※本記事は、ハイマックスの有価証券報告書(第50期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月16日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ハイマックスってどんな会社?
同社は、基幹システムの企画・開発から稼働後のメンテナンスまでを一気通貫で支援する独立系システムインテグレーターです。
■(1) 会社概要
同社は1976年にハイマックシステムズとして設立され、1991年に現在のハイマックスへと社名を変更しました。2001年の店頭登録を経て2004年に東証二部へ上場し、現在はスタンダード市場に区分されています。保険分野をはじめとする金融業界での豊富な業務ノウハウを武器に、20年以上にわたる継続取引顧客が売上の大半を占める安定した事業基盤を築いています。また、直近ではコアソフトを完全子会社化するなど、継続的な事業規模の拡大を推進しています。
同社グループの従業員数は連結で967名、単体で881名となっています。筆頭株主はハイマックス社員持株会で、第2位は創業関係者とみられる前田眞也氏、第3位は前田計画研究所です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| ハイマックス社員持株会 | 9.40% |
| 前田 眞也 | 8.20% |
| 前田計画研究所 | 7.10% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性10名、女性2名の計12名で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長は中島太氏が務めており、取締役8名のうち社外取締役が3名を占め、社外取締役比率は37.5%となっています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 中島 太 | 代表取締役社長 | 1986年3月ハイマックス入社。2002年ソリューション事業本部事業部長、2013年執行役員を経て、2015年6月より現職。 |
| 豊田 勝利 | 取締役 | 1984年3月ハイマックス入社。2007年システム基盤事業本部長、2012年執行役員を経て、2016年取締役。2026年4月より現職。 |
| 高田 賢司 | 取締役 | 1993年4月ワイエフシー入社、1997年3月ハイマックス入社。2016年第4事業本部長、2019年執行役員を経て、2026年4月より現職。 |
| 生田 勝美 | 取締役 | 1986年3月ハイマックス入社。2016年執行役員、2020年常務執行役員を経て、2025年6月より現職。 |
| 西本 進 | 取締役 | 1988年4月野村総合研究所入社。2020年6月ハイマックス社外取締役。2024年6月同社取締役専務執行役員を経て、2026年4月より現職。 |
社外取締役は、重木昭信(元NTTデータ代表取締役副社長執行役員)、稲木みゆき(元日立ソリューションズ・クリエイト執行役員)、黒田一美(元CTCシステムマネジメント常勤監査役)です。
2. 事業内容
同社グループは、単一の報告セグメントの中で「システム・ソリューションサービス」および「システム・メンテナンスサービス」の2つのフェーズに分かれた事業を展開しています。
■(1) システム・ソリューションサービス
システム化計画の企画に関するコンサルティングから、設計・開発・テスト・導入に至るまでの一貫したサービスを提供しています。主に保険業界をはじめとする大手企業の基幹システム構築をターゲットとしており、メインフレーム系からインターネット基盤関連技術まで幅広い技術領域に対応しています。
顧客からの受託開発に対する報酬を主な収益源としています。事業の運営は主にハイマックスが行っており、業務の一部については子会社であるエスビーエスに委託する体制をとっています。
■(2) システム・メンテナンスサービス
稼働後のシステムに対し、信頼性の高い保守・運用・メンテナンスサービスを提供しています。メンテナンスを通じて長期安定的な受注を確保するとともに、業務ノウハウの蓄積を図ることで、次期システムの企画といった上流工程の提案営業へと繋げています。
継続的な保守・運用に伴うサービス料を主な収益源としています。事業の運営は主にハイマックスが行っており、システム・ソリューションサービスと同様に、業務の一部を子会社のエスビーエスに委託しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
過去5年間の売上高は安定して増加傾向にあり、順調に事業規模を拡大しています。一方、経常利益や当期純利益は一定水準を維持しつつも、人材確保に向けた投資や積極的な採用活動などの影響で直近はやや減益となりました。利益率は概ね10%前後で底堅く推移しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 167億円 | 173億円 | 174億円 | 181億円 | 182億円 |
| 経常利益 | 17億円 | 18億円 | 17億円 | 18億円 | 16億円 |
| 利益率(%) | 10.3% | 10.6% | 10.0% | 10.1% | 8.7% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 12億円 | 12億円 | 11億円 | 12億円 | 11億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の損益を比較すると、売上高は微増したものの、売上総利益および営業利益は減少しています。これは、人材投資やビジネスパートナーの単価改定に伴う費用の増加、さらには企業買収に伴う一時的な費用が影響しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 181億円 | 182億円 |
| 売上総利益 | 36億円 | 35億円 |
| 売上総利益率(%) | 20.2% | 19.4% |
| 営業利益 | 18億円 | 16億円 |
| 営業利益率(%) | 10.0% | 8.6% |
販売費及び一般管理費のうち、従業員給与手当が6億円(構成比28%)、賞与引当金繰入額が0.8億円(同4%)を占めています。売上原価の内訳については、労務費が58億円(構成比41%)、外注費等を含む経費が84億円(同59%)を占めています。
■(3) セグメント収益
事業分野別の売上高をみると、システム・メンテナンスサービスが銀行向けやその他業種向けへの取引拡大により増収となりました。一方、システム・ソリューションサービスは一部案件の収束により微減となっています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| システム・ソリューションサービス | 68億円 | 66億円 |
| システム・メンテナンスサービス | 112億円 | 116億円 |
| 連結(合計) | 181億円 | 182億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFで得た資金によって自己株式の取得や配当金の支払いなどの株主還元を積極的に行い、設備投資も手元資金で賄っている健全な財務状態です。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 8億円 | 14億円 |
| 投資CF | -0.3億円 | -0.6億円 |
| 財務CF | -5億円 | -20億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は10.1%で市場平均を上回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も80.6%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
創業の理念である「公明正大」と「自主独立」を踏まえ、法と正しい企業倫理に基づき事業運営に取り組んでいます。情報サービスにおける高付加価値ソリューションの提供により、ベストパートナーとして顧客の競争力を高め、情報化社会の発展に貢献することを経営の基本方針としています。
■(2) 企業文化
「顧客と共に何を創るかを定義し、価値を創出し続ける価値共創企業」への転換を長期ビジョンとして掲げています。「ユーザー×SIer」「サービス×システム」「業務×IT」を「つなぐ力」で課題を解決し、価値を提供してきました。また、社員が自主性を持って自己の成長を図れる環境の提供を基本とし、成果主義・実力主義の企業風土を確立しています。
■(3) 経営計画・目標
2027年3月期から2029年3月期の3ヶ年を期間とした中期経営計画「Re:Growth2028」を策定し、将来の収益成長に向けた投資フェーズと位置付けています。
* 連結売上高223億円(2029年3月期)
* エンドユーザー売上高比率36%
* 連結営業利益率7%
* EBITDA18億円
* ROE9%
■(4) 成長戦略と重点施策
安定的な収益基盤の拡大と新たな成長領域への挑戦を両輪とし、事業構造の転換を図ります。従来の人月モデルを中心とした受託開発に加え、上流工程や高度領域における付加価値提供によって収益を創出する事業構造へと転換を進めます。また、AIを活用した生産性向上と価値創出を両立させる「AI駆動開発」への移行を目指し、AIエンジニアの育成・増強に向けた計画的投資に取り組みます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社が求める人物像は「論理的思考力」に基づき「モノづくり」に価値を見出し、「チームワーク」を大切にして目標達成に向けて「やり抜く力」を持った人材です。持続的な成長を実現するため、社員エンゲージメントの向上を重要な経営課題と位置付け、人事制度や働き方の見直しを進めながら、技術とヒューマンスキルを両輪とした人材育成に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 37.7歳 | 12.8年 | 6,055,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 7.5% |
| 男性育児休業取得率 | 77.8% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 80.4% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 81.8% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 71.9% |
また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、新卒採用者数(80名)、女性新卒採用率(28%)、離職率(8.0%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 開発プロジェクトにおける採算悪化
システム開発において、開発期間の短期化や機能の複雑化など顧客からの要請が高度化しています。当初想定した以上の開発工数の増加や機能改善などにより、見積もったコストを上回り採算が悪化するリスクがあり、特に新技術を用いたシステム開発においてその可能性が高まります。
■(2) 高度なIT技術者の確保と育成
事業拡大および事業構造の転換を推進するためには、一定水準以上のスキルを有する技術者の確保・育成が不可欠です。案件が高度化・短期化する中でプロジェクトリーダーの確保が継続的な課題であるほか、AIを使いこなせるエンジニアの育成・増強が計画通りに進まない場合、収益性に負の影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 特定顧客への高い売上依存
同社の売上高上位3社が総売上高に占める割合は51.3%と高くなっています。そのため、これらの主要顧客の営業方針や業績、財政状態の変化によっては、同社の売上高および利益に直接的な負の影響を及ぼす可能性があります。戦略的な営業活動により、新規エンドユーザーの開拓等に努めています。



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