※本記事は、ウィルソン・ラーニング ワールドワイド株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月30日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
ウィルソン・ラーニング ワールドワイドは、企業内教育の企画及び実施を行うHRD(人材開発・組織開発)事業を展開しています。コンサルティングとソリューションの提供を通じて、グローバルに人材育成を支援しています。
単体従業員数は28名、連結従業員数は69名です。同社グループの事業セグメントは、国内、北米、欧州、中国、アジア・パシフィックの5つです。
ウィルソン・ラーニング ワールドワイドは、1991年に米国ウィルソン・ラーニング社の知的所有権を取得し、企業内教育の企画及び実施を担っています。海外9社の子会社と2社の関連会社を通じてグローバルに事業を展開しています。
なお、同社グループは、ウィルソン・ラーニング チャイナ リミテッド(香港)とその子会社である展智(北京)企業管理諮詢有限公司(中国)の解散及び清算を決議し、現在手続きを進めています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
ウィルソン・ラーニング ワールドワイドは、人材育成と組織開発の分野で事業を展開しています。同社グループは、グローバルな視点と多様性を重視した働き方を推進しており、従業員が長期的に活躍できる環境づくりに注力しています。専門性を活かし、柔軟なワークスタイルを求める方にとって、同社グループの働き方は魅力的な選択肢となるでしょう。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
ウィルソン・ラーニング ワールドワイドでは、従業員の平均年齢が比較的高く、勤続年数も長い傾向が見られます。これは、従業員が長期にわたってキャリアを築き、専門性を深めていることを示唆しています。安定した環境で経験を積み重ねたいと考える方にとって、魅力的な職場環境であると考えられます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,437,150円 |
| 平均勤続年数 | 17.7年 |
| 平均年齢 | 54.1歳 |
| 単体従業員数 | 28人 |
| 連結従業員数 | 69人 |
| 単体のグループ内比率 | 40.6% |
同社グループは、確定拠出年金制度(会社が拠出した資金を従業員が運用する)および確定給付企業年金制度(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)を導入しています。同社は確定拠出年金制度および確定給付企業年金制度を導入しており、連結子会社においても確定拠出型または確定給付型の退職給付制度が適用されています。
なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。2026年3月31日時点の退職給付債務は58百万円、年金資産は95百万円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
ウィルソン・ラーニング ワールドワイドは、育成に関する知的財産を中心としたビジネスを展開しており、人的資本を経営の源泉と位置づけています。同社グループのサステナビリティにおける重要戦略は「人材の確保」と「イノベーション」です。人材確保においては、正社員採用の難しさから、雇用形態に囚われない優秀な外部人材の活用を推進しています。また、イノベーション推進のため、AI活用を含むDX化を一層推進し、DX部門の新設や生成AIのグローバル導入による生産性向上と知的創造の革新を図っています。
働き方については、コンサルティング業務の特性を考慮し、裁量労働制やフレックスタイム制を導入し、業務内容に応じた柔軟な雇用形態を試みています。ライフスタイルが変化しても働き続けられる環境を整備しており、育児中の社員に対しては育児休暇の取得や時短勤務を奨励しています。グローバル企業として、女性や外国籍社員の多様性確保にも継続的に取り組んでいます。自社の研修コースを活用した人材育成を通じて、変化の厳しい環境でグローバルに活躍できる人材の育成にも力を入れています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
同社グループは、女性活躍推進法および育児介護休業法の規定による公表義務の対象ではないため、法定開示項目は記載を省略しています。
グループ全体(連結)
2026年3月末時点の連結グループにおける女性管理職比率です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 50.0% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
同社グループは、企業内教育の企画および実施を通じて、顧客企業の成長を支援するビジネスを展開しています。グローバルに事業を展開し、多様な地域でソリューションを提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、企業内教育の企画および実施を主な事業としています。子会社9社および関連会社2社で構成されており、人材開発・組織開発のためのコンサルティングとソリューションを提供しています。収益は、主にライセンス販売、開発サービス、研修サービス、学習プラットフォームの提供から得ています。
同社グループの事業は、主に「国内」「北米」「中国」「アジア・パシフィック」の4つの報告セグメントで構成されています。北米セグメントが最大の収益源であり、国内セグメントがそれに続いています。
国内
国内セグメントでは、企業研修市場の堅調な傾向が続いています。大型カスタマイズ案件やライセンス納品により、売上高は増加傾向にあります。収益は、ライセンス販売、開発サービス、研修サービス、学習プラットフォームから得ています。
北米
北米セグメントは、同社グループの最大の収益源です。欧州事業の移管と営業マネジメントの一元化により、売上高は大幅な増加傾向が継続しています。収益は、ライセンス販売、開発サービス、研修サービス、学習プラットフォーム、その他から得ています。運営は、ウィルソン・ラーニング コーポレーションが行っています。
中国
中国セグメントでは、事業の清算手続きが進行しており、事業活動は縮小傾向にあります。これに伴い、売上高は大きく減少しています。
アジア・パシフィック
アジア・パシフィックセグメントでは、インドでの新規案件受注が増加し、売上高が大きく伸びています。一方、アジア地域では直販案件の減少が見られます。
同社グループはグローバルに事業を展開しており、海外での売上高が全体の大部分を占めています。欧州事業は米国子会社への事業移管により、売上高は計上されていませんが、運営コストは一部継続しています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 北米 | 8.2億円 | 11.1億円 |
| 国内 | 5.6億円 | 6.6億円 |
| アジア・パシフィック | 1.2億円 | 1.5億円 |
| 中国 | 33百万円 | 3百万円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は、直近5年間で変動が見られますが、当連結会計年度は前期から増加に転じています。経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益は、継続して損失を計上しているものの、当連結会計年度は前期に比べて損失額が大幅に縮小しています。
営業損失は前期から大きく改善しており、これは主に北米の売上増加やグループ再編による販売費及び一般管理費の削減効果によるものです。一方で、過年度の連結財務諸表訂正に関連する費用や減損損失が引き続き発生し、利益に影響を与えています。営業活動によるキャッシュ・フローは減少していますが、前期と比較すると減少幅は大幅に縮小しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 17.9億円 | 24.9億円 | 17.5億円 | 16.9億円 | 19.2億円 |
| 経常利益 | △4.9億円 | 19百万円 | △5.2億円 | △3.9億円 | △92百万円 |
| 経常利益率 | △27.5% | 0.7% | △29.8% | △22.8% | △4.8% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | △3.1億円 | △27百万円 | △5.2億円 | △3.9億円 | △1.4億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | △59.93 | △5.18 | △84.50 | △55.29 | △14.33 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は、前期から増加しており、生産性が向上している傾向が見られます。従業員1人あたり営業利益は引き続き損失を計上していますが、損失額は前期から大幅に縮小しています。これは、売上高の増加と販売費及び一般管理費の削減効果が影響していると考えられます。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 22.8百万円 | 27.9百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | △5.3百万円 | △1.0百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
ウィルソン・ラーニング ワールドワイドは、財務基盤の安定化と収益構造の改善に取り組んでいます。継続企業の前提に関する重要な不確実性が存在しており、今後の動向が注目されます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率は前期から増加し、プライム市場平均と比較して高い水準にあります。しかし、ROE(自己資本利益率)はマイナスとなっており、収益性の改善が課題です。手元資金である現金及び預金は増加傾向にあり、一定の流動性を維持しています。これらの財務状況は、今後の事業展開や雇用・給与の安定性に影響を与える可能性があります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 7.0億円 | 7.8億円 |
| 自己資本比率 | 46.0% | 54.8% |
| ROE(自己資本利益率) | △49.6% | △19.1% |
| 現金及び預金 | 2.7億円 | 3.8億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの当期の営業キャッシュフローは、税金等調整前当期純損失や仕入債務の減少などにより、わずかながら資金が減少しました。前期と比較すると減少幅は大幅に縮小しています。投資キャッシュフローは、有形固定資産の取得や資産除去債務の履行などにより資金が減少しました。フリーキャッシュフローはマイナスとなっており、本業で生み出す資金だけでは投資を賄えていない状況を示しています。財務キャッシュフローは、株式の発行による収入などにより資金が増加しており、資金調達によって事業活動や投資活動を支えている状況です。このキャッシュフローの状況は、収益構造の改善と財務基盤の安定化が今後の雇用や給与の安定性に影響を与える可能性があります。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △3.5億円 | △3百万円 |
| 投資CF | 12百万円 | △32百万円 |
| 財務CF | 1.3億円 | 1.7億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △3.4億円 | △35百万円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
同社グループは、前期および当期において営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する当期純損失、マイナスの営業キャッシュフローを計上しています。これにより、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況が存在しています。同社グループは収益構造の改善と財務基盤の安定化に取り組んでいますが、資金調達の見通しは得られていない状況です。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、売上高の約6割が海外売上高であるため、為替変動が経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。また、事業収益の低迷が続く場合、資金調達手段の確保が経営上の重要課題となることが示されています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、適時開示体制の整備に努めていますが、社内情報伝達・判断プロセスに不備が生じた場合、開示の遅延や誤りが発生するリスクがあります。これにより、投資家の信頼性に影響を与える可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
ウィルソン・ラーニング ワールドワイドは、人や組織の潜在能力を最大限に引き出すことをミッションに掲げ、グローバルに事業を展開する人材育成企業です。学びの未来を創造し、持続可能な社会の実現に貢献することを目指しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
ウィルソン・ラーニング ワールドワイドは、「人や組織が、そのもてる力を最大限に発揮できるようお手伝いします---充実感を伴ったパフォーマンス---」というミッションを全世界共通の“存在理由”としています。
同社グループは、新ビジョンとして成長モデル『L×ETC構想』を掲げています。これは、従来の基軸ビジネスである「Learning」をベースに、「Education」「Technology」「Consulting」をつなぎ、「学びの未来」を創造していくことを目指すものです。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
ウィルソン・ラーニング ワールドワイドは、創業時からのミッションである「人や組織が、そのもてる力を最大限に発揮できるようお手伝いします」を共通の価値観としています。
同社グループは、グローバル企業として多様性を重視し、変化し続ける事業環境に対応できる体制を構築しています。知的財産投資と人的資本投資を重視した経営を進めています。
また、国連の「グローバル・コンパクト」に参加し、企業の社会的責任を果たすことにも努めています。自律しながらもコラボレーション可能な働き方を推進し、多様な人材が活躍できる環境整備を継続しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
ウィルソン・ラーニング ワールドワイドは、人材育成の重要性が高まる国内市場において、マーケティングを強化しリード獲得増施策を進めています。
また、グローバルに活躍できる人材育成を継続的な課題としています。ライフスタイルの変化に対応し、育児休暇や時短勤務を奨励するなど、働きやすい環境整備に取り組んでいます。
さらに、女性や外国籍社員の多様性確保を継続的に推進しています。研修の開発手法のAI化やハイブリッド化、教材のデジタル配布への変更など、サステナビリティへの取り組みも重点テーマです。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
ウィルソン・ラーニング ワールドワイドは監査役会設置会社であり、取締役会と監査役会が経営を監督する体制をとっています。社外役員を複数選任することで、経営の透明性と公正性の確保に努めています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
ウィルソン・ラーニング ワールドワイドの株主構成を見ると、代表取締役社長である根岸正州氏が筆頭株主となっています。また、同社の取締役が代表を務める事業会社も上位株主として名を連ねています。このように、経営陣やその関連会社が上位株主として同社を支える資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 根岸 正州 | 8.61% |
| マネジメントベース | 7.17% |
| 飯塚 健 | 4.30% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は10名(男性9名・女性1名)で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役社長は根岸正州氏が務めています。社外取締役比率は28.6%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 根岸 正州 | 代表取締役社長 | 2003年に野村総合研究所に入社後、学校法人OCC理事長などを歴任し、2025年8月より同社代表取締役に就任し現職。 |
| 児島 研介 | 取締役 | 1998年に同社に入社し、執行役員や代表取締役社長を歴任。2026年4月より同社取締役に就任し現職。 |
| デイビッド・イエスフォード | 取締役 | 1986年にウィルソン・ラーニング コーポレーションに入社し、グローバル・マーケティングなどを担当。2025年1月より同社社長、同年8月より同社取締役に就任し現職。 |
| 本田 宏文 | 取締役 | 1991年に野村総合研究所に入社後、株式会社マネジメントベースを設立し代表取締役を務める。2026年6月より同社取締役に就任し現職。 |
| 菊川 淳 | 取締役 | SAPジャパン、ING生命保険などを経て、株式会社ジーニーCFO、上級執行役員を歴任。2026年6月より同社取締役に就任し現職。 |
社外取締役は、杉本有輝氏(アクセラ代表取締役)、伊藤正喜氏(伊藤小池法律事務所代表弁護士)です。
同社は監査役会設置会社であり、監査役が取締役の職務執行を監査する体制をとっています。社外取締役は、経営戦略やガバナンスに関する専門的な観点から、取締役の職務執行に対する監督と助言を行っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
ウィルソン・ラーニング ワールドワイドの役員報酬は、月額の固定報酬と役員賞与で構成されています。業績連動報酬は導入されておらず、利益が発生した年度に役員賞与の支給を検討する方針です。また、業績が著しく低迷した場合には、報酬の減額や一部カットを行うことがあります。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 4名 | 20百万円 | 5.0百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 5百万円 | 5.0百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 10百万円 | 2.5百万円 |
なお、取締役の支給額には使用人兼務取締役の使用人分給与は含まれていません。また、業績の低迷を受け、取締役報酬は役位に応じて減額されています。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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