ジャストシステム 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ジャストシステム 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ジャストシステムは東京証券取引所プライム市場に上場し、ソフトウエア関連事業を展開しています。主力サービス「スマイルゼミ」や法人向けシステム等が堅調に推移し、直近の業績は売上高、利益ともに継続的な増収増益を達成しています。高い収益性を背景に、さらなる企業価値の向上と事業拡大を目指す成長企業です。


※本記事は、株式会社ジャストシステム の有価証券報告書(第45期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ジャストシステムってどんな会社?


同社グループは、個人向けの教育サービスから法人向けのシステム支援まで幅広く手掛けるソフトウェア開発企業です。

(1) 会社概要


1979年に徳島県で創業し、1981年に法人化されました。1985年に日本語ワードプロセッサ「一太郎」を発売して事業を拡大しました。2011年にWebデータベース「UnitBase」、2012年に通信教育「スマイルゼミ」の提供を開始し、現在はクラウドサービスや教育分野を中心に事業展開を加速させています。

同社グループは、連結従業員数302名、単体従業員数293名の体制で事業を運営しています。大株主については、筆頭株主が事業会社として資本・業務提携関係にあるキーエンスで、第2位は創業者の重田康光氏、第3位は資産管理業務を行う信託銀行となっています。

氏名 持株比率
キーエンス 43.96%
重田 康光 7.30%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 5.78%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は関灘恭太郎氏が務めています。社外取締役比率は62.5%です。

氏名 役職 主な経歴
関灘 恭太郎 代表取締役社長 2000年にキーエンスへ入社。2009年に同社取締役、事業企画部長や経営企画室長を経て、2016年より現職。
田食 雅行 取締役 2006年に同社へ入社。コンシューマ事業部長やソリューションストラテジー事業部長などを経て、2026年より現職。
三木 雅之 取締役 1998年にキーエンスへ入社。2009年に同社取締役へ就任。現在は最高開発責任者およびキーエンスの役職を兼任。


社外取締役は、栗原学(元中央青山監査法人パートナー)、緑川芳江(元森・濱田松本法律事務所)、長澤克治(元野村證券入社)、熊谷勉(元伊勢丹入社)、五十嵐透(キーエンス経理グループ長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ソフトウエア関連事業」を展開しています。事業領域は大きく個人向け事業と法人向け事業に分かれています。

(1) 個人向け事業

個人顧客を対象に、タブレットで学ぶ通信教育「スマイルゼミ」や、日本語入力システム「ATOK Passport」、日本語ワープロソフト「一太郎」などを提供しています。近年はAIを活用した個別指導機能や文章作成アシスタントなどを搭載し、付加価値を高めています。

収益源は、通信教育の受講料やソフトウェアのサブスクリプション利用料、パッケージ製品の販売代金です。当事業の運営は同社が行っており、独自開発のECサイト等を通じて直接顧客へ価値を提供しています。

(2) 法人向け事業

民間企業や教育機関に対して、多様なソリューションを提供しています。クラウドデータベース「JUST.DB」や営業支援サービス「JUST.SFA」、教育機関向けの学習クラウド「ジャストスマイル」などが主力です。

収益源は、導入企業や教育機関からのシステム利用料、クラウドサービスのサブスクリプション料金などです。運営は同社が主体となって行っており、企業のDX推進や教育現場のICT化を支援することで安定したストック収益を獲得しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の連結業績は、主力事業の好調を背景に、売上高と利益ともに右肩上がりで成長を続けています。特にストックビジネスの拡大が寄与し、利益率は40%を超える極めて高い水準を安定して維持しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 417億円 420億円 410億円 446億円 515億円
経常利益 173億円 192億円 174億円 182億円 231億円
利益率(%) 41.5% 45.8% 42.4% 40.8% 44.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 121億円 134億円 129億円 111億円 146億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益構成を見ると、売上高の増加に伴い売上総利益も順調に拡大しています。売上総利益率は80%前後の高い水準にあり、付加価値の高いソフトウェアサービスの収益構造が表れています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 446億円 515億円
売上総利益 348億円 413億円
売上総利益率(%) 78.1% 80.1%
営業利益 180億円 225億円
営業利益率(%) 40.5% 43.7%


販売費及び一般管理費のうち、広告宣伝費が91億円(構成比48%)と最も大きく、次いで従業員給料及び手当が13億円(同7%)を占めています。

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFはプラス、投資CFはマイナス、財務CFはマイナスとなっており、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業としての健全型の状態にあります。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 150億円 196億円
投資CF -271億円 -138億円
財務CF -13億円 -15億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は13.5%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も87.0%で市場平均を大きく上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念

同社は、商品やサービスを通じて顧客や社会の発展に資することで、株主や顧客、市場、さらには社員が求める企業価値を総合的に高めていくことを経営方針として掲げています。個人・法人向けに幅広く展開できる強みを活かし、継続的かつ安定的に収益を確保できる体制の構築を目指しています。

(2) 企業文化

多様な人材が活躍し、社員一人ひとりが課題の本質をとらえて、次の「あたりまえ」を創造し続けられる環境づくりを重視しています。社員が高い当事者意識を持ち、常に変化し成長し続けることができる企業体質の構築を推進しています。

(3) 経営計画・目標

通期の業績予想を合理的に算出することは難しいとしつつも、「継続的な増収増益」を目標としています。特に、経営指標の中で「1人当たりの営業利益額」の継続的な拡大を重視しており、生産性と収益性の両立を図っています。

(4) 成長戦略と重点施策

既存商品については継続的な機能強化によって顧客満足度を高め、同時に新商品・サービスの企画開発を進めて顧客層の拡大を狙います。また、スピードを意識した開発の推進や積極的な成長投資の実行、組織の活性化に向けた人材戦略の強化などを優先課題として取り組んでいます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針

社員が当事者意識を持ち、常に変化・成長できる環境を実現するため、最適な人員配置や研修、資格補助制度などを充実させています。また、目標管理制度や報酬制度によるモチベーション向上、育児休業制度や在宅勤務制度などの働きやすい環境整備にも注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 38.8歳 13.5年 16,500,050円

※平均年間給与は税込支給額であり、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 5.7%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 48.9%
男女賃金差異(正規雇用) 61.2%
男女賃金差異(非正規雇用) 89.1%


また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、エンゲージメントサーベイの肯定的回答率(81.0%)、1人当たりの営業利益額(7,447万円)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 事業環境におけるリスク

ソフトウエアビジネスは固定費が高く限界利益率が高い特徴があるため、売上増減が利益に直結しやすい構造です。また、急速な技術革新による既存技術の陳腐化や、競争激化による販売低迷が起きる可能性があります。

(2) 知的財産に関するリスク

第三者の知的財産権に対する侵害で訴訟を受けた場合や、自社の知的財産権の保護が不十分であった場合、損害賠償の発生や競争優位性の喪失に繋がる恐れがあります。

(3) 情報システムに関するリスク

多数の個人情報や機密情報を保持しているため、不測の事態(サイバー攻撃や不正アクセスなど)によりシステムの停止や情報漏洩が発生した場合、事業運営に多大な支障をきたすリスクがあります。

(4) 人材確保に関するリスク

急速な技術革新に対応できる技術者や優秀な人材の採用・育成が計画通りに進まない場合、企業競争力の低下や事業成長の停滞を招く可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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