シーティーエス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

シーティーエス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

シーティーエスは東証プライム市場に上場し、建設現場向けのデジタルデータサービス事業や測量計測システム事業を展開する企業です。直近の連結業績は、売上高127.5億円、経常利益37.3億円と順調な増収増益トレンドで推移しています。独自のサイトアシストパッケージの提案等により、建設業界の生産性向上を支援しています。


※本記事は、株式会社シーティーエスの有価証券報告書(第36期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. シーティーエスってどんな会社?


建設現場のICT化を支援するデジタルデータサービス事業と測量計測システム事業を展開しています。

(1) 会社概要


1972年に有限会社中部測機として設立されました。1984年にシステム事業を開始し、2000年にシーティーエスへ商号変更しています。2004年にジャスダック上場、2015年に東証一部指定、2022年に東証プライム市場へ移行しました。2017年にはハウス備品事業等を会社分割し連結子会社を設立しています。

従業員数は連結で286名、単体で257名です。大株主については、筆頭株主が有限会社横島で、第2位および第3位は資産管理業務等を行う信託銀行となっています。

氏名 持株比率
有限会社横島 40.50%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 9.10%
日本カストディ銀行(信託口) 3.30%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役は社長執行役員の横島連氏が務めています。社外取締役比率は71.4%です。

氏名 役職 主な経歴
横島連 代表取締役社長執行役員経営戦略本部長 2014年入社。レンタライズ取締役、CTSラインテック取締役などを経て、2023年経営戦略本部長に就任。2026年より現職。
横島泰蔵 取締役会長執行役員 1980年入社。取締役、専務取締役、代表取締役副社長を経て、2003年代表取締役社長に就任。2026年より現職。


社外取締役は、佐々木弘道(弁護士法人佐々木法律事務所代表社員)、平野精一(元エプソン販売代表取締役社長)、竹村淳一(税理士法人UMパートナーズ代表社員)、横山隆(元綿半ホールディングス常勤監査役)、長谷川千晶(はるな総合法律事務所代表)です。

2. 事業内容


同社グループは、「DDS事業」、「SMS事業」および「その他」事業を展開しています。

DDS事業


建設会社の本社や建設現場向けに、クラウドストレージ、クラウド映像、コミュニケーション、通信ネットワーク、多機能ディスプレイなどのICTサービスを提供しています。これらのサービスを統合した「サイトアシストパッケージ(SAP)」の提案に注力し、建設現場の遠隔支援や情報共有のインフラ構築に貢献しています。

建設現場の業務支援に特化したデータや情報関連サービスを統合的に提供し、機器のレンタルやサブスクリプションサービスの利用料を収益源としています。事業の運営はシーティーエスが主体となって行っています。

SMS事業


土木・建築会社を主要顧客として、ワンマン測量システムや測量計測機器、関連システムなどの提案および提供を行っています。メンテナンスなどの維持コストや利用頻度、環境負荷等を踏まえ、利便性の高いレンタルを中心とした事業展開を進めています。

顧客への測量計測システム等のレンタル料金および機器の販売代金を主な収益源としています。事業の運営はシーティーエスが主体となって行っています。

その他


建設現場向けのサービスとして、IT環境を含めたユニットハウス「スマートハウス」を提供しています。また、道路の標識や白線設置等の専門工事も手掛けています。

スマートハウス等のレンタル料金や、道路標示・標識設置工事の請負代金を主な収益源としています。事業の運営は、シーティーエスならびに連結子会社のレンタライズおよびCTSラインテックが分担して行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は105.4億円から127.5億円へと右肩上がりで成長しています。経常利益も25.4億円から37.3億円へと増加傾向にあり、利益率も24.0%から29.3%へと上昇しています。継続的な増収増益と高収益性の維持が見て取れます。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 105.4億円 108.0億円 110.9億円 118.2億円 127.5億円
経常利益 25.4億円 27.2億円 27.9億円 31.6億円 37.3億円
利益率(%) 24.0% 25.2% 25.1% 26.7% 29.3%
当期利益 17.7億円 17.0億円 19.7億円 21.8億円 24.8億円

(2) 損益計算書


売上高は118.2億円から127.5億円へ成長し、それに伴い売上総利益も60.8億円から65.5億円へ増加しています。売上総利益率および営業利益率も前期と比較して堅調に推移しており、収益性の高さがうかがえます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 118.2億円 127.5億円
売上総利益 60.8億円 65.5億円
売上総利益率(%) 51.4% 51.4%
営業利益 30.8億円 33.7億円
営業利益率(%) 26.0% 26.4%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が15.7億円(構成比49.4%)を占めており、最大の費用項目となっています。

(3) セグメント収益


主力のDDS事業は、サイトアシストパッケージ(SAP)を中心としたレンタルやサブスクリプションサービスの伸長により売上が増加しています。SMS事業もレンタルの堅調な推移と販売の好調により増収となりました。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
DDS事業 69.0億円 75.1億円
SMS事業 35.1億円 38.7億円
その他 14.2億円 13.7億円
連結(合計) 118.2億円 127.5億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である健全型です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 28.4億円 33.4億円
投資CF -24.5億円 -17.7億円
財務CF -28.2億円 -19.3億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は18.8%で市場平均を上回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も76.2%で市場平均を上回っています。いずれも高い水準を確保しています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「全国の建設現場の課題を、デジタルデータサービスと測量計測システムを中心に、身近なサポートで解決する」ことを経営理念に掲げています。また、社名の由来である「Construction Total Support service」を基本とし、土木・建築会社を中心としたお客様のニーズに対応した商品やサービスを提供することを重視しています。

(2) 企業文化


企業活動において関連する四者に対しての経営姿勢を明確に定めています。社員に対しては「創造力とチャレンジ精神を第一に、自ら学び、自ら実践し、自ら成果を実感できる」環境の実現と、「能力=成果、評価=報酬」という公平な処遇を実践しています。また、社会に対しては「企業は公器である」という考え方を基本としています。

(3) 経営計画・目標


中期経営計画において、安定した事業運営と機動的な投資を支える強固な財務基盤の確保や持続的な利益成長に応じた累進配当の継続を財務方針として掲げています。具体的には以下の数値目標を設定しています。

* 売上高 160億円
* DDS事業 売上高 106億円
* 内、SAP 売上高 55億円
* 営業利益 44億円
* 営業利益率 25%超
* ROE 20%超

(4) 成長戦略と重点施策


「ハードを主体としたITインフラのレンタル企業」から「データ・情報関連サービスを統合的に提供し(SAP)、建設現場の業務を支援する建設ICTの専門企業」への変身を目指しています。建設市場においてはSAPの普及やAI実装を推進し、地場ゼネコンや広域ゼネコンを開拓します。また、新市場として官公庁向けのクラウド映像サービスの水平展開を図ります。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人材を重要な経営資源と位置づけ、中期経営計画と連動した採用・育成・配置・評価を推進しています。人材育成においては「社員一人ひとりが自ら目標を持ち、互いに切磋琢磨しながら成長する組織を目指す」ことを基本方針とし、多様な人材が活躍できる環境の整備と、自律的な成長や挑戦を支援することで組織力と企業価値の向上を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 43.8歳 11.2年 6,535,342円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 0.0%
男性育児休業取得率 80.0%
男女賃金差異(全労働者) 52.7%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 56.0%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 43.8%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、営業人員数(98人)、販管費千円当たりの営業利益(1,060円)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 建設業界の環境変化と特定顧客への依存


同社グループは土木・建築業界の取引先に特化した事業展開を行っています。そのため、公共投資の減少や建設需要の減少等の環境変化が顕著に発生した場合や、建設市場の急激な収縮による受注競争での単価低下などが発生した際には、同社グループの受注確保や業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 主力レンタル資産の陳腐化リスク


DDS事業およびSMS事業の中心となる業態としてレンタル業務を展開し、多額のレンタル資産を保有しています。急激な市場環境の変化や技術革新、競合他社の新製品の台頭により、これらのレンタル資産の入れ替えが必要となったり、陳腐化資産として減損処理や廃棄処分を余儀なくされる可能性があります。

(3) 情報システムおよびサイバー攻撃リスク


事業活動において情報システム、通信ネットワーク、クラウドサービス等を利用しており、多数の顧客情報や営業上の機密情報を保有しています。これらに対して、不正アクセスやランサムウェア攻撃、人的過誤等により情報漏洩やシステム障害が生じた場合、事業運営への支障や社会的信用の低下につながる可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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