SBIグローバルアセットマネジメント 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

SBIグローバルアセットマネジメント 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

SBIグローバルアセットマネジメントは東京証券取引所プライム市場に上場し、アセットマネジメント事業とファイナンシャル・サービス事業を展開しています。直近の業績は、運用残高の大幅な拡大等により売上高・各段階利益ともに飛躍的な増収増益を達成しており、過去最高益を更新しています。


※本記事は、SBIグローバルアセットマネジメント株式会社の有価証券報告書(第29期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月16日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. SBIグローバルアセットマネジメントってどんな会社?


アセットマネジメント事業を中核とし、投資家の資産形成に役立つ金融商品と客観的な情報を提供する次世代型の企業グループです。

(1) 会社概要


同社は1998年に金融情報の提供を目的として設立され、2000年に上場しました。2023年に米国モーニングスター・インクへのブランド返還に伴い現社名に変更しています。2025年には、SBI岡三アセットマネジメントとSBIレオスひふみを吸収合併などで子会社化し、資産運用分野での規模と業容を大幅に拡大しました。

従業員数は連結で357名、単体で9名となっています。筆頭株主はSBIホールディングスの完全子会社であるSBIアセットマネジメントグループで、第2位は同じくSBIファイナンシャルサービシーズとなっており、グループ内で資本関係が構築されています。

氏名 持株比率
SBIアセットマネジメントグループ 43.70%
SBIファイナンシャルサービシーズ 12.60%
MORNINGSTAR,INC.(常任代理人 大和証券) 3.00%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性0名の計9名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は朝倉智也氏が務めており、取締役における社外取締役の比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
朝倉 智也 代表取締役社長 1989年北海道拓殖銀行入行、1998年同社入社。2004年代表取締役社長、2015年SBIアセットマネジメントグループ代表取締役社長兼CEO等を経て現職。
北尾 吉孝 取締役 1974年野村證券入社、1995年ソフトバンク常務取締役。1999年SBIホールディングス代表取締役社長。2022年同社会長兼社長等を経て、2012年より現職。
藤野 英人 取締役 1990年野村投資顧問入社、2003年レオス・キャピタルワークス代表取締役社長。2024年SBIレオスひふみ代表取締役会長兼社長等を歴任し、2025年より現職。


社外取締役は、ビリー・ウェード・ワイルダー(元日興アセットマネジメント代表取締役社長)、山澤光太郎(元大阪取引所取締役副社長)、堀江明弘(税理士法人ブレイン総合会計代表社員)です。

2. 事業内容


同社グループは、「アセットマネジメント事業」および「ファイナンシャル・サービス事業」を展開しています。

アセットマネジメント事業


公募追加型株式投資信託や私募の債券型投資信託を中心とした投資信託の設定、募集、運用などの投資運用や、投資助言サービスを提供しています。インデックスファンドからアクティブファンドまで幅広く揃え、個人投資家から機関投資家まで多様なニーズに対応しています。

投資信託の純資産残高に一定の報酬率を乗じて算出される信託報酬等から収益を獲得しています。運営は主に、SBIアセットマネジメント、SBI岡三アセットマネジメント、およびレオス・キャピタルワークスが行っています。

ファイナンシャル・サービス事業


金融やウェブサイトなどの情報を収集・分析して顧客に提供するほか、企業向け確定拠出年金関連のアドバイスなどのコンサルティング業務を行っています。金融機関やメディア、個人投資家などが主な顧客となっています。

ファンドデータやタブレットアプリの提供による利用料、金融情報サイトでの広告掲載期間に応じた広告収入等から収益を得ています。運営は主に同社とウエルスアドバイザーが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は一貫して増加傾向にあり、特に当期は中核となる運用子会社の成長や組織再編効果により、前期比で大幅な増収を達成しました。経常利益も順調に拡大を続けていますが、事業規模の急拡大に伴い利益率は緩やかな低下傾向が見られます。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 81億円 87億円 101億円 116億円 279億円
経常利益 24億円 25億円 25億円 26億円 56億円
利益率(%) 29.6% 28.1% 24.8% 22.2% 20.1%
当期利益(親会社所有者帰属) 28億円 55億円 3億円 10億円 22億円

(2) 損益計算書


売上高の大幅な成長に伴い、売上総利益と営業利益も前期の2倍以上の水準へと拡大しました。一方で、売上総利益率は低下しており、事業構造や商品ミックスの変化が影響していることが窺えます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 116億円 279億円
売上総利益 57億円 116億円
売上総利益率(%) 49.3% 41.7%
営業利益 23億円 52億円
営業利益率(%) 19.6% 18.5%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給与が25億円(構成比38%)、役員報酬が7億円(同11%)を占めています。

(3) セグメント収益


アセットマネジメント事業は、グループ中核の運用3社の残高拡大が牽引し、前期から飛躍的な増収を達成しました。一方、ファイナンシャル・サービス事業は微減収となっています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
アセットマネジメント事業 98億円 263億円
ファイナンシャル・サービス事業 18億円 15億円
連結(合計) 116億円 279億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である「健全型」となっています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 20億円 27億円
投資CF 4億円 -9億円
財務CF -20億円 -22億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は12.9%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は61.4%といずれも市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「投資家主権の確立」を根本的な使命とし、「投資家の皆様の資産形成に役立つ」ことを事業目的に掲げています。中立・客観的立場から豊富で偏りのない金融情報を提供することで、金融と情報が融合する新たな時代においても必要とされる、次世代型のアセットマネジメント企業グループとしての成長を目指しています。

(2) 企業文化


同社が属するSBIグループに共通する「公益は私益にも繋がる」という理念のもと、社会の維持・発展に貢献することを重視しています。顧客中心主義に基づく経営を徹底し、投資家にとって望ましい投資信託を開発・提供することで、顧客の資産形成に真に役立つ事業展開を追求する文化が根付いています。

(3) 経営計画・目標


具体的な数値目標は設定されていませんが、国内の資産運用業界で「顧客中心主義」をより浸透させるため、規模拡大のさらなる加速が必要であると考えています。直近の運用資産残高はグループ全体で13兆円を超えましたが、これを通過点とし、さらなる成長を目指しています。

* 早期に運用資産残高20兆円規模へ到達

(4) 成長戦略と重点施策


既存のインデックスおよびアクティブ運用を基盤としつつ、オルタナティブ資産とデジタル領域を新たな成長ドライバーと位置づけています。また、海外の政府系ファンドとの関係強化や有力運用会社の買収といったノン・オーガニックでの成長にも取り組み、収益性の高い事業モデルへの進化を加速させます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


事業活動の推進を通じて社会の発展に貢献できる人材の育成を責務と捉え、プロフェッショナルとしての職歴に加え人間性を重視した採用を行っています。高度な専門人材を獲得・育成する一方で、従業員がAI等のデジタルリテラシーを身につけることを当面の目標とし、仕事と家庭が両立できる環境整備を進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 54.9歳 8.7年 6,760,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 20.0%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) 67.6%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 67.6%
男女賃金差異(パート・有期労働者) -


※男性育児休業取得率について、対象期間中に育児休暇取得の対象となる社員がいなかったため「-」としています。

また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性役員比率(10.5%)、国内主要子会社合計の女性管理職比率(21.2%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 金融市場や金利・為替の変動リスク


アセットマネジメント事業は運用残高に応じた信託報酬を主な収益源とするため、国内外の株式市場や為替、金利などの動向によって残高が変動し、業績に影響を受ける可能性があります。同社は商品ラインナップの多様化やヘッジ取引の活用により、これら金融上のリスクの分散や影響の低減に努めています。

(2) ファンドの募集および運用成績の不確実性


公募追加型株式投資信託や私募の債券型投資信託等の運用において、市場環境等により新規ファンドの募集が困難となる場合や、期待通りの運用成績を達成できない可能性があります。その結果、投資家の支持を得られず資金流出等が発生した場合、同社グループの財政状態および業績に影響を及ぼすリスクがあります。

(3) 投資運用業等の法的規制の変更リスク


同社グループは金融商品取引法等に基づき、日本および米国で投資運用業や投資助言業の登録を行っています。今後、日米両国において関連法令等が改正された場合、業務遂行に影響を及ぼす可能性があります。また、法令違反により登録取消処分等を受けた場合には、事業運営に重大な支障をきたすリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。