※本記事は、株式会社ジャストシステム の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
ジャストシステムは、ソフトウエア及び関連サービスの企画、開発、提供を手がける企業です。同社グループは、高機能で付加価値の高い商品・サービスにこだわり、個人・法人向けに事業を展開しています。
単体従業員数は293名、連結従業員数は302名です。セグメントはソフトウエア事業の単一です。
同社グループは、株式会社ジャストシステムと子会社2社で構成されており、ソフトウエア及び関連サービスの企画と開発、提供を目的に事業を営んでいます。JUSTSYSTEMS AMERICA, INC.(アメリカ)とJUSTSYSTEMS CANADA, INC.(カナダ)の2社の連結子会社を通じてグローバルに事業を展開しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
株式会社ジャストシステムは、ソフトウェア開発を主軸とする企業であり、専門性の高い人材が活躍する環境が想定されます。従業員の当事者意識や変化・成長を重視する人材戦略が掲げられており、個人の能力向上を促す働き方が特徴です。給与水準は高めである傾向が見られます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、平均勤続年数と平均年齢から、比較的長く勤める従業員が多い安定した組織であることがうかがえます。従業員がキャリアを継続しやすい環境が整っていると考えられます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 16,500,050円 |
| 平均勤続年数 | 13.5年 |
| 平均年齢 | 38.8歳 |
| 単体従業員数 | 293人 |
| 連結従業員数 | 302人 |
| 単体のグループ内比率 | 97.0% |
同社は、従業員の退職給付に充てるため、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の退職給付制度を採用しています。同社は確定給付型制度(規約型確定給付企業年金制度と退職一時金制度)を、連結子会社は確定拠出型制度を採用しています。
退職一時金制度があります。ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
なお、確定給付制度における退職給付債務は7.1億円、年金資産は5.2億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社の人材戦略は、「一人ひとりが高い当事者意識を持ち、常に変化し、成長し続ける」ことを基本方針としています。従業員の給与は、この人材育成方針を実現するため、固定報酬と業績連動賞与により構成されています。
業績連動賞与の決定指標には「1人当たりの営業利益額」が用いられており、従業員一人ひとりの貢献が報酬に反映される仕組みです。社員の当事者意識や変化・成長を促すため、エンゲージメントサーベイの計測や1人当たりの営業利益額を指標として設定しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。管理職に占める女性労働者の割合と労働者の男女の賃金の差異は女性活躍推進法に基づき算出されており、男性労働者の育児休業取得率は育児介護休業法に基づき算出されています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 5.7% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 48.9% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 61.2% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 89.1% |
人材育成・エンゲージメント
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| エンゲージメントサーベイ肯定的回答率 | 81.0% |
| 1人当たりの営業利益額 | 7,447万円 |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
株式会社ジャストシステムは、ソフトウエアおよび関連サービスの企画、開発、提供を主な事業としています。同社グループは、株式会社ジャストシステムと2つの子会社で構成されています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、高機能で付加価値の高い商品・サービスを提供することに注力し、既存ビジネスによる安定した収益を基盤としています。個人向けと法人向けの両市場で事業を展開しており、新たな収益の柱となる新商品・サービスの企画・開発にも取り組んでいます。
個人向け事業では、「スマイルゼミ」や「ATOK Passport」といったクラウドサービス、日本語ワープロソフト「一太郎」などのパッケージソフトウエアを提供しています。また、ECサイト「Just MyShop」も運営しています。タブレットで学ぶ通信教育「スマイルゼミ」は、幼児から高校生まで幅広い学年を対象とし、AI技術を活用した個別指導を強化しています。米国向けサービスやAI英会話コーチングも展開し、利用者の「話したい」内容をリアルタイムに教材化する独自の学習方式を導入しています。
法人向け事業では、各市場に最適なソリューションを提供しています。民間企業向けには、ノーコード クラウドデータベース「JUST.DB」、営業支援クラウドサービス「JUST.SFA」、オールインワンBIソリューション「Actionista!」などを提供しています。これらのサービスでは、AI-OCRや生成AIを活用したシステム開発や分析レポート機能により、企業のDX推進や調査業務の効率化を支援しています。教育市場向けには、GIGAスクール構想に対応した小中学校向け学習クラウド「ジャストスマイル」を提供し、教育DXを推進しています。
同社グループの収益モデルの特徴として、サブスクリプション方式で提供されるビジネスの割合が高いことが挙げられます。これにより、安定した収益基盤を構築しています。事業はソフトウエア関連事業の単一セグメントであり、本邦の外部顧客への売上高が連結売上高の90%を超えているため、国内市場が中心となっています。また、特定の外部顧客への売上高が連結売上高の10%以上を占める相手先はありません。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの業績は、過去5年間で売上高と利益ともに変動が見られますが、直近の期において大きく伸長しています。売上高は前期から増加し、経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益も同様に増加傾向を示しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 417億円 | 420億円 | 410億円 | 446億円 | 515億円 |
| 経常利益 | 173億円 | 192億円 | 174億円 | 182億円 | 231億円 |
| 経常利益率 | 41.5% | 45.8% | 42.4% | 40.8% | 44.8% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 122億円 | 134億円 | 116億円 | 123億円 | 151億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 189.42 | 208.67 | 181.19 | 191.94 | 234.99 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高および営業利益は、前期から当期にかけて増加しています。これは、組織全体の生産性が向上している傾向を示しています。
従業員1人あたりの売上高は前期から増加し、従業員1人あたりの営業利益も同様に増加しています。これらの指標の改善は、同社グループが効率的な事業運営を通じて収益を生み出す力が強化されていることを示しています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 150.0百万円 | 170.6百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 60.7百万円 | 74.5百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループの財務状況は、安定した基盤を維持しつつ、事業活動で得た資金を効率的に活用していることがうかがえます。本業で着実に資金を生み出し、将来に向けた投資も行っている状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、高い自己資本比率と潤沢な手元資金によって特徴づけられています。自己資本比率はプライム市場平均と比較して非常に高い水準にあり、財務の健全性を示しています。ROE(自己資本利益率)もプライム市場平均を上回っており、効率的な資本活用ができていることがうかがえます。手元資金も厚く、事業運営における安定性が高い状態です。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 1,050億円 | 1,187億円 |
| 自己資本比率 | 86.8% | 87.0% |
| ROE(自己資本利益率) | 12.4% | 13.5% |
| 現金及び預金 | 906億円 | 1,049億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローを見ると、本業の営業活動で安定的に資金を生み出していることがわかります。当連結会計年度の営業活動によるキャッシュフローは増加し、事業の収益力が向上していることを示しています。投資活動によるキャッシュフローは、新商品・サービスの開発投資や定期預金の預け入れにより減少していますが、前期と比較して減少幅は縮小しています。財務活動によるキャッシュフローは配当金の支払いにより減少しており、自己資金で事業を賄う方針がうかがえます。結果として、フリーキャッシュフローは前期のマイナスから当期はプラスに転換しており、本業で得た資金で投資を賄い、なお余剰資金がある優良な状態です。これは、同社グループが安定した事業運営を継続し、将来の成長に向けた投資余力も確保していることを示しており、入社後の雇用や給与の安定性にもつながる要素と言えます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 150億円 | 196億円 |
| 投資CF | △271億円 | △138億円 |
| 財務CF | △13億円 | △15億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △121億円 | 58億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、急速な技術革新による技術・ノウハウの陳腐化リスクを認識しています。また、新商品・サービスの企画開発において、市場の見誤りや競争激化、社内体制の不備等により販売が低迷する可能性も事業リスクとして挙げています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、急速な技術革新に対応できる技術者の採用や、市場競争を勝ち抜くための人材育成が継続して必要であると認識しています。計画通りに優秀な人材の確保が進まない場合、事業運営に支障をきたす可能性があることをリスクとして挙げています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
ジャストシステムは、個人・法人向けに幅広い商品・サービスを提供できる強みを活かし、継続的かつ安定的な収益確保を目指す企業です。お客様や社会の発展に資することで、企業価値の総合的な向上を経営方針としています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
ジャストシステムは、個人・法人向けに幅広い商品・サービスを提供できる強みを活かし、継続的かつ安定的に収益を確保できる体制の整備・推進を経営方針としています。
同社グループは、商品・サービスを通じてお客様や社会の発展に貢献し、株主、顧客、市場、社員が求める企業価値を総合的に高めることを目指しています。
「継続的な増収増益」を目標とし、特に「1人当たりの営業利益額」の継続的な拡大を重視しています。
既存商品の機能強化による顧客満足度向上と、新商品・サービスの企画開発による顧客層拡大を通じて、継続的な事業拡大と企業価値の向上を目指す方針です。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
ジャストシステムは、常に変化し、成長し続ける企業体質の構築を重視しています。
そのため、組織の活性化と人材戦略の強化拡充を進めることが求められています。
また、新商品・サービスの企画開発においてはスピードを意識した推進が重要視されており、将来に向けた積極的な成長投資を実行していく方針です。
これらの取り組みを通じて、顧客満足度の向上と顧客層の拡大を目指す姿勢がうかがえます。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
ジャストシステムが優先的に対処すべき課題として、組織の活性化と人材戦略の強化拡充を挙げています。
これにより、常に変化し、成長し続ける企業体質の構築を目指しています。
また、新商品・サービスの企画開発をスピード感を持って推進することや、将来に向けた積極的な成長投資も重点テーマとしています。
これらの取り組みを通じて、事業環境の変化に対応し、企業価値の向上を図る方針です。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
株式会社ジャストシステムは監査等委員会設置会社であり、取締役会と監査等委員会が取締役の業務執行を監視・監督する体制をとっています。社外取締役が多数を占める取締役会と監査等委員会が、経営の透明性と客観性を高めています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
ジャストシステムは、事業会社であるキーエンスが筆頭株主として経営を支えています。また、光通信グループに関連する複数の株主が上位に名を連ねており、特定の事業会社やその関連グループが同社の資本構成に影響力を持っていることが特徴です。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| キーエンス | 43.96% |
| 重田 康光 | 7.30% |
| 日本マスタートラスト信託銀行 | 5.78% |
| DAIWA CM SINGAPORE LTD - NOMINEE HIKARI TSUSHIN INVESTMENTS ASIA PTE LTD | 4.96% |
| UHPartners2投資事業有限責任組合 | 3.96% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は8名(男性7名・女性1名)で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は関灘恭太郎氏が務めています。社外取締役比率は62.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 関灘 恭太郎 | 代表取締役社長 | 2000年4月 ㈱キーエンス入社、2009年6月 同社取締役、2016年3月 同社代表取締役社長より現職。 |
| 田食 雅行 | 取締役 | 2006年10月 同社入社、2012年4月 同社コンシューマ事業部長、2020年6月 同社取締役 ソリューションストラテジー事業部長、2026年4月 同社取締役 ラーニングイノベーション事業部長より現職。 |
| 三木 雅之 | 取締役 | 1998年4月 ㈱キーエンス入社、2009年6月 同社取締役、2016年3月 同社取締役 最高開発責任者、2026年3月 ㈱キーエンス ICT推進部システム開発グループ長より現職。 |
社外取締役は、栗原学氏(栗原公認会計士事務所 代表)、緑川芳江氏(三浦法律事務所 パートナー)、長澤克治氏(元Nomura Capital Services Inc. President・常勤監査等委員)、熊谷勉氏(元三越伊勢丹 常勤監査役・監査等委員)、五十嵐透氏(キーエンス 経理グループ長・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、取締役会と監査等委員会が取締役の業務執行を監視・監督する体制を採用しています。社外取締役が経営の意思決定機能を持つ取締役会に対して、中立的な立場から監督・監査を行うことで、経営の監視機能が強化されています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、基本報酬と業績連動報酬で構成されており、業績連動部分が報酬全体の70%から80%を占めています。特に「1人当たりの営業利益額」の継続的な拡大を重視し、これを業績連動報酬の決定指標としています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 3名 | 1.6億円 | 53.3百万円 |
| 社外取締役 | 6名 | 21百万円 | 3.5百万円 |
なお、取締役の支給額には使用人兼務取締役の使用人分給与は含まれていません。
個人別報酬が開示されている役員は、関灘恭太郎氏(1.48億円)です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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