テイクアンドギヴ・ニーズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

テイクアンドギヴ・ニーズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所プライム市場に上場するテイクアンドギヴ・ニーズは、ハウスウェディングやホテル事業を展開するホスピタリティ企業です。直近の業績(9ヶ月の変則決算)では、売上高357億円を計上したものの、人材や広告への先行投資及び減損損失の計上により最終赤字となっています。今後の収益基盤強化が注目されます。


※本記事は、株式会社テイクアンドギヴ・ニーズの有価証券報告書(第28期、自 2025年4月1日 至 2025年12月31日、2026年3月31日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. テイクアンドギヴ・ニーズってどんな会社?


国内ウェディング事業を中心に、ハウスウェディングやブティックホテルを展開する企業です。

(1) 会社概要


1998年の設立とともに提携レストランにてハウスウェディング事業を開始しました。2001年に直営店型事業を始めナスダック・ジャパンへ上場し、2006年には東証一部(現プライム)へ市場変更しています。2016年にTRUNKを設立しホテル事業へ参入したほか、直近の2025年にはインバウンドやカジュアルウェディング事業も開始しています。

従業員数は連結で1,846名、単体で1,447名です。筆頭株主は創業者の野尻佳孝氏で、第2位は資産管理業務を行う信託銀行、第3位は事業会社の東京ウエルズです。

氏名 持株比率
野尻佳孝 16.85%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 9.13%
東京ウエルズ 7.10%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性2名の計12名で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役会長は野尻佳孝氏、代表取締役社長は岩瀬賢治氏が務めています。取締役8名のうち社外取締役は3名(比率37.5%)です。

氏名 役職 主な経歴
野尻佳孝 代表取締役会長 三井住友海上火災保険を経て、1998年に同社設立、代表取締役社長に就任。その後、各種関連会社の役員を歴任し、現在は同社代表取締役会長およびTRUNK代表取締役社長等を務める。
岩瀬賢治 代表取締役社長 名古屋観光ホテルを経て、2002年に同社入社。営業統括部長や各種関連会社代表を歴任。2015年に同社代表取締役社長に就任し、現在は各種グループ会社の代表や取締役を兼務する。
宮本隆志 取締役 リーガロイヤルホテル東京を経て、2001年に同社入社。クリエイティブセンター長や運営統括本部長などの要職を歴任し、現在は同社取締役社長室長およびDressmore代表取締役社長を務める。
土渕友美 取締役 ヒルトン東京お台場を経て、2001年に同社入社。関東事業部長や事業開発本部長兼ホテル事業部長などを歴任し、現在は同社取締役事業開発部長およびTRUNK取締役を務める。
若林達二 取締役 日立製作所やJCOM、ジュピターショップチャンネルのCFOなどを経て、2023年に同社入社。管理本部長や経営管理本部長を歴任し、現在は同社取締役経営管理本部長を務める。


社外取締役は、秋山進(元プロメトリック副社長)、佐々木公明(桜田通り総合法律事務所シニアパートナー)、村木真紀(虹色ダイバーシティ理事長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「国内ウェディング事業」および「その他」事業を展開しています。

国内ウェディング事業


全国に直営の邸宅型式場を配し、貸切りによる挙式・披露宴の企画・運営サービスを提供するハウスウェディング事業や、ホテル等の婚礼部門の運営受託・コンサルティングを行います。また「TRUNK」ブランドのブティックホテルも展開しています。

収益源は、挙式・披露宴の実施に伴う顧客からのサービス対価や、他社施設の運営受託に伴う手数料などです。運営は主にテイクアンドギヴ・ニーズやTRUNK、GENTLE、Dressmoreが担っています。

その他


主に婚礼に関連する周辺サービスを提供しており、新郎新婦を資金面からサポートするブライダルローンの提供や、オーダーメイドのハネムーン、海外ウェディングに伴う旅行の提案・手配を行います。

収益源は、ローンの提供による金利・手数料収入や、旅行手配に伴う手数料収入などです。運営は主にライフエンジェル(金融・クレジット事業)やアニバーサリートラベル(旅行事業)が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は2022年3月期以降回復傾向にあり、2025年3月期まで順調に拡大し利益も高水準で推移しました。2025年12月期は決算期変更に伴う9ヶ月間の変則決算であり、先行投資等の影響もあり純利益は赤字に転じています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2025年12月期
売上高 395億円 455億円 470億円 477億円 357億円
経常利益 15億円 32億円 38億円 36億円 12億円
利益率(%) 3.9% 7.0% 8.0% 7.5% 3.4%
当期利益(親会社所有者帰属) 16億円 34億円 9億円 32億円 -5億円

(2) 損益計算書


売上総利益率は約68%と高い水準を維持しています。しかし、2025年12月期は決算期変更による期間短縮に加え、人材や広告投資を積極化したため営業利益率が低下しています。

項目 2025年3月期 2025年12月期
売上高 477億円 357億円
売上総利益 318億円 242億円
売上総利益率(%) 66.8% 67.7%
営業利益 41億円 16億円
営業利益率(%) 8.6% 4.5%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が65億円(構成比29%)、地代家賃が38億円(同17%)、広告宣伝費が36億円(同16%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力の国内ウェディング事業が売上の大半を牽引しています。決算期変更による変則決算の影響で前年比較は困難ですが、引き続き同セグメントが事業の基盤となっています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2025年12月期)
国内ウェディング事業 463億円 345億円
その他 14億円 12億円
連結(合計) 477億円 357億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業です。

項目 2025年3月期 2025年12月期
営業CF 55億円 12億円
投資CF -8億円 -30億円
財務CF -50億円 -6億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-0.4%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は34.0%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「ホスピタリティ業界にイノベーションを起こし 日本を躍動させる」というPURPOSE(存在意義)を制定しています。また、MISSION(使命)として「あそびごころとやさしさで、人の心を人生を豊かにする」を掲げ、日本を代表するホスピタリティ業界のリーディングカンパニーになることをVISION(あるべき姿)としています。

(2) 企業文化


同社はVALUE(大切にする価値観)として「Creativity / Challenge / Kindness」を掲げています。既存のウェディング業界にハウスウェディングという新しい価値を生み出し市場を創出してきたように、常に新しいサービスを生み出し、新しい市場を創るための柔軟な発想や自律的なキャリア形成を重視する文化が根付いています。

(3) 経営計画・目標


同社は長期経営方針「EVOL2030」を策定し、既存のウェディング事業に加え、ホテル事業を第2の柱と位置付け、日本におけるブティックホテル市場の創出を目標としています。2026年12月期の目標として以下を掲げています。

* 売上高 478億円
* 営業利益 12億円
* 直営店の婚礼施行件数 9,230件

(4) 成長戦略と重点施策


婚姻件数の減少やニーズの多様化などの事業環境の変化に対応するため、地域特性に応じた最適戦略へ転換を図っています。店舗ポートフォリオの見直しと収益基盤の強化、オウンドメディアを活用した広告投資の高度化、婚礼単価の持続的上昇を推進します。さらに、ホテル事業では2027年以降の新規ホテル開業に向けた体制整備を進めています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


ホスピタリティの源泉である人材を最大の経営資本と位置付けています。「ダイバーシティ&インクルージョン」を推進し、多様な人材の柔軟な発想による新市場創出を目指しています。また、自律的なキャリア形成の支援や、働きがいのある環境の整備に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 32.3歳 6.9年 4,645,000円


※平均年間給与には、賞与その他を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 32.6%
男性育児休業取得率 36.4%
男女賃金差異(全) 75.5%
男女賃金差異(正規) 81.8%
男女賃金差異(非正規) 81.6%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性育児休業後復帰率(100%)、社員国籍種別(4ヶ国)、障がい者雇用率(3.50%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 市場環境と少子化の影響


少子化に伴う結婚適齢期人口の減少により、中長期的には挙式・披露宴市場の縮小が懸念されています。同社はインバウンド向け事業への参入や店舗コンセプト刷新で需要喚起を図っていますが、想定以上の市場縮小は業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 婚礼様式のトレンド変化


ハウスウェディングに代わる新たな婚礼様式が台頭するなど、市場環境が大きく変化した場合、社会情勢や生活様式、ニーズの変化への対応が遅れることにより、同社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3) 建築コストやコスト上昇圧力


ホテル事業の成長戦略を推進する中で、建築コストが想定を上回って上昇した場合、初期投資の負担増加やランニングコストの上昇を招くリスクがあります。また、人材確保の難易度上昇やエネルギー価格の高騰によるコスト上昇も懸念事項です。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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