山田コンサルティンググループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

山田コンサルティンググループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場の総合コンサルティングファーム。経営コンサルティング、M&Aアドバイザリー、投資事業などを展開しています。2025年3月期の業績は、売上高が前期比2.6%増、経常利益が同10.0%増と増収増益を達成しました。投資事業における売却益計上なども寄与し、高い収益性を維持しています。


※本記事は、山田コンサルティンググループ株式会社の有価証券報告書(第36期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月20日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 山田コンサルティンググループってどんな会社?


経営コンサルティングと投資事業を柱とする総合コンサルティング会社です。中堅企業やオーナー企業の支援に強みを持ちます。

(1) 会社概要


1989年にFP教育等を目的として設立され、2000年に大証ナスダック・ジャパンへ上場しました。2010年に現商号へ変更し、2018年には純粋持株会社から事業会社へ移行しました。2019年には東証一部へ市場変更(現プライム市場)し、組織再編や海外拠点の設立を通じて事業基盤を拡大しています。

連結従業員数は1,017人、単体では827人です。筆頭株主は株式会社日本マネジメント・アドバイザリー・カンパニー、第2位は光通信、第3位は資産管理業務を行う信託銀行です。

氏名 持株比率
日本マネジメント・アドバイザリー・カンパニー 36.87%
光通信 7.58%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 7.09%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表は取締役社長事業統括担当(代表取締役)の増田 慶作氏です。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
増田 慶作 取締役社長事業統括担当(代表取締役) 税理士法人山田&パートナーズ入所、山田ファイナンシャルサービス社長等を経て、2016年代表取締役社長に就任。2025年4月より現職。
西口 泰夫 取締役会長 京セラ代表取締役会長兼CEO、ソシオネクスト会長兼CEO等を経て、2016年社外取締役。2020年より現職。
辻 剛 専務取締役事業統括担当兼海外不動産事業担当 2000年入社。経営コンサルティング事業本部長、コンサルティング統括本部長等を経て、2025年4月より現職。
布施 麻記子 取締役広報・コーポレートガバナンス担当 三菱重工業入社、税理士法人山田&パートナーズ入所等を経て、取締役経営企画担当等を歴任。2025年4月より現職。
首藤 秀司 取締役管理本部長 野村證券入社、野村リサーチ・アンド・アドバイザリー取締役等を経て、2018年入社。2020年より現職。


社外取締役は、永長 正士(元人事院事務総長)、山﨑 達雄(元財務官)、岩品 信明(TMI総合法律事務所パートナー)です。

2. 事業内容


同社グループは、「コンサルティング事業」および「投資事業」を展開しています。

(1) コンサルティング事業


経営コンサルティング、M&Aアドバイザリー、事業承継、不動産、海外コンサルティングなどを提供しています。中堅企業やオーナー企業を主要顧客とし、経営戦略の策定から実行支援、組織変革まで一貫したサービスを行っています。

収益は顧客からのコンサルティングフィーや成功報酬等が主な源泉です。運営は同社を中心に、ピナクル、相続あんしんサポート、海外現地法人(タイ、ベトナム、シンガポール、米国等)などが行っています。

(2) 投資事業


顧客企業の課題解決として株式に投資する「未上場株式投資事業」と、底地などの換金性の低い不動産に投資して再生させる「不動産投資事業」を展開しています。事業承継支援や資本政策上の課題解決を目的としています。

収益は投資先企業の株式売却益や不動産売却益等が主な源泉です。運営は山田インベストメント、およびキャピタルソリューション等の各投資事業有限責任組合が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 153億円 146億円 165億円 222億円 228億円
経常利益 23億円 26億円 29億円 37億円 41億円
利益率(%) 15.2% 17.6% 17.8% 16.8% 18.0%
当期利益(親会社所有者帰属) 5億円 14億円 18億円 21億円 22億円


売上高は増加傾向にあり、特に2024年3月期以降は200億円台に乗せています。利益面でも経常利益率は15%〜18%と高い水準を維持しており、毎期着実に利益を積み上げる安定成長が続いています。

(2) 損益計算書

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 222億円 228億円
売上総利益 163億円 194億円
売上総利益率(%) 73.4% 85.3%
営業利益 37億円 41億円
営業利益率(%) 16.5% 18.2%


増収に伴い、売上総利益および営業利益ともに増加しました。特に売上総利益率と営業利益率が上昇しており、収益性がさらに向上していることがわかります。

販売費及び一般管理費のうち、給与・賞与等が105億円(構成比69%)を占めています。売上原価の内訳はHTMLから確認できませんでしたが、コンサルティング業の特性上、人件費や外注費が主要因と考えられます。

(3) セグメント収益


コンサルティング事業はM&A案件の成約集中や大型不動産案件の寄与により増収増益となりました。投資事業は売上高が減少しましたが、株式や不動産の売却益計上により利益率は大幅に上昇し、増益を達成しました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
コンサルティング事業 174億円 204億円 30億円 32億円 15.6%
投資事業 48億円 24億円 7億円 10億円 39.6%
連結(合計) 222億円 228億円 37億円 41億円 18.2%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


なお、同社は投資事業を展開しているため、営業CFのマイナスは主に営業投資有価証券や棚卸資産(販売用不動産等)の増加(事業拡大)によるものであり、直ちに業績悪化を意味するものではありません。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 38億円 -2億円
投資CF 3億円 -8億円
財務CF -38億円 1億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は16.6%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は76.8%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「健全な価値観」「社会貢献」「個と組織の成長」を基本理念としています。高付加価値情報を創造・提供し、顧客の発展ひいては社会の発展に貢献することにより、「存在する意義のある組織」であり続けることを目指しています。

(2) 企業文化


「健全な価値観」に基づく組織風土を保持し続けることを最重要経営課題と認識しており、その浸透に努めています。また、社員一人一人の成長が組織の成長につながると考え、「個の成長」を重視し、自律的な成長を促す風土があります。

(3) 経営計画・目標


中長期的には利益の極大化を図り、企業価値を高めることが重要と認識しており、資本運用効率を計る尺度として、以下の目標を掲げています。

* 自己資本利益率(ROE):20%

(4) 成長戦略と重点施策


コンサルティング事業では、総合的なサービスのクロスセルによる顧客ロイヤリティ向上や、中堅企業向けコンサルティングの強化、事業推進体制(マトリックス組織運営)の実行を掲げています。投資事業では、コンサルティング案件から派生する投資機会への積極的関与や、資産サポート事業への取り組み、ガバナンス強化等を重点施策としています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「個と組織の持続的成長」を実現するため、ライフステージに応じて家庭・仕事・自身の成長のバランスをとりながら働き続けられる環境の整備と、長期的に探究・成長できるフィールドの構築を基本方針としています。採用、育成・定着、評価・活躍の各フェーズで戦略を実行しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 38.2歳 7.0年 9,487,283円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 16.6%
男性育児休業取得率 84.6%
男女賃金差異(全労働者) 50.9%
男女賃金差異(正規雇用) 49.9%
男女賃金差異(非正規) 59.6%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、労働者に占める女性労働者の割合(43.3%)、勤続年数5年以上(468名)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) コンサルティング事業における人材の確保及び育成


コンサルティング事業の拡大には優秀な人材の確保が不可欠ですが、求める人材の確保や育成が計画通りに進まない場合、事業拡大の制約となる可能性があります。同社は新卒・中途採用を積極的に行い、教育プログラムの充実を図っています。

(2) 未上場株式投資事業について


未上場株式投資事業では、投資先企業の業績状況や株式評価、売却状況によって同社グループの業績が影響を受ける可能性があります。ただし、運営するファンドはミドルリスク・ミドルリターンを追求し、投資リスクを最小限に抑えながら慎重に案件を発掘しています。

(3) 顧客情報の管理について


事業の性質上、顧客の機密情報や個人情報を取り扱う機会が多くあります。プライバシーポリシーやセキュリティポリシーの制定、役職員への研修等で管理を徹底していますが、万一情報漏洩が発生した場合、社会的信用の低下等により業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。