※本記事は、株式会社ベクターホールディングス の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月29日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
ベクターホールディングスは持株会社であり、単体従業員数は23名、グループ連結従業員数は23名です。
同社グループは、国内でのインターネットサービスおよびAI関連サービスを主な事業として展開しています。連結子会社は合同会社Vector Fund1の1社で構成されています。
主な国内グループ会社は、Vector Fund1などです。
ベクターホールディングスは、2025年6月に再生可能エネルギー事業などを手掛けていた連結子会社3社の全株式を譲渡し、連結の範囲から除外しました。また、ポイントモール「QuickPoint」の新規会員登録を停止し、AI関連サービスへの注力を進めています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
同社グループは、ICT事業とAI関連事業を展開する持株会社です。人材を力の源泉と捉え、自律的なキャリア構築支援や多様な人材が活躍できる環境整備に注力する方針を示しています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、従業員の平均年齢が比較的高く、平均勤続年数も一定の長さがあることから、安定したキャリア形成が可能な環境であると推察されます。従業員一人ひとりの自律的なキャリア構築を支援し、多様な人材が活躍できる組織を目指す方針です。
なお、同社は持株会社であり、傘下の関係会社は以下のデータと同水準とは限りません。各社の求人情報や口コミサイト等を別途参照してください。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,271,000円 |
| 平均勤続年数 | 9.1年 |
| 平均年齢 | 46.6歳 |
| 単体従業員数 | 23人 |
| 連結従業員数 | 23人 |
| 単体のグループ内比率 | 100.0% |
同社は、従業員の退職給付に充てるため、非積立型の確定給付制度を採用しています。この制度は国内の従業員に適用されます。退職一時金制度があり、退職給付として給与と勤務期間に基づいた一時金が支給されます。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
ベクターホールディングスは、「ICT社会の基盤を支える総合AIインフラ企業」を経営ビジョンに掲げ、事業基盤の強化と収益機会の拡大を目指しています。これらの経営戦略を支える根幹を人的資本と位置づけ、人材育成を推進する方針です。
同社グループは、従業員一人ひとりの自律的なキャリア構築を支援する制度を検討しています。また、組織に不足するスキルの獲得を促すにあたっては、挑戦する姿勢そのものを称える企業文化を醸成し、キャリアプランや処遇に反映できる人事制度を検討していくとしています。
加えて、年齢や性別に関係なく多様な人材が活躍できる環境や仕組みを整備し、活力ある組織の構築を目指しています。具体的な指標や目標については、今後決定次第公開する方針です。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。男性労働者の育児休業取得率およびパート・有期労働者の男女賃金差異は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく公表義務の対象項目として選択しておらず、公表されていません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 25.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 69.2% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 69.2% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
ベクターホールディングスは、持株会社として同社グループ全体の経営戦略を統括しています。主に国内でインターネットサービスとAI関連サービスを展開しており、事業環境の変化に対応するため、不採算事業の整理と新規事業への投資を並行して進めています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、インターネットサービスとAI関連サービスを主軸に事業を展開しています。近年は不採算事業の整理を進めつつ、AI関連サービスを新たな収益の柱として注力する方針を鮮明にしています。
ICT事業
ICT事業では、主にソフトウエアの販売、サイト広告の販売、電子契約サービス「ベクターサイン」の運営などを行っています。収益は、IT商品の販売やIT役務の提供から得ています。運営は同社が行っており、前期と比較して売上高は増加しています。
AI関連事業
AI関連事業では、主にAI関連のサービス提供及び開発を行っています。高性能サーバーレンタル契約を締結しており、収益はIT役務の提供から得ています。運営は同社が行っており、当連結会計年度より報告セグメントとして記載されています。
その他事業
その他事業では、従来「再生可能エネルギー事業」や「その他の事業」を運営していた子会社を譲渡したことに伴い、連結除外日までの実績を計上しています。収益はその他の事業による収益から得ており、前期と比較して売上高は大幅に減少しています。
当連結会計年度においては、AI関連事業の主要顧客としてCue Digital International Pte. Ltd.が存在し、同事業の売上高の大部分を占めています。同社グループの売上高は本邦におけるものが連結損益計算書の90%を超えており、国内事業が中心となっています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| ICT事業 | 100百万円 | 1.1億円 |
| AI関連事業 | - | 50百万円 |
| その他事業 | 62百万円 | 0百万円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は直近3期で減少傾向にあり、当連結会計年度も前期から減少しました。経常損失および親会社株主に帰属する当期純損失が継続していますが、親会社株主に帰属する当期純損失は前期から縮小しています。営業活動によるキャッシュ・フローは3期連続で支出が続いています。これは、不採算事業の整理と新規事業への投資を進める経営環境の変化を反映したものです。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | - | - | 1.6億円 | 1.6億円 | 1.6億円 |
| 経常利益 | - | - | △8.2億円 | △5.7億円 | △6.6億円 |
| 経常利益率 | - | - | △513.8% | △349.3% | △422.3% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | - | - | △8.9億円 | △7.8億円 | △5.5億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | - | - | △50.06 | △39.27 | △23.04 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高(連結)は前期から増加しています。一方で、従業員1人あたり営業利益(連結)は前期から損失が拡大する傾向にあります。これは、当連結会計年度に子会社3社の事業譲渡に伴う従業員数の減少があったことや、AI関連事業への新規投資による費用増加が影響していると考えられます。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 4.8百万円 | 6.8百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | △16.9百万円 | △25.8百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループの財務状況を見ると、事業活動や投資活動による資金の流れは、新たな事業展開を進める中で変化しています。現在の財務基盤と資金の流れから、同社グループの安定性と今後の方向性を確認できます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率は、当期で86.7%となり、前期の66.0%から増加しています。これはプライム市場の平均と比較しても高い水準を示しています。一方、ROE(自己資本利益率)は当期で△86.6%とマイナスであり、前期の△135.6%から改善はしているものの、依然として低い水準です。手元資金である現金及び預金は、当期末で4.2億円となり、前期末の80百万円から大きく増加しました。これらの財務状況は、今後の事業展開や雇用環境に影響を与える可能性があります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 2.4億円 | 10.9億円 |
| 自己資本比率 | 66.0% | 86.7% |
| ROE(自己資本利益率) | △135.6% | △86.6% |
| 現金及び預金 | 80百万円 | 4.2億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの当期の営業活動によるキャッシュフローは△6.2億円の支出となり、前期の△1.9億円から支出が増加しました。これは主に税金等調整前当期純損失を計上したことなどによるものです。投資活動によるキャッシュフローは△3.4億円の支出となり、前期の1.6億円の収入から支出に転じました。これは主に高性能サーバーの取得に伴う有形固定資産やソフトウェアの取得によるものです。
フリーキャッシュフローは△9.6億円の支出となり、前期の△31百万円から支出が拡大しています。財務活動によるキャッシュフローは13.0億円の収入となり、前期の91百万円から大幅に増加しました。これは主に新株の発行や新株予約権の行使による収入が要因です。これらの資金の流れは、同社グループが新たな事業への投資を進めつつ、外部からの資金調達によって資金を確保している状況を示しており、今後の事業の安定性や成長性を見極める上で重要な情報となります。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △1.9億円 | △6.2億円 |
| 投資CF | 1.6億円 | △3.4億円 |
| 財務CF | 91百万円 | 13.0億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △31百万円 | △9.6億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
同社グループは、当連結会計年度において営業損失および営業キャッシュフローがマイナスであり、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる状況が存在しています。この状況を改善するため、AI関連サービスへの参入や既存事業の収益増加を図る方針です。現時点では、継続企業の前提に影響を及ぼす重要な不確実性は認められないと判断されています。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループのICT事業はインターネット上で展開しているため、通信回線やサーバー機器等のシステムトラブルが発生した場合、利用者へのサービス提供ができなくなり業績に影響を与える可能性があります。また、ソフトウェアの動作不良やコンピュータウィルス感染が取扱商品の多くで起こった場合、同社グループの信用低下に繋がり業績に影響を与える可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、組織規模が小さく、必要な人材の確保が容易ではないため、人材の確保および管理体制の強化が順調に進まなかった場合、業務に支障をきたす可能性があります。また、人材確保や管理体制強化が進んだ場合でも、固定費の増加によって収益性が悪化する可能性も示されています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
ベクターホールディングスは、現在の経営課題を克服し、新たな成長軌道を描くことを目指しています。特にAI関連サービスへの参入と既存事業の強化を通じて、持続的な企業価値向上を追求する姿勢がうかがえます。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、現在の経営状況を改善し、継続企業の前提に関する重要な疑義を解消することを経営方針としています。そのために、新たな収益の柱としてAI(人工知能)関連サービスへの参入を進めています。
具体的には、高性能サーバーの演算リソースレンタル事業を開始し、収益の増加を図る方針です。また、既存の電子契約サービス「ベクターサイン」の登録者数獲得や、PCソフトウェアダウンロード販売などのインターネットビジネスの相互連携も強化しています。これらの取り組みを通じて、営業利益と営業キャッシュ・フローの大幅な改善を見込み、持続的な成長を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、人材を「力の源泉」と認識し、その育成に注力する方針です。従業員一人ひとりの自律的なキャリア構築を支援する制度の検討を進めています。
組織に不足するスキルの獲得を促す際には、挑戦する姿勢そのものを称える企業文化を醸成し、キャリアプランや処遇に反映できるよう人事制度を検討しています。加えて、年齢や性別に関係なく多様な人材が活躍できる環境や仕組みを整備し、意欲をもって活躍する活力ある組織の構築を目指しています。サステナビリティは事業継続のための重要事項であり、コーポレート・ガバナンス体制と一体で運用されています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、当連結会計年度において営業損失および営業キャッシュ・フローのマイナスという状況にあり、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる状況が存在することを経営課題として認識しています。この状況を解消または改善することが喫緊の課題です。
そのための重点テーマとして、新たな収益の柱となるAI(人工知能)関連サービスへの参入を挙げています。具体的には、CUE Groupとの間で高性能サーバーの演算リソースレンタルに関する利用契約を締結しました。さらに、既存事業である電子契約サービス「ベクターサイン」の登録者数獲得を進め、PCソフトウェアダウンロード販売およびその他インターネットビジネスを相互連携させることで、収益の増加を図る方針です。これらの取り組みにより、営業利益と営業キャッシュ・フローの大幅な改善を目指しています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
ベクターホールディングスでは、企業業績向上と競争力強化のため経営判断の迅速化を図りつつ、経営の公正性・透明性を重視したガバナンス体制を構築しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
ベクターホールディングスの株主構成を見ると、QUETTA合同会社が筆頭株主として名を連ねています。複数の事業会社や個人が上位株主として存在しており、多様な主体によって支えられている資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| QUETTA合同会社 | 20.73% |
| T's International | 13.68% |
| 中村 哲也 | 8.79% |
| エスポワール日本橋 | 6.67% |
| GMOクリック証券 | 6.41% |
なお、前事業年度末に主要株主であったエスポワール日本橋は、当事業年度末では主要株主ではなくなり、QUETTA合同会社が新たに主要株主となりました。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は9名(男性6名・女性3名)で構成され、女性役員比率は33.3%です。代表取締役社長は岩井美和子氏が務めています。社外取締役比率は40.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 岩井 美和子 | 代表取締役社長 | 2019年5月アクシード株式会社入社、2020年8月燦キャピタルマネージメント株式会社(現 北浜キャピタルパートナーズ株式会社)入社総務部長、2023年5月同社入社法務・IR部長、2024年6月同社取締役管理本部長、2025年6月同社代表取締役副社長、2026年1月同社代表取締役社長より現職。 |
| 菅原 聡子 | 取締役 | 1991年4月古久根建設株式会社入社、1996年8月君津化学工業株式会社入社、2002年6月同社入社、2022年5月同社事業推進室グループ長、2023年7月同社事業サポート部部長、2024年7月同社企画・販売部副部長、2025年6月同社取締役より現職。 |
| 前田 晶子 | 取締役 | 1992年3月日本航空株式会社入社、1996年4月通訳業(自営)、2007年1月株式会社ジョーコーポレーション取締役、2020年2月株式会社プロビデンス取締役、2026年6月同社取締役より現職。 |
社外取締役は、竹村滋幸氏(元全日本空輸取締役副社長執行役員)、菅原貴与志氏(弁護士・慶應義塾大学特任教授)です。
ベクターホールディングスは監査役会設置会社であり、取締役会は社外取締役を含めて構成されています。社外取締役は、業務執行から独立した客観的な立場で経営の監督と助言を行っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
ベクターホールディングスの役員報酬は、月例の固定報酬に加え、連結会計年度ごとの営業利益や経営状況を考慮した役員賞与、中長期的な業績向上と企業価値増大を目的とした株式報酬型ストックオプションで構成されています。各役員の役職や職責、会社の業績を総合的に勘案して決定される仕組みです。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 9名 | 95百万円 | 10.6百万円 |
| 社外役員 | 8名 | 22百万円 | 2.7百万円 |
なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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