※本記事は、株式会社エックスネットの有価証券報告書(第35期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. エックスネットってどんな会社?
資産運用業界向けのシステム構築・運用サポートを主力とするITサービス企業です。
■(1) 会社概要
1991年6月に設立され、「XNETサービス」を開始しました。2004年3月に東証一部に上場し、2009年にはNTTデータによる公開買付を経て同社の連結子会社となりました。その後、2024年5月に自己株式取得を実施し、NTTデータグループを離脱して新たな業務提携を結び、「新生エックスネット」としてスタートしています。
現在の従業員数は単体で208名です。筆頭株主は資産管理業務を行う信託銀行で、第2位および第3位には投資事業有限責任組合が名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本カストディ銀行(信託E口) | 16.10% |
| 光通信KK投資事業有限責任組合無限責任組合員光通信 | 10.80% |
| UHPartners2投資事業有限責任組合無限責任組合員UHPartners2 | 7.70% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は茂谷武彦氏が務めています。社外取締役比率は50%となっています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 茂谷武彦 | 代表取締役社長 | 1984年野村證券入社。1992年エックスネット入社。執行役員、取締役、常務取締役を経て2014年より現職。 |
| 新島毅 | 常務取締役 | 1996年千葉興業銀行入社。2002年エックスネット入社。チーフマネジャー、執行役員、取締役を経て2022年より現職。 |
| 荻田正陽 | 取締役 | 1988年日本電信電話入社。NTTデータ等を経て2014年NTTデータ・フィナンシャルコア取締役企画部長システム統括本部長。2016年より現職。 |
| 川﨑裕介 | 取締役 | 2001年NTN入社。2005年エックスネット入社。チーフマネジャー、執行役員、上席執行役員を経て2025年より現職。 |
社外取締役は、丸山浩司(元横浜銀行執行役員)、鈴木行生(元野村證券取締役金融研究所長)、武山芳夫(元第一生命保険取締役常務執行役員)、小林貴恵(TMI総合法律事務所パートナー)です。
2. 事業内容
同社は「XNETサービス」事業の単一セグメントで事業を展開しています。
■(1) アプリケーション
有価証券管理システムを中心としたシステムの月額利用料を収益源とする中核サービスです。機関投資家、生損保、地方銀行などに向け、証券の受発注業務からパフォーマンス分析、仕訳・入出金等の管理機能までを幅広く提供しています。
顧客から初期投資やメンテナンス費用が不要な月々のサービス利用料(月額定額のサブスクリプション)を受け取ります。運営はエックスネットが単独で行っています。
■(2) AMO・SO
AMO(Application Management Outsourcing)はシステムの導入や運用保守などを請け負うサービスで、SO(Smart Outsourcing)はシステムを利用した経理事務等の実務そのものを受託・代行するサービスです。
顧客企業のIT人材不足や業務効率化ニーズに応え、人的支援や業務代行に対する対価を収益としています。同事業の運営もエックスネットが担っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
過去5年間の業績推移を見ると、売上高は50億円台半ばで安定的に推移しており、最新期は過去最高レベルの規模まで拡大しています。利益面では10億円前後の経常利益をコンスタントに稼ぎ出しており、利益率も15%を超える水準を維持する高収益体質が特徴です。
| 項目 | 31期 | 32期 | 33期 | 34期 | 35期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 54億円 | 54億円 | 55億円 | 53億円 | 57億円 |
| 経常利益 | 10億円 | 10億円 | 11億円 | 8億円 | 10億円 |
| 利益率(%) | 18.4% | 18.4% | 19.8% | 16.0% | 17.9% |
| 当期純利益 | 7億円 | 7億円 | 7億円 | 6億円 | 5億円 |
■(2) 損益計算書
売上高と各段階利益の推移を見ると、当期は増収効果に加えて利益率の改善が進み、売上総利益、営業利益ともに増加傾向にあります。
| 項目 | 34期 | 35期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 53億円 | 57億円 |
| 売上総利益 | 15億円 | 18億円 |
| 売上総利益率(%) | 28.4% | 31.5% |
| 営業利益 | 9億円 | 10億円 |
| 営業利益率(%) | 16.2% | 18.0% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が3億円(構成比42%)、支払手数料が1億円(同15%)、業務委託費が1億円(同15%)を占めています。また、売上原価の主な内訳は労務費が18億円(構成比47%)、外注費が12億円(同30%)となっています。
■(3) セグメント収益
同社は単一セグメントのため、主要なサービス品目別の売上高推移を分析します。主力の中核商品である「XNETサービス」が着実に売上を伸ばし、全体の増収を牽引しています。
| 区分 | 売上(34期) | 売上(35期) |
|---|---|---|
| XNETサービス | 53億円 | 57億円 |
| 機器販売等 | - | 0.1億円 |
| 連結(合計) | 53億円 | 57億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
企業の活動による現金の動きから、健全型であることが読み取れます。
| 項目 | 34期 | 35期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 8億円 | 12億円 |
| 投資CF | 13億円 | -0.1億円 |
| 財務CF | -37億円 | -15億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は17.6%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は53.2%で、いずれも市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「資産運用業界に新しい価値を生み出し、社会の今と未来を支える」をパーパスとして定めています。ミッションとして「資産運用業界の業務の先生になる」「更なるコストダウンを実現する」ことを掲げ、あらゆる業務の相談に乗れる資産運用のワンストップ・ソリューション・カンパニーを目指しています。
■(2) 企業文化
社員一人ひとりが自律し、プロフェッショナルな人財へ成長することを重視しています。フロントからバックまでの幅広い業務に対応できる多能工な人財を育成し、高度なスキル習得につながる難易度の高い案件への積極的な登用を行うなど、意欲と能力を尊重した採用・配置を実践しています。
■(3) 経営計画・目標
新中期経営計画「Next STEP 2029」において、持続的な利益拡大に向けた取り組みを推進しています。将来的(15~20年後)にはコア売上高100億円、ROE20%を目指す長期ビジョン「Core 100」を掲げています。
* コア売上高56億円
* 調整後営業利益38億円
* ROE15%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
持続的成長の基盤となる「稼ぐ力」を得るために「使う力」に注力し、「積極的な投資」と「BSマネジメント」を実行する方針です。ノウハウを持つ社員への「人財投資」とサービスの根幹である「システム投資」を強力に推進し、市場から選ばれ続ける企業になることを目指しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「プロフェッショナル人財を確保し、生産性向上に向けた投資を促進することが安定的かつ持続的な成長の鍵となる」との考えのもと、人財投資を最優先に推進しています。給与水準の向上や教育・研修の強化を通じ、優秀な人材の確保と定着を目指しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 35期 | 38.9歳 | 9.0年 | 7,862,498円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 10.4% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | - |
| 男女賃金差異(正規雇用) | - |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | - |
同社は公表義務の対象ではないため、男性育児休業取得率および男女賃金差異に関する記載はありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、3年以内離職率(17.2%)、年次有給休暇取得率(90.2%)、障がい者雇用率(1.4%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) IT技術への対応
ハードウェアやOS等の変更に対応してアプリケーション改編を常時行う必要があり、技術動向の急速な変化への対応による投資額増大やサービス提供の遅延が生じる可能性があります。
■(2) システムの不具合の発生
提供するアプリケーションで不具合が発生した場合、顧客に対する損害賠償や当社の作業費用の増大が生じ、業績や信頼に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 顧客の多くを金融機関が占める状況
顧客の大部分が金融機関であるため、金融機関間の合併などの再編や、大幅な業務・制度変更が行われた場合、同社のビジネスや経営成績に影響を与える可能性があります。
■(4) 優秀な人財の確保
サービスの継続や質向上には優秀なソフトウエア人財の確保が必須です。競合他社や他業界の雇用動向により人財確保が困難となった場合、サービス提供の遅延などが発生する可能性があります。



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