※本記事は、三協フロンテア株式会社の有価証券報告書(第57期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 三協フロンテアってどんな会社?
同社は、ユニットハウスの製造、販売、レンタルを主力事業とし、トランクルームの運営なども展開しています。
■(1) 会社概要
1969年に設立され、1973年にユニットハウスの製造販売を開始、1977年には同製品のレンタル業務へ参入しました。1993年の店頭登録を経て、2004年にジャスダック証券取引所へ上場しています。近年はミャンマーやマレーシア、米国などに現地法人を設立し、海外展開を進めています。
従業員数はグループ全体で1,207名、単体で1,165名です。筆頭株主は創業者一族の資産管理会社である和幸興産で、第2位は同社代表取締役社長の長妻貴嗣氏、第3位は創業家で前取締役の長妻和男氏となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 和幸興産 | 50.54% |
| 長妻貴嗣 | 14.93% |
| 長妻和男 | 2.92% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性10名、女性1名の計11名で構成され、女性役員比率は9.1%です。代表取締役社長は長妻貴嗣氏が務めています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 長妻貴嗣 | 代表取締役社長 | 1994年同社入社。専務取締役営業本部長などを経て、2001年代表取締役専務営業推進本部長に就任。2002年より現職。 |
| 藤田剛 | 常務取締役生産物流本部長 | 1997年同社入社。情報システム部長、生産物流管理部長、物流本部長などを歴任し、2026年3月より現職。 |
| 安齋光晴 | 取締役技術本部長 | 2003年同社入社。技術本部ハウス開発部長、技術第一統括部長などを歴任し、2026年3月より現職。 |
| 松崎和秀 | 取締役建築本部長 | 1995年同社入社。新潟工場長、開発本部副本部長、生産本部長などを経て、2026年3月より現職。 |
社外取締役は、野倉学(バレクセル代表取締役)、渡部秀敏(元ワタベウェディング社長)、チョンシアクチン(元JTC Corporation Deputy CEO)です。
2. 事業内容
同社グループは、「ユニットハウス事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) ユニットハウス事業
ユニットハウスおよび付帯工事の販売施工を行うほか、ユニットハウスのレンタル、さらにトランクルームやレンタルスペースとして賃貸するサービスを展開しています。企業や官公庁、一般消費者など幅広い顧客層に対し、モバイルスペースを提供しています。
収益源は、顧客へのユニットハウスの製品販売代金や付帯工事代金、および契約期間に応じたレンタル料や賃貸料です。運営は主に三協フロンテアが行うほか、中国子会社の広州番禺三協豪施が原材料の製造販売を、その他海外子会社が現地での販売やレンタルを担っています。
■(2) その他事業
ユニットハウス以外の周辺事業として、立体駐車装置の製造、販売、レンタルや、宿泊施設の経営、植物工場の製造、販売、レンタルなどを展開しています。
収益源は、各製品の販売代金やレンタル料、および宿泊施設の利用料などです。これらの事業運営は、主に三協フロンテアが担っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の業績は、売上高が500億円台で安定して推移しています。経常利益は一時落ち込んだものの、その後は80億円台まで回復し、堅調な利益水準を維持しています。当期純利益も増益傾向にあり、底堅い収益力を示しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 533億円 | 500億円 | 524億円 | 561億円 | 543億円 |
| 経常利益 | 101億円 | 69億円 | 81億円 | 82億円 | 83億円 |
| 利益率(%) | 18.9% | 13.8% | 15.5% | 14.6% | 15.3% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 63億円 | 43億円 | 53億円 | 55億円 | 56億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は減少したものの、売上原価の低減などにより売上総利益率は改善しました。これに伴い、営業利益は横ばいを維持しつつも営業利益率が向上しており、収益性の改善が進んでいることが読み取れます。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 561億円 | 543億円 |
| 売上総利益 | 220億円 | 220億円 |
| 売上総利益率(%) | 39.3% | 40.5% |
| 営業利益 | 80億円 | 80億円 |
| 営業利益率(%) | 14.3% | 14.7% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び賞与が47億円(構成比33%)、減価償却費が8億円(同6%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力であるユニットハウス事業は、全国的な建築確認申請許可の遅延などの影響により減収となりました。その他の事業は微増となっていますが、全体業績に占める割合は限定的です。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| ユニットハウス事業 | 557億円 | 539億円 |
| その他 | 4億円 | 4億円 |
| 連結(合計) | 561億円 | 543億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である「健全型」の傾向を示しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 51億円 | 56億円 |
| 投資CF | -29億円 | -41億円 |
| 財務CF | -28億円 | -6億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は11.0%で、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も75.0%となっており、いずれも市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「社会への貢献」を目的とし、「社会に役立ち、人々の心や暮らしを豊かにし、よって社会に貢献すること」を掲げています。独自の技術と製品を通じて顧客の豊かな生活環境を実現し、株主各位に適切な利益還元を行うことを目指しています。
■(2) 企業文化
「開拓の精神」「不断の努力」「誠実な意志」を基本的価値観として定めています。失敗を恐れずに新しい分野へ挑戦し、弛みない努力で困難に打ち勝つことを喜ぶ文化があります。また、コンプライアンスやルールを重視する「規律を大切にする文化」の醸成にも取り組んでいます。
■(3) 経営計画・目標
長期ビジョンとして「VISION2050」を掲げ、「Mobile Spaceを世界の常識にし、ハピネスあふれる社会の実現に貢献する」ことを目指しています。短期的な客観的指標としては、売上高粗利率、売上高経常利益率、自己資本比率を掲げて事業の状態を把握しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
全国に200カ所を超える展示場やトランクルームの店舗網の拡充を図るとともに、デジタルマーケティングを活用して提案力のある営業体制の構築を進めています。また、データセンター需要に対応するコンテナ型データセンターなどの新製品開発や、生産物流拠点の拡大による供給体制の強化に取り組んでいます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「組織ビジョン」を起点として、各部門や従業員一人ひとりの「個人ビジョン」へ連動させる取り組みを推進しています。組織と個人の能力を高めるため、各部門における重要資格を定め、資格取得支援やe-ラーニング制度の充実など、社員が自発的に学べる環境整備を進めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 45.5歳 | 9.4年 | 5,590,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 1.8% |
| 男性育児休業取得率 | 66.7% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 56.0% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 63.3% |
| 男女賃金差異(非正規雇用労働者) | 77.2% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) レンタル資産の保有と陳腐化
同社はユニットハウス等のレンタルを主要事業としており、多額のレンタル資産を保有しています。急激な環境変化による需要減少や、技術革新、競合製品の台頭などによって資産が陳腐化し、減損損失や廃棄処分が発生するリスクがあります。
■(2) 資材購入価格の上昇
鉄鉱石価格の高騰による鉄鋼製品の価格上昇や、原油価格の高騰などにより、ユニットハウス等の製造原価が上昇する可能性があります。これにより、製品価格の維持が困難になり利益を圧迫するリスクがあります。
■(3) 建設投資動向による需給変動
主要顧客である建設・土木業界は、公共投資や民間設備投資などの国内建設投資動向に大きく影響を受けます。公共事業の削減や民間工事の著しい減少が発生した場合、同社が提供する製品やサービスへの需要が落ち込み、業績に影響が及ぶ可能性があります。



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