※本記事は、株式会社クロスキャット の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
クロスキャットグループは、情報サービス事業を主軸に展開しています。システムソリューションの開発からBIビジネス、各種IT関連サービス、さらにスタッフサービスまで、幅広い事業領域で顧客の課題解決を支援しています。
単体従業員数は563名、連結従業員数は881名です。同社グループの事業は情報サービス事業の単一セグメントで構成されています。
主な国内グループ会社は、○ ソフトウェア開発、○ システム運用、保守、○ テクニカルサポート、○ システムコンサルティング、○ インフラサポートなどです。
直近では、AI・DXニーズに対応するため、SBIデジタルスペースファンドへ500百万円を出資しました。スタートアップ企業との協業によるオープンイノベーションを推進し、新たな収益基盤の構築を目指しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
ITソリューションサービスを主軸とするクロスキャットは、技術者の専門性と技術力を企業価値の源泉と位置づけています。社員一人ひとりの成長を重視し、多様な働き方を支援する環境整備にも力を入れている企業です。ここでは、同社の給与水準や働き方に関する具体的なデータ、そして人材育成や報酬制度について詳しく見ていきます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
平均年齢が36歳7ヶ月、平均勤続年数が11年3ヶ月であることから、比較的若手から中堅社員が中心となり、長期的なキャリア形成を支援する環境が整っている傾向が見られます。技術者の継続的な教育・研修を重要な経営課題と位置づけており、社員の定着を促す取り組みが進められていることがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,732,098円 |
| 平均勤続年数 | 11年3ヶ月 |
| 平均年齢 | 36歳7ヶ月 |
| 単体従業員数 | 563人 |
| 連結従業員数 | 881人 |
| 単体のグループ内比率 | 63.9% |
同社グループは、退職給付制度として確定給付型の企業年金制度(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出制度(会社が拠出した資金を従業員が運用する)、および退職一時金制度を採用しています。これらの制度は、同社及び一部の連結子会社に適用されています。
退職一時金制度はありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
確定給付型の退職給付債務は12.6億円、年金資産は7.0億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
クロスキャットグループは、「心技の融和」を企業理念とし、先進的な「技術」と「心」を兼ね備えた多様な人材の育成を基本方針としています。情報サービス業において技術者一人ひとりの専門性と技術力が企業価値の源泉であると認識しており、継続的な教育・研修を重要な経営課題としています。専門分野やキャリア段階に応じた研修体系を整備し、目標設定のもとPDCAサイクルで管理を推進しています。
人事制度においては、役割・責任、業績への貢献度、能力発揮度を基本とし、企業業績や経済情勢、社会的な賃金水準の動向を総合的に勘案して従業員給与等が決定されます。基本給は資格等級に応じた賃率範囲で設定され、人事考課に基づく昇給・昇格を通じて成果や成長が処遇に反映される仕組みです。賞与も企業業績と個人の貢献度が反映され、従業員のモチベーション向上と中長期的な定着が図られています。
年齢や勤続年数によらず、役割の重要度や難易度、専門性に応じて役割の等級・区分を決定し、市場水準等を勘案した基本給を設定することで、高い付加価値を創出する人材に対し公正な賃金体系を構築しています。物価上昇など市場環境への対応や従業員のエンゲージメント向上、優秀な人材確保のため、継続的な賃上げも実施しており、人的資本戦略の重要施策の一つとして位置づけられています。
また、中核人材の多様性確保と働きやすい環境の整備も重視しており、国籍・性別等を問わない多様な人材の活躍促進、社員の健康と人権を尊重した組織運営を推進しています。具体的には、女性活躍推進プロジェクトの発足や、長時間労働抑制、育児時短勤務の適用期間延長、キャリア相談窓口の設置など、社内制度の整備が進められています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。男女賃金差異の目標については、女性活躍推進法に基づく公表をしておらず、記載を省略しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 17.5% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 90.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 83.3% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 84.1% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 72.7% |
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。
▼ 連結子会社
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 16.1% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 90.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 84.1% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 85.2% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 66.7% |
人材育成・エンゲージメント
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 年次有給休暇取得率 | 69.7% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
クロスキャットグループは、情報サービス事業とその付帯業務を単一事業として展開しています。主力はシステムインテグレーション(SI)分野とデジタルトランスフォーメーション(DX)分野です。
SI分野では、クレジット、金融、公共、製造、通信、流通など多岐にわたる業種に対し、システムの設計、開発、運用・保守サービスを提供しています。長年培ってきた技術とノウハウを活かした高品質なサービスが特徴です。
DX分野では、クラウドや生成AIといった先端技術を活用したサービスや、データ利活用支援、基盤構築、独自開発システムの提供を通じて、顧客企業のDX推進に貢献しています。勤怠管理クラウドサービスなどの自社開発システム関連の販売も堅調に推移しています。
収益は主にこれらの情報サービス提供から得られており、富士通、NTTデータ、国税庁といった特定の顧客への売上集中も見られます。海外での売上高はなく、事業は国内に集中しています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
クロスキャットグループの業績は、直近5期間にわたり売上高と各利益が継続的に増加し、過去最高を更新する堅調な推移を示しています。特に当期は、売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のすべてが前期を上回る結果となりました。収益性を示す売上高経常利益率や売上高当期純利益率、資本効率性を示すROEも前期から改善しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 121億円 | 138億円 | 149億円 | 162億円 | 173億円 |
| 経常利益 | 11.7億円 | 15.1億円 | 15.7億円 | 19.0億円 | 20.4億円 |
| 経常利益率 | 9.7% | 10.9% | 10.5% | 11.7% | 11.8% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 7.7億円 | 10.2億円 | 13.1億円 | 13.2億円 | 15.1億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 51.00 | 67.91 | 90.28 | 93.17 | 107.90 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
クロスキャットグループの生産性を見ると、従業員1人あたり売上高は前期から増加傾向にあります。また、従業員1人あたり営業利益も前期と比較して増加しており、効率的な事業運営が進んでいることがうかがえます。これらの指標の向上は、同社グループの収益体質の強化と組織全体の生産性向上を示しています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 18.9百万円 | 19.7百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 2.1百万円 | 2.3百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
クロスキャットは、本業で安定した資金を生み出し、投資活動も行いながら、手元に十分な資金を確保している状況です。これにより、強固な財務基盤を維持していることが示されています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
クロスキャットの財務基盤は、自己資本比率がプライム市場平均と比較して高い水準にあり、安定した経営状況を示しています。ROE(自己資本利益率)もプライム市場平均を大きく上回る水準で推移しており、効率的な資本活用ができていることがうかがえます。手元資金である現金及び預金も増加傾向にあり、不測の事態への耐性も備わっている状況です。これらの財務指標は、入社後の雇用や給与の安定性につながる要素であると考えられます。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 58.5億円 | 66.6億円 |
| 自己資本比率 | 55.6% | 61.4% |
| ROE(自己資本利益率) | 24.1% | 24.2% |
| 現金及び預金 | 26.8億円 | 33.0億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
クロスキャットの当連結会計年度におけるキャッシュフローは、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローが23.4億円のプラスとなりました。これは主に税金等調整前当期純利益の計上や売上債権の減少、仕入債務の増加によるものです。投資活動によるキャッシュフローは△3.2億円のマイナスとなっており、投資有価証券の取得や有形固定資産の取得による支出が主な要因です。財務活動によるキャッシュフローは△14.0億円のマイナスで、短期借入金の減少や配当金の支払い、自己株式の取得による支出が影響しています。
これらの結果、営業活動によるキャッシュフローと投資活動によるキャッシュフローを合わせたフリーキャッシュフローは20.2億円のプラスとなりました。これは、本業で安定的に資金を創出し、投資活動も行いながら、手元に十分な資金が残っている優良な状態を示しています。このような資金の流れは、企業の安定した成長と、従業員の雇用や給与の安定性につながる基盤であると言えます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 6.9億円 | 23.4億円 |
| 投資CF | △0.3億円 | △3.2億円 |
| 財務CF | △3.2億円 | △14.0億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 6.6億円 | 20.2億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの事業構造・収益性に関するリスクとして、顧客のIT投資が経済情勢や景気動向の影響を受ける傾向にあることが挙げられています。日本経済が低迷または悪化した場合、顧客のIT投資が減少し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、主要取引先である大手メーカー系やインテグレーター系のお客様の発注方針が大きく変更された場合も、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性が指摘されています。
③ 人材・組織に関するリスク
人材・組織に関するリスクとして、労働市場の流動化と技術革新の多様化により、必要な技術者が確保できない場合、事業展開が制約され計画を達成できない可能性があると記載されています。同社グループでは、人材の採用を積極的に行い、社内教育による人材育成と協力会社との連携により技術者の確保に努めている状況です。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
株式会社クロスキャットは、創業以来「心技の融和」を企業理念に掲げ、社会貢献を目指す独立系情報サービス企業です。先進技術と誠実な対応を通じて、顧客にプロフェッショナルなサービスを提供しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
クロスキャットは、創業以来「心技の融和」を企業理念としています。これは、知識・技術・創意といった「技」を高め、お客様には意欲・忍耐・信念を失わない「心」で対応することを意味します。
同社グループは、この理念に基づき、社会に貢献する企業を目指しています。中長期的な経営ビジョンとして、「独立系情報サービス企業として、持続的な企業価値向上と社会への貢献」を掲げています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、常に時代を見る眼とみずみずしい感性を持ち、世のトレンドや環境に柔軟に対応することを重視しています。新技術の獲得には他社より一歩先んじて取り組む姿勢です。
新中期経営計画「Growing Value 2026」では、品質・効率性・専門性・ノウハウを組み合わせたサービスの質を高め、カスタマーサクセスへの貢献を目指すことを基本方針としています。
社員一人ひとりの人権を尊重し、多様な人材が活躍できる環境整備を推進することで、企業の持続的な成長に繋げていく方針です。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、情報サービス業界におけるIT人材不足を重要な経営課題と認識しています。技術者の安定的確保とスキル向上を目指し、新卒・キャリア採用に加えてM&Aも選択肢として人材確保に努めています。
最新技術習得やプロジェクトマネジメントスキルの習得を中心とした社内・外部研修による人材育成にも注力しています。
また、サステナビリティへの取り組みも重要な課題です。同社グループは「ITソリューションサービスの提供を通じて、お取引先の環境課題をお取引先と一緒に解決する」社会課題解決型ビジネスを目指しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
クロスキャットの取締役会は、監査等委員会制度を採用しており、社外取締役が経営の透明性と健全性の確保に貢献しています。
業務執行と監督の分離を図るため、執行役員制度も導入されています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
クロスキャットの株主構成を見ると、筆頭株主は信託銀行である日本マスタートラスト信託銀行です。
また、クロスキャット社員持株会が上位株主として名を連ねており、従業員による安定的な株式保有が進んでいることがうかがえます。
個人株主も複数上位に位置しており、幅広い層に支えられている資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行 | 8.74% |
| クロスキャット社員持株会 | 6.23% |
| 尾野 貴子 | 4.12% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
クロスキャットの役員は9名(男性8名・女性1名)で構成され、女性役員比率は11.1%です。
代表取締役社長は山根光則氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 井上 貴功 | 代表取締役会長 | 1983年4月同社入社、2003年4月同社執行役員コンサルティング事業部長、2013年4月同社代表取締役社長を経て、2023年6月より現職。 |
| 山根 光則 | 代表取締役社長 | 1989年4月同社入社、2020年6月同社取締役執行役員、2023年6月より現職。 |
| 山下 智己 | 取締役常務執行役員コーポレート統括部担当 | 1988年4月株式会社三菱銀行入行、2018年4月同社入社、2018年6月同社取締役執行役員、2024年4月より現職。 |
| 道上 正人 | 取締役常務執行役員金融ビジネス事業部担当兼公共ビジネス事業部担当兼DXインテグレーション事業部担当兼DXソリューション事業部担当 | 1998年4月同社入社、2020年4月同社執行役員、2022年6月同社取締役執行役員、2026年4月より現職。 |
| 小倉 功 | 取締役執行役員管理統括部担当 | 1987年4月日本IBM入社、2012年11月同社入社、2019年4月同社執行役員管理統括部長、2024年4月より現職。 |
社外取締役は、瀬戸川礼子氏(経営ジャーナリスト・ホワイト企業大賞委員)、鈴木実氏(元NTTデータソフィア代表取締役社長)、幸重孝典氏(元ANAシステムズ代表取締役会長)です。
クロスキャットは監査等委員会制度を採用しており、意思決定の迅速化と経営の透明性確保に努めています。
監査等委員である社外取締役3名が、独立した視点から業務執行の監査を行っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
クロスキャットの役員報酬は、企業価値の持続的な向上と優秀な人材確保を目的として設計されています。
取締役(監査等委員である取締役を除く)には、基本報酬(金銭報酬)と株式報酬(非金銭報酬)が支給されます。
監査監督機能を担う監査等委員である取締役には、その職務に鑑み基本報酬(金銭報酬)のみが支払われる仕組みです。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 5名 | 1.6億円 | 32.5百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 16百万円 | 15.7百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 16百万円 | 4.0百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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