セレスポ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

セレスポ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

セレスポは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、企画から設営・運営までを請け負うイベント制作を主な事業として展開しています。最新の業績トレンドでは、主要領域におけるイベント開催の回復基調や案件単価の増加を背景に、売上高および各段階利益が前期比で増加し、堅調な増収増益を達成しています。


※本記事は、株式会社セレスポ の有価証券報告書(第49期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. セレスポってどんな会社?


イベント制作事業を主力とし、顧客起点と現場対応力で課題解決を図る企業です。

(1) 会社概要


同社は1977年に市民祭や運動会等の催物に対する企画から会場設営、運営の一貫請負を目的として設立されました。1994年に株式を店頭登録し、2015年にはスポーツ事業部門を開設して領域を拡大しています。2016年にはイベントの持続可能性に関する国際標準規格を認証取得し、2022年にスタンダード市場へ移行しました。

現在の従業員数は単体で405名です。大株主の構成を見ると、筆頭株主はその他の関係会社であるスマイルで、第2位は光通信KK投資事業有限責任組合、第3位は自社の従業員持株会となっています。

氏名 持株比率
スマイル 20.07%
光通信KK投資事業有限責任組合 5.90%
セレスポ従業員持株会 3.89%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性2名の計10名で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長兼統括本部長を田代剛氏が務めています。社外取締役比率は10.0%です。

氏名 役職 主な経歴
田代剛 代表取締役社長兼統括本部長 1983年入社。名古屋支店長、営業本部長、常務取締役、専務取締役などを歴任し、2022年より現職。
生田茂 常務取締役統括本部副本部長兼事業本部長 1982年入社。東京支店長、執行役員生産本部長、取締役などを経て、2024年より現職。
堀貫貴司 常務取締役統括本部副本部長兼コーポレート本部長 1983年三菱銀行入行。2013年同社入社。取締役経理部長などを経て、2024年より現職。
松田英彦 取締役事業本部副本部長 1985年入社。東京支店長、執行役員さいたま支店長などを経て、2024年より現職。
林秀紀 取締役事業本部副本部長兼事業支援部長EXPO推進担当 1996年入社。名古屋支店長、取締役コーポレート本部副本部長などを経て、2024年より現職。
小林哲也 取締役コーポレート本部副本部長兼人事総務部管掌 1994年入社。大阪支店長、執行役員コーポレート本部副本部長などを経て、2025年より現職。


社外取締役は、奥田かつ枝氏(元九段都市鑑定代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「イベント総合請負業」を展開しています。

同社はイベント制作を主な事業としており、企画、会場設営、演出・進行、運営等の活動を総合的に展開しています。事業分野は、様々なイベント領域を担当するベース事業、中央競技団体等が開催するスポーツ・競技関連のスポーツ事業、皇室ご臨席行事を中心とした全国持ち回りのイベントを担うロイヤルイベント事業に分かれています。

収益源は、私企業や官公庁、各種団体などの顧客から請け負うイベント制作業務の対価です。一貫したイベントソリューションを提供し、案件ごとの請負代金を受領するビジネスモデルとなっています。同社には親会社および子会社はなく、すべての事業活動や制作業務等の運営は同社単体で行っています。

3. 業績・財務状況


同社の業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


過去5年間の業績を見ると、売上高は減少した後に回復基調へ転じています。利益面では一時的に経常赤字や当期赤字を計上した時期がありましたが、直近では案件数および単価の増加により、売上高の成長とともに経常利益や当期利益も黒字を確保し、回復と成長のサイクルに入っていることが伺えます。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 270億円 199億円 90億円 137億円 151億円
経常利益 67億円 31億円 -4億円 8億円 11億円
利益率(%) 24.8% 15.5% -4.2% 5.9% 7.2%
当期利益(親会社所有者帰属) 46億円 21億円 -3億円 -8億円 8億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い、売上総利益および営業利益がいずれも前期を上回っています。売上総利益率は前期から改善しており、各段階の利益率も向上していることから、採算性の高い案件の受注や単価の見直しが利益水準の押し上げに寄与していることが読み取れます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 137億円 151億円
売上総利益 45億円 53億円
売上総利益率(%) 33.2% 35.3%
営業利益 8億円 11億円
営業利益率(%) 5.9% 7.2%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が19億円(構成比45%)、賞与が5億円(同12%)を占めています。売上原価については、外注費が72億円(構成比74%)、労務費が13億円(同13%)となっています。

(3) セグメント収益


同社はイベント総合請負業の単一セグメントですが、部門別の売上高を見ると、ベース事業およびスポーツ事業が案件数と単価の増加により大幅な増収を達成しています。一方、ロイヤルイベント事業は大型案件の受注範囲縮小により減収となりましたが、全体としては堅調な売上成長を牽引しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
ベース事業 94億円 107億円
スポーツ事業 10億円 14億円
ロイヤルイベント事業 33億円 30億円
合計 137億円 151億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のキャッシュ・フローは、営業活動で得た資金を活用して借入金の返済や積極的な投資を行っており、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う健全型の優良企業の状態にあります。財務指標については、企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.1%で、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は77.4%となっており、いずれもスタンダード市場の平均を上回っています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 5億円 0.1億円
投資CF -0.1億円 -21億円
財務CF -1億円 -2億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「イベントを通じて自らを含む周囲の幸福を実現し、笑顔のある明るい社会づくりに貢献する」ことを経営理念として掲げています。株主・顧客・取引先・社員などのステークホルダーと良好な互恵関係を築くことを活動の起点とし、社会に信頼され、共に成長を続けられる「イベント・ソリューション・パートナー」を目指しています。

(2) 企業文化


同社は、イベントを通じて直接体験の場を提供し、世の中に楽しいことや新しいことを生み出し続ける文化を大切にしています。顧客の目的実現に向けたソリューションを導き出すため、お客さまの想いを形にする「顧客起点」と、様々なイベントに柔軟に対応できる「現場対応力」を最大限に発揮する行動様式を重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社は主要業績指標として、売上高、営業利益、売上高営業利益率、およびROE(自己資本当期純利益率)を掲げて事業運営を行っています。社員一人ひとりの自走によって業績が向上していく強固で強靭な基盤を創り上げることを目指しており、時代に即した対応を行うことで持続的な成長目標の達成を追求しています。

(4) 成長戦略と重点施策


同社は強固で強靭な組織体制を目指し、「基盤強化」「信頼関係の構築」「現場対応力の発揮」の3点を軸に成長戦略を推進しています。具体的には、資材価格や人件費等のコスト増加リスクに対応しながら、社員の自走による業績向上基盤の構築や、顧客からの最初の相談相手として信頼される関係性の強化に注力しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は「顧客起点」と「現場対応力」を支えるため、「組織力強化」と「機動力アップ」を軸とした人材戦略を推進しています。具体的には、新卒・中途を問わず積極的な採用活動を行い、経験年数や性別にとらわれない能力・成果に基づく配置を実施しています。また、多様な研修や人事制度の導入により定着・育成を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 43.9歳 18.1年 6,447,220円

※平均年間給与は賞与および基準外賃金を含んでいます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 13.1%
男性育児休業取得率 66.7%
男女賃金差異(全労働者) 80.3%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 80.3%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 85.7%


また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性の勤続年数(13年11ヵ月)、時間外労働・休日労働時間(18.6時間)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) イベント開催に対する社会の動向
イベント需要は国内経済政策や企業収益、自然災害、感染症拡大等の影響を受けやすいため、需要縮小が業績に影響を及ぼす可能性があります。同社は適時に状況を把握し、発生状況に合わせた事業継続計画等の対策を講じています。

(2) 顧客の動向
多様な顧客から案件を受注してリスク分散を図っていますが、業界動向の情報収集やマーケティング活動が不十分な場合、あるいは官公庁の予算減少等により業績に影響が出る可能性があります。同社は顧客に合わせた営業活動を実施し対応しています。

(3) 人材の確保・育成の遅れ
顧客起点の提案や現場での対応力を発揮するためには優秀な人材の確保と育成が不可欠です。継続的な採用活動が不調に終わった場合、将来の業績に影響を及ぼすリスクがあるため、人事制度の充実を図り人材確保に注力しています。

(4) 公的規制に関するリスク
事業活動において独占禁止法などの様々な公的規制を受けており、これらを遵守できなかった場合は活動が制約されたり、罰金・課徴金等の処分を受ける可能性があります。同社はコンプライアンスを重視し、啓蒙活動を通じて法令遵守を徹底しています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。