※本記事は、ビジネスエンジニアリング株式会社の有価証券報告書(第47期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月18日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ビジネスエンジニアリングってどんな会社?
ERPシステムの導入支援と自社開発パッケージ製品の提供を強みとする企業です。
■(1) 会社概要
1980年に東洋エンジニアリングの100%子会社として設立されました。1999年にシステムインテグレーション事業を譲り受けて現在の事業を開始し、他社製ERP製品の取扱いや自社開発パッケージの提供を進めました。2004年のジャスダック上場などを経て、2019年に現在のビジネスエンジニアリングへと商号を変更しました。
従業員数は連結で748名、単体で580名です。筆頭株主は事業会社である図研で、第2位は三谷産業、第3位はウイングアーク1stとなっており、事業上の関わりを持つ提携先企業が上位に名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 図研 | 21.00% |
| 三谷産業 | 11.45% |
| ウイングアーク1st | 8.00% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性2名の計11名で構成され、女性役員比率は18.2%です。代表取締役取締役社長CEOは羽田雅一氏が務めています。社外取締役比率は36.4%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 羽田雅一 | 代表取締役取締役社長CEO | 東洋エンジニアリングを経て1999年に同社へ入社。プロダクト事業本部長や専務取締役などを歴任し、2020年4月より現職。 |
| 別納成明 | 代表取締役専務取締役CFO経営統括本部長 | 東洋エンジニアリングを経て1999年に同社へ入社。ソリューション事業本部長などを歴任し、2022年6月より現職。 |
| 中野敦士 | 常務取締役CTOソリューション事業本部長 | 東洋エンジニアリングを経て1999年に同社へ入社。プロダクト事業本部長などを歴任し、2024年4月より現職。 |
| 佐藤雄祐 | 常務取締役プロダクト事業本部長、ビジネス戦略本部担当、関西統括本部担当 | 東洋エンジニアリングを経て2000年に同社へ入社。ソリューション事業本部長などを歴任し、2025年10月より現職。 |
| 入交俊行 | 取締役プロダクト事業本部副事業本部長、グローバルビジネス推進本部担当 | 東洋エンジニアリングを経て2000年に同社へ入社。プロダクト事業本部営業本部長などを歴任し、2024年4月より現職。 |
| 宮澤由美子 | 取締役ソリューション事業本部副事業本部長、ビジネスイノベーション本部担当 | 東洋エンジニアリングを経て2000年に同社へ入社。ソリューション事業本部第1営業本部長などを経て、2026年4月より現職。 |
| 大塚博文 | 取締役(監査等委員) | 東洋エンジニアリングを経て1999年に同社へ入社。畢恩吉商務信息系統工程の董事長などを歴任し、2020年6月より現職。 |
社外取締役は、清水弘(日本工業大学大学院教授・指名委員長)、北村正仁(元オリンパス執行役員)、志水直樹(元ソフトバンク・テクノロジー常務執行役員)、三好貴子(岡村綜合法律事務所パートナー)です。
2. 事業内容
同社グループは、「ソリューション」「プロダクト」「システムサポート」の3つの報告セグメントを展開しています。
■ソリューション事業
他社が開発したERPパッケージ製品を利用し、主に製造業を中心とした企業の情報システムを設計、開発、導入するサービスを提供しています。デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進を通じ、顧客のビジネスモデル変革や業務効率化を支援しています。
収益源は、システム構築に関する請負契約や準委任契約に基づくプロジェクト単位の対価です。運営はビジネスエンジニアリングが行っています。
■プロダクト事業
自社開発のERPパッケージ製品「mcframe」などを、パートナー企業を通じて販売するとともに、同製品を利用したシステムの導入サービスを提供しています。クラウドベースのソリューションや、海外展開支援に向けた機能の拡張にも注力しています。
収益源は、自社開発ソフトウェアのライセンス販売やクラウドサービスの利用料、およびシステム導入にかかる対価です。運営はビジネスエンジニアリングと、米国子会社のBusiness Engineering America, Inc.が行っています。
■システムサポート事業
基幹業務システムを導入した企業に対して、システムの運用や保守をはじめとするライフサイクルサポートなどの支援サービスを提供しています。
収益源は、保守サービス契約に基づく運用・保守にかかる定期的なサービス利用料等です。運営は子会社のビジネスシステムサービスが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間を通じて、売上高は右肩上がりで持続的な成長を遂げており、それに伴って経常利益も連続して大幅な増益を達成しています。利益率も毎期着実に改善しており、収益力の向上が明確に表れています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 178億円 | 185億円 | 195億円 | 208億円 | 244億円 |
| 経常利益 | 24億円 | 33億円 | 39億円 | 47億円 | 64億円 |
| 利益率(%) | 13.8% | 17.6% | 19.9% | 22.5% | 26.3% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 16億円 | 23億円 | 26億円 | 33億円 | 49億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の大幅な成長に伴い、売上総利益も順調に拡大しています。売上原価率の低下によって売上総利益率が上昇しており、営業利益率も20%台後半へと飛躍的な伸びを示しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 208億円 | 244億円 |
| 売上総利益 | 91億円 | 112億円 |
| 売上総利益率(%) | 43.8% | 45.6% |
| 営業利益 | 47億円 | 64億円 |
| 営業利益率(%) | 22.5% | 26.2% |
販売費及び一般管理費のうち、従業員給料手当が21億円(構成比44%)、賞与引当金繰入額が2億円(同5%)を占めています。売上原価では、外注費が71億円(構成比49%)、経費が39億円(同27%)となっています。
■(3) セグメント収益
主力のソリューション事業およびプロダクト事業がともに堅調に推移しており、全体の成長を力強く牽引しています。特に自社開発製品のライセンス販売が好調で、売上高の増加に大きく貢献しました。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| ソリューション | 132億円 | 156億円 |
| プロダクト | 71億円 | 84億円 |
| システムサポート | 5億円 | 5億円 |
| 連結(合計) | 208億円 | 244億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFがプラス、投資CFと財務CFがマイナスとなっており、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である「健全型」のキャッシュ・フロー状況を示しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 35億円 | 59億円 |
| 投資CF | -15億円 | -11億円 |
| 財務CF | -11億円 | -20億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は33.2%で、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も74.7%となっており、いずれも市場平均を大きく上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「顧客満足を第一としたプロフェッショナル集団として、新たな価値創造を通じて社会に貢献する」という経営理念を掲げています。また、「世の中に創造業を増やす」をパーパスに据え、情報技術(IT)の新たな価値を活用して、幅広い業種にわたる顧客のビジネス変革を支援することを目指しています。
■(2) 企業文化
「未来まで、よりそい抜く」というブランドステートメントのもと、顧客との信頼関係を重視し、長期間にわたって課題解決に取り組む姿勢を大切にしています。プロフェッショナルとしての高い技術力とノウハウを活かし、社会的な責任を果たす企業として持続可能なビジネスを推進する文化が根付いています。
■(3) 経営計画・目標
経営計画「経営Vision 2026 改訂版」および成長戦略「BE 2030」を策定し、継続的な業容の拡大を通じた企業価値の向上を経営目標としています。重要な経営指標としては、自己資本当期純利益率(ROE)を重視し、継続的な向上に努めています。
■(4) 成長戦略と重点施策
製造業のデジタル化を推進する「ものづくりデジタライゼーション」の拡大と、顧客および自社のビジネスモデルを変革するDXの推進を柱としています。日系製造業のグローバル展開支援を継続的に強化するほか、AIエージェント化やSaaS型サービスの拡充など、最新技術を活用したソリューションの提供に取り組みます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人的資本を事業のコアであり競争力の源泉と捉え、「人財育成」「働きやすい職場づくり」「ダイバーシティ」の3つをテーマに掲げています。技術革新の著しいIT業界において、多様な専門性を持つ優秀な人材の確保と育成を進めるとともに、ワークライフ・バランスの向上やエンゲージメントの強化に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 40.3歳 | 11.1年 | 9,149,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 5.2% |
| 男性育児休業取得率 | 92.3% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 77.7% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 77.6% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | -% |
※有期労働者がいなかったため、非正規雇用の差異は算出されていません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、労働者に占める女性労働者の割合(19.7%)、GHG排出量Scope1+2実績(453t-CO2e)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) システム開発リスク
顧客に納入するシステムは重要な基幹システムが多く、万が一、重大な不具合の発生や納期遅延、見積もりからの乖離が生じた場合、改善のための追加対応費用や損害賠償金の発生により、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 技術革新に関するリスク
IT分野における急速な技術革新に対応するため、新技術の調査や研究開発に注力していますが、想定外の技術革新が進み適切な対応がとれなかった場合には、提供するサービスや製品の競争力が低下し、業績に影響を与える可能性があります。
■(3) 情報セキュリティに関するリスク
サイバー攻撃などによるシステムの機能不全や、個人情報・機密情報の漏洩が発生した場合、事業の中断や損害賠償金の発生、信用の低下などを招き、経営成績や財務状況に悪影響を及ぼすリスクがあります。
■(4) 人材確保に関するリスク
事業の成長には、高度な技術力と専門性を有する多様な人材の確保が不可欠です。IT人材の獲得競争が想定以上に激化し、優秀な人材の確保や育成、定着が計画通りに進まない場合、業績に影響を与える可能性があります。



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