※本記事は、株式会社Def consulting の有価証券報告書(第38期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月18日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. Def consultingってどんな会社?
同社は、経営に関するあらゆる課題に対し、戦略から実行までハンズオンで支援するコンサルティング事業を展開しています。
■(1) 会社概要
同社は1987年に株式会社ぱどとして設立され、2001年にナスダック・ジャパン(現 東証グロース)へ上場しました。その後、2020年に株式会社Success Holdersへ商号変更し、同時に現在の主力であるコンサルティング事業(当時はテクノロジー事業)を開始しました。2024年8月には株式会社Def consultingへ商号変更しています。
2025年3月31日現在、単体の従業員数は142名です。筆頭株主は同社の親会社で資産管理会社である株式会社The capitalで、第2位は有限会社日本デザイン研究所、第3位は常任代理人を通じた海外法人となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| The capital | 53.76% |
| 日本デザイン研究所 | 4.09% |
| SIX SIS LTD. | 3.24% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性0名の計5名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は下村優太氏が務めています。社外取締役比率は60.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 下村 優太 | 代表取締役社長 | 三井住友銀行にてリテール業務推進部、アジア事業戦略部等を経験。2021年に同社入社後、経営企画部長、コンサルティング部長を経て、2023年3月より現職。 |
| 上之園 圭介 | 取締役 | ソリッドグループホールディングス、BuySell Technologiesインサイドセールス事業部長を経て、2021年に同社入社。テクノロジー事業本部長等を歴任し、2023年3月より現職。 |
社外取締役は、神庭 雅俊(弁護士・公認会計士)、久保 惠一(公認会計士・元デロイトトーマツリスクサービス社長)、毛利 正人(東洋大学教授・元クロウホーワス・グローバルリスクコンサルティング社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「コンサルティング事業」を展開しています。
■コンサルティング事業
同社は、「ストラテジーコンサルティング」「テクノロジーコンサルティング」「オペレーションコンサルティング」の3領域でサービスを提供しています。クライアントの持続的成長やDX支援、業務改革など、経営課題に対して提案から実行までハンズオンで支援する顧客伴走型のスタイルをとっています。
収益は、クライアント企業から受け取るコンサルティングフィー等から構成されています。運営は同社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は2023年3月期に大きく減少した後、コンサルティング事業への注力により回復傾向にあります。2025年3月期は前期比で増収となりました。一方、利益面では経常赤字が継続しており、事業基盤構築のための先行投資フェーズにあることがうかがえます。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 18.3億円 | 15.6億円 | 6.2億円 | 5.3億円 | 6.2億円 |
| 経常利益 | -6.7億円 | -3.5億円 | -4.2億円 | -3.1億円 | -4.3億円 |
| 利益率(%) | -36.9% | -22.7% | -67.8% | -58.6% | -68.8% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -9.1億円 | -4.2億円 | -5.2億円 | -3.1億円 | -4.3億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で増加しましたが、売上原価および販売費及び一般管理費の増加により、営業損失は拡大しました。特に事業拡大に向けた人材採用等のコストが増加要因となっています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 5.3億円 | 6.2億円 |
| 売上総利益 | 0.5億円 | 0.5億円 |
| 売上総利益率(%) | 10.1% | 7.6% |
| 営業利益 | -3.0億円 | -4.3億円 |
| 営業利益率(%) | -56.4% | -68.9% |
販売費及び一般管理費のうち、採用関連費が1.3億円(構成比27%)、給与が0.8億円(同17%)を占めています。売上原価においては、人件費が5.3億円(構成比92%)を占めています。
■(3) セグメント収益
同社は単一セグメントですが、コンサルティング事業の売上高は前期比16.4%増と伸長しました。これはITコンサルタント及びITエンジニアの採用強化による体制拡充が寄与しています。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) |
|---|---|---|
| コンサルティング事業 | 5.3億円 | 6.2億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -2.7億円 | -4.4億円 |
| 投資CF | -0.6億円 | -0.3億円 |
| 財務CF | 5.0億円 | - |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は赤字のため算出できず市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は70.6%で市場平均(グロース非製造業平均43.3%)を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、「世界中のどんな企業でも気軽にコンサルティングを活用できる新しい世界を創出する」というパーパスを掲げています。また、「すべては顧客の成功のために」及び「ハイクオリティーなサービスを提供する」という2つのコアバリューを定め、戦略からエンジニアリングまで包括的なサービスを提供しています。
■(2) 企業文化
同社は、コンサルタント及びITエンジニアが自らの成長を実感でき、自社に対して愛着を持てる環境の整備を重視しています。多様な視点や価値観を持つ従業員の存在が持続的な成長につながると考え、性別や国籍等を問わず広く人材を受け入れ、個性を企業の財産として尊重する方針をとっています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、持続的な成長については売上高、企業価値の向上については売上総利益及び営業利益を重視する経営指標としています。また、収益のドライバーである事業KPIとして、以下の指標を継続的に確認・分析しています。
* 平均売上単価
* 在籍コンサルタント数
* 稼働率
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は、コンサルティング事業の拡大と黒字転換を目指し、以下の施策に注力しています。特に、優秀なITコンサルタント及びITエンジニアの積極的な採用と育成を最重要課題と位置づけ、事業基盤の安定化と企業価値向上を図っています。
* 優秀な人材の計画的な採用とエージェントとの関係強化
* 教育体制の整備および長期安定雇用の実現
* プロジェクトの進捗管理徹底と安定した稼働率の実現
* 安定的な資金調達の確保および財務基盤の強化
* 商号変更や本店移転を通じた企業ブランド力および認知度の向上
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、今後の事業成長を支えるために優秀なITコンサルタント及びITエンジニアの採用を最優先事項としています。採用と同程度に社内研修や資格取得支援等の教育体制、福利厚生の充実にも注力し、従業員が成長を実感できる環境を整えることで、定着率の向上と付加価値の高い人材の輩出を目指しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 28.5歳 | 1.5年 | 4,835,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 0.0% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | - |
| 男女賃金差異(正規) | - |
| 男女賃金差異(非正規) | - |
※「男性労働者の育児休業取得率」及び「労働者の男女の賃金の差異」については、女性活躍推進法の公表項目として選択していないため、記載を省略しています。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 人材の採用及び育成
コンサルティング事業の拡大には優秀なITコンサルタント及びITエンジニアの確保が不可欠ですが、人材獲得競争が激化しています。計画通りに採用・育成が進まない場合や、人材の社外流出が生じた場合、競争力の低下や事業拡大の制約となり、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 財務基盤の安定性
同社は事業基盤構築のための先行投資段階にあり、赤字が継続しています。黒字転換を図る過程で、営業キャッシュ・フローのマイナスが続く可能性があります。必要な資金を安定的に確保できない場合、事業展開や財政状態に影響が生じるリスクがあります。
■(3) グロース市場の上場維持
2025年3月末時点で、同社は東証グロース市場の上場維持基準における「時価総額」の基準を満たしていません。企業価値向上による株価回復等が実現せず、基準への適合が認められない場合、上場廃止となる可能性があります。
■(4) プロジェクト管理
プロジェクト単位で業務を遂行するため、案件の複雑化や工数増加により採算が悪化するリスクがあります。プロジェクト管理が不十分で品質低下や予期せぬ事態が発生した場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。



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