エイジス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

エイジス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード上場のリテイルサポート企業です。実地棚卸代行を主力とし、マーケティング支援や海外展開も行っています。2025年3月期は、国内棚卸の単価上昇や店舗数増加、連結子会社の寄与等により、売上高340億円(前期比13.2%増)、経常利益31億円(同19.6%増)と増収増益を達成しました。


※本記事は、株式会社エイジス の有価証券報告書(第48期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. エイジスってどんな会社?


流通小売業向けに実地棚卸代行サービスを提供する国内トップ企業であり、アジアを中心とした海外展開やマーケティング支援も手掛けています。

(1) 会社概要


同社は1978年、実地棚卸サービスの提供を目的に設立されました。1996年に株式を店頭登録し、2009年には中国およびマレーシアに現地法人を設立するなど国際展開を本格化させました。2022年の市場区分見直しにより東証スタンダード市場へ移行し、2023年には株式会社mitorizを連結子会社化するなど、事業領域の拡大を進めています。

2025年3月31日現在、連結従業員数は894名、単体では313名です。筆頭株主は有限会社斉藤ホールディングスであり、第2位は創業家出身の齋藤昭生氏です。第3位には投資会社等が名を連ねており、創業家やその関連会社が主要株主として安定的な持分を保有しています。

氏名 持株比率
有限会社斉藤ホールディングス 22.33%
齋藤 昭生 12.05%
株式会社UH Partners 2 7.50%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性2名の計9名で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表取締役社長は福田久也氏が務めています。社外取締役比率は22.2%です。

氏名 役職 主な経歴
福田 久 也 代表取締役社長 関東電子、ニップスを経て2003年エイジス九州へ転籍し同社へ出向。2015年DO統括本部長、2022年リテイルサービス開発本部長などを歴任し2023年4月より現職。
髙橋 一 人 専務取締役 1987年同社入社。営業本部長、海外事業本部長などを経て、現在は国際事業本部を管掌。2025年4月よりエイジスマーチャンダイジングサービス代表取締役社長を兼務。
山 根 洋 行 常務取締役 1989年富士銀行入行。2003年同社入社。管理本部長、国内棚卸事業本部長などを経て、現在はグループ営業本部・国内棚卸事業本部を管掌。
原 田 光 幸 取締役 1998年同社入社。DO標準化推進部長、人事総務部長、経営企画室長などを歴任。2025年4月よりコーポレート本部を管掌。


社外取締役は、鈴木政士(元キリンホールディングス取締役CFO)、赤津恵美子(株式会社フューチャー・ミー代表取締役社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「リテイルサポート事業」「マーケティング事業」「国際事業」の3つの報告セグメントを展開しています。

(1) リテイルサポート事業


実地棚卸サービスを主力とし、商品補充やマーチャンダイジング(店舗改装・陳列など)のサービスを提供しています。小売業等の顧客に対し、利益管理や商品管理を目的とした正確な在庫データの確定や、売場作りのサポートを行っています。

収益は、棚卸や補充作業などのサービス提供に対する対価として顧客から受け取ります。運営は、主に株式会社エイジスおよびエイジスマーチャンダイジング株式会社が行っています。

(2) マーケティング事業


店頭の売上活性化を支援するリアルマーケティングソリューション(ラウンダー業務、店頭調査)、覆面調査員による店舗リサーチ、および流通小売業周辺業務への人材派遣などを提供しています。

収益は、各種調査や業務支援サービスの受託料として顧客から受け取ります。運営は、エイジスリサーチ・アンド・コンサルティング株式会社や株式会社mitorizなどが担っています。

(3) 国際事業


日本国内で培ったノウハウを活かし、海外市場において実地棚卸サービス等を総合的に提供しています。アジア地域を中心に展開し、現地の小売業等のニーズに対応したサービスを行っています。

収益は、現地顧客へのサービス提供に対する対価として受け取ります。運営は、中国、東南アジア、米国などに展開する海外の連結子会社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は一時的な減少があったものの回復傾向にあり、特に直近では大きく伸長しています。利益面では、利益率がいったん低下しましたが、直近では改善の兆しが見え、当期純利益も増加傾向にあります。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 280億円 262億円 261億円 300億円 340億円
経常利益 49億円 40億円 29億円 26億円 31億円
利益率(%) 17.4% 15.4% 11.2% 8.7% 9.2%
当期利益(親会社所有者帰属) 32億円 23億円 19億円 19億円 21億円

(2) 損益計算書


売上高が増加する中、売上原価および販売費及び一般管理費も増加していますが、売上総利益率は改善しています。営業利益率も前期より上昇しており、収益性が向上していることが分かります。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 300億円 340億円
売上総利益 77億円 87億円
売上総利益率(%) 25.6% 25.7%
営業利益 25億円 30億円
営業利益率(%) 8.4% 8.9%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が18億円(構成比32.1%)、支払手数料が8億円(同13.4%)を占めています。

(3) セグメント収益


全セグメントで増収となりました。主力のリテイルサポート事業は単価上昇や店舗数増で堅調に推移し、マーケティング事業は新規連結の影響もあり大幅増収、国際事業も既存顧客の拡大により成長しました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
リテイルサポート事業 239億円 253億円 24億円 28億円 10.9%
マーケティング事業 31億円 54億円 0.9億円 1億円 2.0%
国際事業 30億円 33億円 1億円 2億円 4.6%
調整額 - - -0.3億円 0.1億円 -
連結(合計) 300億円 340億円 25億円 30億円 8.9%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


本業で稼いだ資金で借入返済を行いつつ、手元資金で投資も賄っている「健全型」のキャッシュ・フロー状態です。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 20億円 31億円
投資CF -33億円 -3億円
財務CF -10億円 -7億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.7%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は81.4%で市場平均を大きく上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「お客様に棚卸のプロフェッショナルとして最高レベルの棚卸サービスを提供する」ことを基本方針としています。また、「Mission」および「Values」を経営理念として定め、チェーンストアの発展と豊かな社会の実現に貢献していくことを目指しています。

(2) 企業文化


同社は、「誠実」「個人の尊重」「顧客主義」「現場主義」「挑戦」の5つを「Values」として掲げています。これらはグループ全体の価値観および行動指針となっており、誠実な姿勢で多様性を認め合い、顧客にとっての有益性を追求し、現場の事実に基づいて考え、失敗を恐れず挑戦する文化を重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社は、新たな成長戦略として新中期経営計画「vision50」を策定しています。この期間を収益力の向上と成長軌道への回復を目指す期間と位置づけ、人的資本や成長事業への積極投資を行うことで、最終年度である2028年度に以下の数値目標の達成を目指しています。

* 連結売上高500億円
* ROE・ROIC10%

(4) 成長戦略と重点施策


同社は「サービスプロバイダーからソリューションプロバイダーへ」の転換を目指し、以下の課題に対処することで持続的な成長を図ります。

* リテイルサポート事業の収益性改善と、顧客資産を活かしたアップセルの推進による新たなシナジー創出。
* M&Aやオープンイノベーションを活用し、メーカーや小売業のニーズを満たす新たな事業の創出。
* Webマーケティング強化や現地に即したオペレーション構築による、アジアから世界への展開地域拡大。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は「Values」の浸透を人材育成の基本とし、「エイジスダイバーシティ」の推進(意見・内面・外面の多様性確保)や自律型人材の育成に注力しています。また、従業員のエンゲージメント向上や心理的安全性の醸成、多様な働き方の推進などを通じて、働きがいのある職場環境の整備に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 44.3歳 14.2年 6,779,548円


※平均年間給与は、賞与および基準外賃金を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 3.6%
男性育児休業取得率 42.9%
男女賃金差異(全労働者) 59.6%
男女賃金差異(正規雇用) 74.8%
男女賃金差異(非正規雇用) 70.4%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、正社員に占める女性社員の割合(14.7%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 雇用環境と人件費について


同社グループの事業基盤には人材の確保が不可欠ですが、生産年齢人口の減少等により採用競争は厳しさを増しています。適切な採用や配置が困難になった場合や、最低賃金の上昇等により人件費が大幅に増加した場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 情報セキュリティについて


業務上、顧客の秘密情報を取り扱う機会が多く、セキュリティ対策には注力しています。しかしながら、サイバー攻撃や不正アクセス等により情報漏洩等の事故が発生した場合、損害賠償や信用の失墜を招き、業績や財務状況に影響を与える可能性があります。

(3) 個人情報の保護について


顧客や従業員の個人情報を多数保有しており、情報管理体制の整備や教育を行っています。万が一、個人情報の流出や改ざんが発生した場合には、社会的信用の失墜や損害賠償費用の発生により、業績に影響を与える可能性があります。

(4) 海外の事業展開について


アジアを中心に多くの国と地域で事業を展開しており、各国での政策変更や予期せぬ社会経済情勢の変化が発生した場合、事業遂行が困難となり、業績や財務状況に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。