※本記事は、日本システム技術株式会社の有価証券報告書(第54期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年7月3日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 日本システム技術ってどんな会社?
完全独立系の強みを活かし、多種多様な情報システムや自社ブランド製品を提供する企業です。
■(1) 会社概要
同社は1973年にソフトウェアの開発業務を目的に設立されました。1994年には学校事務支援パッケージ「GAKUEN」を発売し、2001年にジャスダック市場へ上場を果たしました。その後も2010年に医療ビッグデータ事業となる自動点検システム「JMICS」を開始し、海外企業の子会社化も進めています。
現在の従業員数は連結で1,683名、単体で1,202名です。筆頭株主は信託銀行のUS BANK NATIONAL ASSOCIATION JP ACCTS TSで、第2位には不動産管理等を行う関係会社のジャスト、第3位には資産管理業務を行う日本マスタートラスト信託銀行が名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| US BANK NATIONAL ASSOCIATION JP ACCTS TS(常任代理人 三菱UFJ銀行) | 23.64% |
| ジャスト | 23.36% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 7.60% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性10名、女性1名の計11名で構成され、女性役員比率は9.0%です。代表取締役社長執行役員は平林卓氏が務めています。また、社外取締役比率は45.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 平林卓 | 代表取締役社長執行役員 | 富士通を経て1998年同社入社。財務経理部長、経営企画室長、取締役上席執行役員等を経て、2025年6月より現職。 |
| 平林武昭 | 取締役会長 | 1973年の同社設立時に代表取締役に就任。代表取締役社長執行役員、代表取締役社長を経て、2025年6月より現職。 |
| 六車千春 | 取締役専務執行役員 | 1988年同社入社。東日本ソフトウェア事業部長、取締役執行役員ASEAN事業本部長等を経て、2026年4月より現職。 |
| 土屋祐二 | 取締役常務執行役員 | 1983年同社入社。GAKUEN事業部長、取締役執行役員BankNeo事業担当等を経て、2026年4月より現職。 |
| 伴浩明 | 取締役 | 1981年同社入社。東日本ソフトウェア事業部長、専務取締役、取締役副社長執行役員等を経て、2026年4月より現職。 |
社外取締役は、秋葉俊幸(元キヤノンスーパーコンピューティングエスアイ代表取締役社長)、高永東(NTT DATA(中国)信息技術董事長兼総裁)、安治郎(十字屋ホールディングス代表取締役)、最上次郎(弁護士法人カノン法律事務所入所)、町田美紗(町田公認会計士事務所開設)です。
2. 事業内容
同社グループは、「DX&SI事業」「パッケージ事業」「医療ビッグデータ事業」「グローバル事業」を展開しています。
■DX&SI事業
通信、金融、製造、流通など幅広い業界の企業向けに、基幹業務システムや組込みソフトウェアの開発・構築・保守等を提供しています。クラウド移行や生成AI活用、顔認証技術等のソリューションにも対応しています。
顧客からのシステム開発や導入コンサルティングの受託費用、システム販売・保守料が主な収益源です。運営は同社のほか、アルファコンピュータや新日本ニーズなどの子会社が担っています。
■パッケージ事業
大学向け統合システム「GAKUEN」シリーズや金融機関向け情報系統合パッケージ「BankNeo」など、自社ブランド製品の開発・販売と導入コンサルティングを提供しています。
パッケージの販売・導入費用のほか、クラウドサービスやサブスクリプションによる利用料が主な収益源です。運営は同社やアルファコンピュータ、上海嘉峰信息科技有限公司が担当しています。
■医療ビッグデータ事業
健康保険組合等の保険者向けに、レセプトの自動点検サービス「JMICS」や医療費の適正化サービス、データヘルス計画実行支援などのワンストップサービスを提供しています。
保険者や点検事業会社からのシステム利用料、レセプト点検・データ分析の業務委託費用が主な収益源です。運営は同社や新日本ニーズ、ケーシップが行っています。
■グローバル事業
中国、ASEAN、中東などの海外開発拠点を通じて、統合ERPや会計系ERP、クラウド型HRMソリューションの導入コンサルティングおよびオフショア開発を提供しています。
海外顧客からのシステム開発・導入サポート費やソフトウェアの販売・保守料が収益源です。JASTEC(THAILAND)やVirtual Calibreグループなど複数の海外子会社が運営しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の業績は、一貫して増収増益のトレンドを維持しています。特に主力事業での大型案件の獲得や自社パッケージ製品の好調が寄与し、利益率も着実に向上を続けており、収益力の高さと安定した成長性がうかがえます。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 214億円 | 235億円 | 262億円 | 293億円 | 325億円 |
| 経常利益 | 21億円 | 25億円 | 29億円 | 33億円 | 40億円 |
| 利益率(%) | 9.6% | 10.4% | 10.9% | 11.1% | 12.4% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 10億円 | 16億円 | 16億円 | 27億円 | 32億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の拡大に伴い売上総利益が増加し、売上総利益率および営業利益率もともに改善しています。付加価値の高いオファリング型ビジネスの推進や、自社ブランド製品の競争力強化による収益性の向上が利益率の押し上げに貢献していると見られます。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 293億円 | 325億円 |
| 売上総利益 | 83億円 | 96億円 |
| 売上総利益率(%) | 28.2% | 29.5% |
| 営業利益 | 32億円 | 39億円 |
| 営業利益率(%) | 10.9% | 12.0% |
販売費及び一般管理費のうち、賃金給料及び諸手当が21億円(構成比38%)、研究開発費が6億円(同11%)を占めています。
■(3) セグメント収益
各セグメントの売上高を見ると、主力のDX&SI事業やパッケージ事業が順調に成長を牽引しています。通信・金融・製造業向けの大型案件や自社製品の販売・導入支援が好調に推移し、全社的な増収に貢献しています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| DX&SI事業 | 175億円 | 198億円 |
| パッケージ事業 | 59億円 | 69億円 |
| 医療ビッグデータ事業 | 32億円 | 35億円 |
| グローバル事業 | 28億円 | 23億円 |
| 連結(合計) | 293億円 | 325億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業活動による収入と投資資産の回収等によって得た資金を借入金の返済や株主還元に充てる、財務体質の改善局面です。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 18億円 | 30億円 |
| 投資CF | -20億円 | 1億円 |
| 財務CF | -6億円 | -10億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は16.6%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は66.2%であり、いずれも市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「情報化の創造・提供による社会貢献」を企業理念として掲げています。いかなる系列にも属さない完全独立系の立場を堅持し、業種、技術分野、プラットフォーム等を問わず、常に最新の技術に挑戦しつつ、自由な立場で幅広い分野の開発業務に取り組むことを存在理由としています。
■(2) 企業文化
同社は、時代や環境の変化を超えて不変である「変わらぬ信念」と、時代や周囲の環境変化に敏感な「変わる経営」とを両輪とする文化を重視しています。また、「不易流行」の思想のもと、これまでの培った経営資源を活かしながら、社会課題の解決に真摯に取り組むことを基本姿勢としています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、長期ビジョン「JAST VISION 2035」において、2035年度に連結売上高1,000億円を達成することを目標としています。また、毎期の業績予想達成に加え、中長期的にROE(自己資本利益率)20%水準を定着させることを重要な経営指標として位置付けています。
- 連結売上高1,000億円
- ROE20%水準の定着
■(4) 成長戦略と重点施策
基盤となるDX&SI事業では、従来の受託開発中心から、業務知見を体系化したオファリング型ビジネスへと転換し収益性向上を図ります。自社ブランド事業では生成AIの活用による機能高度化と顧客生涯価値(LTV)の向上を進めます。さらに、グループ内の資源を横断的に活用したシナジー拡大も推進します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人的資本を経営基盤の一つと位置付け、事業戦略の実行力を高めるため専門人材の育成・採用を強化しています。自社認定制度(JCPL)等を通じたプロジェクトマネジメント人材やDX人材の育成のほか、テレワーク制度などの社内環境整備によるワークライフバランスの向上やエンゲージメント強化を推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 35.1歳 | 9.0年 | 6,698,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 14.7% |
| 男性育児休業取得率 | 87.5% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 86.1% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 85.7% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 74.5% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 不採算案件の発生とシステム瑕疵
システムの複雑化や短納期化に伴う要件定義の相違により、見積精度の不良や不採算案件が発生するリスクがあります。また、品質要求の高まりから製品やサービスの瑕疵が生じた場合、補修費用の増や信用低下を招き、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 情報管理とサイバーセキュリティ
医療データや個人情報など重要度の高い情報を取り扱うため、情報の漏洩や不正行為に対するリスクが存在します。社内教育や専門組織による監視等で対策を講じていますが、万一インシデントが発生した場合、損害賠償や信用の失墜につながる恐れがあります。
■(3) 専門人材の確保と外部調達コストの上昇
デジタル技術の高度化を背景に優秀なIT人材の獲得競争が激化しています。受注増に対して十分な要員が確保できない場合や、物価高などで外部協力会社への発注単価が上昇した場合には、プロジェクトの遂行や利益率に悪影響を及ぼす可能性があります。



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