セントラルスポーツ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

セントラルスポーツ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

セントラルスポーツは東京証券取引所プライム市場に上場し、全国でフィットネスやスクール等のスポーツクラブ経営を展開する企業です。直近の業績では、会員の継続率向上や各種イベントの実施により売上高は489億円と増収となり、当期純利益も13億円と増益を確保するなど、着実な回復傾向を示しています。


※本記事は、セントラルスポーツ株式会社 の有価証券報告書(第56期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. セントラルスポーツってどんな会社?


同社グループは、会員制スポーツクラブの運営を主力として全国展開する企業です。

(1) 会社概要


1969年にスポーツクラブを創業し、1970年に設立してスイミングスクール等を開設しました。1983年には日本で初めて「フィットネスクラブ」と名付けた施設を開設しています。2004年に東京証券取引所市場第一部(当時)に上場しました。近年では、2013年に明治スポーツプラザ(現セントラルスポーツプラザ)を子会社化するなど、継続的に事業基盤を拡大しています。

現在の従業員数は連結で890名、単体で791名です。大株主の状況を見ると、筆頭株主はその他の関係会社として投資事業等を行うセントラルトラストで、第2位は創業者の後藤忠治氏、第3位は信託業務を行う日本マスタートラスト信託銀行となっています。

氏名 持株比率
セントラルトラスト 30.71%
後藤忠治 5.34%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 5.29%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長執行役員を後藤聖治氏が務めています。社外取締役比率は28.6%です。

氏名 役職 主な経歴
後藤聖治 取締役社長執行役員(代表取締役) 1995年三菱商事入社。1998年同社入社。取締役、常務、専務、副社長を経て、2024年4月より現職。米子会社の社長等も兼任。
後藤忠治 取締役会長(代表取締役) 1969年セントラルスポーツクラブを創業。1977年代表取締役社長、2014年より現職。関係会社の代表取締役社長も兼務。
松田友治 取締役常務執行役員 1983年入社。人事部長、経営企画室長を経て、2019年に取締役、2022年6月より現職。健康サポート部等を担当。
鶴田一彦 取締役執行役員 2003年入社。マーケティング部長等を経て2019年に取締役、2022年より現職。新規開発部等を担当。
河本勝 取締役(監査等委員) 1980年入社。総務部長、経営企画室長、人事部長等を経て、2019年より現職。


社外取締役は、岩﨑厚宏(有限会社岩崎経営研究所代表取締役)、原田睦巳(順天堂大学スポーツ健康科学部教授)です。

2. 事業内容


同社グループは、スポーツクラブ経営事業の単一セグメントですが、主に以下の部門で事業を展開しています。

(1) フィットネス・スクール部門

直営店舗において、マシンジム、スタジオ、プール、温浴施設等を利用できるフィットネスサービスや、子供向けのスイミング・体育・ダンス、大人向けの各種スクールを提供しています。あらゆる世代の顧客の健康づくりをサポートしています。

収益源は、会員からの毎月の会費収入や各種利用料です。運営は主に同社およびセントラルスポーツプラザなどの子会社が行っており、地域の市場性や規模に合わせた営業種目や料金体系で直営店を展開しています。

(2) 業務受託部門

民間企業や個人事業主、地方自治体などが所有するスポーツ施設において、施設の管理運営やプールの監視、会員への直接指導などを提供しています。公共スポーツ施設から民間クラブまで幅広い施設が対象です。

収益源は、契約元から受け取る施設管理料や委託料、および受託店舗におけるフィットネスやスクール関連の売上です。運営は同社およびセントラルスポーツプラザが行い、同社のスタッフを常駐させて質の高い指導とノウハウを提供しています。

(3) プロショップ・その他部門

直営店舗内に設置されたプロショップでの各種スポーツ用品の販売や、自動販売機による飲料販売、旅行ツアーの企画・販売、自社施設の賃貸など、会員の利便性向上や付加価値を提供する多様なサービスを展開しています。

収益源は、商品の販売代金、催事販売収入、旅行業収入、施設賃貸収入などです。運営は主に同社が行っており、関連事業を通じてスポーツクラブ会員に向けた総合的なウェルネスサポートを構築しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は感染症拡大後の落ち込みから着実な回復傾向にあり、前期から当期にかけても増収となっています。経常利益などの各利益段階でも増益基調が続いており、継続的なコスト管理や各種施策の成果が現れています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 403億円 436億円 454億円 466億円 489億円
経常利益 26億円 13億円 22億円 15億円 23億円
利益率(%) 6.4% 3.1% 4.8% 3.3% 4.6%
当期利益(親会社所有者帰属) 15億円 8億円 12億円 14億円 13億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い、売上総利益・営業利益ともに拡大しています。特に営業利益率は改善傾向にあり、本業での稼ぐ力が徐々に高まっていることがうかがえます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 466億円 489億円
売上総利益 54億円 61億円
売上総利益率(%) 11.7% 12.5%
営業利益 19億円 27億円
営業利益率(%) 4.2% 5.5%


販売費及び一般管理費のうち、給与・手当が8億円(構成比25%)、雑費が8億円(同22%)、広告宣伝費が4億円(同10%)を占めています。また、売上原価の内訳については、給料が92億円(構成比26%)、不動産賃借料が80億円(同23%)、水道光熱費が50億円(同14%)となっています。

(3) セグメント収益


主力のフィットネス部門や業務受託部門が増収を牽引しており、各事業部門で順調に売上規模が回復しています。旅行業などを含むその他部門も大幅な増収となり、全社的な業績底上げに寄与しました。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
フィットネス部門 230億円 236億円
スクール部門 147億円 148億円
業務受託部門 64億円 71億円
プロショップ部門 12億円 12億円
その他 13億円 21億円
連結(合計) 466億円 489億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


本業の営業活動で得た資金を活用し、店舗設備などへの投資を自己資金で賄いながら、借入金の返済を進める健全な財務運営が行われています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 21億円 35億円
投資CF -20億円 -15億円
財務CF -22億円 -9億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は4.9%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は62.9%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は『0歳から一生涯の健康づくりに貢献する』を経営理念として掲げています。すべての世代の人々が笑顔で健康に暮らせる「ウェルネス社会」の実現を目指し、社会貢献と質の高いサービスの提供を追求しています。

(2) 企業文化


「誰もが笑顔で暮らせるウェルネス社会の実現」に向け、「感動(顧客満足度)」と「幸せ(従業員満足度)」を重視した「サービスプロフィットチェーン」(従業員を大切にすることでサービス品質が向上し、企業収益向上へつながるという概念)を取り入れ、エンゲージメントの高い組織風土の醸成を目指しています。

(3) 経営計画・目標


安定した経営基盤の維持と持続的な成長を目指し、財務強化として自己資本比率と売上高経常利益率を重要な指標と位置づけています。

・自己資本比率:51%以上
・売上高経常利益率:8.0%以上

(4) 成長戦略と重点施策


エネルギー価格や人件費などのコスト上昇に対応しつつ、収益力の向上と新たな価値創造による収益機会の拡大を目指しています。

・接客力・指導力・施設美化の強化と既存店舗のリニューアル
・各種スポーツ・エンターテインメント事業やツーリズム事業の拡充
・オンラインサービスの強化および地域・教育分野との連携による事業展開

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


持続的な成長の原動力である従業員に対し、「人的資本経営」と「健康経営」を戦略的に推進しています。「ビジネスアスリートシステム」と呼ばれる教育訓練や、次世代リーダーを育成する企業内大学「セントラル大学・大学院」を通じて、自律的にキャリアを形成し変革を牽引できる人材の育成に注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 41.0歳 17.0年 5,771,297円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 7.7%
男性育児休業取得率 50.0%
男女賃金差異(全労働者) 70.1%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 86.1%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 96.6%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、エンゲージメントスコア(54.1)、ストレスチェック受検率(92.6%)、次世代リーダー研修修了者数(26名)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 収益構造の変動

スポーツクラブ運営は労務費や賃借料などの固定費の負担が大きいため、環境の変化や景気の変動、競合店舗の出店などにより集客が想定を下回った場合、収益の確保や初期投資の資金回収に影響が生じるリスクがあります。

(2) 店舗展開に伴う有利子負債への依存

店舗の出店や内装設備、器具備品の調達にあたり、金融機関からの借入金やリースを多用しているため、総資産に占める有利子負債の比率が高くなっています。今後の金利変動によっては、支払利息の増加など業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 賃貸借契約における敷金・保証金の未回収

店舗の賃貸借契約に基づき多額の敷金や保証金を差し入れています。万が一、賃貸人の財政状況が悪化し、これらの回収が困難になった場合、貸倒損失が発生し、同社の財政状態や業績に悪影響を与えるリスクがあります。

(4) 個人情報の管理

入会手続き等を通じて多くの会員の個人情報を取得・利用しています。情報保護のための管理体制を整えていますが、万一顧客情報が流出した場合、損害賠償請求や信用の低下を招き、事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


関連記事

セントラルスポーツの転職研究  2026年3月期決算に見るキャリア機会

セントラルスポーツの2026年3月期決算は、営業利益が前年比37.7%増と大幅な増益を達成。自治体施設等の運営を担う業務受託部門が110.8%の伸びを見せるなど官民連携事業が全体の成長を強力に索引しています。「なぜ今セントラルスポーツなのか?」「転職希望者がどの事業で、どんな役割を担えるのか」を整理します。