ハリマビステム 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ハリマビステム 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ハリマビステムは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、清掃、設備保守管理、警備、工営などの建築物総合サービス事業を主力とする企業です。直近の業績は、新規受託物件の本格稼働などにより売上高309億円、当期利益9億円の増収増益を達成しており、変化する環境に対応し着実な成長を続けています。


※本記事は、株式会社ハリマビステムの有価証券報告書(第64期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月24日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。

1. ハリマビステムってどんな会社?


建築物総合サービス事業を展開し、ビルの清掃から設備保守、警備までを総合的に手掛ける企業です。

(1) 会社概要


1961年に東京都品川区で日光ブロック販売として設立後、1963年に建物の清掃請負業務へ事業転換し、播磨ビルサービスへと社名を変更しました。1993年に現在のハリマビステムに商号を変更し、2004年にはジャスダック証券取引所に株式を上場しました。その後も積極的なM&A等で事業基盤を拡大しています。

現在、従業員数は連結で1,792名、単体で1,404名体制となっています。筆頭株主はおおとりで、第2位は光通信KK投資事業有限責任組合、第3位にはハリマビステム社員持株会が名を連ねており、安定的な事業運営を支える株主構成となっています。

氏名 持株比率
おおとり 16.50%
光通信KK投資事業有限責任組合 6.40%
ハリマビステム社員持株会 5.80%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性1名の計10名で構成され、女性役員比率は10.0%です。
代表取締役社長は免出一郎氏が務めています。社外取締役比率は40.0%です。

氏名 役職 主な経歴
免出一郎 取締役社長代表取締役 1983年三菱信託銀行入社。三菱UFJ不動産販売取締役副社長等を経て、2022年より現職。
鴻義久 取締役会長代表取締役 1972年竹中土木入社。1978年同社入社。1992年に代表取締役社長へ就任し、2022年より現職。
松谷浩幸 取締役常務執行役員 1987年第一勧業銀行入行。みずほ銀行支店長等を経て、2015年同社入社。2026年より現職。
山本竹範 取締役常務執行役員 1991年横浜銀行入行。同行支店長等を歴任後、2023年に同社へ入社し、2026年より現職。
川﨑竜哉 取締役常務執行役員 1994年同社入社。営業推進部長や経営企画部長、アイワサービス副社長等を経て、2026年より現職。
池内宏 取締役常勤監査等委員 2008年同社入社。経理部長等を経て、グループ子会社の監査役を歴任し、2025年より現職。


社外取締役は、布施明正(弁護士)、望月典子(はまぎん産業文化振興財団事業部長)、野田次郎(元神奈川県警察本部総務部長)、山田信之(公認会計士)です。

2. 事業内容


同社グループは、建築物総合サービス事業の単一セグメントにおいて事業を展開しています。

(1) 清掃・設備保守管理業務


公共施設、オフィスビル、店舗、医療施設等の清掃業務に加え、常駐の専門技術者や遠隔監視システムを用いた設備機器の運転・監視サービスを提供しています。
収益源は、ビルオーナーや管理委託会社からの定期的な業務委託料です。運営は同社のほか、ビステム・クリーンやハリマライフサポートなどのグループ会社が行っています。

(2) 警備・工営業務


常駐警備員による防犯・防災等の警備業務と、エレベーターや空調機器等の保守点検、さらに環境基準に基づく測定や点検改善指導等の工営業務を提供しています。
顧客から定期的な保守・警備に対する契約料を受け取る収益モデルです。運営は同社のほか、共和防災設備や関東消防機材などの子会社が担当しています。

(3) その他


ホテルの客室整備、公共施設やオフィスビルの受付および電話交換業務、さらにはマンションの運営管理を代行する管理業務や営繕工事業務などを幅広く手掛けています。
収益は、これらの代行サービスや工事の対価として顧客から得ています。運営は同社やハリマライフサポート、各PFI事業会社等が担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績は、毎期着実な成長を遂げており、売上高と各利益ともに右肩上がりのトレンドを描いています。特に直近の事業年度においては、新規受託案件の本格稼働や臨時作業の増加が大きく寄与し、堅調な増収増益を達成しました。利益率も改善傾向にあり、収益力の向上が確認できます。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 250億円 253億円 266億円 280億円 309億円
経常利益 10億円 10億円 11億円 12億円 16億円
利益率(%) 4.0% 4.0% 4.0% 4.4% 5.2%
当期利益(親会社所有者帰属) 7億円 7億円 7億円 8億円 9億円

(2) 損益計算書


原価低減や業務効率化の取り組みが奏功し、売上総利益と営業利益がともに大きく伸びています。契約更改活動やグループ会社の利益率向上の成果が表れており、増収に伴う各段階の利益率の向上も顕著に見られます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 280億円 309億円
売上総利益 39億円 47億円
売上総利益率(%) 13.8% 15.3%
営業利益 11億円 15億円
営業利益率(%) 4.1% 4.9%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び賞与が11億円(構成比33%)を占め、次いで賃借料が3億円(同9%)、役員報酬が3億円(同9%)となっています。労働集約型のビジネスモデルを反映し、人件費関連のコスト比重が高いことが特徴です。

(3) セグメント収益


セグメントごとの売上動向を見ると、全ての事業分野において前期を上回る増収を達成しています。特に主力の清掃業務や工営業務において、新規案件の受託や臨時工事の獲得が順調に進んだことが全体の収益拡大を牽引しました。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
清掃業務 100億円 112億円
設備保守管理業務 29億円 31億円
警備業務 23億円 24億円
工営業務 65億円 71億円
その他 63億円 70億円
連結(合計) 280億円 309億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


キャッシュ・フローの状況を見ると、営業活動で生み出した資金と借入などによる資金調達を組み合わせ、積極的な投資に回している「積極型」の状況です。財務指標については、企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)が12.4%、財務の安全性を示す自己資本比率が57.8%となっており、いずれもスタンダード市場の平均を上回る水準を維持しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 9億円 12億円
投資CF -0.4億円 -20億円
財務CF -2億円 2億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は経営理念として「全ての『施設』を快適に、全ての『人』に喜びを。」を掲げています。建物管理会社として進化し続け、安心・安全・快適な施設づくりで社会に貢献することにより、全てのステークホルダーから「ハリマで良かった!」と評価される未来の実現を目指し、事業を展開しています。

(2) 企業文化


基本方針として「お客さまの要望に耳をかたむけよう」「人を大切にしともに成長しよう」「新しいことに挑戦しよう」の3点を実践しています。専門技術とともに「人」を大切な財産と考え、ステークホルダーとの信頼関係を構築しつつ、社会課題の解決や経営環境の変化に迅速に対応する企業文化を醸成しています。

(3) 経営計画・目標


2035年度の長期ビジョン「周囲から『ハリマで良かった!』が聞こえてくる未来」の実現に向け、2026年度からの3カ年を対象とした新中期経営計画を推進しています。最終的な経営目標の達成を目指し、初年度となる次期については以下の数値目標を掲げています。

* 売上高は320億円
* 営業利益13億円

(4) 成長戦略と重点施策


長期ビジョン達成に向け、「次世代メンテナンスへの転換(DX & Green)」「誇りと信頼を築く『品質・人財・安全』の追求(Quality & Pride)」「挑戦を称賛し、共に輝く文化(Growth & Inclusion)」「総合力を高め、長期ビジョン達成(Overall strength & Achievement)」の4つの成長戦略を推進しています。人財とテクノロジーへの投資を強化し、新たな価値の創出を図ります。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「一生涯、ともに成長し続けられる会社」を目指し、社員の定着と成長を経営の最優先事項と位置付けています。管理職や階層別の研修計画強化、キャリアパスの明確化により自己実現を支援するとともに、適正な人員配置や外国人財の受け入れ、DX推進による柔軟な働き方の実現など、多様な人材が活躍できる社内環境の整備を進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 49.7歳 9.6年 4,531,559円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 7.4%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) 73.0%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 80.9%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 87.6%


※同社は当事業年度において男性の育児休業取得対象者がいなかったため、男性育児休業取得率については有報に記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 労働力不足と採用難


同社の主力事業は労働集約型のサービス業であり、売上高に占める人件費の割合が約45%に達しています。少子高齢化等による人手不足がさらに深刻化した場合、賃金や募集コストの上昇を招くだけでなく、各施設での業務継続が困難となり、売上減少などの悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 短時間労働者の法改正や最低賃金上昇


従業員に占める短時間労働者の比率が高いため、関連法令の改正や最低賃金の引き上げが直接的なコスト増につながります。同社は契約価格の引き上げ交渉や清掃ロボットの導入による作業効率化を進めていますが、費用増が吸収できない場合、業績に影響を及ぼすリスクがあります。

(3) 災害や感染症による事業継続リスク


地震などの大規模自然災害により管理物件が損壊した場合や、交通機関の麻痺による出勤不能、感染症拡大による業務支障などが発生した場合、収益基盤に打撃を与える恐れがあります。これに対し、同社は事業継続計画(BCP)を策定して有事の体制整備に取り組んでいます。

(4) 市場動向と顧客のコスト削減圧力


業務委託契約に基づき安定収益を確保しやすい反面、人件費上昇分を契約価格に転嫁しづらい性質があります。ビルオーナーの空室率上昇やテナント賃料下落を背景に、既存顧客から契約単価の値下げ要求や解約が急増した場合、収益性が低下するリスクを抱えています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。