ディーエムエス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ディーエムエス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

同社は東京証券取引所スタンダード市場に上場し、ダイレクトメール(DM)事業を中核に、物流、販促、イベント事業を展開する企業です。2025年3月期の業績は、売上高276億円(前期比2.4%増)、経常利益12億円(同11.6%減)、当期純利益8億円(同44.6%減)の増収減益でした。


※本記事は、株式会社ディーエムエス の有価証券報告書(第66期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ディーエムエスってどんな会社?


ダイレクトメール事業を中核に、物流、セールスプロモーション、イベント事業を展開する総合情報ソリューション企業です。

(1) 会社概要


1961年に設立され、ダイレクトメール業務を開始しました。1970年には業界初の全自動封入封緘機を導入するなど技術革新を進め、1995年に日本証券業協会へ店頭登録、2004年にはジャスダック証券取引所へ上場を果たしました。現在はスタンダード市場に上場しています。

従業員数は単体で293名です。筆頭株主は社長の山本克彦氏で、第2位は通信サービス等の光通信、第3位は金融業の上田八木短資です。

氏名 持株比率
山本 克彦 20.62%
光通信 7.12%
上田八木短資 5.86%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は山本克彦氏です。社外取締役比率は28.6%です。

氏名 役職 主な経歴
山本 克彦 代表取締役社長 1998年入社。社長室長、取締役を経て、2001年より現職。
上林 晋 常務取締役関西支社担当 1986年入社。執行役員営業本部長等を経て、2020年常務取締役就任、2025年より現職。
金沢 潤 常務取締役業務本部長 1986年入社。執行役員業務本部副本部長等を経て、2021年業務本部長、2022年より現職。
橋本 竜毅 取締役 1987年入社。経理部長、執行役員管理本部長を経て、2023年より現職。
丹野 浩二 取締役(監査等委員) 1984年入社。品質管理部長を経て、2021年より現職。


社外取締役は、梶谷篤(弁護士)、柿尾正之(元日本通信販売協会理事)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ダイレクトメール事業」「物流事業」「セールスプロモーション事業」「イベント事業」「賃貸事業」を展開しています。

ダイレクトメール事業


ダイレクトメール(DM)の企画・制作から、データ処理、封入・封緘、発送、アフターフォローまでをトータルサポートしています。自社メーリングセンターにて宛名出力や封入作業を行い、発送後の消費者対応も実施します。

収益は、顧客企業からのDM制作・発送代行などの業務受託料です。運営は同社が行っています。

物流事業


通販商品の出荷代行、キャンペーン景品の配送、販促品の保管管理発送など、消費者・企業向けの物流業務を提供しています。自社物流センターにて入荷検品、流通加工、梱包、発送を一括して行います。

収益は、顧客企業からの物流業務委託料です。運営は同社が行っています。

セールスプロモーション事業


キャンペーン企画、グッズ・ノベルティ制作、事務局運営、マーケティングリサーチなど、企業の販売促進活動を支援しています。

収益は、顧客企業からの各種プロモーション業務委託料です。運営は同社が行っています。

イベント事業


スポーツ、ビジネス、文化事業など、多種多様なイベントの企画から実施、運営、アフターフォローまでを手掛けています。

収益は、イベントの企画運営委託料です。運営は同社が行っています。

賃貸事業


自社が所有する不動産の有効活用を行っています。

収益は、テナントからの賃貸料です。運営は同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は270億円前後で比較的安定して推移しています。利益面では、2024年3月期に特別利益の計上などにより当期純利益が増加しましたが、2025年3月期は減益となり、当期純利益は8億円となりました。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 257億円 280億円 293億円 269億円 276億円
経常利益 15億円 17億円 19億円 14億円 12億円
利益率(%) 5.6% 6.1% 6.6% 5.2% 4.5%
当期純利益 10億円 10億円 11億円 15億円 8億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で微増となりましたが、営業利益は減少しました。売上総利益率は低下傾向にあります。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 269億円 276億円
売上総利益 28億円 26億円
売上総利益率(%) 10.5% 9.4%
営業利益 14億円 12億円
営業利益率(%) 5.1% 4.3%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が6億円(構成比44%)、賞与引当金繰入額が1億円(同6%)を占めています。売上原価においては、運賃が154億円(構成比62%)、外注加工費が51億円(同20%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力のダイレクトメール事業は増収増益となり業績を牽引しました。一方、セールスプロモーション事業やイベント事業は、コロナ禍関連業務の終了などに伴う反動減の影響を受けています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
ダイレクトメール事業 198億円 228億円 15億円 16億円 7.1%
物流事業 27億円 28億円 0.2億円 0.4億円 1.6%
セールスプロモーション事業 21億円 7億円 4億円 1億円 19.0%
イベント事業 22億円 12億円 2億円 1億円 5.4%
賃貸事業 0.9億円 0.8億円 0.3億円 0.3億円 35.1%
連結(合計) 269億円 276億円 14億円 12億円 4.3%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 9億円 7億円
投資CF 9億円 -9億円
財務CF -6億円 -11億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.0%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は81.1%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「株主には利益還元で奉仕を」「顧客にはニーズにあった質のよいサービスを」「社員には幸せで豊かなくらしを」「社会には貢献を」提供することを理念としています。中核事業などを通じて「顧客企業と生活者のよい関係づくりをトータルサポート」し、ダイレクトメールの枠を超えたデジタルとリアルの「総合情報ソリューション企業」を目指しています。

(2) 企業文化


「相互信頼・相互扶助の精神」を尊重し、「夢と感性に満ちた企業組織体」を目指しています。多様化する消費スタイルを捉え、有益な情報コミュニケーションを行うことを重要視しています。

(3) 経営計画・目標


2027年3月期を最終年度とする中期経営計画を策定しています。

* 売上高:280億円
* 営業利益:13億円
* 当期純利益:9億円
* ROE:5.6%

(4) 成長戦略と重点施策


今後の成長に向けて、デジタル分野で既存事業と相乗効果を発揮する「次世代事業の創出」を図ります。また、物流とセールスプロモーション・イベント事業を「第2・第3の事業の柱」へと育成するとともに、ダイレクトメール事業の新市場開拓による「主力事業の深化」を進めます。これらを支える基盤として、DXの推進やサステナビリティ、健康経営にも取り組みます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「変革力とリーダーシップを備えた人材の創造」を目指し、「構想力」「実行力」「自律力」「健康力」「多様性」の5つを備えた人材像を描いています。人事評価では成果主義を基盤としつつ行動やプロセスも評価し、研修制度や資格取得支援を通じて成長を支援しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 42.3歳 16.0年 5,904,282円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 11.7%
男性育児休業取得率 60.0%
男女賃金差異(全労働者) 45.6%
男女賃金差異(正規雇用) 85.4%
男女賃金差異(非正規雇用) 56.5%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、定着率(79.0%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 需要構造の変化


同社の売上の約8割はダイレクトメール事業が占めています。企業のプロモーション手法が大きく変化し、ダイレクトメールの利用が減少した場合、業績に影響を与える可能性があります。

(2) 技術革新等の影響


持続的な成長のためにサービス開発や技術向上を推進していますが、想定外の技術革新や競争環境の激変により同社サービスの競争力が低下した場合、業績に影響を与える可能性があります。

(3) 郵便制度改正


ダイレクトメール事業において郵便制度を利用しています。郵便料金の値上げやサービス内容の変更など、制度の改正が行われた場合、業績に影響を与える可能性があります。

(4) 主要顧客企業に対する依存


2025年3月期において、売上高の12.7%を特定の1社に依存しています。当該顧客との取引条件の変更や解約などが生じた場合、業績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。