山田コンサルティンググループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

山田コンサルティンググループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

山田コンサルティンググループは東京証券取引所プライム市場に上場し、コンサルティング事業と投資事業を展開しています。直近の業績では、主力のコンサルティング事業の売上拡大や投資事業の順調な資産売却などにより大幅な増収を達成しましたが、人員増加などに伴う人件費増等により経常利益は減益となりました。


※本記事は、山田コンサルティンググループ株式会社の有価証券報告書(第37期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 山田コンサルティンググループってどんな会社?


同社は、経営戦略から事業再生、M&A、不動産投資までを網羅する総合コンサルティングファームです。

(1) 会社概要


1989年に東京ファイナンシャルプランナーズとして設立され、2000年に大証ナスダック・ジャパン市場(現東証スタンダード市場)へ株式上場を果たしました。2010年に山田コンサルティンググループへ商号変更し、近年は国内外のM&A支援を強化するため、ピナクルや米国、インドの専門ファームを子会社化しています。

同社グループの従業員数は連結で1,089名、単体で898名体制となっています。筆頭株主は事業会社の日本マネジメント・アドバイザリー・カンパニーで、第2位は光通信KK投資事業有限責任組合、第3位は信託業務を行う日本マスタートラスト信託銀行となっています。

氏名 持株比率
日本マネジメント・アドバイザリー・カンパニー 36.67%
光通信KK投資事業有限責任組合 6.50%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 5.59%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性2名の計9名で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表取締役社長は増田慶作氏が務めており、社外取締役比率は55.6%となっています。

氏名 役職 主な経歴
増田慶作 取締役社長事業統括担当(代表取締役) 税理士法人山田&パートナーズ入所後、山田コンサルティンググループ代表取締役社長等を経て現職。
辻剛 専務取締役事業統括担当 松山隆司税理士事務所入所後、同社専務取締役事業統括本部長等を経て現職。
西口泰夫 取締役会長 京都セラミック入社後、同社代表取締役会長兼CEOなどを経て現職。
布施麻記子 取締役広報担当 三菱重工業入社後、税理士法人山田&パートナーズ入所、同社取締役等を経て現職。
首藤秀司 取締役管理本部長 野村證券入社後、同社執行役員管理本部長等を経て現職。


社外取締役は、永長正士(元人事院事務総長)、山﨑達雄(元財務官)、岩品信明(TMI総合法律事務所パートナー)、Nagisa Vivien Usui(元KPMGロサンゼルス事務所監査パートナー)です。

2. 事業内容


同社グループは、「コンサルティング事業」および「投資事業」を展開しています。

コンサルティング事業


経営戦略や事業再生、IT戦略などの経営コンサルティングに加え、M&Aアドバイザリー、事業承継、海外展開の支援等を行っています。国内の中堅・中小企業や上場企業を中心に、多様な経営課題を抱える経営者が主な顧客となっています。

顧客からのコンサルティング報酬やM&A成功報酬などが主な収益源です。運営は山田コンサルティンググループのほか、ピナクル、相続あんしんサポート、Yamada Consulting Group USA Inc.などの子会社が行っています。

投資事業


未上場企業への株式投資や、換金性の低い底地等を対象とする不動産投資、米国不動産関連ファンドを対象としたファンド事業を展開しています。事業承継や資本再構築、不動産管理などの課題を抱える顧客に対して、資金面からのソリューションを提供しています。

投資先企業の株式売却益や不動産売却益、ファンドからの運用益や分配金などが主な収益源です。運営は山田インベストメントや、同社が運営する投資事業有限責任組合、およびYAMADA Income Fund, L.P.などのファンドが担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は一貫して右肩上がりで成長を続けており、コンサルティング需要の底堅さと投資事業領域の拡大が伺えます。経常利益については人員増加や待遇改善に伴う人件費等の先行投資負担が重く一時的に減益となりましたが、利益率は引き続き2桁台を維持しており、全体として底堅い収益力を保っています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 146億円 165億円 222億円 228億円 267億円
経常利益 26億円 29億円 37億円 41億円 37億円
利益率(%) 17.6% 17.8% 16.8% 18.0% 13.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 17億円 21億円 29億円 29億円 29億円

(2) 損益計算書


売上高は前年度から着実に拡大し、売上総利益も増加していますが、売上総利益率および営業利益率は低下しています。これは事業規模の拡大に伴う原価の増加や、将来の事業成長を見据えた人材採用・育成など販管費の増加が利益率を押し下げているためと考えられます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 228億円 267億円
売上総利益 194億円 205億円
売上総利益率(%) 85.3% 76.7%
営業利益 41億円 37億円
営業利益率(%) 18.2% 14.0%


販売費及び一般管理費のうち、給与・賞与等が119億円(構成比71%)と最も高い割合を占めています。売上原価の多くはコンサルティング事業における外注などの仕入で構成されています。

(3) セグメント収益


主力のコンサルティング事業は、経営コンサルティングや事業承継案件の受注が堅調で増収となりましたが、人員増や昇給による人件費の増加が影響し減益となりました。一方、投資事業は未上場株式や販売用不動産の順調な売却に加え、ファンド事業の本格化により大幅な増収増益を記録し、全体の売上成長を牽引しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
コンサルティング事業 204億円 212億円 32億円 26億円 12.2%
投資事業 24億円 56億円 10億円 12億円 20.9%
連結(合計) 228億円 267億円 41億円 37億円 14.0%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


勝負型(本業は赤字だが、将来成長のため借入で投資を継続)

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF -2億円 -21億円
投資CF -8億円 -21億円
財務CF 1億円 52億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は15.2%で市場平均を上回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も59.7%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「健全な価値観」「社会貢献」「個と組織の成長」を基本理念として掲げています。高付加価値な情報を創造・提供し、顧客の発展を通じて社会全体の発展に貢献することで、「存在する意義のある組織」であり続けることを目指しています。

(2) 企業文化


「健全な価値観」に基づく組織風土を保持し続けることを最重要の経営課題として位置づけています。社員一人ひとりの成長が組織の成長につながるという考えから「個の成長」を重視し、自律的な成長と組織全体の成長を調和させる環境づくりに取り組んでいます。

(3) 経営計画・目標


中長期的に利益の極大化を図り、グループとしての企業価値を高めることを重要視しています。資本運用効率を測る尺度として、以下の数値を目標に掲げています。

* 自己資本利益率(ROE)20%

(4) 成長戦略と重点施策


コンサルティング事業では、顧客の生涯価値の最大化を強みとし、各部門の連携によるクロスセルを通じてあらゆる経営課題に対応します。また、M&Aや海外展開の支援体制を強化します。投資事業では、未上場株式や換金性の低い不動産への投資、ファンド事業などを通じて新たな収益機会の創造を図ります。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「安心して働ける職場」と「チャレンジし続けられる職場(働きがい)」の実現を人材戦略の基本方針としています。年齢や性別に関わらず持続可能な働き方ができる環境を整備するとともに、充実した研修プログラムの提供や専門人材の育成により、社員の長期的なキャリア形成を支援しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 38.1歳 7.2年 9,750,086円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 19.1%
男性育児休業取得率 90.3%
男女賃金差異(全労働者) 50.9%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 49.8%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 58.4%


また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、労働者に占める女性労働者の割合(43.0%)、外部講師研修(年間)(30.0時間/人)、非管理職残業時間(23.3時間/月)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 人材の確保及び育成リスク


コンサルティング事業の性質上、事業拡大には優秀なコンサルタントや専門人材の増員が不可欠です。社内教育プログラムの充実等で育成を図っていますが、同社の求める人材を十分に確保できない場合、事業拡大の制約となる可能性があります。

(2) 未上場株式投資の運用リスク


投資事業において、未上場会社を対象とした株式投資を行っています。投資リスクを抑えながら慎重に案件を発掘していますが、投資先企業の業績状況や株式評価、株式売却状況によっては、同社グループの業績に悪影響を及ぼすリスクがあります。

(3) 不動産投資における市況悪化リスク


換金性の低い底地等の不動産に投資する不動産投資事業を行っています。不動産市況の悪化等の外部環境の変化により保有不動産の評価額が下落した場合や、想定時期での売却が困難になった場合、業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(4) 顧客情報の管理リスク


事業の性格上、顧客の機密情報や個人情報を取り扱います。プライバシーポリシーの制定や役職員への研修等で情報管理の徹底を図っていますが、万一情報が外部に漏洩した場合、社会的信用の低下により同社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


関連記事

山田コンサルティンググループの転職研究  2026年3月期決算に見るキャリア機会

山田コンサルティンググループの2026年3月期決算は、売上高が過去最高を更新。人材獲得に向けた人件費増加等で営業利益は減益となるも、各計画を概ね達成。次期よりM&A事業を各コンサル事業に統合する大幅な組織刷新を発表。「なぜ今同社なのか?」転職希望者が担える役割やキャリア機会を整理します。