セレスポ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

セレスポ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード上場。イベント制作の企画・設営・運営を一貫して手掛ける。当期は官公庁案件の回復や大型イベント増加により大幅な増収となり、営業・経常損益は黒字転換を果たした。一方で、独占禁止法関連の特別損失計上により最終損益は赤字が拡大している。


#記事タイトル:セレスポ転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

※本記事は、株式会社セレスポ の有価証券報告書(第48期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月18日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. セレスポってどんな会社?


イベント制作を主軸に、企画から設営、運営までトータルソリューションを提供する企業です。

(1) 会社概要


1977年に設立され、建築式典や市民祭等のイベント請負を開始しました。1994年に日本証券業協会へ株式を店頭登録し、2016年にはイベントの持続可能性に関する国際規格ISO 20121認証を取得しました。2022年の東証市場区分見直しに伴いスタンダード市場へ移行し、現在はスポーツや大型イベントの制作に強みを持ちます。

単体従業員数は396名です。筆頭株主は株式会社スマイルで、第2位はセレスポ従業員持株会、第3位は個人株主となっています。

氏名 持株比率
スマイル 20.12%
セレスポ従業員持株会 4.76%
關 俊太 2.74%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性2名、計10名で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長兼統括本部長は田代剛氏が務めています。社外取締役比率は10.0%です。

氏名 役職 主な経歴
田 代   剛 代表取締役社長兼統括本部長 1983年入社。名古屋支店長、営業本部長、事業本部長等を歴任。2022年より現職。
生 田   茂 常務取締役事業本部長 1982年入社。東京支店長、生産本部長、コーポレート本部長等を歴任。2022年より現職。
堀 貫 貴 司 常務取締役コーポレート本部長 1983年三菱銀行(現 三菱UFJ銀行)入社。2013年同社入社。人事総務部管掌等を経て2023年より現職。
松 田 英 彦 取締役事業本部副本部長 1985年入社。東京支店長、事業支援部長兼営業推進室長等を歴任。2024年より現職。
林   秀 紀 取締役事業本部副本部長兼事業支援部長EXPO推進担当 1996年入社。名古屋支店長、コーポレート本部副本部長等を歴任。2024年より現職。
小 林 哲 也 取締役コーポレート本部副本部長 1994年入社。大阪支店長、執行役員等を経て2024年より現職。


社外取締役は、奥田かつ枝(株式会社九段緒方総合鑑定代表取締役)です。

2. 事業内容


同社は、「イベント総合請負業並びにこれらの関連業務」の単一セグメントで事業を展開しており、部門別に「基本事業」「スポーツ事業」「競争事業」に区分されています。

(1) 基本事業


同社グループの中核として、各営業拠点が担当する様々なイベント領域の制作業務を行っています。地域の市民祭から企業の販促イベントまで、多岐にわたるイベントの企画、会場設営、演出、運営を手掛けます。

収益は、イベントの主催者である官公庁、民間企業、各種団体等から受け取る制作請負代金等から成ります。運営は主にセレスポが行っています。

(2) スポーツ事業


中央競技団体等が開催するスポーツ・競技に関するイベント領域の制作業務を行っています。マラソン大会や各種スポーツ選手権など、専門的なノウハウが必要とされるイベントをサポートします。

収益は、競技団体や大会主催者から受け取るイベント制作・運営に関わる請負代金です。運営は主にセレスポが行っています。

(3) 競争事業


皇室ご臨席事業を中心とした、全国持ち回りで開催されるイベント領域の制作業務を行っています。国民体育大会(国スポ)や全国植樹祭など、大規模かつ格式の高い国家的行事の式典・運営等を担当します。

収益は、国や地方自治体、実行委員会等の主催者から受け取る業務委託料や請負代金です。運営は主にセレスポが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、2022年3月期をピークに大きく変動しています。2022年3月期は大型イベント需要等により過去最高の売上・利益を記録しましたが、その後反動減となりました。直近の2025年3月期は、売上高が前期比で大幅に回復し、営業損益および経常損益は黒字転換を果たしました。一方で、独占禁止法関連損失引当金の計上により、最終損益は赤字が拡大しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 44億円 270億円 199億円 90億円 137億円
経常利益 -15億円 67億円 31億円 -4億円 8億円
利益率(%) -34.8% 24.8% 15.5% -4.2% 5.9%
当期利益(親会社所有者帰属) -11億円 46億円 21億円 -3億円 -8億円

(2) 損益計算書


直近2期間を比較すると、売上高は約1.5倍に伸長し、収益性が改善しています。売上総利益率も33%台を維持しており、増収効果によって営業利益は前期の赤字から8億円の黒字へと大きく改善しました。本業の回復が鮮明となっています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 90億円 137億円
売上総利益 30億円 45億円
売上総利益率(%) 33.4% 33.2%
営業利益 -4億円 8億円
営業利益率(%) -4.3% 5.9%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が19億円(構成比50%)、福利厚生費が4億円(同10%)を占めています。

(3) セグメント収益


全ての部門で増収を達成しました。基本事業は官公庁からの指名停止措置の影響減少により案件数が増加し回復しました。スポーツ事業は請負範囲の拡大により単価が上昇し増収となりました。競争事業は大型案件数が大きく増加したことで、売上高が倍増しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
基本事業 66億円 94億円
スポーツ事業 8億円 10億円
競争事業 16億円 33億円
連結(合計) 90億円 137億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

セレスポは、営業活動により資金を獲得し、投資活動および財務活動で資金を支出しています。
営業活動では、主に事業活動による収支の結果、資金が増加しました。
投資活動では、主に設備投資等により資金が支出されました。
財務活動では、主に配当金の支払い等により資金が支出されました。
これらの結果、当事業年度末の現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べて増加しました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF -11億円 5.1億円
投資CF -0.3億円 -0.1億円
財務CF -5.5億円 -1.4億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、「イベントを通じて自らを含む周囲の幸福を実現し、笑顔のある明るい社会づくりに貢献する」ことを経営理念として掲げています。社会に信頼され、ステークホルダーと共に成長を続けられる「イベント・ソリューション・パートナー」を目指しています。

(2) 企業文化


株主・顧客・取引先・社員などのステークホルダーと良好な互恵関係を築くことをすべての活動の起点としています。「顧客起点」に立ったソリューション提供と、どんなイベントでもサポートできる「現場力」を重視し、顧客の課題に応え、感動と笑顔を創出する姿勢を大切にしています。

(3) 経営計画・目標


強固で強靭な企業体を目指し、「基盤強化」「信頼関係の構築」「現場対応力の発揮」に取り組んでいます。具体的な数値目標として、以下の指標を掲げています。

* 売上高営業利益率:5.9%(2025年3月期実績)
* 自己資本当期純利益率(ROE):△8.0%(2025年3月期実績)

(4) 成長戦略と重点施策


資材価格や人件費の上昇リスクに対応しつつ、事業基盤の再建と成長を目指しています。社員一人ひとりの自走による業績向上基盤の構築、顧客からの信頼回復、そして現場対応力の発揮により社会を元気にする存在となることを重点施策としています。また、コンプライアンスの徹底による信頼回復にも注力しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


組織力強化のため、「採用」「教育」「評価」「処遇」を重要視しています。新卒・キャリア採用の積極化、階層別研修の充実、多様な働き方に対応した新人事制度の導入、選択型週休3日制度などの環境整備を推進し、社員一人ひとりが自走できる基盤づくりを進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 44.1歳 17.7年 5,636,789円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 12.5%
男性育児休業取得率 37.5%
男女賃金差異(全労働者) 78.7%
男女賃金差異(正規雇用) 79.3%
男女賃金差異(非正規雇用) 80.4%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性の勤続年数(12年4ヵ月)、時間外労働、休日労働時間(20.1時間)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 公的規制に関するリスク

事業活動を展開する各部門において様々な公的規制を受けています。これらの規制を遵守できなかった場合、活動の制約や罰金・課徴金等を受ける可能性があり、業績に影響を及ぼす可能性があります。コンプライアンス重視の経営と啓蒙活動により予防に努めています。

(2) イベント開催に対する社会の動向

イベント事業は、経済政策、自然災害、感染症等の社会情勢の影響を受けやすい傾向にあります。国内市場におけるイベント需要の縮小が発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。同社は状況に合わせた対策を適時策定する方針です。

(3) 顧客の動向

私企業、官公庁、各種団体から幅広く受注していますが、業界・団体の景気動向や官公庁の税収等が業績に影響を与える可能性があります。特に官公庁案件への依存度が高い場合、予算縮小等の影響を受けるリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。