※本記事は、ブロードメディア株式会社 の有価証券報告書(第29期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ブロードメディアってどんな会社?
教育事業と技術・コンテンツ事業を柱に、多角的なサービスを展開する独自性の高い企業です。
■(1) 会社概要
1996年に設立され、2002年にJASDAQ市場(現:東証スタンダード)へ上場しました。2007年に現在の社名へ変更し、コンテンツ配信や技術サービスへ事業を拡大。2020年には連結子会社6社を吸収合併して体制を強化し、2022年の市場区分見直しに伴いスタンダード市場へ移行しました。近年は通信制高校やプログラミング教育など、教育事業の拡大に注力しています。
2025年3月31日現在、連結従業員数は748名、単体では426名です。大株主構成については、筆頭株主は英国の投資ファンド、第2位も英国の投資ファンドであり、上位を外国法人の機関投資家が占めています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| エイブイアイ ジャパン オポチュニティー トラスト ピーエルシー | 11.81% |
| NIPPON ACTIVE VALUE FUND PLC | 10.31% |
| ゴールドマン・サックス・インターナショナル | 9.45% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性2名の計11名で構成され、女性役員比率は18.2%です。代表取締役社長は橋本太郎氏が務めています。社外取締役比率は54.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 橋本太郎 | 代表取締役社長 | 野村證券、ソフトバンク(現ソフトバンクグループ)を経て2000年より現職。グループ各社の会長・社長を兼務。 |
| 久保利人 | 取締役執行役員技術サービス本部長 | ソフトバンク(現ソフトバンクグループ)等を経て2000年入社。CDN事業等を牽引し2016年より現職。 |
| 木村修巳 | 取締役執行役員教育サービス本部長 | 代々木ゼミナール等を経て2006年グループ入り。教育サービス部門を統括し2024年より現職。 |
| 押尾英明 | 取締役執行役員CFO経営管理本部長 | 2004年入社。財務経理部門の要職を歴任し、2015年よりCFOとして経営管理を統括。 |
| 嶋村安高 | 取締役放送事業戦略担当 | ペイ・パー・ビュー・ジャパン等を経て2002年入社。コンテンツ・放送事業を牽引し2021年より現職。 |
社外取締役は、山田純(元クアルコムジャパン社長)、山口畝誉(元日本マイクロソフト統括本部長)、古屋俊一(元富士銀行支店長)、北谷賢司(元ソニー執行役員)、佐藤淳子(弁護士)、粂川操(公認会計士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「教育」「メディアコンテンツ」「スタジオ・プロダクション」「放送」「技術」および「その他」事業を展開しています。
■教育
広域通信制高校「ルネサンス高等学校グループ」や日本語教師養成講座「ルネサンス日本語学院」、プログラミングスクール「テックキャンプ」等を運営しています。
収益は主に生徒からの授業料や受講料等から得ています。運営は同社および株式会社div、株式会社divキャリア等が行っています。
■メディアコンテンツ
動画・コミック配信サービスやエンタメ情報サイトの運営、テレビ放映権販売等を行っていましたが、2025年3月期中に主要サービスを事業譲渡しました。
収益はユーザーからの利用料等から得ていました。運営は主に同社が行っていました。
■スタジオ・プロダクション
日本語字幕・吹替制作、番組宣伝制作、聴覚障がい者向け字幕制作などを行っています。
収益は放送局や配給会社等からの制作受託料から得ています。運営は主に同社が行っています。
■放送
釣り専門チャンネル「BS釣りビジョン」の放送・番組制作や動画配信サービスを提供しています。
収益は視聴者からの視聴料やスポンサーからの広告料等から得ています。運営は株式会社釣りビジョンが行っています。
■技術
CDNサービス、セキュリティサービス、クラウドソリューション、デジタルシネマサービス、ホテル向けネットサービス、システム開発等を提供しています。
収益は企業顧客からのサービス利用料や開発受託料、機器販売代金等から得ています。運営は同社、システムデザイン開発株式会社、株式会社divx等が行っています。
■その他
プロeスポーツチーム「CAG OSAKA」の運営や、家庭用ゲームソフトの企画・開発・販売等を行っています。
収益はスポンサー料、イベント運営収入、ゲームソフト販売代金等から得ています。運営はブロードメディアeスポーツ株式会社、株式会社ポケット等が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
2021年3月期から2025年3月期までの業績を見ると、売上高は110億円から155億円へと右肩上がりで成長しています。経常利益は5億円弱から一時11億円近くまで拡大しましたが、直近では7億円台で推移しています。当期利益は変動が見られますが、黒字基調を維持しています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 110億円 | 123億円 | 130億円 | 142億円 | 155億円 |
| 経常利益 | 5億円 | 9億円 | 11億円 | 9億円 | 7億円 |
| 利益率(%) | 4.3% | 7.6% | 8.3% | 6.4% | 4.6% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 18億円 | 8億円 | 11億円 | 8億円 | 7億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の損益構成を比較します。売上高は増加傾向にあり、売上総利益も拡大していますが、利益率はやや低下しています。営業利益については、コスト増等の影響を受け減少しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 142億円 | 155億円 |
| 売上総利益 | 57億円 | 61億円 |
| 売上総利益率(%) | 40.0% | 39.0% |
| 営業利益 | 9億円 | 7億円 |
| 営業利益率(%) | 6.1% | 4.6% |
販売費及び一般管理費のうち、従業員給料が15億円(構成比29%)、賞与引当金繰入額が2億円(同3%)を占めています。
■(3) セグメント収益
「教育」と「技術」セグメントが増収を牽引しました。「教育」は通信制高校の生徒増に加え子会社化の影響もあり大幅増収。「技術」も主力サービスが好調でした。一方、「メディアコンテンツ」は事業譲渡により減収となり、「スタジオ・プロダクション」もストライキの影響等で減収となりました。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) |
|---|---|---|
| 教育 | 44億円 | 54億円 |
| メディアコンテンツ | 6億円 | 3億円 |
| スタジオ・プロダクション | 17億円 | 16億円 |
| 放送 | 24億円 | 23億円 |
| 技術 | 47億円 | 55億円 |
| その他 | 3億円 | 4億円 |
| 連結(合計) | 142億円 | 155億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 12億円 | 7億円 |
| 投資CF | -9億円 | -0億円 |
| 財務CF | -3億円 | -9億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は7.1%で市場平均(スタンダード市場 7.2%)をわずかに下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は41.0%で市場平均(スタンダード市場非製造業 48.5%)を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「創造力が生み出す優れた作品やサービスを、広く社会に普及させ、より豊かなコミュニティーの形成・発展に貢献する」という企業理念を掲げています。社名の「ブロードメディア」には、既存メディア領域をより広げる「broader media」という意味が込められており、その代名詞として世界に通用することを目指しています。
■(2) 企業文化
同社は「持続可能で、かつ倫理的なビジネスで成長する」ことを中期的な取り組みとして掲げています。独自性の高いサービスの提供を通じて成長を目指す姿勢や、多様な人材の個性を活かし活躍できる環境整備を重視しています。また、法令遵守や倫理的な行動を企業の基本としています。
■(3) 経営計画・目標
同社は2024年度からの当面の目標として、収益性と資本効率の向上を掲げて経営を行っています。
* 連結営業利益率:10%
* ROE(自己資本利益率):30%
■(4) 成長戦略と重点施策
経営目標の達成に向けて、現在業績を牽引している「教育」および「技術」事業をさらに成長させるとともに、「独自の複合的な教育事業」を推進する方針です。
* 通信制高校事業の継続的成長:生徒定員数の拡大、優秀な教員の確保
* 次世代事業への投資と育成:既存投資事業の規模拡大と業績改善、新規事業への積極投資
* 経営効率の向上:人材配置の最適化、管理体制の一元化、低迷事業の抜本的対策
* 人的資本への投資:専門人材の確保・育成、多様な人材が活躍できる環境整備
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、企業価値拡大のために専門的知識を有した人材の確保・育成を重要課題と位置づけています。多様な人材の個性を活かすため、採用強化に加え、国籍・性別にとらわれない能力・成果に応じた評価制度や、従業員が高いモチベーションを持って働ける環境の整備を進めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均(598万円)をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 40.2歳 | 9.3年 | 5,286,831円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 21.6% |
| 男性育児休業取得率 | 50.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 75.6% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 75.9% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 72.0% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 教育事業の運営リスク
通信制高校やスクール事業において、少子化による生徒数減少や評判の低下、行政による制度変更等が業績に影響を与える可能性があります。また、学校設置認可の取り消しや法令違反が発生した場合、事業継続が困難になるリスクがあります。
■(2) コンテンツ制作・調達リスク
スタジオ・プロダクション事業等において、発注元の方針変更やストライキによる受注減、制作原価の高騰が収益を圧迫する可能性があります。また、機密性の高い未発表作品等の素材漏洩が発生した場合、損害賠償責任が生じるリスクがあります。
■(3) システム・セキュリティリスク
CDNやクラウドサービス等において、サイバー攻撃や自然災害によるシステム障害が発生した場合、サービス停止や信用低下を招く恐れがあります。また、個人情報の漏洩が発生した場合、法的責任やブランド毀損により業績に影響を及ぼす可能性があります。



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