ハイマックス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ハイマックス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード上場の独立系システムインテグレーターです。金融・保険業界向けの基幹システム開発に強みを持ち、野村総合研究所などが主要顧客です。当期は銀行・保険・クレジット向けのDX案件が拡大し、売上高は前期比4.1%増、営業利益は同5.1%増の増収増益となりました。


※本記事は、株式会社ハイマックス の有価証券報告書(第49期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年06月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ハイマックスってどんな会社?


金融・保険業界のシステム開発に強みを持つ独立系SIerです。長期取引顧客が多く、安定した経営基盤が特徴です。

(1) 会社概要


1976年に設立され、1991年に現在の商号となりました。2004年に東証二部へ上場し、2015年には東証一部へ銘柄指定されています。2023年には東証スタンダード市場へ移行しました。汎用系システムの人材確保を目的に子会社のエスビーエスを設立するなど、堅実な事業拡大を続けています。

2025年3月31日現在、連結従業員数は944名(単体856名)です。筆頭株主は社員持株会で、第2位は個人株主の前田眞也氏、第3位は投資・通信事業を行う光通信です。

氏名 持株比率
ハイマックス社員持株会 8.40%
前田 眞也 7.30%
光通信 7.30%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性2名の計12名で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長は中島太氏です。社外取締役比率は37.5%です。

氏名 役職 主な経歴
中島 太 代表取締役社長 1986年同社入社。第3事業本部長などを経て、2015年4月副社長執行役員社長補佐。同年6月より現職。
豊田 勝利 取締役 副社長執行役員 1984年同社入社。第1事業本部長などを経て、2016年副社長執行役員。エスビーエス代表取締役社長を経て、2025年4月より現職。
高田 賢司 取締役 専務執行役員 1993年ワイエフシー(現富士通Japan)入社。同社プロジェクト革新本部長などを経て、2023年6月より現職。
西本 進 取締役 専務執行役員 1988年野村総合研究所入社。同社執行役員品質監理本部長などを経て、2024年6月より現職。
生田 勝美 取締役 専務執行役員 1986年同社入社。第1事業本部長などを経て、2023年4月専務執行役員。2025年6月より現職。


社外取締役は、重木昭信(元日本電子計算代表取締役社長)、稲木みゆき(元日立ソリューションズ・クリエイト執行役員)、黒田一美(元CTCシステムマネジメント常勤監査役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「バリュー・ソリューションサービス」事業の単一セグメントを展開しています。

(1) システム・ソリューションサービス


顧客のシステム化計画の企画に対するコンサルティングから、設計・開発・テスト・導入までを一貫して提供しています。対象はメインフレーム系からインターネット基盤関連技術まで多岐にわたります。主に金融機関(銀行、証券、保険、クレジット)や公共、流通などの基幹システム開発を手掛けています。

収益は、顧客であるユーザー企業や大手システムインテグレーター等から、システム開発の対価として請負契約や準委任契約に基づき受領します。運営は主にハイマックスおよび子会社のエスビーエスが行っています。

(2) システム・メンテナンスサービス


稼働後のシステムに対して、信頼性の高いメンテナンスサービスを提供しています。システムの維持・管理を行うとともに、業務ノウハウを蓄積し、次期システムへの提案営業につなげるサイクルを構築しています。長期安定的な受注の確保に寄与する事業領域です。

収益は、顧客からシステムの保守・運用・維持管理業務の対価として受領します。運営はハイマックスおよび子会社のエスビーエスが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は堅調に推移しており、直近5期間で着実な成長を見せています。利益面では、経常利益が安定して10億円台後半を維持しており、利益率も概ね10%前後で推移しています。当期は売上高が過去最高を更新し、当期純利益も増益となりました。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 154億円 167億円 173億円 174億円 181億円
経常利益 14億円 17億円 18億円 17億円 18億円
利益率(%) 8.9% 10.3% 10.6% 10.0% 10.1%
当期利益(親会社所有者帰属) 9億円 12億円 12億円 11億円 13億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い、売上総利益も増加しています。売上総利益率は20%前後で安定しており、収益性は維持されています。営業利益率も10%台を確保しており、コストコントロールが適切に行われていることが分かります。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 174億円 181億円
売上総利益 35億円 36億円
売上総利益率(%) 20.4% 20.2%
営業利益 17億円 18億円
営業利益率(%) 9.9% 10.0%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給与手当が5億円(構成比28%)を占めています。売上原価については、労務費と外注費が主な構成要素となっています。

(3) セグメント収益


システム・ソリューションサービスは、銀行・保険・クレジット向けのDX関連案件が拡大し、増収となりました。一方、システム・メンテナンスサービスは、一部案件の収束等により微減となりました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
システム・ソリューションサービス 59億円 68億円
システム・メンテナンスサービス 114億円 112億円
連結(合計) 174億円 181億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は11.4%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は81.6%で市場平均を上回っています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 14億円 8億円
投資CF 0.2億円 -0.3億円
財務CF -6億円 -5億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


創業の理念である「公明正大」と「自主独立」を踏まえ、法と正しい企業倫理に基づき事業運営を行うことを掲げています。情報サービスにおける高付加価値ソリューションの提供により、ベスト・パートナーとして顧客の競争力を高め、情報化社会の発展に貢献することを経営の基本方針としています。

(2) 企業文化


「価値創造-たえざる自己革新-」をコーポレート・スローガンとし、技術とヒューマンスキルを両輪とした人材育成に取り組んでいます。社員に対して常に自主性を持って自己の成長を図れる環境を提供し、各人が能力を最大限に発揮して活き活きと働ける企業風土の確立を目指しています。

(3) 経営計画・目標


2024年3月期を初年度とする中期経営計画『NEXT C4』を推進しています。最終年度である2026年3月期の業績目標については、実績推移を踏まえて以下の通り修正されています。

* 連結売上高:200億円
* 連結営業利益:18.2億円
* ROE:10.3%

(4) 成長戦略と重点施策


中期経営計画に基づき、主力の受託開発事業の拡大やデジタル技術を核としたDX案件の積極的受注、人的資本への継続投資、開発人員の増強、M&Aの遂行に取り組んでいます。特にDX案件については、技術者の増員やスキルアップに努め、売上高比率を高める方針です。

* DX案件売上高比率:24.3%(2025年3月期実績)

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「論理的思考力」に基づき「モノづくり」に価値を見出し、チームワークを大切にする人材を求めています。プロジェクトリーダーの増員やDX技術者の育成に注力しており、資格取得支援や階層別研修など教育プログラムを充実させています。また、中途採用者の積極的な登用も進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均(598万円)とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 37.7歳 12.8年 5,890,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 6.5%
男性育児休業取得率 66.7%
男女賃金差異(全労働者) 77.3%
男女賃金差異(正規雇用) 77.8%
男女賃金差異(非正規雇用) 67.8%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、離職率(8.2%)、研修参加割合(99.9%)、女性新卒採用率(34%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) システム開発におけるプロジェクト管理
開発期間の短期化や機能の複雑化により、当初の見積もりを超える工数増や機能改善が必要となり、採算が悪化する可能性があります。不採算案件が発生した場合、同社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 人材の確保と育成
事業拡大には一定水準以上のスキルを持つ技術者の確保が不可欠ですが、技術者不足が慢性化しており、計画通りに採用が進まない場合、売上高や受注機会に影響を与える可能性があります。

(3) 特定の顧客への依存
売上高の上位3社が総売上高の過半数を占めており、特に野村総合研究所への依存度が高くなっています。主要顧客の経営方針や業績の変動が、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。