※本記事は、株式会社菱友システムズ の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
菱友システムズグループは、情報サービスの提供を主な事業内容としています。情報通信システムの設計、開発、運用、保守、関連機器の販売、工業製品等の設計・解析・シミュレーション、各種情報処理サービスなど、幅広い領域で事業を展開しています。
単体従業員数は1,246名、連結従業員数は2,006名です。セグメントは情報サービスの1つです。
主な国内グループ会社は、菱友システム技術(システム開発の受託)、菱友システムビジネスなどです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
菱友システムズは、情報サービス業界において、社員の長期的なキャリア形成と専門性向上を重視する企業文化を持つようです。安定した環境で腰を据えて働き、自身のスキルを磨きながら社会貢献を目指したい方にとって、魅力的な選択肢となるでしょう。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
菱友システムズでは、従業員の平均勤続年数が長く、平均年齢も比較的高めであることから、社員が長期にわたって安定して働き続ける傾向が見られます。これは、同社が従業員の定着を促す働きやすい環境を提供している可能性を示唆しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 7,823,033円 |
| 平均勤続年数 | 19.3年 |
| 平均年齢 | 44.2歳 |
| 単体従業員数 | 1,246人 |
| 連結従業員数 | 2,006人 |
| 単体のグループ内比率 | 62.1% |
菱友システムズグループは、退職給付制度として確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる制度)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する制度)の両方を採用しています。これらの制度は、同社および連結子会社2社を対象としています。
退職一時金制度も設けられています。ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
なお、退職給付債務は69.5億円、年金資産は85.1億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
菱友システムズグループは、「”人”の価値を高める」ことを人材戦略の基本方針として掲げ、2025年度中期経営計画においても「”人”の価値向上」を注力課題と位置付けています。高度技術者の育成や採用強化による質的・量的な人材確保、個人の経験・スキルを可視化し顧客ニーズとマッチさせる人的資本の有効活用、積極性を評価する考課制度への改正や働き方改革などの制度整備、そして集中とリラックスが可能な職場環境の改善に取り組んでいます。
従業員の給与は月例給与と賞与で構成されており、月例給与は職務内容、業務遂行度、成果・貢献に応じて人事考課制度に基づき決定されます。賞与は月例給与をベースに会社業績が反映され、給与水準は経営環境や労働市場の動向を踏まえて適時見直しが行われています。
具体的には、技術力の向上を目指し、ビジネス変革を反映した業務の再整理やモデルキャリアパスの作成、教育体制の見直しを進めています。また、改革・革新をリードする経営人材の育成として選抜研修や次世代経営層構築に向けた人材コミッティを開催しています。働く環境の改善では、キャリア面談や地域別懇談会によるコミュニケーション活性化、ローテーション制度の実践、エンゲージメント向上策、働き方改革の推進、賃金レベルの向上、健康経営施策の充実を図っています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。連結子会社の一部は、女性活躍推進法および育児介護休業法の公表義務対象外のため、データに含まれていません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 2.5% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 50.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 78.2% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 78.2% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(非正規雇用労働者) | 74.9% |
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。
▼ 株式会社菱友システム技術
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 9.1% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 80.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 82.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 81.5% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(非正規雇用労働者) | 66.7% |
多様性・登用
これらの指標は提出会社単独のデータです。男女の平均継続勤続年数の差異は、女性活躍推進および雇用機会均等の観点から重要な指標と認識されていますが、目標設定には至っていません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 労働者に占める女性労働者の割合 | 15.1% |
| 採用した労働者に占める女性労働者の割合 | 31.8% |
| 男女の平均継続勤続年数の差異 | 男性20.9年 女性11.4年 |
人材育成・エンゲージメント
これらの指標は提出会社単独のデータです。有給休暇取得率はワーク・ライフ・バランスの実現の観点から重要な指標と認識されており、政府目標を上回る水準を維持していると判断されています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 経済産業省ITスキル標準 スキル熟達度レベル3以上取得者数 | 550名 |
| 経済産業省ITスキル標準スキル熟達度 IT系技術者の平均レベル | 3.21 |
| 労働者の一月あたりの平均残業時間 | 13.0時間 |
| 離職率(自己都合退職) | 2.1% |
| 有給休暇取得率 | 76.4% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
菱友システムズは、情報通信システムの設計、開発、運用、保守を主軸に、幅広い情報サービスを提供しています。顧客のIT投資拡大や新技術活用ニーズに応え、企業の競争力強化を支援するビジネスを展開しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、情報サービスの提供を主な事業内容としています。具体的には、情報通信システムの設計、開発、運用、保守に加え、情報通信システム関連機器の販売も行っています。また、工業製品等の設計、解析・シミュレーション、情報通信システムを利用した各種情報処理サービスも手掛けています。
収益は、顧客との契約に基づき、一定の期間にわたり移転される財と、一時点で移転される財の両方から得ています。当連結会計年度においては、システム開発や解析・設計関連の案件を安定的に受注し、売上を伸ばしました。主要な顧客としては、三菱重工業株式会社への販売実績が、当連結会計年度の総販売実績の過半数を占めています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期間の業績は、売上高、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のいずれも着実に増加傾向を示しています。特に直近の当連結会計年度では、売上高の増加に伴い、各利益項目も大きく伸長しました。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 303億円 | 331億円 | 371億円 | 428億円 | 432億円 |
| 経常利益 | 24.7億円 | 27.1億円 | 36.0億円 | 48.7億円 | 56.2億円 |
| 経常利益率 | 8.2% | 8.2% | 9.7% | 11.4% | 13.0% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 15.8億円 | 18.3億円 | 24.2億円 | 33.8億円 | 39.1億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 124.59 | 144.38 | 189.88 | 265.56 | 306.66 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は前期から増加し、従業員1人あたりの営業利益も同様に増加しています。これらの指標の改善は、同社グループの生産性が向上している傾向を示しており、従業員一人ひとりの貢献度が高まっていることがうかがえます。これは、会社の収益体質の強化や、持続的な事業成長の基盤となる要素であると考えられます。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 21.2百万円 | 21.5百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 2.4百万円 | 2.7百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
菱友システムズは、本業で安定的に資金を生み出し、投資活動を上回るフリーキャッシュフローを確保しています。これにより、財務基盤の安定性がうかがえる状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率とROE(自己資本利益率)の双方で堅調な推移を示しています。自己資本比率はプライム市場の非製造業平均を大きく上回っており、財務の健全性が高い水準にあることを示しています。また、ROEもプライム市場平均を上回る水準で推移しており、効率的な経営が行われていることがうかがえます。手元資金も増加傾向にあり、不測の事態への耐性も備わっている状況です。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 207億円 | 240億円 |
| 自己資本比率 | 63.5% | 68.9% |
| ROE(自己資本利益率) | 18.8% | 18.9% |
| 現金及び預金 | 21.7億円 | 33.0億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローは、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローが前期に比べて増加しています。税金等調整前当期純利益の計上等により、資金が増加しました。投資活動によるキャッシュフローは、投資有価証券の取得等により資金が減少しており、事業成長に向けた投資が行われている状況です。財務活動によるキャッシュフローは、配当金の支払等により資金が減少しています。
これらの結果、事業活動と投資活動を合わせたフリーキャッシュフローは、前期に比べて大きく増加しており、本業で生み出した資金で投資を賄い、なお余剰資金がある優良な状態を示しています。この資金状況は、同社グループの安定した事業運営と将来への投資余力を示しており、雇用や給与の安定性にもつながるものと考えられます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 30.2億円 | 39.6億円 |
| 投資CF | △21.0億円 | △15.5億円 |
| 財務CF | △9.4億円 | △12.7億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 9.2億円 | 24.0億円 |
※フリーCF(フリーキャッシュ・フロー)とは、会社が事業活動と投資活動を通じて自由に使える余剰資金のこと。
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、競合企業の競争力向上や新規企業の市場参入による市場競争の激化をリスクとして認識しています。また、情報サービス産業における技術革新のスピードが速く、新技術への対応が遅れた場合に競争力が低下する可能性も指摘しています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、事業の展開・拡大に必要な技術力を持った人材の確保と育成ができない場合、業績に重大な影響を及ぼす可能性があると認識しています。足元の顧客需要に対応するための人的リソースを確保できない場合、受注機会を逃すリスクも挙げています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
菱友システムズは、お客様への最適なサービス提供を通じて社会の発展に貢献し、技術力と経営改革で時代に即応した魅力ある企業集団を目指しています。社員の能力と創造力を尊重し、闊達なコミュニケーションで総合力を発揮する企業風土を大切にしています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
菱友システムズは、「お客様に最適のサービスを提供し、事業活動を通じて社会の発展に貢献する」ことを経営理念の第一に掲げています。また、「技術力の強化と経営の改革を図り、時代に即応した魅力ある会社の実現に努める」ことを目指しています。
中長期的な経営戦略としては、2025年度を初年度とする3か年の中期経営計画「顧客と並走する菱友」を推進しています。「顧客と並走」とは、主体的に技術力やサービス価値の向上に取り組み、顧客ニーズを先取る営業を積極的に推進することで、顧客における同社グループの価値を高めることを目指すものです。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
菱友システムズは、経営理念として「社員の能力と創造力を尊重し、闊達なコミュニケーションで総合力を発揮する」ことを掲げています。この理念に基づき、社員一人ひとりの能力と創造性を重視する企業風土があります。
同社グループは、サステナビリティ基本方針として、ITを活用した顧客課題解決とESG等の社会課題への貢献を通じて持続的な社会の実現を目指しています。より公正で透明性の高い経営の実現に向けたコーポレート・ガバナンスの強化や、社員が能力に応じて活躍できる環境の構築に取り組んでいます。
また、『“人”の価値を高める』経営を推進しており、人材の育成を最重要課題と位置付けています。技術力の向上、経営人材の育成、働く環境の改善を通じて、社員が集中し、リラックスでき、シナジーを高められる職場づくりを進めています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループが対処すべき当面の課題は、2025年度中期経営計画の着実な実行です。その中で、組織・文化・人材に関わる重点テーマとして「“人”の価値向上」を掲げています。
具体的には、高度技術者の育成やキャリア選択に応じた教育に継続的に取り組んでいます。プロジェクトメンバー公募制度の導入や考課制度の改正を実施し、採用強化やリスキリング、柔軟な要員配置も推進しています。
また、「業務運営体制の改革」として、業務プロセスの見直しや社内ナレッジの活用、システム開発等の完成品質向上に取り組んでいます。パートナー企業との関係強化や生成AIによる業務自動化等を通じたサービスデリバリー体制強化も進めています。
さらに、「菱友グループ強化・最適化」として、研究開発協力やグループ会社間での情報交換を通じてシナジーの向上を図っています。役割分担の明確化とグループ会社間取引の拡大も推進しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
菱友システムズは、監査等委員会設置会社として、経営の監督機能と業務執行の迅速化を両立する体制を構築しています。社外取締役を多く登用し、客観的な視点を取り入れたガバナンスを重視しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
菱友システムズは、三菱重工業を筆頭株主とし、菱友社員持株会がそれに続く資本構成となっています。主要な株主が安定的に同社を支える体制がうかがえます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 三菱重工業 | 31.21% |
| 菱友社員持株会 | 20.43% |
| 加藤 眞人 | 2.98% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 2.44% |
| 三菱UFJ銀行 | 2.43% |
なお、同社は2025年10月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行っています。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は7名(男性6名・女性1名)で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長執行役員は安井譲氏が務めています。社外取締役比率は57.1%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 安井 譲 | 代表取締役 社長執行役員 | 1985年4月三菱重工業株式会社入社。同社原子力事業本部、ICTソリューション本部を経て、2021年4月同社入社。執行役員、常務執行役員を歴任し、2023年6月より現職。 |
| 笠間 晴人 | 取締役 執行役員 | 1987年4月同社入社。厚木支社システム開発部長、事業統括本部ビジネスソリューション事業部長、執行役員、統合サービスセンター長、ICTクリエーションセンター長を歴任し、2025年6月より現職。 |
社外取締役は、宇田茂雄氏(元日本アイ・ビー・エム取締役執行役員CTO)、前田真由美氏(三菱重工業総合研究所業務部次長)、賀谷浩志氏(大丸鋼機代表取締役・公認会計士)、谷川桃太郎氏(三菱重工業グローバル財務部タックスマネジメントグループ主席部員)です。
菱友システムズは監査等委員会設置会社制度を採用しています。取締役会は社外取締役4名を含む7名で構成され、経営の監督機能の強化を図っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
菱友システムズの役員報酬は、基本報酬、業績連動報酬、非金銭報酬(譲渡制限付株式)で構成されています。業績連動報酬は連結経常利益率を指標とし、中長期的な企業価値向上へのインセンティブを高める設計となっています。社外取締役には業務執行からの独立性を考慮し、基本報酬のみが支給されます。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 3名 | 1.0億円 | 34.0百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 14百万円 | 14.0百万円 |
| 社外役員 | 3名 | 9百万円 | 3.0百万円 |
なお、「業績連動報酬」欄に記載の金額は当事業年度における役員賞与引当金繰入額です。非金銭報酬等の内容は同社の譲渡制限付株式であり、「非金銭報酬等」欄に記載の金額は、譲渡制限付株式報酬制度に基づく当事業年度における費用計上額です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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