※本記事は、株式会社アール・エス・シーの有価証券報告書(第56期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. アール・エス・シーってどんな会社?
アール・エス・シーは、警備や清掃などの建物総合管理サービスと人材サービスを展開する企業です。
■(1) 会社概要
1971年に総合ビル管理として設立され、1978年のサンシャインシティ完成を機に本社を移転しました。1981年に人材派遣業の子会社を設立し、1995年に現在のアール・エス・シーへ商号変更しています。2004年にジャスダック上場を果たし、直近では2025年にAI警備ソリューションでソフトバンクロボティクスと資本業務提携を行っています。
現在の従業員数は連結418名、単体269名です。筆頭株主は事業会社のサンシャインシティで、第2位は三菱地所、第3位は資本提携先であるソフトバンクロボティクスです。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| サンシャインシティ | 23.66% |
| 三菱地所 | 5.99% |
| ソフトバンクロボティクス | 5.89% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性0名の計9名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は金井宏夫氏が務めており、社外取締役の比率は約22.2%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 金井宏夫 | 代表取締役社長監査室担当 | 1997年同社入社。総務部長やビルマネジメント事業部長等を経て2013年より代表取締役社長。関連会社役員も兼任。 |
| 堀伸幸 | 取締役副社長執行役員経営企画部担当兼サステナビリティ推進担当 | サンシャインシティ経理部長や同社取締役を経て、2023年同社取締役専務執行役員に就任し、2025年より現職。 |
| 太田和孝 | 取締役専務執行役員営業推進部担当 | 2000年同社入社。人材サービス事業部長やPFI推進事業部長等を経て、2014年常務取締役。2025年より現職。 |
| 山口規 | 取締役常務執行役員総務部担当兼財務経理部担当兼コンプライアンス担当兼名古屋支店担当兼関連企業担当 | 2013年同社人材サービス事業部長。総務部長や取締役総務部長兼コンプライアンス担当を経て、2025年より現職。 |
社外取締役は、但木敬一(元検事総長)、中澤三男(最高検察庁元事務局長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「建物総合管理サービス事業」および「人材サービス事業」を展開しています。
■(1) 建物総合管理サービス事業
官公庁や民間企業の事務所ビル、店舗、ホテル、病院などの各種建物に対して、警備保障業務全般をはじめ、清掃、オフィスサービス、設備管理などの建物総合管理サービスおよび付帯業務を提供しています。
一定期間継続して役務を提供する年間契約と、特定時期のみの臨時契約から収益を得ています。運営は同社をはじめ、アール・エス・シー中部、友和商工、クリーンフォース、RSCセキュリティなどが行っています。
■(2) 人材サービス事業
情報管理、ファイリング、機器操作等の業務に対応できる人材を派遣する業務や、有料職業紹介業務などを提供しています。受付や案内など同社が強みを有する職種を中心に、公共施設やイベント補助業務を展開しています。
建物総合管理サービスと同様に、年間契約と特定のイベントやプロモーション案件などに伴う臨時契約から収益を得ています。本事業の運営は主に同社が主体となって行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の業績は、2024年3月期までは売上・利益ともに拡大傾向でしたが、直近の2026年3月期は大型案件の反動減もあり売上高が82億円、経常利益が2億円と減少に転じました。一方、経常利益率は3%前後で安定して推移しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 57億円 | 60億円 | 81億円 | 88億円 | 82億円 |
| 経常利益 | 2億円 | 2億円 | 3億円 | 3億円 | 2億円 |
| 利益率(%) | 4.2% | 3.3% | 3.7% | 3.5% | 2.8% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 1億円 | 1億円 | 1億円 | 2億円 | 1億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は88億円から82億円へ減少しました。売上総利益はほぼ横ばいの15億円を維持しており、売上総利益率が17.2%から18.3%に改善しています。一方で営業利益は2億円へと減少しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 88億円 | 82億円 |
| 売上総利益 | 15億円 | 15億円 |
| 売上総利益率(%) | 17.2% | 18.3% |
| 営業利益 | 3億円 | 2億円 |
| 営業利益率(%) | 3.4% | 2.6% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が3.4億円(構成比26.4%)、役員報酬が1.1億円(同8.2%)を占めています。また、売上原価のうち、労務費が30.5億円(構成比61.3%)、外注費などの経費が19.3億円(同38.7%)を占めています。
■(3) セグメント収益
建物総合管理サービス事業は大型案件の受託や臨時業務の増加により増収となりました。一方、人材サービス事業は前年度の大型イベント案件の反動減が大きく響き、減収となっています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 建物総合管理サービス事業 | 69億円 | 76億円 |
| 人材サービス事業 | 20億円 | 7億円 |
| 連結(合計) | 88億円 | 82億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業といえる健全型のキャッシュ・フロー状況です。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 0.2億円 | 2億円 |
| 投資CF | 0.2億円 | -0.6億円 |
| 財務CF | -1.6億円 | -1.0億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は6.1%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は59.2%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、「信頼されるサービスを提供し、人が生活するあらゆる場面において、安全・安心・快適な環境を創造する」ことを経営理念に掲げています。社会インフラとしての役割を果たしつつ、持続的な企業価値の向上と社会貢献を目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、「誠実・挑戦・共創」をバリューとして重視しています。「安全・安心・快適な未来を『人×技術』でつくる共創型社会インフラ企業へ」というビジョンのもと、人的資本とDX(デジタルトランスフォーメーション)を融合させ、サービスの高度化に挑戦し続ける文化を築いています。
■(3) 経営計画・目標
同社は中期経営計画「RSC Challenge 2030」において、資本コストを意識した経営を推進しており、以下の定量目標を掲げています。
* 売上高:140億円(2030年度)
* 営業利益率:5%以上
* ROIC(投下資本利益率):10%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
今後の成長に向けて、人的資本投資とDX投資の一体推進を重点施策としています。待遇改善や教育体制の整備で人材を確保しつつ、AI警備やロボティクスの導入により生産性向上を図ります。また、大都市圏での既存事業拡大に加え、ビルメンテナンス領域でのM&Aや外部連携を通じて事業領域を拡大し、収益基盤の強化に取り組みます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は労働集約型の事業特性を踏まえ、人的資本への投資を成長基盤と位置づけています。待遇改善や教育体制の強化を通じて人材の定着を図るほか、「スマイルプロジェクト」等の職場環境改善施策を推進しています。また、女性や外国人など多様な人材の起用を進め、個々の能力を最大限に活かせる組織の構築を目指しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 48.0歳 | 14.6年 | 4,298,808円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 11.1% |
| 男性育児休業取得率 | 66.7% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 97.8% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 93.9% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 102.5% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性社員の平均勤続年数(8.5年)、労働者に占める女性労働者の割合(34.9%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 景気変動と価格競争の激化
国内景気の不透明感や物価高等の影響を受け、同業他社との価格競争が激化するリスクがあります。また、景気悪化に伴う顧客からの値下げ要請などが発生した場合、同社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 警備・人材派遣などの法的規制
同社の主力事業は、警備業法、建築物衛生法、労働者派遣法などの法規制を受けています。これらの法令に抵触した場合の行政処分や、法改正に伴う対応費用の増加が発生した場合、同社グループの事業展開に影響を及ぼすリスクがあります。
■(3) 顧客情報・プライバシーの漏洩
業務遂行上、顧客の機密情報やプライバシー情報を扱うため、情報管理を徹底しています。万一これらの情報が外部に漏洩した場合、社会的信用の失墜や損害賠償請求の発生により、業績に重大な影響を与える可能性があります。



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