シーティーエス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

シーティーエス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

シーティーエスは東証プライム上場の建設ICT専門企業です。建設現場向けのシステムや通信環境を提供するデジタルデータサービス事業と、測量計測機器を扱う事業が柱です。直近決算では、主力のレンタル・サブスクリプションが伸長し、売上高は前期比6.6%増、経常利益は13.5%増の増収増益を達成しています。


※本記事は、株式会社シーティーエス の有価証券報告書(第35期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月20日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. シーティーエスってどんな会社?


建設現場向けに、通信環境やクラウドサービスなどのICTツールと測量計測システムのレンタル・販売を行う企業です。

(1) 会社概要


1972年に有限会社中部測機として設立され、測量計測事業を開始しました。2000年に現在のシーティーエスへ商号変更し、2004年にJASDAQへ上場、2015年には東証一部(現プライム市場)へ指定替えを果たしました。2021年にはシステム事業を「DDS事業」、測量計測事業を「SMS事業」へ名称変更し、建設ICT分野への注力を明確にしています。

2025年3月31日時点で、従業員数は連結278名、単体249名です。筆頭株主は創業者の資産管理会社である有限会社横島で、第2位は資産管理業務を行う信託銀行です。

氏名 持株比率
有限会社横島 38.70%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 9.76%
日本カストディ銀行(信託口) 3.47%

(2) 経営陣


同社の役員は男性5名、女性1名、計6名で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長は横島泰蔵氏です。社外取締役比率は83.3%です。

氏名 役職 主な経歴
横島泰蔵 代表取締役社長 1980年同社入社。取締役、専務取締役、副社長を経て2003年4月より現職。


社外取締役は、佐々木弘道(弁護士法人佐々木法律事務所代表社員)、平野精一(元ヒロセ社長)、竹村淳一(税理士法人UMパートナーズ代表社員)、横山隆(元綿半ホールディングス取締役)、長谷川千晶(はるな総合法律事務所代表)です。

2. 事業内容


同社グループは、「DDS事業」「SMS事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) DDS事業(デジタルデータサービス)


建設会社の本社や現場に対し、クラウドストレージ、映像配信、通信環境、多機能ディスプレイなどを統合した「サイトアシストパッケージ」を提供しています。建設現場の遠隔支援や業務効率化を目的としたサービス群です。

収益は、主に建設会社からのレンタル料やサブスクリプション利用料、各種サービスの販売代金から成ります。運営は主にシーティーエスが行っています。

(2) SMS事業(測量計測システム)


建設・土木現場向けに、ワンマン測量システムやGNSS(全球測位衛星システム)などの測量計測機器、および関連システムを提供しています。

収益は、建設会社等からの機器レンタル料および販売代金です。測量機器はメンテナンスコストや利用頻度の観点からレンタルの需要が高く、これに対応しています。運営は主にシーティーエスが行っています。

(3) その他


建設現場向けのユニットハウス「スマートハウス」の提供や、道路標識・白線設置などの専門工事を行っています。

収益は、ユニットハウスのレンタル料や工事請負代金などです。運営は、ユニットハウス関連を株式会社レンタライズ、工事関連を株式会社CTSラインテックなどが担当しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績は、売上高、利益ともに堅調な拡大基調にあります。特に経常利益率は20%台後半の高水準を維持しており、収益性の高さが特徴です。2025年3月期は、DDS事業の伸長などにより過去最高の売上高・利益を記録しました。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 100億円 105億円 108億円 111億円 118億円
経常利益 21億円 25億円 27億円 28億円 32億円
利益率(%) 21.3% 24.0% 25.2% 25.1% 26.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 15億円 17億円 17億円 19億円 22億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い、売上総利益、営業利益ともに増加しています。売上総利益率は50%を超えており、高い付加価値を維持しています。営業利益率も26.0%と高く、効率的な経営が行われていることがわかります。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 111億円 118億円
売上総利益 57億円 61億円
売上総利益率(%) 51.4% 51.4%
営業利益 29億円 31億円
営業利益率(%) 25.8% 26.0%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が15億円(構成比49%)と最も大きな割合を占めています。売上原価については、減価償却費などの固定費や仕入高が主な構成要素となっています。

(3) セグメント収益


DDS事業は、「サイトアシストパッケージ」の提案強化により売上・利益ともに伸長しました。SMS事業も、レンタルの堅調な推移と販売案件の増加により増収増益となっています。一方、その他事業は減収減益となりました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
DDS事業 63億円 69億円 20億円 21億円 31.1%
SMS事業 33億円 35億円 6億円 7億円 18.7%
その他 15億円 14億円 3億円 3億円 19.5%
連結(合計) 111億円 118億円 29億円 31億円 26.0%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


**【健全型】**
本業である営業活動でキャッシュを稼ぎ出し、それを原資に投資活動や借入金の返済、配当支払いを行っている健全な状態です。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 30億円 28億円
投資CF -6億円 -24億円
財務CF -17億円 -28億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は17.5%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は75.4%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「全国の建設現場の課題を、デジタルデータサービスと測量計測システムを中心に、身近なサポートで解決する」ことを経営理念としています。社名の由来である「Construction Total Support service」を基本に、建設現場のニーズに対応した商品・サービスの提供を通じて課題解決を目指しています。

(2) 企業文化


同社は、顧客に対して「より確かに、より早く、より安く」提案することを追求し、社員に対しては「自ら学び、自ら実践し、自ら成果を実感できる」環境を実現することを基本方針としています。また、処遇においては公平性を重視し、「能力=成果、評価=報酬」の実践を掲げています。

(3) 経営計画・目標


2024年3月期から2026年3月期までの中期経営計画を策定し、以下の目標を掲げています。
- 売上高:128億円(2023年3月期対比+18%)
- 営業利益:33億円(2023年3月期対比+22%)
- 営業利益率:25%超
- ROE:20%超
- リピート率:90%超

(4) 成長戦略と重点施策


「ハードを主体としたITインフラのレンタル企業」から、「データ・情報関連サービスを統合的に提供する建設ICTの専門企業」への転換を目指しています。具体的には、DDS事業の「サイトアシストパッケージ」を中核に据え、全国の地場ゼネコンへの普及や、官公庁市場の開拓(河川監視カメラ等)を推進しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「社員一人ひとりが自ら目標を持ち、互いに切磋琢磨しながら成長する組織」を目指し、創造力とチャレンジ精神を重視しています。また、採用では新卒にこだわらない通年採用や原則転勤なしの条件提示を行うほか、女性社員の登用・スキルアップによるジェンダーギャップ解消にも取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 43.2歳 10.7年 6,096,649円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 -
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) 51.9%
男女賃金差異(正規) 55.4%
男女賃金差異(非正規) 41.5%


※連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には一部項目の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 建設業界の環境変化


主要顧客である土木・建築業界は公共投資や民間設備投資の影響を大きく受けます。公共投資の減少や建設需要の減退が発生した場合、同社グループの受注や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 特定業界取引先への依存


土木・建築業界に特化しているため、建設市場の急激な収縮や競争激化、取引先の倒産等が起きた場合、業績への影響が懸念されます。これに対し、与信管理の徹底や市場シェア拡大による顧客基盤の分散化を図っています。

(3) レンタル資産の陳腐化


主力事業で多額のレンタル資産を保有していますが、技術革新や市場変化により資産が陳腐化し、減損処理や廃棄が必要となる可能性があります。顧客の需要動向を注視し、適切な資産の購入・入替を行うことでリスク回避に努めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。