※本記事は、西菱電機株式会社の有価証券報告書(第60期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月24日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。
1. 西菱電機ってどんな会社?
情報通信端末の販売・修理や情報通信システムの構築を手掛ける企業の特徴を紹介します。
■(1) 会社概要
1966年に設立され、1968年に三菱電機の電子機器サービスデポに指定、1995年に同社代理店となりました。1994年からは携帯電話代理店事業も開始しています。1999年にはコムテックサービスを子会社化し、2002年に大阪証券取引所市場第二部へ上場を果たしました。
従業員数は連結で606名、単体で418名です。筆頭株主は創業者の資産管理会社である合同会社ニシオカで、第2位は三菱電機、第3位は西菱電機従業員持株会となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 合同会社ニシオカ | 23.64% |
| 三菱電機 | 20.74% |
| 西菱電機従業員持株会 | 5.56% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性10名、女性0名の計10名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は西井希伊氏です。社外取締役は2名選任されています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 西井希伊 | 代表取締役社長 | 1979年入社。2008年取締役、2018年専務等を経て、2019年より現職。 |
| 西岡伸明 | 代表取締役会長 | 1992年総務部長。2008年代表取締役社長等を経て、2019年より現職。 |
| 神田達也 | 常務取締役事業全般・子会社管掌 | 1982年入社。2019年取締役等を経て、2022年より現職。 |
| 前田真昭 | 取締役人事総務・法務コンプライアンス・CSR担当 | 2008年アイディーユー取締役。2009年入社。2018年取締役等を経て、2020年より現職。 |
| 平塚俊光 | 取締役経営企画・財務担当 | 1987年三菱電機入社。2024年同社常務執行役員を経て、2024年より現職。 |
社外取締役は、小西新右衛門(小西酒造代表取締役社長)、田内芳信(元ドコモCS関西常務取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「情報通信端末事業」および「情報通信システム事業」を展開しています。
■(1) 情報通信端末事業
ドコモ、au、ソフトバンク、UQモバイルなどの携帯情報通信端末の直接店頭販売を行うとともに、不具合品の修理再生の受託業務を行っています。直営店として複数のキャリアショップを展開しています。
一般消費者への携帯端末の販売や、市場における端末修理の受託を通じて収益を得ています。運営は同社およびコムテックサービスが行っています。
■(2) 情報通信システム事業
官公庁および民間会社向けの情報通信機器やシステムの製作、販売、保守、運用等の技術サービスを提供しています。また、無線通信機器や制御盤の開発、設計から販売までを手掛けています。
官公庁向け大口案件や民間向けシステム販売、保守などのストックビジネスを通じて収益を獲得しています。運営は同社、西菱電機フィールディング、西菱電機エンジニアリング、鳥取西菱電機が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の業績は、一時的な減収や最終赤字を計上する時期があったものの、概ね売上高の拡大基調が続いています。直近の期では、官公庁向け大口案件の増加や携帯端末の販売増が寄与し、売上高207億円、経常利益4億円と増収増益を達成し、利益率も回復傾向にあります。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 172億円 | 170億円 | 185億円 | 193億円 | 207億円 |
| 経常利益 | 3億円 | 0.1億円 | 2億円 | 3億円 | 4億円 |
| 利益率(%) | 1.8% | 0.1% | 1.1% | 1.4% | 2.0% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 2億円 | -2億円 | 2億円 | -0.1億円 | 2億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の増加に伴い売上総利益も拡大しており、売上総利益率は26%台から27%台へと改善しています。営業利益も増加し、収益性の向上が確認できます。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 193億円 | 207億円 |
| 売上総利益 | 52億円 | 58億円 |
| 売上総利益率(%) | 26.8% | 27.8% |
| 営業利益 | 3億円 | 4億円 |
| 営業利益率(%) | 1.4% | 1.8% |
販売費及び一般管理費のうち、給与及び賞与が23億円(構成比42%)、賞与引当金繰入額が3億円(同6%)を占めています。
■(3) セグメント収益
セグメント別の売上高を見ると、情報通信端末事業は携帯端末販売における販売台数増により堅調に推移しています。情報通信システム事業も、官公庁向け大口案件の増加や子会社の受注増により売上を伸ばしており、両セグメントともに成長を牽引しています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 情報通信端末事業 | 82億円 | 89億円 |
| 情報通信システム事業 | 111億円 | 118億円 |
| 連結(合計) | 193億円 | 207億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業の状態です。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 2億円 | 6億円 |
| 投資CF | -2億円 | -2億円 |
| 財務CF | -2億円 | -3億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は4.5%で市場平均を下回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も46.0%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
会社に係わるすべての人々との信頼関係を築き、情報通信ビジネスのOnly OneでNo.1を目指すべく、8つの経営に係わる基本方針を掲げています。魅力ある製品やサービスを通じて感動と喜びを届け、「安心」と「信頼」の西菱品質を提供することを使命としています。
■(2) 企業文化
「One Seiryo」をスローガンとし、グループのコミュニケーションを高め、活気ある会社を創ることを重視しています。また、情熱を持って仕事に取り組み、家族や社会に誇れる会社を創るという価値観を共有し、誠実な行動とコンプライアンスの徹底を企業文化の基盤としています。
■(3) 経営計画・目標
2024年8月に発表した2027年3月期を目標とする3か年の中期経営計画において、以下の経営指標を掲げています。
* 連結売上高200億円
■(4) 成長戦略と重点施策
「事業規模拡大」「事業基盤確立」「人財育成」「企業体質強化」の4つの基本戦略を軸に企業価値拡大に取り組みます。ソリューション機能の強化とストックビジネスの拡大を全社方針とし、情報通信端末事業では地域密着販売や端末修理技術による循環型社会への貢献を目指します。情報通信システム事業では、防災・減災需要の取り込みを図ります。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
新たな価値を創造していくうえで最も重要な原動力は人材という資産であるとの考えに基づき、採用・育成・報酬・労働環境への投資を通じて従業員エンゲージメントを高める方針です。従業員の役割と成果に応じた評価・処遇を基本とし、階層別や専門スキル等の多様な研修ラインナップを用意しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 42.5歳 | 15.6年 | 6,420,000円 |
※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 1.2% |
| 男性育児休業取得率 | 87.5% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 69.5% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 77.6% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 61.4% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
(1) 市場での競合激化と環境変化
情報通信端末事業では、近隣への競合店の出店やMVNO市場、中古端末市場の拡大などの環境変化により、業績が予測を下回るリスクがあります。情報通信システム事業においても、同業者との価格競争や代替機器との競合による影響を受ける可能性があります。
(2) クラウドサービスにおけるシステム障害
同社グループが提供するクラウドサービス等は通信ネットワークに依存しており、災害やアクセス集中、サイバー攻撃などによるサーバーの接続障害が発生するリスクがあります。これにより、損害賠償請求や社会的信用の低下を招き、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 原材料の価格変動と調達リスク
地政学的リスクの上昇などによる原材料価格の急激な変動や、自然災害、需給逼迫による調達の困難化、納期の長期化が発生するリスクがあります。取引先に対する納入遅延が生じた場合、同社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。



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