年6月より取締役常務執行役員営業本部長。
髙田 栄 一 取締役常務執行役員製品開発・サポート本部長最高技術責任者 1990年アンダーセン・コンサルティング入社。アクセンチュア、PwC Japan等を経て2023年同社入社。同年6月より現職。
大 久 保 利 治 取締役税経システム研究所所長代行BPR推進室長 1981年同社入社。開発本部開発統括部長、マーケティング本部長等を歴任。2024年4月より取締役税経システム研究所所長代行兼BPR推進室長。
寺沢 慶 志 取締役税経システム研究所副所長 1992年同社入社。経営管理本部長、最高財務責任者等を歴任。2024年4月より取締役税経システム研究所副所長。
是枝 伸 彦 取締役会長 1977年同社設立取締役。1980年代表取締役社長、1992年代表取締役会長兼社長等を歴任。2024年6月より取締役会長。


社外取締役は、五味廣文(元金融庁長官)、北畑隆生(元経済産業事務次官)、石山卓磨(会計専門職大学院大原大学院大学学長)、山内暁(早稲田大学商学部教授)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ソフトウェア関連事業」を展開しています。

(1) システム導入契約


会計事務所および中堅・中小企業に対し、財務会計・税務・人事給与等の業務用アプリケーションソフトウェアや、サーバー・パソコン等のハードウェアを販売しています。また、これらのシステム導入に伴う支援サービス(ユースウェア)も提供しています。

この事業の収益源は、顧客へのシステム納品時や役務提供完了時に発生する売上です。ハードウェア、ソフトウェア(パッケージ製品)、および導入支援サービスの対価を顧客から受け取ります。運営は主にミロク情報サービスおよび連結子会社のエヌ・テー・シーなどが行っています。

(2) サービス収入


システム導入後のアフターサービスとして、会計事務所向けの総合保守サービス「TVS」や、企業向けのソフトウェア運用支援サービス、ハードウェア・ネットワーク保守サービスを提供しています。また、ソフトウェアやクラウドサービスの利用料収入(サブスクリプション)もここに含まれます。

収益源は、顧客から継続的に受け取る保守サービス料や、月額・年額のソフトウェア使用料などです。ストック型の安定的な収益基盤となっており、運営はミロク情報サービスを中心に、エヌ・テー・シーやMJS Finance & Technologyなどのグループ会社が連携して行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は着実に増加傾向にあり、特に直近の2025年3月期は過去最高を更新しています。経常利益も安定して推移しており、高い利益率を維持しています。当期純利益も増加基調にあり、収益力の底堅さがうかがえます。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 341億円 366億円 415億円 440億円 462億円
経常利益 45億円 48億円 58億円 63億円 64億円
利益率(%) 13.2% 13.0% 14.1% 14.3% 13.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 30億円 45億円 35億円 42億円 44億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い売上総利益も増加していますが、売上原価率の上昇により利益率はわずかに低下しています。営業利益は微増しており、本業での稼ぐ力は維持されています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 440億円 462億円
売上総利益 268億円 279億円
売上総利益率(%) 60.9% 60.4%
営業利益 61億円 63億円
営業利益率(%) 13.9% 13.6%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が79億円(構成比36%)、販売促進費が17億円(同8%)を占めています。人的資本への投資や販売活動に伴うコストが主な内訳となっています。

(3) キャッシュ・フローと財務指標


同社は、本業で稼いだ資金をもとに借入金の返済を進めつつ、成長のための投資も行う「健全型」のキャッシュ・フロー状態です。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 65億円 64億円
投資CF -36億円 -44億円
財務CF -41億円 -45億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は15.6%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は64.6%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、日本の税理士・公認会計士事務所とその顧問先企業のために最適な経営システム及び経営ノウハウを開発・普及し、経営情報サービスを提供することを基本方針としています。これにより、職業会計人の社会的地位向上と中堅・中小企業の繁栄に寄与し、日本経済の発展に貢献することを目指しています。

(2) 企業文化


同社は「社会的人格の錬成」を企業理念の一つに掲げています。社員一人ひとりが相互互恵・相互扶助の精神や社会道徳、コンプライアンスを学び、人間力を磨くことを重視しています。また、サステナビリティ基本方針において「多様なプロフェッショナル人材が活躍する働きがいのある職場づくり」を掲げ、ダイバーシティや働き方改革を推進する文化があります。

(3) 経営計画・目標


同社は「中期経営計画Vision2028」を策定し、2028年度に向けた以下の経営目標を掲げています。

* 売上高:600億円
* 経常利益:120億円
* ROE:18%超

(4) 成長戦略と重点施策


同社は「中期経営計画Vision2028」において、ビジネスモデル変革と新たな価値創造へのチャレンジを掲げています。具体的には、会計事務所ネットワークの強化、中堅・中小企業向け総合ソリューションの拡大、統合型DXプラットフォームの推進に加え、クラウド・サブスク型ビジネスモデルへの転換を進めています。また、グループ連携強化やM&Aによる成長、人的資本への投資による経営基盤の強化にも注力しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、経営戦略の実現に向けて「人材の確保と育成、成長機会の創出」と「ダイバーシティと働き方改革の推進」を重要課題としています。多様な人材の採用と継続的な教育により、DXコンサルティングスキルや高い専門性を持つプロフェッショナル人材を育成する方針です。また、公正な評価制度の構築やワーク・ライフ・バランスの実現を通じ、社員が能力を最大限発揮できる環境整備を進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 38.2歳 11.3年 6,807,853円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 13.0%
男性育児休業取得率 45.8%
男女賃金差異(全労働者) 80.2%
男女賃金差異(正規雇用) 83.1%
男女賃金差異(非正規) 44.2%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性採用比率(31%)、エンゲージメントスコア(3.5P)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 市場環境等のリスク


税理士法人の大型化や事業承継問題による会計事務所の統廃合が進み、主要顧客である会計事務所マーケットが縮小する可能性があります。また、技術革新やビジネスモデルの変化による価格競争の激化も懸念され、これらは同グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 開発ソフトウェアの品質や知的財産権に関するリスク


提供する製品・サービスのシステム不具合、技術革新への対応遅れ、法制度改正への対応不備、第三者の知的財産権侵害などが発生した場合、損害賠償請求や信用の失墜を招き、経営成績や財政状態に悪影響を与える可能性があります。

(3) 開発ソフトウェアの収益性に関するリスク


市場競争力維持のためにソフトウェア開発を継続していますが、市場環境の変化等により開発方針の変更が必要となり、当初計画通りの収益が見込めなくなった場合、追加の減価償却等が発生し、経営成績に影響を与える可能性があります。

(4) 人材に関するリスク


ソフトウェア業界における人材獲得競争が激化する中、優秀な人材の確保・育成が計画通りに進まない場合や、人材の流動化により既存社員の退職が増加した場合、事業運営や経営基盤の維持・拡大に支障をきたし、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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