ビジネスエンジニアリング 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ビジネスエンジニアリング 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム市場に上場する情報サービス企業です。製造業向けERPパッケージ「mcframe」の自社開発・販売や、SAP等の導入支援を行うソリューション事業を展開しています。2025年3月期は、企業の底堅いDX投資需要を背景に、売上高・各利益ともに過去最高を更新しました。


※本記事は、ビジネスエンジニアリング株式会社 の有価証券報告書(第46期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ビジネスエンジニアリングってどんな会社?


製造業に特化した自社開発ERP「mcframe」の提供と、SAP等の導入支援を行う情報サービス企業です。

(1) 会社概要


1980年にオリエント工事として設立され、1999年に東洋ビジネスエンジニアリングへ商号変更し、東洋エンジニアリングからSI事業を譲り受けて現在の営業を開始しました。同年に自社開発ERP「MCFrame」の提供を開始し、2001年に店頭登録を行いました。その後、2013年に東証二部へ上場し、翌2014年には東証一部銘柄に指定されています。2019年に現在のビジネスエンジニアリングへ商号変更しました。

2025年3月31日現在、連結従業員数は719名(単体554名)です。筆頭株主は、CAD/CAMシステム等を手掛けるその他の関係会社の図研で21.00%を保有しています。第2位は化学品や情報システム等を扱う事業会社の三谷産業(12.40%)、第3位は帳票・データ活用ソフト等を提供する事業会社のウイングアーク1st(8.00%)となっています。

氏名 持株比率
図研 21.00%
三谷産業 12.40%
ウイングアーク1st 8.00%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性2名の計11名で構成され、女性役員比率は18.2%です。代表取締役取締役社長CEOは羽田雅一氏です。社外取締役比率は36.4%です。

氏名 役職 主な経歴
羽田 雅一 代表取締役取締役社長CEO 東洋エンジニアリング入社後、同社に入社。「MCFrame」事業本部長、プロダクト事業本部長などを経て、2020年4月より現職。
別  納  成  明 代表取締役専務取締役CFO経営統括本部長、アライアンス部担当 東洋エンジニアリング入社後、同社に入社。ソリューションプロジェクト統括本部長、業務管理本部長などを歴任し、2022年6月より現職。
中 野 敦 士 常務取締役ソリューション事業本部長 東洋エンジニアリング入社後、同社に入社。プロダクト事業本部営業本部長などを経て、2022年6月より常務取締役、2024年4月より現職。
佐 藤 雄 祐 常務取締役プロダクト事業本部長、関西中部統括本部担当 東洋エンジニアリング入社後、同社に入社。経営企画本部副本部長、ソリューション事業本部長などを経て、2024年6月より現職。
入 交 俊 行 取締役プロダクト事業本部副事業本部長、プロダクト事業本部商品開発本部長、グローバルビジネス推進本部担当 東洋エンジニアリング入社後、同社に入社。プロダクト事業本部マーケティング本部長などを経て、2023年6月より取締役。
宮澤  由美子 取締役ソリューション事業本部副事業本部長、マーケティング企画本部担当 東洋エンジニアリング入社後、同社に入社。ソリューション事業本部b-ridge本部長などを経て、2023年6月より取締役。
大 塚 博 文 取締役(監査等委員) 東洋エンジニアリング入社後、同社に入社。関西支店長、上海現地法人董事長などを経て、2020年6月より現職。


社外取締役は、清水弘(日本工業大学大学院技術経営研究科教授)、北村正仁(元オリンパス執行役員)、志水直樹(元SBテクノロジー常務執行役員)、三好貴子(弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ソリューション事業」「プロダクト事業」「システムサポート事業」の3つのセグメントを展開しています。

ソリューション事業


他社が開発したERPパッケージ製品(主にSAP製品)を利用し、企業の情報システムを設計、開発、導入するサービスを提供しています。主な顧客は、基幹業務システムの導入を検討している企業です。

収益は、顧客から受け取るシステムの設計・開発・導入に係る対価などから構成されています。運営は主にビジネスエンジニアリングが行っています。

プロダクト事業


同社が開発したERPパッケージ製品「mcframe」をパートナー企業を通じて販売するとともに、同製品を利用したシステム構築サービスを提供しています。製造業を中心とした企業が主な顧客です。

収益は、パートナー企業や顧客から受け取るライセンス料や導入支援サービスの対価などから構成されています。運営はビジネスエンジニアリングおよびBusiness Engineering America, Inc.が行っています。

システムサポート事業


基幹業務システムを導入した企業に対して、システムの運用・保守をはじめとする支援サービスを提供しています。安定稼働や継続的な改善を求める企業が顧客となります。

収益は、顧客から受け取るシステムの運用・保守サービス料などから構成されています。運営は主にビジネスシステムサービスが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は177億円から208億円へと順調に拡大しています。利益面でも、経常利益率は10.7%から22.5%へと大幅に上昇しており、増収かつ高収益化が進んでいます。当期利益も5期間で約3倍に増加しており、成長基調が継続しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 177億円 178億円 185億円 195億円 208億円
経常利益 19億円 24億円 33億円 39億円 47億円
利益率(%) 10.7% 13.8% 17.6% 19.9% 22.5%
当期利益(親会社所有者帰属) 11億円 14億円 20億円 23億円 31億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い、売上総利益は79億円から91億円へ拡大しました。売上総利益率も40.3%から43.8%へ改善しています。これに伴い営業利益も39億円から47億円へと20.4%増加し、営業利益率は22.5%と高い水準を達成しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 195億円 208億円
売上総利益 79億円 91億円
売上総利益率(%) 40.3% 43.8%
営業利益 39億円 47億円
営業利益率(%) 19.9% 22.5%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給料手当が19億円(構成比43%)、賞与引当金繰入額が4億円(同8%)を占めています。

(3) セグメント収益


全てのセグメントで増収増益となりました。主力事業において、製造業の旺盛な投資需要やライセンス販売の伸長、プロジェクトの採算性向上が寄与しました。特にプロダクト事業は売上・利益ともに2桁成長を遂げています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
ソリューション事業 128億円 132億円 32億円 36億円 27.6%
プロダクト事業 63億円 71億円 20億円 26億円 37.2%
システムサポート事業 4億円 5億円 5億円 5億円 92.2%
調整額 - - △19億円 △21億円 -
連結(合計) 195億円 208億円 39億円 47億円 22.5%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である「健全型」です。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 36億円 35億円
投資CF △11億円 △15億円
財務CF △10億円 △11億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は27.4%でプライム市場平均(9.4%)を上回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は72.5%でプライム市場平均(非製造業24.2%)を大きく上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「顧客満足を第一としたプロフェッショナル集団として、新たな価値創造を通じて社会に貢献する」という経営理念を掲げています。また、パーパスとして「世の中に創造業を増やす」を、ブランドステートメントとして「未来まで、よりそい抜く」を掲げ、ITの新たな価値を顧客の成功のために活用することを目指しています。

(2) 企業文化


同社は、「プロフェッショナル集団」としての姿勢を重視しています。顧客のビジネス環境の変化やニーズの高度化・複雑化に応えるため、先端技術の評価・導入に努め、高品質な製品やサービスの提供を目指す文化があります。また、顧客との長期的な信頼関係や、パートナーシップによる協働を重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社は、継続的な業容の拡大を通じた企業価値の向上を目標としています。特に重要な経営指標として自己資本当期純利益率(ROE)を重視し、その向上に努めています。現在は経営計画「経営Vision 2026 改訂版」のもと、各種戦略に取り組んでいます。

(4) 成長戦略と重点施策


「経営Vision 2026 改訂版」に基づき、「ものづくりデジタライゼーションの拡大」「変革のためのDXの推進」「グローバル支援の強化」「サステナビリティへの貢献」の4つを柱としています。具体的には、SaaS型製品・サービスの拡充によるSaaSビジネスの強化、顧客との共創ビジネスの推進、人的資本経営の推進などに取り組み、事業機会の創出と持続的な成長を目指します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は人材を競争力の源泉と捉え、「人財育成」「働きやすい職場づくり」「ダイバーシティ」の3つをテーマに人的資本経営を推進しています。多様な専門性と高度な知識を持つ人材の確保・育成を目指し、教育体制の整備や資格取得支援、柔軟な働き方の推進、外国人技術者の登用などに積極的に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 40.3歳 11.1年 8,101,000円


※平均年間給与は、賞与および基準外賃金を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 4.4%
男性育児休業取得率 90.9%
男女賃金差異(全労働者) 77.4%
男女賃金差異(正規雇用) 77.7%
男女賃金差異(非正規雇用) 39.0%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 事業環境の変化に関するリスク


国内外の社会情勢や経済情勢の変動により、顧客企業の情報化投資動向が変化する可能性があります。また、同業他社との競合状況なども含め、これらの外部環境の変化が同社グループの経営成績や財政状態に大きな影響を与える可能性があります。

(2) 大規模な災害等に起因するリスク


大規模な自然災害や感染症の流行などが発生した場合、同社グループの社員や協力会社の社員が被害を受けたり、事業所や設備に損害が生じたりする恐れがあります。これにより、事業活動の停滞や停止を余儀なくされ、経営成績が悪化する可能性があります。

(3) コンプライアンスに関するリスク


同社グループは法令遵守に努めていますが、万が一重大なコンプライアンス違反や法令に触れる事態が発生した場合、社会的信用の低下や損害賠償金の発生などを招く恐れがあります。これらは同社グループの経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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