Def consulting 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

Def consulting 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

Def consultingは東証グロース市場に上場し、ITエンジニアリング領域を中心としたコンサルティング事業と、イーサリアムを活用するデジタル資産トレジャリー事業を展開しています。直近の業績は、コンサルティング事業の順調な拡大により増収となったものの、先行投資や暗号資産評価損等により減益となっています。


※本記事は、Def consultingの有価証券報告書(第39期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月18日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. Def consultingってどんな会社?


同社グループは、コンサルティング事業とデジタル資産の運用を融合させた独自モデルを推進しています。

(1) 会社概要


同社は1987年に設立され、2001年に上場しました。2020年に現在のコンサルティング事業の源流となるテクノロジー事業を開始し、2024年にDef consultingへ商号を変更しました。さらに2025年にはデジタル資産トレジャリー事業を創業し、事業の転換を進めています。

同社の従業員数は単体で195名です。筆頭株主は投資事業を展開するファンド(有限責任組合)であり、第2位および第3位には証券会社が名を連ねています。

氏名 持株比率
GP上場企業出資D投資事業有限責任組合 21.70%
楽天証券共有口 8.33%
SBI証券 1.99%

(2) 経営陣


同社の役員は男性5名、女性0名の計5名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は下村優太氏が務めています。社外取締役比率は60.0%です。

氏名 役職 主な経歴
下村 優太 代表取締役社長 三井住友銀行を経て、2021年に同社へ入社し経営企画部長等に就任。2023年より現職。
上之園 圭介 取締役 ソリッドグループホールディングス、BuySell Technologiesを経て2021年に同社へ入社。2023年より現職。


社外取締役は、神庭雅俊(元地域経済活性化支援機構)、久保惠一(元デロイトトーマツリスクサービス社長)、長田忠千代(元三菱UFJ銀行代表取締役専務)です。

2. 事業内容


同社グループは、「コンサルティング事業」および「デジタル資産トレジャリー事業」を展開しています。

(1) コンサルティング事業

全国の中堅・中小企業や国内大手企業を対象に、事業戦略の立案から内部統制の構築まで、経営課題全般に対するハンズオン型の経営コンサルティングを提供しています。主力のIT領域では、独自の育成体制を基盤とし、現場でのDX推進やシステム開発等を支援するSES・人材派遣事業を行っています。

収益は、顧客企業に対するコンサルティングフィーや、ITエンジニアの常駐型技術支援に伴う業務委託料および派遣料金等として受け取ります。当該事業の運営は同社が直接行っています。

(2) デジタル資産トレジャリー事業

イーサリアムを中心とした暗号資産を保有・管理し、企業のバランスシートを活用した次世代のトレジャリー(財務・資金管理)戦略を推進しています。調達資金等を用いて暗号資産を取得し、安全な保管・管理体制を運用するとともに、新たな収益源の構築を目指しています。

収益は、保有する暗号資産を活用したステーキングや分散型金融等の運用による運用収益(インカムゲイン)として獲得します。オプション取引等によるプレミアム報酬も得ており、事業運営は同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績は、コンサルティング事業の拡大等により売上高が増加傾向にあります。一方で、人材採用や育成のための先行投資、および当期に開始したデジタル資産事業における暗号資産評価損の計上等により、経常利益および当期利益は連続して赤字となっており、当期は赤字幅が大幅に拡大しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 16億円 6億円 5億円 6億円 9億円
経常利益 -4億円 -4億円 -3億円 -4億円 -22億円
利益率(%) -22.7% -67.8% -58.6% -68.8% -252.0%
当期利益(親会社所有者帰属) -4億円 -5億円 -3億円 -4億円 -22億円

(2) 損益計算書


売上高は前期の6億円から当期は9億円へと大幅な増収となりましたが、事業拡大に向けた体制構築による売上原価の増加等により、売上総利益率は低下しています。営業利益は依然として赤字ですが、増収効果により赤字幅は若干縮小しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 6億円 9億円
売上総利益 0.5億円 0.4億円
売上総利益率(%) 7.6% 4.8%
営業利益 -4億円 -4億円
営業利益率(%) -68.9% -49.2%


販売費及び一般管理費のうち、給与が0.9億円(構成比19%)、採用関連費が0.8億円(同18%)を占めています。また、売上原価では人件費が8億円と大部分(構成比94%)を占めており、労働集約型のコスト構造となっています。

(3) セグメント収益


コンサルティング事業は、ITエンジニアリング領域を中心に順調に拡大し、大幅な増収となりました。また、当期より新たに新設されたデジタル資産トレジャリー事業においても、運用収益の獲得により売上に寄与し始めています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
コンサルティング事業 6億円 8億円
デジタル資産トレジャリー事業 - 0.4億円
連結(合計) 6億円 9億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


本業は赤字ですが、将来成長のため借入で投資を継続する勝負型の局面です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF -4億円 -7億円
投資CF -0.3億円 -33億円
財務CF 0億円 42億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は当期の純利益がマイナスのため算出されていませんが、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は93.4%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念

同社は、「世界中のどんな企業でも気軽にコンサルティングを活用できる新しい世界を創出する」というパーパス(存在意義)を掲げています。この理念のもと、コンサルティングとデジタル資産の2つの軸を持つハイブリッド型ビジネスモデルを推進し、持続的な成長と社会課題の解決を目指しています。

(2) 企業文化

パーパスを実現するための行動指針として、「すべては顧客の成功のために」および「ハイクオリティーなサービスを提供する」という2つのコアバリュー(価値観)を定めています。「実業による安定的な収益基盤」と「デジタル資産による爆発的な成長ポテンシャル」を高度に融合させています。

(3) 経営計画・目標

持続的な企業価値の向上を図るため、各事業において以下の数値を重要な経営指標(KPI)として位置づけています。

・コンサルタントおよびITエンジニアの採用数・稼働率
・提供サービスの付加価値向上を示す平均単価
・イーサリアム(ETH)の保有数量
・ステーキング運用等による利回り

(4) 成長戦略と重点施策

「デジタル資産×コンサルティング」という独自のポジショニングにより競争優位性を構築します。コンサルティング事業では集中研修プログラムを強化して自律的成長を加速させつつ、M&Aや業務提携を機動的に実行します。デジタル資産事業では、イーサリアムを中長期的な成長資産として継続保有します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針

同社は、価値創造の源泉を「人的資本」と定義し、顧客価値を最大化する事業戦略と、人的資本価値を最大化する組織戦略を同期させています。ポテンシャル層を積極的に採用し、独自の集中研修で高付加価値なエンジニアへと育成するサイクルを確立し、組織の生産性向上を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 28.2歳 1.7年 4,082,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 10.0%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) -
男女賃金差異(正規雇用) -
男女賃金差異(非正規雇用) -


※男性労働者の育児休業取得率および労働者の男女の賃金の差異については、女性活躍推進法の公表項目として選択していないため記載を省略しています。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 人材の採用および育成に関するリスク

コンサルティング事業の持続的成長には、高度な専門性を有するITコンサルタントやITエンジニアの確保が最優先課題です。採用市場での競争激化により、優秀な人材の採用や育成が計画通りに進まない場合や社外へ流出した場合には、事業拡大の制約やサービスレベルの低下を招く可能性があります。

(2) 暗号資産の価格変動・規制環境リスク

デジタル資産トレジャリー事業で保有する暗号資産は価格変動が極めて大きく、想定を超える価格下落が生じた場合には業績に影響を及ぼします。また、国内外の法令や税制、規制環境は整備途上であり、新たな規制の導入や課税強化が行われた場合、トレジャリー運用方針や取引コストに重大な影響を及ぼすリスクがあります。

(3) サイバー・リスクと技術的要因

保有する暗号資産に関して、暗号鍵の保護やサイバー攻撃、不正流出リスクなどの管理体制が想定通りに機能しない場合、資産の毀損や盗難が生じる可能性があります。また、主要な投資対象であるイーサリアムのネットワークアップグレードや脆弱性など、技術的・制度的要因による市場環境の変動もリスクとして挙げられます。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。